岩井圭也のレビュー一覧

  • この夜が明ければ

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     北海道の港町でカラフトマスを捌く季節バイトのメンバー7人の男女、ある晩その内の1人が遺体となって発見される…。正義感の強いシュウが警察に通報すべきと訴えるも、他のメンバーは通報はしたくないとシュウの携帯を取り上げてしまう…。通報を拒むのは何故か?そしてメンバーの死に隠された真相とは?

     こんなにも特殊な事情を抱えたメンバーが偶然にして同じ場にいるというのも、エンディングもなんか納得できませんでした。過去から逃げたっていい、それも一理あるけど、逃げても何も変わらないのでは??むしろ、向き合うことも必要なのではないかと感じました。でも、シュウだけはちょっと前向きになれたってことかな?

     読み

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    2025年07月31日
  • この夜が明ければ

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    この作者さんをもう少し嗜んでみる、の2冊目。

    北海道東端の港町で季節バイトをしに集まった7人の男女。ある晩、その内の一人が遺体となって見つかり、警察を呼ぼうとした秀吾だったが、バイト仲間はこぞって通報に反対し…というところから展開するお話。
    通報に反対するメンバーはいずれも警察を避けたい訳アリで、犯人ではないかと疑われては一人ずつそれぞれが抱える秘密を語りだす。
    よく仕組まれた話で、どのような結末になるかも含めてズイズイと読ませる。
    ただなあ、ここで通報しなくても朝になれば誰かが見つけて通報して遅かれ早かれ警察はやって来ると思うと、秀吾の存在があるとはいえ、こんなことやっていないで逃げるなら

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    2025年07月27日
  • 完全なる白銀

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    作品毎に全く異なるテーマと趣で驚かされる
    岩井圭也さん。

    今回の作品は、なんと山岳小説!
    いやぁ、岩井さん、守備範囲が広いですねぇ。
    さては、もと山岳部?登山愛好家とか?

    ・・・って、岩井さん、
    本格的な登山経験は全くないという衝撃の事実。

    えぇ〜っっ!!マジか??
    巻末の解説でビックリさせられる作品だと思う。


    さてさて、本作は過去と現代の切り返しをしながら
    進む構成だが、正直な所、少し中弛みしてしまった。
    それでも、メインとなる冬季デナリへの登攀シーンは手に汗握りながら、夢中になって読み進めた。

    ただ、個人的には主人公達が、女性であることを殊更に強調した展開が何度も出てくることに

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    2025年07月24日
  • 汽水域

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    凄まじいペースで執筆を続けている印象のある作者、今作でも無差別殺傷事件を巡る報道という非常に重厚なテーマで、なぜ人は無差別殺人を犯してしまうのか、ジャーナリズムは何のために存在するのかという2つの命題を堂々と書き上げている。「汽水域」というタイトルが秀逸。

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    2025年07月23日
  • 付き添うひと

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    主人公朧・・作中 最後までこの苗字をカタカナ表記・・何故?
    5話の主役は‥事件の少年少女、そして親❓別な言い方をするとコタン弁護士、40歳になって行く朧。

    ネグレクト、少年院あがりの彼が必死でもがいて弁護士になったのは「加害者である少年少女」は味方を変えると「被害者」だが彼らに付き添う人がいかに大事か?
    問い詰めると自分がなる想いを極めた☆

    岩井さんの作品は軽いという人もいるけれど、性的描写、肉欲の世界が余りないのが読み易さにつながる。

    笹木と知り合い、お互いの傷を痛みを感じあう仲になって行く途中の路程が心温まる。

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    2025年07月18日
  • 舞台には誰もいない

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    岩井圭也の作品は何冊か読みましたが、
    今度は舞台の話!?
    ジャンルの広さにただびっくり。
    不思議な世界観に引き込まれました。

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    2025年07月18日
  • 汽水域

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    亀戸で起こった無差別殺傷事件の容疑者は
    “死刑になりたい”と供述した。

