【感想・ネタバレ】文身のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

どんでん返しのどんでん返し。

1回目のどんでん返しではちょっとガッカリしたけど
やはりラストは裏切らなかった!
よしっ!

しかし私小説って面白いのかな。
文章読んだ感じではそんなにヒット作になるような作品ではなかったけど。(奥さんの死のとこは除く)

とりあえず弟の人生は嫌だ。
波乱万丈だった兄の方がマシだ。

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の文士と呼ばれた大御所私小説作家、須賀庸一。彼の無頼な人生を描いた作品は多くの人の心を掴むが、妻の自殺を自身が毒殺を試みたと思わせる作品を発表した事をきっかけに娘は彼と縁を切る。数十年後、庸一の死後に彼女の元に送られてきた遺稿、それは狂言自殺で世間から身を隠した彼の弟、堅次が書いた小説の通りに行動する事で人気作家となっていった庸一の人生を振り返っていく内容だった。現実が小説に描かれる虚構に侵食されていく狂気にじわじわ慄く。さらに最後の崖の上での堅次が繰りなす「あったかもしれない人生」や最終的な現実の立ち位置の曖昧さが醸し出す不気味さは随一。ラスト、娘への「最後の文士になる準備はできたか」も効いてる。虚構と現実の狭間で溺れさせられた。

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2022年06月21日

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ネタバレ

凄い小説としかいいようがない。
今までには無い感情が、未だぐるぐると心の中に残っている。

好色で、酒好きで、暴力癖のある作家の須賀庸一。
しかし、彼を操っていたのは自殺したはずの弟。
並外れて優秀だった弟が、自ら自殺にみせかけて逃亡し、高校を卒業した兄を待つ。
その後、私小説を執筆する。
兄は、弟の小説に従って生きる。
弟は、兄の人生を書き続ける。

第5章の巡礼では、弟の死という過去を清算しきれずに小説という虚構に逃げたのか…と。

だが終幕で【分身】の原稿が…
一体どうなっているのか。
真実は…。



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2022年02月02日

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面白かった。2度のどんでん返しより、父の存在意義を見出せなかった娘が、最後父と同じ生き方を選択する、それも同じ理由である所が血は争えないというか、そういった親子の絆の描き方もあるのかと感心した。あと庸一の娘を不要と位置付けて小説では描いてこなかった賢次が、兄が亡くなった後最後の文士に明日美を選ぶことで、兄が情をかけていた娘の存在を認めたことにより初めて兄の意思を汲んだ様に取れて、歪な兄弟の絆からまだ解放されない賢次にぞっとする様な嬉しい様な複雑な気持ちにさせられた。
人として生を受けた以上は何か残して死にたい、後世まで語り継がれる自分の存在という何かを。(私が勝手に受け取ったメッセージ)自分の生きる意味を渇望してたようにとれる明日美の最後の独白にひどく共感してしまって、私もこの小説を読んだ意味はそれに気がつくことなんだと思わされてしまった。

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2024年01月22日

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続きが気になってしょうがなかったので、ほぼ一気読みした。

エンディングでは、弟の堅次は生きているのか死んでいるのか、もうどっちが真実なんだか訳わからない状態になってしまった。

庸一の妻、詠子の死に方が本当に作中作「文身」の通りであるならば、詠子も庸一も堪らないだろう。 詠子の台詞。
『〈本当の須賀庸一〉なんか好きじゃないから。あたしが愛してきたのは、傍若無人で社会不適合な、文士の須賀庸一なの。作り物の、虚構の、操り人形の須賀庸一なの。あなたの自由意志なんか知らないし、聞きたくもない』

庸一が、電車の中で会った初対面の一家に対して、泣き喚く弟を泣き止ませるよう兄に命令し、兄が実行する場面、それがその二人のそれ以降の兄弟関係に大きな意味を持った、という、設定が、この作品中唯一といっていい位、「いい話」だった。

プロットは全く関係ないが、作品の匂いとして、米澤穂信さんの『追想五断章』を思い出した。


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2023年05月28日

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なんとも表現し難い作品でした。
あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。

昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分たちで動いていくのです。
この物語の主人公は兄弟ふたり。15歳の時に偽装自殺した弟が、その後姿を隠して小説を書き続け、兄の名前で世に出す。その小説は私小説として発表する。
「私小説は自然主義の文学であり、現実にあったことでなければ書いてはならないという認識すらある。」
でも普通の私小説と違うのは、弟が書いた小説の内容を後から兄が経験するというところ。
ここまで読んで、え?ということは、序幕で書かれていたあの場面は弟が書いたシナリオの結果なの?と気付き、なんとも言えない嫌悪感が‥‥。
どこまでが事実でどこからが虚構なのか?この兄弟を結びつけているものは何なのか?
何とも言えない薄暗い物語でした。
でも、先が気になってどうしてもページを捲ってしまいました。



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2022年05月21日

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小説という嘘に、人生が狂わされていく人々の物語。
本が好きな自分は「現実を超える嘘」という存在に浪漫を感じているしそれを肯定するような物語だと思っていたけれど、最後に夫が中村に言った「言葉遊びはやめてください」という叱咤にハッとしてしまった。
言葉には力があるけれど、それは正義とも悪とも言えないものなのかも。浮かれていた熱が冷めたような、気まずい思いを抱きながら、ラスト、言葉の世界に引きずられていく娘を見送った。

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2021年08月04日

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波瀾万丈で破天荒な私生活を小説に綴り最後の文士と言われ亡くなった男が娘に実は自分が小説を書いたのではなく弟が小説を書きそれを自分が実行に移してきただけだったという衝撃的な事実を手紙で送ったことから始まる物語。
自分で決めた事とはいえ表に出ない弟と自分は描いてないのに持て囃され人気者にある兄と関係性の変化がリアルだった。
そして最後に衝撃的な内容が書かれており、さらに最後の一文でまたどんでん返しのようなものが待っている作品。
途中読むのやめようと思ったけど読んで良かった。

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2023年07月23日

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作品のほぼ9割が主人公の書いた(?)私小説という形をとっている。
「永遠についての証明」とは打って変わった内容であるが、これはこれで面白い。

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2022年10月16日

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肌を傷つけることにより種々の文様を残す文身。
一度彫られたら二度と消すことができない刺青=文身に、身体も心もかき乱される。

酒乱、女好き、乱暴者とスキャンダルまみれの破天荒な作家。
家族の人生をも狂わすその男は”最後の文士”と世間からもてはやされた。

この物語を読み終えてふと脳裏をよぎる。
この男、結局誰なのか。
幼い頃から出来の良い弟と比較された存在感の薄い兄なのか。
そんな兄を自在に操る弟なのか。
虚構と現実をさ迷う小説の”主人公”なのか。
それとも…。
「人間は誰でも虚構のなかに生きてるんや。みんな、誰かの嘘を信じて生きてる」
嘘に嘘を重ね、作家の創った小説という虚構の呪縛に喘いだ結果、最後に残された文身。
消したくても消えない文身を負わされた末路に惑い震えた。

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2020年12月12日

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