岩井圭也のレビュー一覧

  • 楽園の犬

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     舞台は太平洋戦争開戦前の1940年のサイパン。タイトルの「楽園の犬」の犬とはここではスパイのことを意味します。
     スパイと聞くとドラマや映画ではなんとなくかっこいいいイメージもありますが、実際には孤独で常に危険と隣り合わせの命を賭けた任務のように思います。スパイであることにいいことは一つもないように思えてしまいますが、抜けたくても抜けられなくなってしまうのでしょうね。
     日本ではスパイ活動を取り締まる法律がなく、世界からは「スパイ天国」と言われているようです。大丈夫なのかな?
     第二次世界大戦のさなかに勃発した太平洋戦争では、アメリカには石油等の資源量、経済力や軍事力でも到底敵わないことをわ

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    2024年11月16日
  • 舞台には誰もいない

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    ゲネプロの最中に不可解な死を遂げた女優・遠野茉莉子。
    事故なのか、自殺なのか、『幽人』の関係者たちが彼女について語りだすのだが、ラストに幽霊になった彼女が語ったのは…。

    母親の言いなりに生きて、自分の感情を露わにすることがなかった彼女が、高3の夏に母を事故で亡くしてから好きに生きようと東京へ出た。

    自分以外の役柄を演じることができるなら別の誰かになれると役者の世界へ。
    最初についた役の名前〈遠野茉莉子〉を芸名にし、影響を受けた劇作家・名倉敏史が信奉するメゾット演技を武器にして名だたる舞台女優となったのだが。


    彼女にはしばしば母の幻影が取り憑いていたのも誰かを演じなければ自分というものが

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    2024年11月14日
  • 飛べない雛 横浜ネイバーズ(2)

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    ネタバレ

    横浜ネイバーズの第二弾、第4章のマザーズ・ランドは地面師の話で特にサクサク読み進めることができた。QRコードを使った詐欺やSNSなど現代を表したわかりやすいストーリーだと思う。

    心に残ったワード
    P60 大半の人はあなたを外見で判断する。しかしごく一部の人は外見以外の部分に目を向けてくれる。ルッキズムに満ちた世の中は誰があなたに取って本当に大事な人かを教えてくれるはず

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    2024年11月10日
  • この夜が明ければ

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    ネタバレ

    初めて文庫本を3時間強で読破しました。
    一文一文が短く簡潔で読み易いため、工夫の凝らされた文章を楽しむというより、展開を楽しむ本という印象です。
    映像化したら面白そう。

    登場人物がみな魅力的でしたが、主人公と唯ちゃんだけがずっと気味が悪かったです。
    その不気味さも、心の内が知りたくて早く読み進める促進剤となりました。
    独白シーンで、主人公には共感できましたが、唯ちゃんは本当に気持ち悪いと思いました。

    最後は皆でお金持ってバイト飛んだという解釈で合ってるのでしょうか。
    本人たちが自分の過去をそれで清算できるなら、それでよいのでしょう。
    雇用者が可哀想だな、と思いましたが。

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    2024年10月31日
  • この夜が明ければ

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    書店で見つけて衝動買いしました。北海道が舞台というのが気に入って。読み始めたら、止まらなくなりました。あっという間の350ページでした。次どう展開するのかが待ちきれなくなります。

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    2024年10月29日
  • 舞台には誰もいない

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    物語の中へ引き込む力が凄まじい。
    そして一旦はまってしまったら
    主人公の舞台女優がどんどん
    破滅へと向かっていくのと同様
    途中で抜け出すことができない。
    ずっと誰かを演じなければ
    生きてこられなかった女の半生が
    あまりにも過酷すぎて
    悲しいとか辛いとかの感情も超え
    最後まで本当の名前も明かされないまま
    顔も本性もわからず
    まさに幽霊を見せられている?
    かのようだった。

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    2024年10月22日
  • この夜が明ければ

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    重かった。季節アルバイトで北海道南端の港町に集った男女7人。描かれるのはたったの1日。7人それぞれが秘密や葛藤を抱えていて、それぞれがみんな重い。悪い見方をすればミステリーの形を借りた不幸自慢ともいえる。全体としてまとまりがあるのか、登場人物たちの夜は本当に明けたのか、スッキリしない感じも残ります。ただ、読みごたえはあるし、いろいろと考えさせられるお話でした。

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    2024年10月19日
  • 暗い引力

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    表紙のイラストがとても印象深く手に取った。
    6話の短編それぞれ、このイラストの如く、闇に堕ちるようなお話。それぞれとても面白かったし、同時に表紙から受け取る印象を全く裏切ってない。

    中でも「極楽」
    借金から逃げるために認知症を装って施設で匿われるお話。
    自分が突然行方不明になったら、唯一の身内である一人息子に迷惑がかかる、、であろうが、そんな事はお構い無しで、、
    それも仕方ない、唯一の親孝行だと諦めてもらおう、、なんてお気楽な主人公。
    暗い中にもクスッと笑える部分あり、飽きずに楽しめた。

    この作家さんは、色んなテイストの物語が得意らしく、どれもとても好評らしい。ぜひ、読んでみよう!

