岩井圭也のレビュー一覧

  • 文身

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    ネタバレ

    なんとも表現し難い作品でした。
    あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。

    昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分たちで動いていくのです。
    この物語の主人公は兄弟ふたり。15歳の時に偽装自殺した弟が、その後姿を隠して小説を書き続け、兄の名前で世に出す。その小説は私小説として発表する。
    「私小説は自然主義の文学であり、現実にあったことでなければ書いてはならないという認識すらある。」
    でも普通の私小説と違うのは、弟

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    2025年09月23日
  • 夏の陰

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    父親を殺害された和真とその犯人の息子の岳。犯人とその家族に憎しみを抱く和真。剣道にその憎しみをぶつけるように生きている和真と生きている資格がないと思いながら剣道をする岳。何のために剣道をするのか、生きているのか。この思いを抱えた先にあるのは何か。二人の思いは違えど抱えてる痛みや苦しみはどこか似ていてだから理解し合えない。その二人が交わる終盤の展開と剣道の試合の描写はなかなか圧巻でそれまでの二人の人生がそこに凝縮されている。著者の作品はまだ数作しか読んでないけれど読むほどにハマっていく面白さがある。

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    2022年05月20日
  • 夏の陰

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    3年前に刊行された単行本に加筆修正した文庫版。単行本は未読なので詳細は不明だ。
    殺人者の父親を持つ岳と、父親を殺された和馬。加害者の家族と被害者の家族という違いはあるが、2人には共通点があった。その象徴として剣道がある。
    本書は父親を失った家族の物語、少年の成長譚、贖罪の行方など様々な読み方ができるが、ぼくは本作を“ハードボイルド”と捉えた。ミステリーの1ジャンルではない。男の生き様の話だ。人はいかに生きるのかという話なのだ。

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    2022年04月26日
  • 水よ踊れ

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    1996年の香港。
    13歳から17歳まで香港で暮らしていた和志は、その時に知り合った彼女の死が忘れられず、大学での交換留学生として香港へ。
    そこで、彼女の死の真相を調べる。

    これは、政治が絡んだ事件だった。
    すべて政治で決まる。
    殺人事件をなかったことにするのも…。

    とても複雑な流れではあったが、結末を知ると納得できる。
    どの時代であっても、すべて政治で、ものごとは決まるというのも世の中の常なのかと思うとやりきれなさを感じた。

    読みながら2003年1月に香港へ行ったことを思いだした。
    香港のイメージといえば、狭い場所にやたらと高くて細長いビルが建ち並んでいる…窮屈で閉塞感を感じたように思

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    2022年02月02日
  • 水よ踊れ

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    いつも個性的な設定で、悩める主人公を登場させる。
     返還前の香港で、過去を問い直す交換留学生(建築学)か。

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    2022年01月30日
  • 水よ踊れ

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    めちゃくちゃ良い/ 97年の、まだアナログだった時代の猥雑な香港の感じとか学生たちの生活感とか、空気が懐かしくてのめり込んでしまう/ 少年時代の恋人の死の真相を探ろうという大学生の主人公が普通の子で良い/ スーパーマンじゃないし、頭が抜群に切れるわけでもない/ 作品内のあらゆる事象に丁寧な振りがあって好感が持てる/ 主人公の名前ひとつ取っても、しっかり意味が持たせてある/ 後半のタクシー運転手とのやりとりも、大きなオチのフリに使っているわけだ/ かなり計算して色々決めたんだろうと思う/ 細かいところを抜きにしても、同じ屋上に住んだ二人の少女の心中を慮ると本当に切なくて悲しい/ ただ、最後の〝救

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    2022年01月12日
  • 水よ踊れ

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    1997年7月の中国返還を間近に控えた香港を訪れた1人の日本人留学生。彼は昔、香港に住んでいたことがあり、ある目的を持ってこの地を再訪したのだった。ミステリー仕立ての構成だが、犯人探しが目的の小説ではない。自由の象徴としての香港や、様々な事情で母国を去らねばならなかった人々の思いが交錯し、読む手が止まらない。最終章が理想論になってしまったのは惜しいが、読み応えのある力作だった。