    事件記者の主人公は、
    この犯人に惹かれ、
    取材を続けるうちに
    だんだんと自分とその男との境界線があいまいになっていく。

    正直主人公には共感はできず。
    なんとなく結婚し
    生まれた子どもに対しても無関心。
    欲しいと思ったこともないし…みたいな態度、許せん。

    でも仕事にだけは情熱を持ってる。
    その気持ち、家族に対しても持って欲しかったよ。。

    岩井さん、
    毎回ほんとに違う作家さんのように
    作品ごとに色が変わる。
    書きたいことがたくさんあるんだな。

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    2025年07月11日
  • 汽水域

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    マイブーム岩井さん。「汽水域」聞いたことない言葉。最後でわかるこの言葉の意味。犯罪のきっかけは暴力とぎゃんぶり依存の父親の存在。その取材をする安田もバツイチで月一面会だけをおこなうだけの男。父子の関係を深く考えてもらいたい感じの作品だった。タイトルのからみの内容がもう少し欲しかったな。

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    2025年07月10日
  • 科捜研の砦

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    この本をどこで知って本棚に登録したのか忘れてしまったのですが、シリーズものの第2作だったのですね。

    内容的に、先日読んだ「可燃物」と似た雰囲気がしました。
    事件が混迷を極める、もしくは間違った判断に行きかけたときに、切れ者(今回は、「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門)による観察、直感による鑑定により事実が明らかになっていく。

    *-*-*-*-

    私的には、すこし話が淡々と進みすぎてしまった感がありました。
    刊行順通りに読んでいたら、登場人物の背景含めてのストーリー展開もあったりして良かったのかなぁ、、、と思ったり。

    あと本当に個人的な意見なのですが、最終章「加賀副所長のお話」は、最後にさ

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    2025年07月06日
  • いつも駅からだった

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    面白かったです。サクッと読めます。
    謎解きは元々好きなのですが、小説になってるのは面白いな…と思ったら過去に実際に行われていた謎解きイベントの書籍化だったんですね。
    京王線沿線の方、羨ましい。

    謎の難しさは易し目です。あとウッカリ次のページをめくると答えがすぐに分かってしまうのでページをめくる時には要注意です。

    短編集(複数回にわたって行われた謎解きイベントが書籍にまとめられてます)ですが完全に別物という訳ではなく、ちょっとずつ接点があり、そこがまた微笑ましいです。ラストも素敵でした。自分の沿線でもこういうのあったら絶対にやるのになーと思いました。

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    2025年06月24日
  • プリズン・ドクター

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    奨学金返済の条件として刑務所のドクターになった主人公
    受刑者の病、母親の介護、刑務所での環境に向き合いながら自分のアイデンティティーをつかんでいくお話

    少し欲張り過ぎた感がしました。
    刑務所でのドクターを主軸にするなら、母親や父親のエピソードが強すぎると思います。
    両方成立させるなら圧倒的に文章量がたりない。
    しかしながら、必死に目の前のことに向き合う主人公を応援したくなったし、
    ラストのしめかたは好きでした。

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    2025年06月17日
  • 中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ(6)

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    横浜ネイバーズシリーズの一旦は完結編。「山下町の名探偵」という二つ名とともに身近な隣人たちの問題を解決してきたロンと仲間たちであるが、ラスボスとなる母親との対峙が本作のテーマとなる。これまでも地面師や特殊詐欺など、様々な犯罪の首謀者としてロンの前に現れた母親・南条不二子が本作では主人公の一人としてその心情変化とともに、どうして犯罪に手を染めたのかが明らかとなる。

    前述の母親の起こした犯罪以外にも、合成薬物や不正転売、闇バイト、マッチングアプリ、ディープフェイク、オンラインカジノといった最新の犯罪ネタを取り扱ってきた本シリーズ、横浜中華街を中心に普通に生きる人々がいきなり犯罪に巻き込まれるとい

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    2025年06月13日
  • 汽水域

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    亀戸の路上で男が通行人を切りつけ、三名が死亡する事件が発生。容疑者の深瀬礼司(35)は、調べに対し「死刑になりたい」などと供述。フリー記者の安田賢太郎は、犯行動機を調査するため深瀬の関係者に取材を進めるが…

    一見、いわゆる“無敵の人”による犯行に見える事件が、調査を進める中で徐々に違和感が見え隠れし、謎が深まっていくプロットはリーダビリティが高い。食い扶持を稼ぐために必死に真相に迫ろうとする記者ジャーナリズム魂や、フリー記者ならではの世知辛い状況もひしひしと伝わる。父として息子との向き合い方も考えさせられた。
    一方、事件の真相はちょっと無理があるように感じた。ミスリードにはやられたが、共感で

