岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ「著者の最高傑作」という惹句だけれど、あのとんでもないデビュー作(『永遠についての証明』)はなかなか越えられないんじゃないかなあ。ここまで彼の作品を遡って読んできたけれど、ミステリーはあまり向いていない気がする。
異世界転生ラノベをふだんたくさん読んでいると、こういう作品は、「現代価値観チート」のようにも見えてしまって。あの戦争の時代にもし、現代に通じるような「命の大切さ」を何よりも重んじるような人がもしいたら、どうしただろうかというフィクションは、興味深くはあるけれど、またそれかという感じがしてしまう。
そういうチート具合を最初に強く感じたのは、Dance with wolvesだった。Last Samuraiやポカホンタスなどもその系譜かなあ。 -
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自分が真実だと思う発見の為に癌研究者は論文を捏造したのか?というのがこの小説のメインストーリーで、アカデミックな問題を核にしてはいるものの、この構造自体は世の中にかなり溢れていると思います。コロナ禍(後も)のSNS上で呟かれていたワクチンへの疑いを示す“証拠”とされていたもの、あるいは医学系に限らず今日もどこかで投稿されている気象や政治、もっといえば芸能界の真実の“証拠”。それらは外側から見れば単なる嘘でしかない。けれど彼らにはそれを示してまで世の中に見せなければならない自分が見ている真実と正義がある。タイトルになっている『ドン・キホーテ』の有名な一場面からもわかるように、私たちが思っているより彼らには悪意はないのかもしれない。ただその純粋さゆえに彼らがどこまでも頑なになるのだとすれば、陰謀論をはじめとする広義での真実を巡る議論を終わらせるのは不可能に近いほどの困難さがある。
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「不老因子」の発見で脚光を浴びるがn研究者・嘉山宗弘のドキュメンタリーを撮ることになった映像制作会社のディレクター・三田紗矢子。
嘉山を追うにつれて、彼の研究不正疑惑が明らかになっていく。決定的証拠がない中、自らの真実に突き動かされた三田はある行動に出る…。
面白いんだけど、主人公である三田のなんとも傲慢で独善的な性格に辟易。
報道ではなくドキュメンタリー、番組ではなく作品、彼女の独りよがりのこだわりがそのまま嘉山の独善性とリンクしていくという作り。
「信じ続ける限り、風車は巨人のままでいてくれる。その人にとってはね」
真実と虚構をないまぜにし、“ドン・キホーテ”となったのは嘉山だけじゃなく、彼の不正を暴こうとする三田自身でもあるという皮肉。そして、嘉山の祖父・花木紀一郎もその一人だったのかもしれない。
真実と信じることの違い。真実のためなら事実を曲げてもいいという姿勢を最後まで貫く主人公には寄り添えない。
ドキュメンタリーの作り手がそんな考えなら、むしろドラマと謳ってほしいと思うのは私だけだろうか…。
この作品に対するテレビマンの感想を聞いてみたいものです。 -
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ネタバレこういう何か暴力的ですさんだ世界って、あんまり好みではないのだけれど、小説家として、こういう設定を書いてみたいという野望はわかるし、それをやりとげているのは確かにすごいなと思う。
でも人生って、やってみなきゃわからないもので、こんなふうに一方の側がストーリーを書いて演じてみても、相手がそのように動くなんて、そうはいかないだろうと思う。そういう意味では詠子さんのエピソードは特にリアルではあった。
そういうスタンスからすると(人間の行動はやってみないとわからない)、多重人格説ならしっくりくるわけだが、おそらくエンディングはそうではないんだろうな。 -
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熊沢勇一、斎藤佐那、そして三ツ矢瞭司の3人は、協和大学の特別推薦生として出会う。3人とも素晴らしい数学の能力の持ち主だったが、その中でも瞭司は特別だった。彼には結論が「見える」のだ。彼の見ている世界は、他の人とは違う。そのため彼はいつも孤独だった。しかし、協和大学に入り、担当の小沼教授、佐那、熊沢と数学の話をしている時は、彼は孤独ではなかった。彼はいつまでもその環境が変わらないことを望んでいた、しかし…数年後、瞭司は自宅で亡くなっていた。誰も解けなかった「コラッツ予想」を解いたとされるノートを残して。それには彼が晩年取り組んだ「プルビス理論」について記載されていた。熊沢は彼が亡くなった後、このノートを発見し、三ツ矢瞭司を見つけるためにノートの解読を始める。
この本を読んで、「アルジャーノンに花束を」を思い出した。何かに突出している人は、見える世界が人とは違うから孤独だ。やはり人は同じ世界を共有したい、同じ気持ちを共有したいと思う生き物なんだな、と再度思った。最後熊沢に見つけてもらって良かったと思った。読みやすかった!