岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ南方熊楠の名を知ったのは、水木しげる先生の漫画。小学生だったと思うが、全く分からなくて断念。漫画なのに!?と衝撃を受けたことを覚えている。
ハヤマ兄弟との関係性が同性愛者としての熊楠のようなのだが事実かどうなのか判然としない。
弟のツネグスが献身的に援助する理由と、それを打ち切った時の気持ちはすんなり理解できた。
息子が精神病になってしまった時の葉書は実在するのだろうか。
この作品では粘菌の研究内容についてよりも内面描写が多く、同じ葛藤が繰り返し描写される。人間熊楠を表現したかったのかなとは思うのだが、常軌を逸する研究熱を疑似体験出来なかったのが残念。また、交友関係ももう少し広そうなので、そっちも知りたかったなぁ。 -
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奨学金免除のため、しぶしぶ刑務所の医者になった史郎先生。
【罪を犯した人間にも医療を受ける権利はある】
刑務作業を休むためや、医薬品欲しさに詐病も多い。詐欺師もいるし、殺人犯もいる。
受刑者の医療費は受刑者からではなく、税金で運営している。
限られた予算の中でどこまでケアを行うか…。
普通の医療ものにはない葛藤がある。
次第に史郎先生は病だけではなく、患者の人生ごと診察していく。
そしてまた介護問題かー。。。
本音を言えば介護は私の日常なので、小説まで介護の辛い話を読みたくない…。
ただ、史郎先生の気持ちと重なる部分もあって感情移入してしまった。
科捜研の土門さんにはハマれなかったけど、プリズンドクター是永史郎先生は好きになりました!
続編がありそうな感じもするけど、初版からもう5年経ってるんだ。
『科捜研シリーズ』は2年後に続編が出てるけど、このシリーズの続編は今後あるのかな。
それにしても岩井さん、史郎先生に重いものを背負わせすぎな気が…(^_^;)
続編では、かわいい素敵な彼女との幸せな姿も見たいな。史郎先生頑張れ!
★3.5 -
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ネタバレ今までのような興味を広げてくれるタイプの作品ではなく、ミステリーっぽい作品を読んでみた。
「警察を呼ばないで」
彼らには、それぞれ人に言えない秘密があった。自分の無罪を主張するために、1人ずつ過去を語り始めるが。。。
それぞれの過去が辛くて重い。
全員の悲惨な過去を聞き続けるのが苦痛になってしまった。
私は現実逃避で読書してるので、この手の現実にありそうな重い話は苦手だ。
その中には自分が直面している介護問題もあり、自分で傷口に塩をズリズリ塗り込んでいるような感じになって読むのが辛かった。
【「いやぁ……俺が代わりに面倒見たいくらいだよ」「だったら、やってみろ」】
兄弟のセリフがリアル過ぎて辛い。
こういう一言がどれだけ相手の心を傷付けるか、言う方は一生わからないだろうな。
岩井さんの伝えたいメッセージはわかるんだけど、何となく腑に落ちないラスト。
読後も傷口は痛いままで、モヤモヤが残った。
自分的にはなんだけど、岩井さんの作品では自分の知らない新しい世界を教えてくれてるテーマの方が、やっぱり好きだな。 -
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主人公は小柳龍一(通称ロン)
ロンの実家は横浜・中華街、四川料理の名店「翠玉楼」
オーナーである祖父、良三郎からいずれその座を継ぐつもりであったが、「翠玉楼」は閉店を迎えることとなりその目論見は外れ、毎日ぶらぶらと暇を持て余している
そんな暇っ子ロンの元に次々と厄介事が持ち込まれてくる
特殊能力なんて何も持たないロン
強いて言うなら普通の人よりも「頭のネジが一本外れているのかな?」というぐらい
それも特にびっくりするような外れ方ではない
つまり、普通にいそうな青年が仲間と共に事件を解決していく物語
普通っぽいところがこの物語の良いところなのかも
短編でサクッと読みやすいですし
シリーズ5巻まで出ているみたいなのでロンちゃん追いかけてみますか〜♪ -
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同じやん!
熊楠と1Q84O1は同じやん!
熊楠が「我は我が何者かを知りたい」と思うのと同じように、1Q84O1も我は我が何者かを知りたい
熊楠と1Q84O1は同じやん!
熊楠は博物学者か、生物学者か、民俗学者か、はたまた…
1Q84O1は坊さんか、好青年か、助兵衛か、はたまた…
熊楠と1Q84O1はほぼ同じやん!
