岩井圭也のレビュー一覧
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殺人犯の息子
vs被害者の息子
剣道を介して出会ってしまった岳と和馬。
ラスト2ページで必ず涙する、罪と赦しの物語!!
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岩井さん4作品目です。
突き抜けた落差が激しい(心が揺れる)のは「文身」が一番でしたが、私は本書も好きでした。
被害者と加害者の家族。
どうしたって切れない縁。
だけど、「その日」を境に決定的になる。
それを著者は本書のなかで、
自分に名札が付く日と表現していました。
たらればが溢れて、
当人たちの気持ちなんて関係なく、
周囲は騒ぎたて、
嫌な目で見たり、誹謗中傷したり、
怖がって近寄らない人も。
だけど、
家族は家族、
自分は自分で。
死ぬまで囚われ続けるのか。
どうしようもない父に暴力を振るわれ、
家庭をめちゃくちゃに破壊された岳。
立てこもり事件に駆け付けた機動隊として、
殉職した父を持つ和馬。
和馬の父を殺したのは、岳の父。
人の気持ちや感情は、
正論では片づけられない。
何とも言えない気持ちでしたが、
読後は良かったです。
お互いずれてたフォーカスが合った瞬間、
二人の青年の未来が見えたような気がしました。 -
Posted by ブクログ
岩井さん作品「永遠についての証明」「文身」に続き、三冊目です。
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刑務所で働く新人医師が、
命と罪の謎に挑む!
出版業界注目の俊英が描く、
感動必至の人間ドラマ
「何回読んでも、
ラスト、涙が止まらない」
絶賛の声多数!
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奨学金免除のために3年間、
刑務所の医者になった是永史郎。
本当は神経内科の専門医になりたかった。
彼と同居する母親は認知症を患い介護をしながらの勤務生活。
大学の友人たちはそれぞれ自身の専門分野で頑張っている様子のなか、史郎は自分の今後について考えていた。
刑務所内で受刑者が変死体となって発見されるまでは。
詐病で薬を欲しがる受刑者や、
原因不明の不調を訴える受刑者へどこまで検査を行うか。
そもそも協力してくれる医療機関も少ない。
付き添う刑務官の数も限られている。
受刑者と時にはその家族、
周囲の人間たちとの関係を描きながら、
違和感や謎のようなものを解き明かしていく。
受刑者それぞれの背景は違うし、
罪に対しての向き合い方、人間性も違う。
ラストは泣きはしなかったものの、
史郎の友達や恋人とのつながりが良かったし、
おかげで史郎もブレずに進んでいる様子で
読後はとても良かったです。 -
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あなたも引き寄せられる… 人間の欲と醜さを、皮肉たっぷりに描いたミステリー短編集 #暗い引力
■きっと読みたくなるレビュー
丁寧なプロットで綴られるミステリー短編集。どんでん返しというより、皮肉のスパイスが効いた良質イヤミスですね。
本書のタイトルどおり、人間のダークな部分をしっかり描写されていて、読んでいくうちにゲンナリしてくること請け合いですよ(にっこり
■短編ごとの感想文
〇海の子
子どもができなかった夫婦と養子の物語。母は他界し、父が息子に幼児を引き取った時の話をするが…
そうなりますよね…ってお話ですが、ひとつ間違えば自分にも起こりうるから全く笑えない。しかし最後の一文のキモさは、なかなかの衝撃。これでこそ人間ですよ。
〇僕はエスパーじゃない
育児に協力的な夫と、仕事人間の妻。夫婦の在り方と価値観を見つめなおす物語。
私も主人公の彼に似ているところがあるので、考え方や気持ちが正直よくわかる。こういう性格って、まるでモテないんですよね、アハハ! 最後の結論は自明なんですが、はっきり言ってどっちもどっちだし、そもそも子どもが最優先になっていない時点で双方悪だと思うわ。
〇捏造カンパニー【おすすめ】
学生時代の同級生たちがペーパーカンパニーで詐欺を行っていた。そこに税務署の立ち入り検査が入ると分かり…
大変よくできた、全くもって救いようのないお話。キャラも構成もミステリーとしても出来が良く、そのまま映像化できそうです。しかし、世も末だなぁ…と感じざるを得ない。
〇極楽
パチンコの借金で苦労している老女、解決するために考えた奇策とは…
筋書きは想像できますが、何もかもがリアルに書かれていて、かなりコワイ。施設に入っている父を思い出しました、近いうちに会いに行かなきゃ。
〇蟻の牙
過重労働で夫を失った妻の復讐劇、会社を守る社畜たちの卑劣な手口とは…
手紙、メール、記事、書面などだけで構成される短編。地の文が一切ありません。淡々と示される文章を読んでいるだけなのに、人の怒りや醜さがありありと伝わってきます。ただ本作が一番読んでて悲しくなりましたね。どんな復讐劇も、どこか報われないんですよ。
〇堕ちる【おすすめ】
大学での美術研究から学芸員になった女性。成功を胸に秘めるも既に若くはなく、経済的な理由で地方都市の美術館に就職していた。しかしその美術館で、これまでに見たことないほど魅力的な絵画に出会ってしまい…
面白い! 何より好きなのは、人間の欲が迫力満点に書かれている点。主人公の女性は興奮の鼻息が聞こえるようだし、画家の変態性、モデルの落ちっぷりが下品。「価値観」はさっぱり理解できないんだけど、「欲望」だけは理解できるですよね。きれいごと言っても、人間なんて所詮こんなもんすよって感じが愛せる。
闇落ちしていく感覚がクセになる作品ばかりでしたね、楽しませていただきました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。2度のどんでん返しより、父の存在意義を見出せなかった娘が、最後父と同じ生き方を選択する、それも同じ理由である所が血は争えないというか、そういった親子の絆の描き方もあるのかと感心した。あと庸一の娘を不要と位置付けて小説では描いてこなかった賢次が、兄が亡くなった後最後の文士に明日美を選ぶことで、兄が情をかけていた娘の存在を認めたことにより初めて兄の意思を汲んだ様に取れて、歪な兄弟の絆からまだ解放されない賢次にぞっとする様な嬉しい様な複雑な気持ちにさせられた。
人として生を受けた以上は何か残して死にたい、後世まで語り継がれる自分の存在という何かを。(私が勝手に受け取ったメッセージ)自分の生きる意味を渇望してたようにとれる明日美の最後の独白にひどく共感してしまって、私もこの小説を読んだ意味はそれに気がつくことなんだと思わされてしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ警察官殺しの父親をもつ岳、父親を射殺された遺児和馬。加害者の家族として、被害者の家族として、自らの責任で無い苦労を背負いこんできた二人が、剣道の道を歩み、全国大会京都予選で竹刀をまみえる。
加害者の家族なんだから罰を受ける…そんな考えはナンセンスだと思う。そういう考え方は明らかに差別だと思うが、反面、家族を殺された被害者の家族からしたら、一体誰にその哀しみをぶつければいいのかという気持ちになるのも当然である。
岳が可哀そうで和馬は身勝手…そんな単純なものではないことは、被害者や加害者の家族になったこともない一読者の俺でもとてもよくわかる。正解はない話なんだろう。重たくて読んでてツラい。でも読んでおかないといけない物語なんだとも思う。
最終章は偉大なる蛇足だと思った。