【感想・ネタバレ】文身のレビュー

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Posted by ブクログ

初めての作家さん。
一気に引き込まれた。

分かっていたはずの虚構と現実が、最終章でぐちゃぐちゃになる。何度も読み直して、時々思い返して悩む。何日も掛けてようやく答えが出た。

娘明日美を描いてこなかった理由。しばらく放心した。

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2024年04月21日

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ネタバレ

どんでん返しのどんでん返し。

1回目のどんでん返しではちょっとガッカリしたけど
やはりラストは裏切らなかった!
よしっ!

しかし私小説って面白いのかな。
文章読んだ感じではそんなにヒット作になるような作品ではなかったけど。(奥さんの死のとこは除く)

とりあえず弟の人生は嫌だ。
波乱万丈だった兄の方がマシだ。

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

己の分身にして、決して消えることのない刺青ー文身


ちょっとこれ凄いじゃないのよあーた(いきなりの美川憲一)
いやもうこれ★3以下の人とは友達になれないわほんと
そのぐらい凄い!

特に最後の一行はゾワゾワゾワーっと鳥肌が立ちまくりです
そして消えない
まさに鳥肌が文身のよう!

よっしゃ!うまいこと言うたった

小説というのはもともと虚構であるわけなんだけど、私小説という作者の実体験を元にした小説が真ん中にいることで、どこまでが虚でどこまでが実かの境界線が曖昧になってるんです
そしてラストに向けてどんどんぐちゃぐちゃになっていく感じが見事すぎるのよ

これは虚なの?実なの?虚?実?虚?実?
虚虚実実虚虚虚実虚虚…うきょーー!!

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2023年07月19日

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初めから衝撃的でグッと掴まれた。弟の書いた筋書き通りの破天荒な生き方を兄が実行して生きていく。この二人の切れない絆が、物語がエスカレートしていくにつれて怖かった。だけど後半にまた一番の衝撃があり、最後は頭が混乱。結局庸一の人生は誰が決めたものなんだろう。悲しくて虚しい人生。でも小説だから本当のところはわからないということなんだな。

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2023年07月14日

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うわぁ〜と叫びたい‼︎
完全に弄ばれた感が。゚(゚´ω`゚)゚。

高校生の庸一と中学生の堅次
頭脳明晰な弟と弟に着いていくだけの兄
「弟を信じていれば間違いはない」
この二人が弟の擬装自殺という計画を立て故郷を捨て東京に出るまでの第一章。
昭和30年代頃かな?ノスタルジックな文体に引き込まれていきます。

そこからの怒涛の展開は兄を意のままに操る堅次がサイコパスか?と思える。怖い!薄気味悪い!
堅次にとっての庸一は何なのか?愛か執着かただの道具か?

庸一の発表する私小説で物語は進みます。
壮絶な人生、その私小説に昭和最後の文士と呼ばれるまでの庸一と庸一の人生を創っている堅次。

絶筆となる「巡礼」そして死後に登場する「文身」
ここまでも相当面白いのですが…
ここからがもう読むのが止まらない!

いや待て!そうくるのか⁈と驚き
全てを覆す後半に絶句…
ラストの一行にトドメの一撃です_| ̄|○

岩井圭也さん凄いよ!
地味に面白かったとレビューした「最後の鑑定人」
からの今作‼︎

ぜひ読んで頂きたいわ\(//∇//)

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2023年04月20日

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凄い作品に出会った。
作品自体がその時代背景があるからなのか、昔好きで読んでいた昭和の文豪の小説を読んでいるような不思議な感覚を感じる。

まずタイトルが「分身」ではなく「文身」。読後考えてみて「分身」でも違和感なくストーリーと共和する気がするが、さらに彫っての「文身」なのだろうと推測。

「現実と虚構」というテーマ、読後に考えてみれば作品全体に蔓延り、読者である自分も作品を読みながら「現実と虚構」が整理がつかずグチャグチャに混ざりなんだかわからない状態になる。
虚構を読んでいるのにその中の虚構に虚構か現実かが分からなくなってくる不思議さ。

