岩井圭也のレビュー一覧
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「最後の鑑定人」の前日談。
刊行はこちらが後だが、主人公の土門誠がなぜ科捜研を辞めて民間の鑑定所を立ち上げることになったのか、その理由が明かされる。
「最後の~」の土門は取っつきにくい、科学のことしか頭にないような名探偵キャラクターだったが、こちらではその土門に人間らしい感情があることを教えてくれた。
本作では『科捜研の砦』と呼ばれている土門が、今回も彼ならではの様々な視点で真実をあぶり出していく。
ただ彼だからできたということではなく、科警研や大学などにも協力を依頼しているので、彼一人で出来たということではなく、執念ともいうほどの真実を追究する姿が描かれていた。
一見、科学以外の、人間には興味のなさそうな土門だが、その姿勢には実は彼の家族にまつわる事情があったということが分かった。
また人付き合いの悪さも認識していて、そんな彼をフォローしてくれる『鑑定の神様』こと科捜研副所長の加賀に対する尊敬と信頼と感謝の気持ちがあって、それだけに最終章は苦かった。
確かにこんなことがあれば、科捜研を辞めるしかないだろう。
『最後の~』を読んでいるので、土門の結婚生活の行く末も分かっている。だが宏香のキャラクターがさっぱりしていていい人だけに辛かった。
でも確かにこういう夫は大変だろうな。
『科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間だ』
第三作が出ているようなので、楽しみ。 -
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初めて読む作家さんです。
無差別殺傷犯を取材対象として追う事件記者が主人公の社会派小説。
犯人を他人だとは思えないほど共感してしまう主人公。けれど主人公は人を殺めたりはしていない。犯人との境界線は何か?
タイトルの汽水域とは淡水と海水が入り混じるところだそうで、人は誰もが善悪の汽水域にいてどっちに転ぶかはわからない。悪へと転ばぬために誰かや何かと(一方的でも)繋がりを持っておくことの大切さを伝えようとしている一冊だと受け止めました。
一理ありますね。
なるほどと思って興味深く読みました。
結局のところ、犯人が何をどう考えていたのかははっきりしないのでモヤモヤは残りますが、この作品のポイントはそこではないのでしょう。
文章は読みやすく、登場人物もそれぞれに個性があって楽しめました。他の作品も読んでみたい作家さんがまた1人増えました。
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無差別殺人の容疑者を追う記者、安田。あんまりこのジャンルを読んでないんで取材の仕方とか新鮮に感じられる。今はもうSNSを駆使して情報を集めるんだ。一昔前はどうしてたんだろうと素朴に思う。
家族にも見放さられ、仕事にしか打ち込めない安田がどうしようもない人物に見えてくるが、有りがちなキャラにも思え中々共感は出来ない。
犯人の深瀬と同じく父親に憎悪を抱きながら生きてきたが故に心が近づいていくのはわからんでもないが、どうも物語に山が感じられず最後まで読み切ってしまった。
ただ、誰かと必ず繋がっている命綱がある限り、無敵の人にはなれない、と言う点はわかり、海斗にも伝えようとする最後の思いは良かった。 -
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冒頭、岩井圭也さんからこのようなメッセージがありました
読者のみなさんへ
この本は、普通の短編集とはちょっと違います。
京王電鉄の各駅を舞台にした五つの短編が収録されていて、各編で登場人物が「謎解き」に挑戦します。
読者のみなさんには、登場人物と一緒に「謎」に挑戦していただくことも、普通の小説と同じように読み進めてもらうこともできます。
(はい、もちろん私は謎解きなど挑戦せず、普通に読み進めました)
挑戦する場合は、「謎」 が出てきたところでいったんページをめくるのを止めましょう。読み進めると、本文中に答えが出てきます。
(はい、謎解きをしていないのでページをめくるのも止めず気にせず読み進めました)
各話に登場する駅(下北沢、高尾山口、府中、調布、聖蹟桜ヶ丘)や周辺の街に足を運ぶことで、物語を追体験することもできます。
(私の住んでるところから足を運ぶことは無理なので追体験はあきらめました)
もちろん、現地で謎解きを楽しむことも可能です。ただし、体験中の「ながら」歩きはたいへん危険です。くれぐれも、周囲には気つけながらお楽しみください。
(はい、もちろんスマホを見ながらも危険なので良い子のみなさんはダメですよ)
と、岩井さんにとっては新しい試みの一冊なのかもしれません
ま、私は普通に小説として読みましたが…
他の岩井作品に比べると少し弱い感じもしますが普通に楽しめる一冊でした
これで岩井作品コンプリートです -
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2029年、北京──
常軌を逸した速さで進行する癌で有力政治家の息子が死亡し、 同様の癌での死亡事例が見つかる
これは偶然なのか? 連続殺人なのか?