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    2024年10月16日
  • プリズン・ドクター

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     肩書が矯正医官、つまりは塀の中のお医者さん(刑務所Dr.)、この特異な名称や業務内容、周辺事情を初めて知りました。

     本作は文庫書き下ろしで、序章・終章に挟まれた4章で構成されています。舞台は北海道の千歳刑務所。主人公は、新人矯正医官・是永史郎です。神経内科の専門医を目指していますが、奨学金返還免除のため、3年の期限付で(渋々)赴任しました。

     第1章を読み、是永の矯正医官としての成長譚として、ヒューマン・ドラマが十分成立すると思いましたが、いやいや岩井圭也さん、攻めてきます。
     医療サスペンスに加え、是永の母(認知症)と父(犯罪者)という家族ドラマ、さらに岩井さんには珍しい?是永の恋愛

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    2024年10月09日
  • 付き添うひと 子ども担当弁護士・朧太一

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     2000年の少年法改正により、少年審判の手続きや処遇を適正に進めるため、裁判所に協力する役割を果たす「付添人」(主に弁護士が担当)が公的に認められたとのこと。つまりは、被疑者の少年(少女を含む)の味方となる人ですね。

     本作は、副題の「子ども担当弁護士・朧太一」が主人公の、5話からなる連作短編集です。名前はオボロ、見なりはオンボロ‥、でも少年たちへ寄り添い、手を差し伸べ続ける熱い心の持ち主で、自身が過去に傷を負っている背景がありました。

     オボロは様々な問題を抱えた子どもたちへ真摯に対峙しますが、彼らはなかなか心を開かず、SOSの声の上げ方もわからないようです。それでもオボロの丁寧な語り

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    2024年10月08日
  • 付き添うひと

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    「自分を大事にしてほしい。生きてさえいれば、また歩きだせる。」
    少年たちに向けるこの言葉、自らが少年院に入った後に弁護士になった朧だからこそ説得力が増す。
    冷静そうでいて、時に感情的になる姿が人間味があって、少年たちも自然と心を開いていくのかなと思った。
    こんな弁護士さんがいるなら、過ちを犯したとしてもまたやり直せる!と信じられそう。

    全然関係ないけど「朧」という名字、本当にあるのか調べたら、全国に20人ほどなんだそう。とっても珍しい!
    この漢字の持つ雰囲気と、「おぼろ」というどこか儚げな響きが人物像にうまく合っているなと思った。

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    2024年09月29日
  • 付き添うひと

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    犯罪者である少年ではなく親から虐待を受けていた子どもたちの再生の物語り。これほど思いの強い付添人に支援してもらえれば不幸な子供もその親も救われるのだろうが、現実にはこれほどの大人はいないから感動の話になる。悪意を持つ少年犯罪者は更生など不可能だしその機会を与える前に処罰すべきと考えるが、この本の子供たちのように親や環境、社会に振り回されて誤ってしまった子供たちにはオボロ弁護士のような人と出会ってもらいたいと思う。

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    2024年09月23日
  • 付き添うひと 子ども担当弁護士・朧太一

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    初めましての作家さんです。
    主人公は朧太一、弁護士。
    少年犯罪において弁護人の役割を担う付添人をしている。
    5つの話が収められていて、
    ホームレスを襲った少年とその友達の話
    親の虐待から逃げてきた少女の話
    親の支配から家出を繰り返す少女の話
    自分の部屋に引きこもった少年のSNS炎上の話
    親が会社のお金を横領した少年の話
    それぞれの事に真摯に向き合って、その子にとって一番良い環境、未来を探すのですが、そうする中で主人公、朧太一も自身の過去と向き合い出口を探して行くという話。
    この話を読んで思ったのは、子どもは環境に一番影響されるということ。子ども相手の仕事をしていると感じていたことですが、「やっ