そこを上手くミステリー風に仕立てている感じが凄く関心を引っ張られていく。

これは凄い作品だと。

文体や言葉の表情等は違うのだが、太宰治の「人間失格」ような不思議な魅力を感じる、文学史に残るべく作品かとも思う。

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2023年03月28日

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久しぶりに寝る時間を忘れて読みふけりました。
知り合いに紹介されて「そんな面白いのー?」と疑心暗鬼でしたが、謝ります。
どんでん返し、や、ちょっと変わった設定が好きな人にオススメです

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2023年01月20日

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ネタバレ

最後の文士と呼ばれた大御所私小説作家、須賀庸一。彼の無頼な人生を描いた作品は多くの人の心を掴むが、妻の自殺を自身が毒殺を試みたと思わせる作品を発表した事をきっかけに娘は彼と縁を切る。数十年後、庸一の死後に彼女の元に送られてきた遺稿、それは狂言自殺で世間から身を隠した彼の弟、堅次が書いた小説の通りに行動する事で人気作家となっていった庸一の人生を振り返っていく内容だった。現実が小説に描かれる虚構に侵食されていく狂気にじわじわ慄く。さらに最後の崖の上での堅次が繰りなす「あったかもしれない人生」や最終的な現実の立ち位置の曖昧さが醸し出す不気味さは随一。ラスト、娘への「最後の文士になる準備はできたか」も効いてる。虚構と現実の狭間で溺れさせられた。

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2022年06月21日

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ネタバレ

凄い小説としかいいようがない。
今までには無い感情が、未だぐるぐると心の中に残っている。

好色で、酒好きで、暴力癖のある作家の須賀庸一。
しかし、彼を操っていたのは自殺したはずの弟。
並外れて優秀だった弟が、自ら自殺にみせかけて逃亡し、高校を卒業した兄を待つ。
その後、私小説を執筆する。
兄は、弟の小説に従って生きる。
弟は、兄の人生を書き続ける。

第5章の巡礼では、弟の死という過去を清算しきれずに小説という虚構に逃げたのか…と。

だが終幕で【分身】の原稿が…
一体どうなっているのか。
真実は…。



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2022年02月02日

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まことさんのレビューで凄く気になっていた作品。
久々に、やられた小説に出会った。

日本海に面した田舎町に生まれた兄、須賀庸一と弟の堅次。大柄な体格とは正反対の気弱な庸一と、神童と呼ばれていた堅次は、廃れた街と両親から逃れる為の計画を立てる。
それは高校受験に嫌気がさし、庸一の目の前で堅次が自殺したことにして、家出するというものだった。計画は見事に成功し、堅次は街から消えた。それから堅次の指示通り、高校卒業した庸一と再会を果たす。
二人で生活しながら、堅次は次の計画を持ちかける。それは自分が書いた小説を兄庸一の名前で出版するというものだった。
小説家になりきる庸一と、ゴーストライターの堅次。作品が売れる度に、堅次の要望は増えていき、いつしか庸一の人生そのものを支配していく。

詠子を連れて実家へ帰省したくだりで、父親が堅次が来たと話している伏線があったのに気づいたのは全てを読み終えてから。
堅次と、私小説として登場する主人公の菅洋市の分身として演じきらなければいけなかった、庸一の人生。
己の分身にして、決して消えることのない刺青。
まさに、タイトルは「文身」しかないと思った。
驚愕のラストに思わず「えっ」と声が出た。
虹の骨を信じていた庸一は、本当はどんな人生だったのだろう....。

数日引きずりそうな感じです。
まことさん、ありがとう。

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2021年07月06日

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これは一体どういう話なのだろうかと思いました。
今まで、こんな小説は読んだことがなかったです。
恐い小説でした。
読み終えたときは凄い小説を読んだと思いました。

時系列にストーリーをたどると、1963年、高校生の須賀庸一は中学生の弟の堅次に誘われて家出の計画を立てます。二人は両親を快く思っていませんでした。
計画を立てたのは、天才の頭脳を持つ弟の堅次です。
堅次は海に飛び降り自殺をしたとみせかけ、先に一人で東京に移り住み、兄の庸一はあとから堅次の家の側の工場に就職して家を出ます。

