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Posted by ブクログ
科学鑑定のスペシャリスト・土門誠が関わる、4編からなる連作短編集。それぞれ独立した事件を扱いながら、鑑定を通じて“事実”に迫っていく。
「遺された痕」
2種類のDNA鑑定が、同じ事件で正反対の結果を示す。科学が示す食い違いから、土門誠が真相へ迫る。
「愚者の炎」
技能実習生たちが暮らす家で火災が発生。通報した犯人が黙秘を続ける中、鑑定が動機の奥へ踏み込んでいく。
「死人に訊け」
海中から引き揚げられた車内で白骨遺体が見つかる。DNA鑑定を起点に、停滞していた捜査が動き出す。
「風化した夜」
亡くなった娘の遺品鑑定を依頼された土門が、過去と向き合う。鑑定人としての姿勢と、その内面に迫る。
派手な展開や感情の起伏で引っ張るタイプではなく、断片的な事実を一つずつ積み上げていくことで、静かに真実へ近づいていく構成が印象的だった。ピースの少ないパズルというより、あえて見えにくい断片を選び取りながら輪郭を浮かび上がらせていくような感覚で、読み進めるほどに全体像がじわりと繋がっていく。
この作品が面白いのは、“真相を暴く”こと自体よりも、「何をもって事実とするのか」という姿勢にあると感じた。人の証言や感情は揺らぐが、鑑定という行為はそこから距離を取り、あくまで客観的な結果だけを積み上げていく。その過程で、一般的に想像される物語としての納得感とは少し異なる、現実に近い不均質な真実が立ち上がってくる。
主人公の土門は感情を強く表に出さないため、序盤はどこか無機質にも見えるが、その分、わずかな言動の変化や沈黙に重みが宿る。あえて語らないことで浮かび上がる人物像であり、読者側に解釈を委ねる余白が意図的に残されている印象を受けた。
特に最終話では、それまで抑えられていた感情や過去との関わりが静かに滲み出し、土門という人物の輪郭が一段深く見えてくる。ここで初めて、それまでの無機質さが単なる性格ではなく、彼なりの距離の取り方であり、仕事との向き合い方だったことに気づかされる。
全体を通して派手さはないが、その分、読者に解釈を委ねる余白が大きい。読み終えた後にじわじわと残る感触があり、単なるミステリーとして消費するよりも、「事実と人の感情はどこで交わるのか」を考えさせられる一冊だった。
Posted by ブクログ
短編が4つ
ドラマと順番は違うけどタイトルは同じ。
天才ゆえの変人、土門先生がかっこいい♡
元妻からは「変態の所業」とまで言われてるけどね(笑)
引き受けた鑑定に対してはとことん真面目に、責任と自信をもって調べ上げる。
名言→
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「私たちは、白でも黒でもない。どこまでもグレーな存在です」
「加害者にとっては過去かもしれない、もう終わった話かもしれない。しかしご遺族にとっては終わりなんてないんです」
嘘を見破る訓練をする助手の高倉柊子さんもいい味出してる。
全体的に面白かった。シリーズ化してるようなので他のも読んでみたいな。
Posted by ブクログ
SNSで見掛けて気になっていた作品。
文庫化を機に手に取った。
「土門誠に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」科捜研の最後の砦、「最後の鑑定人」と呼ばれた男、土門誠。科捜研を辞職し、民間鑑定所を立ち上げた彼の元には、次々と難解な事件が持ち込まれる。
ドラマ化ということで、ドラマのキャストを思い浮かべながら読んだ。
ドラマでも使われている、土門の決めゼリフが出てきた時は痺れた…!(どこで出てくるか知りたくない方は、引用は飛ばしてください)
土門が科学の力を使って、わずかな痕跡から様々な事件の真相を明らかにしていく様、その中で明らかになってくる土門の過去に引き込まれた。
それぞれの事件の犯人の供述は思わず同情してしまうところがあって、印象深かった。
原作とはちょっと違うけれど、ドラマも面白かったです( •ᴗ- )⸝⋆
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