事件を解決するために刑事と遺伝子エンジニアがタッグを組んで立ち向かうのだが、、、
はい、出てくる出てくる難しい単語が!
ほー、ゲノム編集ですか
へぇー
ほー、人工塩基ですか
ふぅーん
ほー、真珠配列ですか
はーいっ
なんのこっちゃですね!
ちんぷんかんぷんです!
だけど、私レベルになると"なんのこっちゃ"も"ちんぷんかんぷん"も物ともせずに読み進めていけます
そんなことで立ち止まっていると先へは進めません
(なんかカッコいいぞ)
そして、物ともせずに進んだ先に見える陰謀の正体に、、、
WOWです!!!
★4でも良かったですけど、モンちゃんと肩を並べるまでには至らずなので★3にしました
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Posted by ブクログ
2029年、北京で進行する癌で有力政治家の息子が死亡し、同様の癌での死亡事例が見つかった為、連続殺人なのか?を解決するために動く刑事のアーロンと協力するのが、遺伝子エンジニアのウイグル人であるマリクだった。
最初から息の合わないアーロンとマリクだったが、禁忌の人体改変である真珠配列が組み込まれていたと知り、次第に協力するようになるのだが…
予測不能な展開でまさかの結末にことばも出ない…。
近未来のことなど予測もできないが、何かを生みだすことは理想的な未来へと繋がるのだろうか…
完璧な人類、理想的な人類ばかりだと偽りの世界のように感じてしまう。
未来は何が起こるかわからない。
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岩井圭也さん著「この夜が明ければ」
北海道の漁港に短期バイトで集まった面々、その各々の過去に重苦しい背景があり、その内の一人の死をきっかけにその背景が明らかになっていくという物語。
感想として自分にはあまり馴染めなかった。クローズドサークル系によく感じてしまう緊迫感の無さを顕著に感じてしまった。
過去に疚しさを持つ6人の人物。誰もの抱える訳あり具合全てに引っ掛かりを持ってしまいすんなりと物語に入り込めない。
オーバーステイ中国人、家出少女、介護放棄による高齢者死亡事故、結婚詐偽、盗撮盗聴魔、正義感の定義のあやふやな元警察官の6人。盛り過ぎ…
一晩で明らかになるこれら…
やりすぎだろう、読んでいて違和感を強く感じてしまった。
結末もそんな感じか…ちょっと残念だった。
「楽園の犬」「文身」等、著者の作品の奥深さを期待して読み進めたが、今回の作品は比べてしまえば浅さが際立つ作品だった。
また次作に期待。
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Posted by ブクログ
通り魔事件が起きる。無差別に殺傷。犯人が捕まり、「なぜやったのか?」と聞くと「誰でもよかった、死にたかった」など訳の分からない動機を語る。ニュースを見て「だったら、一人で死ねばいいじゃん」、「こういうのには巻き込まれたくないよね」と友人たちと世間話みたいにおしゃべりして、そして忘れていく…。通り魔事件が起きた時の私の一連の流れ。
この物語はその流れがそのまま出てきます。でも物語では事件記者の安田賢次郎が、犯人の深瀬礼司の本当の姿を深掘りしていきます。どうして通り魔事件を起こしたのか?安田はただそれを知りたくて、深瀬の知り合いに取材します。
私はもともと記者が取材を通して犯人を特定する、という話が好きです。この物語は少しテイストが少し違う。人物像を知る事により事件の全容を見る、というのは今まであまり読んでなかった気がするので新鮮でした。物語を読んで、私は悲しい事件が起きても野次馬根性でニュースを見て分かった気になってたなと気付かされました。もちろん人を傷つけるのは許されない事。でも全容を知ればまた違う見方が出来る、一方的になっちゃいけないな。記事のどういう部分を読めばいいのか週刊誌を読む目的が少し変わったかも。
報道のあり方なども考えさせられますね。
安田が深瀬をどこまで知れるのかが読みどころですね。
私は、記者同士の駆け引きあり、騙し合いが面白いと思いました。 -
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「南方熊楠」非常に興味がある人物。天才であるというのはなんとなく理解しているが、結局何を成し遂げた人なのかわかっていなかった。
で、この本を読んだのだが・・・。
やっぱり良くわからなかった。天皇の前で講義するぐらい素晴らしい頭脳の持ち主だったのだろう。
熊楠の自筆の手紙を美術館で見たことがあるが、凡人には理解不可能だろうと思った。
この本のなかでは熊楠の心に3人の声がいて、うるさいぐらいに大声で話しかけてくる。知識を取得しようとするとその声は静かになるので、知識を詰め込んだ。と書かれていた。なんとなく納得した。
南方熊楠という人はただ、すべてを知りたかっただけなんだ。