そして堅次は「自分は小説を書くけれど、自分は死んでいるから、小説家になるのは庸一だ」と言います。
そして書くのは私小説で「庸一は演技が上手いから小説をこれから実体験にして演じてくれれば小説は当たる」とも言います。
庸一はそれを引き受け、見事に堅次の書いた小説は当たります。
好色で酒好き、暴力癖のある作家が庸一のトレードマークとなり、庸一は作家ー文士という肩書で、好きだった高嶺の花の詠子と結婚し、一人娘に恵まれます。

しかし、甘くはなかったのです。そこで堅次は「次は妻を殺して自殺に見せかけた作家を演じろ」と言い出します。そして出だしのシーン。妻に自殺された作家の場面に戻ります。
庸一は本当に愛していた詠子を殺してしまったのか…。

そこには怒涛のストーリー展開がありました。
そこからラストまでは息をもつけぬ展開で物語が進みます。
庸一の人生は何だったのだろう。
そしてもっと不可解なのは、ずっと独り暮らしで小説を書き続けた堅次の人生です。
凄い幕引きでした。

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2021年06月03日

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ネタバレ

面白かった。2度のどんでん返しより、父の存在意義を見出せなかった娘が、最後父と同じ生き方を選択する、それも同じ理由である所が血は争えないというか、そういった親子の絆の描き方もあるのかと感心した。あと庸一の娘を不要と位置付けて小説では描いてこなかった賢次が、兄が亡くなった後最後の文士に明日美を選ぶことで、兄が情をかけていた娘の存在を認めたことにより初めて兄の意思を汲んだ様に取れて、歪な兄弟の絆からまだ解放されない賢次にぞっとする様な嬉しい様な複雑な気持ちにさせられた。
人として生を受けた以上は何か残して死にたい、後世まで語り継がれる自分の存在という何かを。(私が勝手に受け取ったメッセージ)自分の生きる意味を渇望してたようにとれる明日美の最後の独白にひどく共感してしまって、私もこの小説を読んだ意味はそれに気がつくことなんだと思わされてしまった。

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2024年01月22日

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ネタバレ

続きが気になってしょうがなかったので、ほぼ一気読みした。

エンディングでは、弟の堅次は生きているのか死んでいるのか、もうどっちが真実なんだか訳わからない状態になってしまった。

庸一の妻、詠子の死に方が本当に作中作「文身」の通りであるならば、詠子も庸一も堪らないだろう。 詠子の台詞。
『〈本当の須賀庸一〉なんか好きじゃないから。あたしが愛してきたのは、傍若無人で社会不適合な、文士の須賀庸一なの。作り物の、虚構の、操り人形の須賀庸一なの。あなたの自由意志なんか知らないし、聞きたくもない』

庸一が、電車の中で会った初対面の一家に対して、泣き喚く弟を泣き止ませるよう兄に命令し、兄が実行する場面、それがその二人のそれ以降の兄弟関係に大きな意味を持った、という、設定が、この作品中唯一といっていい位、「いい話」だった。

プロットは全く関係ないが、作品の匂いとして、米澤穂信さんの『追想五断章』を思い出した。


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2023年05月28日

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途轍もなく趣味が悪く陰鬱な内容に嫌気が差しながらも、この物語の結末が気になり読み続けた。