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    2025年06月14日
  • われは熊楠

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    ネタバレ

    オーディブルで聞く、聞いていてわくわくする小説ではないが、知の巨人と呼ばれる南方熊楠のことをしりたくて聞いた。
    この世界のすべてを知りたい、この世のすべてを知りたい、と口に出して徹底した採集と記録、大英博物館での学習もするが、結局自分が生きたいように生きるのが目的だったと自分でいう。金は弟常楠が酒蔵業から出し生活力はない。人間ぽさが出てよい本だった。

    「知る」ことこそが「生きる」こと

    研究対象は動植物、昆虫、キノコ、藻、粘菌から星座、男色、夢に至る、この世界の全て。
    博物学者か、生物学者か、民俗学者か、はたまた……。 


    慶応3年、南方熊楠は和歌山に生まれた。
    人並外れた好奇心で少年は山

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    2025年06月12日
  • 汽水域

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    今年に入ってからも同様の事件がたくさん発生している。群がるような報道の少し後には、消費された事件は跡形もなく、当事者の慟哭は忘れ去られる事が繰り返される。読者が知りたいことを書く事が使命ですって、1人の人生を狂わせて薄笑いを浮かべる金儲けの出版社がこれからものさばるのか。淀川より暗い道を歩いているようで暗澹とします。

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    2025年06月11日
  • 夏の陰

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    ネタバレ

    殺人の加害者の息子と被害者の息子、ともに剣道をしていて、全日本の予選で戦うことになる。前半はそれぞれに大変な重荷を背負って生きているなと思ったが、被害者の息子和馬の心の闇が深すぎるような感もあった。試合は和馬の憎しみと、その憎しみに触れることでわきあがる岳の衝動がぶつかるが、好みだと思うけど、合間に挟まる昔の記憶の部分があってすっと読めなかった。
    エピローグで、解き明かされるが、それまでの特に和馬の感情のぶつかり合いもあり、すっきりした読後感にならなかった。

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    2025年06月05日
  • われは熊楠

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    南方熊楠といえば。和歌山生まれの学者くらいの知識しかなかった。
    幼い頃から癇癪持ちで偏屈だが、粘菌や隠花植物に興味を持ち、人生をかけてストイックに研究し続ける。
    その間、友の死、貧困、精神を病んだ息子、弟との断絶などと苦悩の連続だったが、研究が認められ、昭和天皇に講義をするという大役まで命じられるまでに。
    生涯こんなにひとつのことに打ち込み続け、それが実を結ぶ人はそういないだろう。
    いつか和歌山の南方熊楠記念館にも行ってみたいなぁ。

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    2025年06月03日
  • 永遠についての証明

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    ・数学的証明は社会と繋がることの証明。本当に正しいことが分かっているのなら証明は要らない。証明を必要とする社会と、証明を必要としない世界は、どちらがいいのか。前者は仲間で生きる世界。後者は一人で生きる世界。前者で生きたいのに、証明の必要性が理解できない時は、辛い世界になる。

    熊沢勇一
    三ツ矢瞭司
    斎藤佐那

    小沼 先生
    田中 4年生
    木下 4年生

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    2025年05月28日
  • 中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ(6)

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    今回のメインストーリーは、ロンと母親南条不二子の対決
    同年代の幼馴染たちはそれぞれの道を歩み始めているが、今ひとつ足元の固まらないロンも変化し始めている
    今作ではロンの視点の他、南条不二子の視点からも描かれている
    同じ母親の視点としても理解しきれない部分はあるが、そこはファンタジーとしておく
    相変わらず無鉄砲なロンと組織の中の南条不二子の親子対決が今作でピリオドかと思いきや、余韻を残す終わり方なので次回作はどうなんだろう?
    期待せずに待つことにしよう

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    2025年05月21日
  • いつも駅からだった

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    2025年5月10日、グラビティの読書の星で紹介してる女性がいた。

    「#GRAVITY読書部 うーむ(悩む)」

    表紙みてすぐ「京王線だ!」と思いチェック。
    うーむってことは面白くなかったのかな?

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    2025年05月10日