岩井圭也のレビュー一覧
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皮肉な味のするの6編の短編集。
以下印象的だった作品。
「海の子」
養子として迎えた息子の出生の秘密。同情的な気持ちで見ていた人物が一転して醜悪な人物に。そういうオチになるとは思ってなくて驚いた。自業自得だけど、残酷なラスト。
「極楽」
借金から逃げるために認知症を装って特別養護老人ホームに潜り込む女の話。認知症の診断にはMRIとか専門的な検査をするだろうし、そう簡単にはいかんやろ…とは思うのですが、皮肉な結末が面白かった。
「蟻の牙」
過労死で夫を失い、企業に過失を認めさせるために戦う妻。妻がWEB上で公開した証拠資料としてメールや手紙のやり取り、記事の抜粋、議事録などで構成されている。現場に責任を押し付けてトカゲのしっぽを切って上の人間はのうのうと逃げおおせている。こういうことって実際にいっぱいあるんだろうなと思って暗い気持ちになった。果たして蟻の牙は届くか…
多分初めましての作家さん。好きな感じの短編集でした。
「暗い引力」というタイトルの作品は収録されていないけど、全体的にこのタイトルと表紙のデザインがぴったりだと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやっと読み終わった。庸一も堅次もその両親も庸一の妻も理解不能で、この感じ、読んだことあるなと思ったら太宰治の人間失格だった。そういえば、あの小説も、最後の一文でハッとさせられた気がする。記憶が正しければ。
作中の文身は読み進めていくにつれて、どんどん不快感が強まる。幼少期の何気ない一家の様子から、どんどんありえない展開になっていく。一番の転換点は、妻の死を唆すあたり。兄弟が一気に不穏な空気になる。そこからのあまりにもな展開に、顔をしかめながら最後まで一気に読んだ。
最後、どんな終わり方になるのかとおもったら、結局弟は生きているというラストであってるのか?そうだとしたら、結局何が本当で何が虚構か本当にわからない。この、何がなんだかわからない感じ、この本を読む前のレビューで知っていたから、本当にこの感想になったことに今驚いている。けど、このわからない感じは、私は好きじゃない。最後にスッキリするかというと、全くそんなことはない。わたしの読解力では、最終的にこの本のジャンルは、ホラーになる。ただただ怖い。私の理解が追いついてないなら、教えてほしい。でもとりあえず読み終えることができてよかった。凄い本であることは確かだと思う。ただ次は明るい幸せな血の通った話が読みたいとつくづく思った。
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Posted by ブクログ
近年ネグレクトの話が多いように感じる。自分がたまたまそういう本を選んでしまうのか、実際に増えているのか、それとも多くが明るみに出るようになったからなのかは分からないが。
本書は、少年審判に於ける付添人側からの話。非行少年の権利を守り更生を手助けするのが付添人。その多くは弁護士が担っている。
内容は比較的ライトでスルスルと読めるが、個人的には第四話、SNSでの名誉棄損問題が興味深かった。ディスレクシアという病気や、周りと違うことに薄々気付いていても認めたくないがために向き合えない現実。
ディスレクシアについては、耳にしたことはあったが、今回初めて内容を知るきっかけになった。これは辛いだろうなと思う。自分には目が回りそうな難病に思えた。
また、薄々気付いていても向き合いたくない事は病気だけでなく、日常生活でも多く存在しているだろう。言語化されると耳が痛かった。
自分の辛い過去に向き合いながら、またその経験を生かし、広い視野で少年少女たちの背景を想像出来る弁護士オボロの今後も追ってみたい。