自伝や私小説は先にその人の歩んだ人生や経験ありきで描かれるが本作で描かれる私小説はその逆を行く。

小説で書いた内容をなぞる様に、酒好きで暴力癖のある男を演じる須賀庸一。
その裏には兄弟間の秘密が隠されている

兄弟と言えど別々の人間、何故そこまで?と理解が追いつかないでいると終盤で衝撃の事実に慄く。

その瞬間、人間の多面性がもたらした物に一瞬納得をするものの、それはすぐ裏切られラスト1行で再び驚愕させられる。

余韻が凄まじい 。

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2023年02月15日

Posted by ブクログ

前半から中盤までは「ほぉー」って感じで進んで同じテンポで退屈さえ感じるのに、終盤の怒涛の展開で鳥肌止まらない。
これはマジで良かった。
タイトルと、序章の読み易さに惹かれてなんとなく読んでたけど、最後までちゃんと読んで良かったと思える作品。危なく途中放棄するとこだった。
虚構と現実。とにかくこれが読者も巻き込んでぐちゃぐちゃになっていく。
物語の大半は主人公の人生の虚しさ、弟が作り上げた虚構を演じて、それに縛られて生きていく諦め、葛藤、虚無感が彼の人生を通して語られてる。主人公と弟の関係の描写がとっても丁寧で、その辺の読み応えも良かった。
でもここまでは普通。そっから終章までが目まぐるしい。最後の一文とか鳥肌立った。結局どこまでが虚構で何が現実?その境界線が溶けてく感覚が、読者も追体験出来るからマジでビビった。

あと登場人物のキャラもめちゃくちゃ良い。
主人公と弟の秘密を知る人が編集者、奥さんと2人出てくるけど、この2人が物凄くこの物語を俯瞰してる。
主人公と一緒になって虚構に悩み取り乱したりしない。特に印象的なのが奥さんの自殺前の対応。あくまで虚構に悩むのは主人公だけであって、その対比が余計に主人公にスポットライトが当てられててとても良い。人物像としては現実的でなくても、この物語の構造としては良い感じに組み込まれてて面白かった。

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2022年08月06日

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ネタバレ

なんとも表現し難い作品でした。
あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。

昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分たちで動いていくのです。
この物語の主人公は兄弟ふたり。15歳の時に偽装自殺した弟が、その後姿を隠して小説を書き続け、兄の名前で世に出す。その小説は私小説として発表する。
「私小説は自然主義の文学であり、現実にあったことでなければ書いてはならないという認識すらある。」
でも普通の私小説と違うのは、弟が書いた小説の内容を後から兄が経験するというところ。
ここまで読んで、え?ということは、序幕で書かれていたあの場面は弟が書いたシナリオの結果なの?と気付き、なんとも言えない嫌悪感が‥‥。
どこまでが事実でどこからが虚構なのか?この兄弟を結びつけているものは何なのか?
何とも言えない薄暗い物語でした。
でも、先が気になってどうしてもページを捲ってしまいました。



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2022年05月21日

Posted by ブクログ

初めて読む作家と思っていたら、2冊読んでいてこれが3冊目でした。
他の作品もなかなかの重さを持った作品でしたが、こちらもやはりかなりの重さを持っていました。
文学に身を捧げるという今ではあまり聞かない種類の人間をテーマにしています。文学がとても力を持っていた時代、無頼な純文学者が沢山いたと思われますが、その時代をテーマにしています。
ぐいっと物語に引っ張り込まれる感覚が有り、文章に、物語に力があると感じました。

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2022年01月04日

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放蕩無頼な作家須賀庸一。彼の人生は真実だったのか?
姿を隠し、兄の名で作品を書き続ける弟。彼こそは虚構だったのか?
現実と虚構が渦巻くスパイラルに巻き込まれて、現実を生きることの意味さえ疑ってしまいそうになる。
中盤以降の怒涛の展開はまさに、予想外。

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2021年09月02日

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ネタバレ

小説という嘘に、人生が狂わされていく人々の物語。
本が好きな自分は「現実を超える嘘」という存在に浪漫を感じているしそれを肯定するような物語だと思っていたけれど、最後に夫が中村に言った「言葉遊びはやめてください」という叱咤にハッとしてしまった。
言葉には力があるけれど、それは正義とも悪とも言えないものなのかも。浮かれていた熱が冷めたような、気まずい思いを抱きながら、ラスト、言葉の世界に引きずられていく娘を見送った。

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2021年08月04日

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読み始めてすぐ「あーなんか面白くなさそうー」って思ったけど、なんか止まらなくなって一気に読んでしまった。

出来の悪い兄と優等生の弟。
秀才すぎるが故に世を儚み失踪の道を選んだ弟。
自己実現の為に作家になり、兄の名前で発表する。
弟の存在を知っているのは兄のみ。
弟は本当は生きているのか死んでいるのか。