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    2021年10月31日
  • 水よ踊れ

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    返還前の香港、愛していた少女が目の前でスラムのビルから落ちて死んだ。犯人を目撃した和志は警察に告げた後家庭の事情で帰国する。3年後香港の大学に留学し、彼女の死の真相を調べる。この謎、事故死にされた理由が物語の本筋だが、本当の面白さは香港の人々の風景、空気、難民や本土からの違法入国など共産党支配の影に怯えつつ戦う人々にある。
    歴史物としても恋愛友情モノとしてももちろんミステリーとしても読める力作だ。

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    2021年09月28日
  • プリズン・ドクター

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    奨学金の返済を免除してもらうために仕方なく就いた矯正医官の史郎だが次第にその仕事にのめり込んでいきます。こういう成長物語、好きです。
    病だけでなく、その奥にある罪も治療する姿が良いね。是非とも続編を。

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    2020年08月06日
  • プリズン・ドクター

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     主人公は、タイトル通り刑務所のお医者さん。でも本人が希望した職場ではない。しかも、若い医師に対する患者の受刑者は見下してくる。助手の人もベテランで、新米の若い医師には立場が逆転したかの様に次々と経験値から言える指導をする。日々、薬を求めて受診に訪れる患者(受刑者)は詐病を訴えるのが多い中、本当の病気を疑う症状を見逃さない感性が真剣に病の症状に悩む犯罪者を救う結果になる。
     主人公の母親は認知症を患い看病で生じるトラブルもある。そんな家庭環境を理解している彼女との恋愛では、級友の女友達とのいざこざもある。医療のメインストーリーの合間に描かれている私生活も苦楽が満載である。
     冒頭の場面は、犯罪

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    2020年07月23日
  • プリズン・ドクター

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    神経内科医としてのキャリアを目指していたのに経済的理由で奨学金免除の義務を果たすべく3年だけと刑務所の医師、矯正医官となった是永史郎。
    刑務所であるから患者は犯罪を犯した海千山千の受刑者。医務の助手は准看護師の資格を持つベテラン刑務官。限られた医療体制に薬剤、検査方法。そんな環境下でも、主人公は研修医を終えて即、単独でしかも総合医的な診断をしなくてはならない。
    帯には本格医療ミステリー的な扇情的なフレーズが書かれているが、受刑者の病状を明らかにする過程は、数年前にNHKでやってたドクターGのカンファレンスを彷彿させる。
    またミステリーよりも矯正医官としての成長するヒューマンドラマと感じる。学生

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    2020年06月20日
  • 汽水域

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    タイトルが秀逸。
    犯人は自分勝手なような気もするけど、こっち側とあっち側の違いは何かを描いた小説だと思う。

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    2026年04月13日
  • パパたちの肖像

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    どの作品も令和のパパがリアルに描かれていて面白かったけど、中でも「俺の乳首からおっぱいは出ない」は読みながら何度も笑った。

    我が家の夫も子どもが乳児だった頃に、子どもを泣き止ませる事がお手上げになった時に、よくオッパイで解決することを頼まれたな…と懐かしくなる(笑)


    全てパパ目線のストーリーで、子育て中のパパに是非読んでほしい。

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    2026年04月10日
  • 追憶の鑑定人

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    ネタバレ

    【収録作品】
    交感原理
    雑踏に消ゆ
    見知らぬ水底
    灰色の追憶

    元科捜研の土門誠の学生時代の仲間たち(猪狩愛、鳥飼、窪)との絆が描かれる。
    「交感原理」 大学教授の猪狩愛に協力を要請。離婚後ストーカーと化した夫を殺したという妻の事件。
    「雑踏に消ゆ」 気象予報会社に勤める鳥飼から花火大会の日の事故を検証するよう依頼される。
    「見知らぬ水底」 マトリの窪。水死体の鑑定で麻薬の成分が見つかる。
    「灰色の追憶」 大学内の火事で一酸化炭素中毒になり記憶を失った猪狩。放火を疑う土門は徹底した調査を行う。

    土門の人間性が描かれる。いい仲間がいてよかった。

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    2026年04月10日
  • サバイブ!

