岩井圭也のレビュー一覧
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1冊目が出たときの予想とは裏腹に、巻を増すほどに人気が衰えていくシリーズとなってしまった。
4冊目となる本書には、これまで同様〈山下町の名探偵〉の異名を取る小柳龍一(ロン)を狂言回しとした4篇が収録されている。最近影の薄かった趙松雄(マツ)がメインとなるマッチングアプリ詐欺、続く2篇目もマツ絡みの競馬詐欺、打って変わって3篇目はギフテッドの少年が登場し、4篇目はマツ以外のメンバーが総出演のディープフェイク詐欺となる。……なんか、詐欺ばっかだな。
ロンは鈍いんじゃなくてアロマンティックなんじゃないかと疑い出していたが、最後の最後に「おーっ!」となって終了。 -
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イヤミス的な短編集。読後感は重め。
「僕はエスパーじゃない」「捏造カンパニー」「堕ちる」が面白かった。
「僕はエスパーじゃない」は、子どものときから人の顔色を読むのが得意な男性が結婚し子どもが生まれ、常に妻の顔色を伺いながら妻の望むように家事育児をしていくが、突然離婚したいと妻に告げられる話。常に他人任せの主人公に問題があるかと思えば、妻側の思惑も合わさり、結婚とはなんだろうかと考えさせられた。
「捏造カンパニー」は、会社が倒産したりブラックだったりで無職になった元同級生の3人がペーパーカンパニーを作って不正に金を集めているところに税務署の監査が入ることになった話。騙し合いのスリルが面白かった。うっかり3人を応援したくなってしまった。
「堕ちる」は学芸員の女性が就職した地方の美術館でとある画家の絵に出会い、その展示会を開くために画家について調べていく話。亡くなった画家の、描くことへの異常なまでの欲望と、主人公のキュレーターとして名を残したいという野望が混ざり合い、意外な方向に話が転がる最後は夢中で読んだ。 -
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殺人加害者の息子と、殺人被害者の息子が剣道を通して向き合う話。
うーん、正直、殺人加害者の息子に恨みを抱く気持ちがわからなかった。だって、事件当時、息子は中学生だよ?しかも父親に暴力を受けて育っている。
それを知っていてそいつも加害者家族だから謝るべき、加害者の子どもがのうのうと生きているのが不快、という気持ちが理解できない。
加害者の親なら憎む気持ちはわかる。だってそいつを育てたのだから。高齢父が加害者で成人した息子なら、それはそれで監督責任を考え憎むのもわからないでもない。
でも、当時中学生の子どもに親の犯罪の責任を問う?しかもそのために人生不幸になるべき?
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という気持ちなのかな、と想像はできるけど……。 -
Posted by ブクログ
奨学金の返還免除の条件として、臨床研修の後、そのまま刑務所の医者として3年間働くこと。しぶしぶ引き受けることになった主人公・是永史郎。様々な受刑者を診療しながら、原因不明な出来事を次々解決していきます。
あらすじを見る限りでは、長編かなと思いましたが、他にも事件があるため、連作短編集となっていました。
ミステリーではあるものの、主人公の成長も垣間見れるヒューマンドラマとしても楽しめる作品でした。
受刑者のあらゆる病気や苦悩だけでなく、刑務所ならではの問題、「刑罰とは」など社会問題にも触れていて、色々考えさせられました。
主人公の仕事面では、刑務所の医者や聞いたことのない病名などなかなか身近に感じない出来事ばかりでした。しかし、主人公のプライベートでは、認知症の母がいる、恋人とはなかなか前に一歩踏み出せないなど主人公の葛藤が、身近に感じられました。
1章ごとに異なる受刑者の異変をあらゆる人達を駆使して、解決していくパターンでした。主人公は新人でありながら、成績優秀で知識豊富。新人とは思えないテキパキさなためか、現実っぽくない印象もありました。
最後の方では、衝撃な展開が次々と急に来るので、気持ちがなかなかついていけませんでした。どうせなら、主人公と父親との関係も一区切りして欲しかったなと個人的には思いました。 -
Posted by ブクログ
北海道の刑務所に勤める矯正医官・是永。奨学金免除ため、三年間、刑務所の医者に。薬欲しさに仮病を訴える受刑者が多い中、ベテランの助手に助けられながらも、奮闘する。受刑者変死の謎、受刑者として刑務所入所した実の父、認知症の母、いくつもの難題に立ち向かう一方で、是永は自分の夢を叶えられるのか。
刑務所内の医者が直面する苦労を描く社会派の内容でもあり、是永の仕事の成長の物語。3年を終え、早く大学病院に行きたかった是永だけれど、仕事と向き合う姿、落ち着いて問題を解決してゆく姿に目が奪われ、読み応えバッチリ。医学の専門定なこととか出てきて、よく調べてるなあと驚いた。実の父との決着はついていないのが残念かな。