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2021年01月22日

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01月-02。4.0点。
私小説を地で行く、「飲む・打つ・女」の主人公作家。
娘とは絶縁状態だが、作家死亡後に作家から娘にもう一つの私小説が届く。。

珍しい展開の小説。一気読み。終盤に「あっ」と言わせる事実が。

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2021年01月06日

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最後の文士と呼ばれた作家、須賀庸一。
酒乱。女好き。乱暴者。
庸一が書く作品は私小説。
彼の生活をのぞき見ているような背徳感を抱きつつ
何かに取り憑かれたように一気に読み終えた。

P48〈山ほどある嘘のなかに、たった一つ嘘が混ざるだけや〉

P305〈私小説とは言え、小説である限りは虚構と現実の混ざり物です〉

私は上手く騙されたのか?

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2020年06月28日

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私小説作家・須賀庸一。須賀が経験したことが小説に描かれる。小説の内容は極めて暴力的だが、全て私小説ということで人気作家となっていた。しかし、須賀には秘密があった、賢い弟の存在。兄は弟のために生きているのか、弟は兄のために生きているのか。描かれた小説は、それは真実なのか虚構なのか。
兄弟の行く末が最後まで気になる。そして、最後の方は特にどこまでが虚構なのか、分厚い雲の中に漂っている感じだった。庸一が描かれるままに行動するところで、そんな簡単に実行し変わって実行し続けて一生を送れるものかしらと思ったりもしたけれど、そこは目を瞑るとして、兄弟の思いや読み進めるごとの虚構の渦への入り具合、娘に流れる血、後半部分が特に読ませました。

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2020年05月18日

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ん??どゆこと??そゆこと??物語終盤危うく超ガッカリするところだったが、何とか持ち直してくれ煙に巻かれたような不思議な感覚を残してくれた。そして終始振りまかれた壮絶で陰鬱な感触はなかなかのもの。酒豪で乱暴者で破天荒さに定評のある作家の本当の正体。それは考えることが極端に苦手な平凡な男。頭脳明晰な弟の書いたシナリオどおりに人生をなぞる操り人形だった。ゴーストライターというのは巷でもたまに聞く話だが、本書はゴースト側のパワーバランスが凄い。弟のまぁ恐ろしいこと。凡人には理解しがたい兄弟の絆のお話だった。

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

波瀾万丈で破天荒な私生活を小説に綴り最後の文士と言われ亡くなった男が娘に実は自分が小説を書いたのではなく弟が小説を書きそれを自分が実行に移してきただけだったという衝撃的な事実を手紙で送ったことから始まる物語。
自分で決めた事とはいえ表に出ない弟と自分は描いてないのに持て囃され人気者にある兄と関係性の変化がリアルだった。
そして最後に衝撃的な内容が書かれており、さらに最後の一文でまたどんでん返しのようなものが待っている作品。
途中読むのやめようと思ったけど読んで良かった。

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2023年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品のほぼ9割が主人公の書いた(?)私小説という形をとっている。
「永遠についての証明」とは打って変わった内容であるが、これはこれで面白い。

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

肌を傷つけることにより種々の文様を残す文身。
一度彫られたら二度と消すことができない刺青=文身に、身体も心もかき乱される。

酒乱、女好き、乱暴者とスキャンダルまみれの破天荒な作家。
家族の人生をも狂わすその男は”最後の文士”と世間からもてはやされた。

この物語を読み終えてふと脳裏をよぎる。
この男、結局誰なのか。
幼い頃から出来の良い弟と比較された存在感の薄い兄なのか。
そんな兄を自在に操る弟なのか。
虚構と現実をさ迷う小説の”主人公”なのか。
それとも…。
「人間は誰でも虚構のなかに生きてるんや。みんな、誰かの嘘を信じて生きてる」
嘘に嘘を重ね、作家の創った小説という虚構の呪縛に喘いだ結果、最後に残された文身。
消したくても消えない文身を負わされた末路に惑い震えた。

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2020年12月12日

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