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    面白ーい!!一気に読んだ。
    ガンサバイバーの青年が起業する話なんだけど、展開が早くて次々ページを捲ってしまう。仲間を増やしていく過程や、課題を克服、ライバルとの対決なんか、王道のストーリー展開なんだけど異論を挟ませない説得力とスピード感がすごい!

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    2026年04月04日
  • 中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ(6)

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    まだ次のシリーズは出てないけど、第1シーズン完結とのこと。あの人もその義父も嫌いだけど、ロン君も好きになれないなあ・・・

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    2026年03月31日
  • あしたの肖像

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    芸術家志望も大変。趣味で絵描いたり、彫刻刀握っている分には楽しいんだろうけど。何度も表紙見返したが、哀しみ?虚無?何と表現すればいいんだろう?この表情。そして、この肖像画は小滝くん?最後はきれいにまとめているけど、小滝くん、あっさり別れちゃダメだろう。どう理屈つけても自分勝手。岩井さんの引き出しの多さには感心するけど、ミステリーとしてはモヤモヤ感残った。「肖像画には、その人そのものが表われる。絵は時に、写真や映像よりも雄弁に物語る」なぜか唐突に「麗子像」頭に浮かぶ。「肖像画は、ただ見たまま描けばいいというわけじゃない。描かれている人の内面が滲んでいなければ、絶対にその人には見えない」ふーん。

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    2026年03月30日
  • 最後の鑑定人

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    この作者さん、何冊か読んできたがどれもが載っている★の数ほどには私には刺さってこず、なんとなく相性の悪さを感じているところだが、今回はどうかな。

    かつて科捜研のエースとして活躍しながら、“ある事件”をきっかけに辞職をし、今は民間の鑑定所を立ち上げた土門と、彼のもとで働く助手の高倉。
    帯にはドラマで演じた藤木直人さんと白石麻衣さんの写真。そう言えば、配偶者がテレビで観ていたのを、横目で見たことがあるような。

    科捜研ではその能力から「最後の鑑定人」と呼ばれていた土門のもとに持ち込まれる鑑定依頼の話が4つ。
    挨拶代わりの最初の話から、いささか変質的な顛末にはちょっと引く。
    12年前に起こった強盗

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    2026年03月24日
  • あしたの肖像

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    推しの岩井さん。本作はあまりのめり込めなかった。と言うか、主人公小滝の心境についていけなかった。美大で自分の肖像画しか描かない小滝に依頼された事故でなくなった女子大生の肖像画描き。自分と同じ境遇の彼女は本当に事故でなくなったのか?そして半年前に突然姿を消した彼女の行方を追うことに。設定はすごく良かったのに物語を追いきれなかった。ちょっと残念。

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    2026年03月17日
  • あしたの肖像

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    岩井圭也さんの作品は多種多様でいつも驚かされる。

    今回の作品は、美大生が自画像を描くことをライフワークとしながら、自我に向かい合い、生きることの苦悩と葛藤を描いた内容。

    芸術の探究が趣味の領域を超えて、生きる術にしたいと考えた人は、こんな風に思い悩むんだろうか。
    描けなくなることがイコール、死までも連想させる。
    さらに、若さ故の不器用さや純粋さ、青春のほろ苦さが、これでもかと迫ってくる。

    きっとそこに身を置く者にしか想像できない世界があるのだと思う。そして、そんな特異な世界へ静かに読者を誘う岩井さんの引力がすごい。

    静寂感と緊張感のただよう作品だが、結末も予想外で驚いた。
    何者?という

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    2026年03月15日