岩井圭也のレビュー一覧
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1996年の香港。
13歳から17歳まで香港で暮らしていた和志は、その時に知り合った彼女の死が忘れられず、大学での交換留学生として香港へ。
そこで、彼女の死の真相を調べる。
これは、政治が絡んだ事件だった。
すべて政治で決まる。
殺人事件をなかったことにするのも…。
とても複雑な流れではあったが、結末を知ると納得できる。
どの時代であっても、すべて政治で、ものごとは決まるというのも世の中の常なのかと思うとやりきれなさを感じた。
読みながら2003年1月に香港へ行ったことを思いだした。
香港のイメージといえば、狭い場所にやたらと高くて細長いビルが建ち並んでいる…窮屈で閉塞感を感じたように思 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良い/ 97年の、まだアナログだった時代の猥雑な香港の感じとか学生たちの生活感とか、空気が懐かしくてのめり込んでしまう/ 少年時代の恋人の死の真相を探ろうという大学生の主人公が普通の子で良い/ スーパーマンじゃないし、頭が抜群に切れるわけでもない/ 作品内のあらゆる事象に丁寧な振りがあって好感が持てる/ 主人公の名前ひとつ取っても、しっかり意味が持たせてある/ 後半のタクシー運転手とのやりとりも、大きなオチのフリに使っているわけだ/ かなり計算して色々決めたんだろうと思う/ 細かいところを抜きにしても、同じ屋上に住んだ二人の少女の心中を慮ると本当に切なくて悲しい/ ただ、最後の〝救
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主人公は、タイトル通り刑務所のお医者さん。でも本人が希望した職場ではない。しかも、若い医師に対する患者の受刑者は見下してくる。助手の人もベテランで、新米の若い医師には立場が逆転したかの様に次々と経験値から言える指導をする。日々、薬を求めて受診に訪れる患者(受刑者)は詐病を訴えるのが多い中、本当の病気を疑う症状を見逃さない感性が真剣に病の症状に悩む犯罪者を救う結果になる。
主人公の母親は認知症を患い看病で生じるトラブルもある。そんな家庭環境を理解している彼女との恋愛では、級友の女友達とのいざこざもある。医療のメインストーリーの合間に描かれている私生活も苦楽が満載である。
冒頭の場面は、犯罪 -
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神経内科医としてのキャリアを目指していたのに経済的理由で奨学金免除の義務を果たすべく3年だけと刑務所の医師、矯正医官となった是永史郎。
刑務所であるから患者は犯罪を犯した海千山千の受刑者。医務の助手は准看護師の資格を持つベテラン刑務官。限られた医療体制に薬剤、検査方法。そんな環境下でも、主人公は研修医を終えて即、単独でしかも総合医的な診断をしなくてはならない。
帯には本格医療ミステリー的な扇情的なフレーズが書かれているが、受刑者の病状を明らかにする過程は、数年前にNHKでやってたドクターGのカンファレンスを彷彿させる。
またミステリーよりも矯正医官としての成長するヒューマンドラマと感じる。学生 -
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パパ作家7人による家族の物語。
著者たちも、日々こういうことを考えながら家庭と向き合って奮闘しているのかと思うととても興味深かった。
当たり前だけど「父親」と言っても、いろんなタイプがいる。本作に登場するのも、妻の負担を軽減しようとおっぱいを出そうと奮闘する父親から、息子が一人暮らしする家を用意周到に内見する超真面目な父親までさまざまだ。でもどの父親も一生懸命でかっこよかった。
子育てでは母親の大変さがやはり前に出てきやすいし、それは事実だろうけど、父親も妻との家事育児分担や周りの余計な言葉、自分の仕事など、たくさんのものに追い詰められ追い込まれて、こりゃ大変だなぁと感じた。
本当に他人の -
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鑑定人シリーズの第一作。そういえば読んでなかった。
何か事件が起きて、その犯人を追い詰めるためとか動機を探るとか事件の突破口としてなんらかのトリッキーな鑑定を土門誠が行う流れ。
一編が割とサラッとして読みやすい。鑑定の専門的なところは語り手である人物が基本的にわからないという体なので小難しいところはなし。そして寡黙で無愛想な土門の過去が話の核になっていくというのはこの後のシリーズでも受け継がれていくわけで。
そんな読みやすい反面、トリックとかはあっさりなのでミステリとしてはちょっと物足りなく感じるかな。あくまでもミステリ風味のお仕事小説であり土門の過去話というかキャラクターを楽しむ一冊と割り切 -
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岩井圭也さんの作品かつSF設定が面白そうということで本作を手に取りました。帯コメでディストピア感を謳っているほど、絶望感はないが何とも言われる結末だったかなと思いました。
本作はバイオテクノロジーが進歩した中国でのお話。癌の進行が不審なほど急激に進行し、立て続けに4名の方がなくなる。そのことに不信感を抱いた警察官である主人公が捜査に乗り出すというお話。
バイオテクノロジーの研究をお仕事としているので、設定は割とすんなり入ってきましたが、馴染みのない方からすると、塩基配列とかクリスパーキャスとか難しいのかなと。ただ、現実でもバイオテクノロジーの進歩により新たな社会問題が生まれているのでSF設 -
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民間科学鑑定人・土門誠シリーズ第三作。
これまで科学鑑定人としてはスペシャリストだが、取っつきにくい彼の姿が描かれてきたが、この作品ではその能面のような表情の裏に人間らしさが見えてくるようになった。
大学時代の同期である、猪狩愛(大学教授)、鳥飼(気象サービス会社代表)、窪(麻薬取締官)三人との絆が主に描かれていて、シリーズとしては異色な気がするが土門の新たな魅力を引き出すための展開だったのだろう。
これまでの二作品だと土門は生きづらそうだなと感じていたので、助手の高倉以外にも土門を理解し寄り添えている人がいて良かったと思う。
さらにこれまで科学以外は信じないと言っていた土門が、人を信じ