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    2024年09月22日
  • 付き添うひと

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    付添人のオボロが、自らも罪を犯した過去の呪縛に苦しみながら、問題を抱える少年少女と真摯に向き合い、彼らの救済に奮闘する良作だった。
    一人で抱え込んでいたことを、真剣に受け止め寄り添ってくれる存在は大きい。
    笹木さんとの今後あるのかな。続編希望。

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    2024年09月19日
  • 暗い引力

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    6遍の短編集。
    どれもがダークで悪である。
    そして到底考えられないことをやるから驚かされる。

    何をもって悪である…かとはそれぞれだが、すべてに破滅を感じる。

    堕ちていくイメージのカバーに絶望を感じるが、これは自ら招いたことなのだろう、暗い闇に引き寄せられた作品に怖さを感じた。

    「海の子」〜養子だと知っていたが、実は…気づいたときには憎しみしかなかった息子のとった行動は。

    「僕はエスパーじゃない」〜仕事が忙しい妻に代わって育児も家事もこなす夫に妻が言い放ったのは。

    「捏造カンパニー」〜倒産やリストラで無職となった同級生3人が考えたのは、実体のない会社を設立したことだったが。

    「極楽」

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    2024年09月17日
  • 文身

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    ネタバレ

    私小説,最後の文士.現実と虚構の真実は紛らわしい.
    死んだとされる弟の小説ありきの壮絶な人生を生きる兄.そもそも弟は生きているのか?と言う問を最後に投げかけ,そしてラストの1行でひっくり返す.いやもう,モヤモヤしていまだによくわからない.

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    2024年09月01日
  • 暗い引力

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    雑誌「ジャーロ」に2022から2023に掲載された短編6編
    雑誌をほぼ読まない私は、全く知らなかったけど
    ミステリー小説専門誌
    実はミステリーと知らずに読みまして
    逆に岩井さんの知らなかった魅力がより大きく
    気がつかないうちに引き込まれる闇
    闇でもがく人を描いた六編

    「海の子」
    72歳、妻に先立たれた夫
    一人息子は 訳ある養子だった
    息子に乞われ、その時の状況を語る
    見知らぬ女が妻に乳飲子を引き渡し去っていった
    養子のはずの息子は父親にそっくりになっていく
    真実を確認した息子の報復

    「僕はエスパーじゃない」
    妻を労りよく気が利く夫
    キャリア志向の妻と一人息子
    妻の顔色 世間の風潮を読み 行

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    2024年08月31日
  • 付き添うひと

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    少年犯罪において、弁護人の役割を担う付添人
    不遇な少年時代を送り、親の支配下での窃盗で14歳で逮捕され少年院へ送られた主人公、朧
    社会復帰の後、弁護士となり付添人として積極的に活動している

    付添人として罪を犯した少年少女達に正面から向き合った短編5編

    少年少女達の罪の背景にある家庭環境に踏み込んで、彼らの将来を見据える
    幼年期の経験は、子供達の気持ちに寄り添える糧であると共に、時折、過去の怨讐に囚われそうになる
    それでも活動を認めてくれる人達、立ち直ろうとする子供達に 自身も救われる
    大変で重要な役割の付添人
    あまり認知されていない仕事に焦点をあて読ませてくれました

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    2024年08月22日
  • 付き添うひと

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    付添人、知りませんでした。読書を通して知らない制度を知る事ができるっていいなぁ。
    いろいろな事情を抱えた子どもたちが付添人オボロと出会い更生していく連鎖短編。
    主人公オボロにとって、付添人は過去の自分をも救うための仕事でした。

    親との関係性は子どもの人生も性格も左右される大きなもの。
    親だからって、無条件に受け容れなくちゃいけないわけじゃない。
    自分自身も親だけど、未熟さ故に傷つけてしまった事もたくさんあるんだと思う。

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    2024年08月18日
  • 暗い引力

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     タイトルの『暗い引力』は、収められている6編の短編の表題にはなっていないんですね…。6編全てひっくるめて『暗い引力』ということなのかと思いました。
     
     「海の子」:
      妻に先立たれ養子の息子にその経緯を話すことに…。
     「僕はエスパーじゃない」:
      仕事と育児の両立、夫の助けもあって妻は順調にこなしていたが…。
     「捏造カンパニー」:
      同級生3人がペーパーカンパニーを設立、突然税務調査が入ることになり…。
     「極楽」:
      パチンコの借金から逃れるため、老女が考えた策とは…。
     「蟻の牙」
      長時間勤務で夫に先立たれた妻の復讐劇とは…。
     「堕ちる」
    地方の美術館で学芸員

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    2024年08月15日