ちょっと違うところは、
「世界を知ることは、我を知ることになる」と、この世のすべてを知り尽くしたいという好奇心と最後の瞬間まで学問を究めていたかったという想いだろう
残念ながら1Q84O1にはその好奇心も想いもありません…(ーー;)
なので、誰かかわりに教えてー!
我は何者なんだ!?
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岩井圭也『完全なる白銀』小学館文庫。
初読み作家。以前から名前は知っていたが、気になりながらも、なかなか手が出なかった。この小説が山岳小説と知り、読んでみることにした。
率直に言って、期待外れだった。山岳小説としても安っぽいし、ドラマとしても随分と安っぽい。地球温暖化問題だとか少数民族とかをテーマにしたようだが、それらを小説に消化出来ず、ただテーマを並べただけのように思った。
フリーカメラマンの藤谷緑里は旧友のシーラ・エトゥアンガと北米大陸の最高峰デナリに冬季登頂を果たすために、アラスカの地に降り立つ。2人がデナリに挑むのは、冬季デナリ単独行で下山中に消息を経ったシーラの幼馴染で緑里の知人であるリタ・ウルラクの登頂を証明するためだった。
かつて、シーラの幼馴染のリタは故郷である北極海の小島サウニケが地球温暖化の影響で海に侵食されていることを世界に知らしめるため、冬季のデナリに単独行を計画する。しかし、リタは山頂で『完全なる白銀を見た』という言葉を残し、下山中に消息を経つ。
そして、リタの登頂を疑うマスコミは彼女を『冬の女王』ではなく『詐称の女王』と書き立てたのだ。
緑里とシーラは、デナリに挑むが、世界最難関への登攀は一筋縄にはいかず、ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害と次々と障害が立ちはたがり、2人の信頼関係も揺らぎ出す。果たして……
本体価格790円
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窮地に陥ったとき、人は何とか逃れようとする。それが姑息な手段に過ぎないことも、ただの欺瞞であることもわかってはいても、嘘やごまかしでその場をしのぎたいという誘惑に負けてしまう。
そんな「暗い引力」に抗えなかった人たちを描くヒューマンサスペンス短編集。
◇
ダイニングでお茶の用意をする。妻の入院から半年が過ぎ、ようやく茶を入れることにも慣れてきた。
妻の容態が急変したのは4日前。病院からの連絡で駆けつけたときには、妻はすでに意識がなく危篤状態になっていた。
それでも遅れて駆けつけた息子の海太が耳元で呼びかけると、妻は瞼をピクリと動かして応えようとした。けれどそこまでだった。
通夜と告別式を済ませ、ひと息入れようとお茶を入れて仏間にいる海太を呼んだ。
差し向かいで座り茶をすする海太を見る。20歳になり私に似てきた海太だが、赤ん坊のときに子どものいなかった私たち夫婦の養子になった子だ。
感慨にふけっていると、海太が「父さん」と話しかけてきた。「うん?」と答える私に海太は、「僕はどこでどうやってもらわれたの?」と思い詰めたように尋ねた。それは、私にとって蓋をしたままにしておきたいことだった。( 第1話「海の子」) ※全6話。
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全話を通して描かれるのは、人間の弱さや醜さと、そこから引き起こされる悲劇です。
保身や目先の欲にかられるあまり、つい姑息な手を使ってしまう。その気持ちはよく理解できるからこそ直視したくない。そんな短編ばかりでした。
6話中で印象に残ったのは、第5話「蟻の牙」と第6話「堕ちる」です。
「蟻の牙」は電子メールや書簡、社内資料等の間接的コミュのみで展開していきます。
書簡体小説と呼ばれるこの手の作品は単調になりやすいのですが、本作では視点人物を適度に増やすことで目先を変え、ストーリーに奥行きや広がりを出していました。
また、扱うテーマも会社ぐるみでの不正隠しという企業のコンプライアンス違反についてでした。深刻な社会問題であり、夫を過労死で亡くした主人公の気持ちに共感しやすい設定になっています。
なお主人公が糾弾する側に回るのは、この第5話のみです。
「堕ちる」は女性学芸員が欲望に負けて罪を犯すまでのいきさつを中心に描かれます。
この第6話の柱は2本あって、1本目は学芸員の主人公が持つ沸き立つマグマのような重く暗い情念、もう1本は自殺した天才画家の生きざまと作品の秘密です。
特に天才画家に絡む物語は圧巻で、主人公を妄執の虜にしていく過程が詳細に描かれていて読みでがありました。6話中もっとも岩井圭也さんらしい作品だと思います。
それ以外の4話は、展開がすぐ読めてしまうなど、やや安易な設定に感じました。
前述したように、読んでいると居心地が悪くなってくる話ばかりなので、いわゆる「イヤミス」好きの方にはオススメです。