岩井圭也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレやっと読み終わった。庸一も堅次もその両親も庸一の妻も理解不能で、この感じ、読んだことあるなと思ったら太宰治の人間失格だった。そういえば、あの小説も、最後の一文でハッとさせられた気がする。記憶が正しければ。
作中の文身は読み進めていくにつれて、どんどん不快感が強まる。幼少期の何気ない一家の様子から、どんどんありえない展開になっていく。一番の転換点は、妻の死を唆すあたり。兄弟が一気に不穏な空気になる。そこからのあまりにもな展開に、顔をしかめながら最後まで一気に読んだ。
最後、どんな終わり方になるのかとおもったら、結局弟は生きているというラストであってるのか?そうだとしたら、結局何が本当で何が虚 -
Posted by ブクログ
近年ネグレクトの話が多いように感じる。自分がたまたまそういう本を選んでしまうのか、実際に増えているのか、それとも多くが明るみに出るようになったからなのかは分からないが。
本書は、少年審判に於ける付添人側からの話。非行少年の権利を守り更生を手助けするのが付添人。その多くは弁護士が担っている。
内容は比較的ライトでスルスルと読めるが、個人的には第四話、SNSでの名誉棄損問題が興味深かった。ディスレクシアという病気や、周りと違うことに薄々気付いていても認めたくないがために向き合えない現実。
ディスレクシアについては、耳にしたことはあったが、今回初めて内容を知るきっかけになった。これは辛いだろうな -
Posted by ブクログ
1冊目が出たときの予想とは裏腹に、巻を増すほどに人気が衰えていくシリーズとなってしまった。
4冊目となる本書には、これまで同様〈山下町の名探偵〉の異名を取る小柳龍一(ロン)を狂言回しとした4篇が収録されている。最近影の薄かった趙松雄(マツ)がメインとなるマッチングアプリ詐欺、続く2篇目もマツ絡みの競馬詐欺、打って変わって3篇目はギフテッドの少年が登場し、4篇目はマツ以外のメンバーが総出演のディープフェイク詐欺となる。……なんか、詐欺ばっかだな。
ロンは鈍いんじゃなくてアロマンティックなんじゃないかと疑い出していたが、最後の最後に「おーっ!」となって終了。 -
Posted by ブクログ
イヤミス的な短編集。読後感は重め。
「僕はエスパーじゃない」「捏造カンパニー」「堕ちる」が面白かった。
「僕はエスパーじゃない」は、子どものときから人の顔色を読むのが得意な男性が結婚し子どもが生まれ、常に妻の顔色を伺いながら妻の望むように家事育児をしていくが、突然離婚したいと妻に告げられる話。常に他人任せの主人公に問題があるかと思えば、妻側の思惑も合わさり、結婚とはなんだろうかと考えさせられた。
「捏造カンパニー」は、会社が倒産したりブラックだったりで無職になった元同級生の3人がペーパーカンパニーを作って不正に金を集めているところに税務署の監査が入ることになった話。騙し合いのスリルが面白か