【感想・ネタバレ】水よ踊れのレビュー

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Posted by ブクログ

大陸回帰前の香港の様子が息づかいと共に伝わってきた。香港人としてのアイデンティティ、今後も維持してほしい。

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2023年10月20日

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観光客の目にはとまらない香港の素顔を垣間見ることができた。都市計画という視点で香港を捉え、ミステリーに仕立てた著者の手腕に舌を巻いた。面白かったです。

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2023年05月05日

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ネタバレ

イギリスから中国への変換が目前に迫った香港に帰ってきた主人公瀬戸和志。建築学勉強のための留学という名目だったが、本当の目的は3年前になくした恋人の死因をさぐるためだった。

中国共産党の手により香港から民主主義が消えていく、という社会情勢を縦軸に、和志の成長譚を横軸に、さらには国籍問題や難民問題、貧困層の生活描写なども色濃く反映しつつ、織りなされる物語は、想像していたものと全然違ってよい意味で濃い味つけで読み応えもしっかりしていた。

現実に起こっている香港の状況や事件、台湾や南インド洋における中国の覇権主義。何も中国だけが悪者でもないんだろうが、政治に翻弄される庶民の生活を考えるとたまったものではない。「日本は平和で民主主義で良かったな」と安どするのではなく、ほっておくと暴走して生活を脅かすのが「政治」だということを肝に銘じて、行動する必要がある。

といっても、デモに参加したり署名運動に加わったり、テロを起こせとかそんなことを言っているのではなく、信頼できそうな情報(まだマシそうな報道など)を客観的に分析し、政情がまだましだと思える方向に少しでも傾くように選挙に行こう、投票しよう。ってことだけ。

なんとも頼りなく思えた主人公が、成長し大変貌をとげる最終章に、「得体のしれない政情ってバケモノに対してでも、俺たちにも何かできることはあるはず」って希望を見いだせたのがとてもよかった。

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2021年11月29日

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激流の香港を生き抜いた彼らの志(ウィル)をどう受け止め読み解くかは、私たちに投げられた課題だ。
返還前、90年代後半の熱量に溢れた香港の街、人々、建築、匂い、食べ物、圧倒的筆力で描かれた景色は、私たち日本人に様々な思慮を与えるに十分足りるし、その流れの速さに負けぬくらいのテンポで進むストーリーに置いて行かれぬよう、拳をにぎりしめながらページを捲らなくては呑み込まれてしまう。
スラムの闇に消えた少女。
ビルの屋上で暮らすボートピープル。
保釣運動をする民主派の学生会幹部。
幽霊屋敷に暮らす活動家。
共産党員の大物建築家。
アイルランドからの留学生。
政治に巻き込まれ政治の中で生きることを、あらためて考える。
日本という国で生まれ育ち、テレビのニュースでシュプレヒコールを聞く毎日を改めて考える。
脆弱な主人公の日本人が未来に向けて意思を示すに至る過程もすばらしい。
そして、なによりエンディングがすばらしい。

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2021年08月22日

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瀬戸は日本の大学から香港の大学へ建築を学ぶためやってきた交換留学生。しかし建築だけが理由ではなかった。もっと前、13歳から17歳まで香港にいた。それは香港が中国に返還される激動の時期だった。そしてその時に最愛の女性が死んでいて、その謎を解くために再度やって来たのだった。

登場人物に感情移入させられるだけでなく、香港を含むアジアの近現代史を考えさせられる傑作。

建築をストーリーに絡めるのはやや強引な感じがしたが、それもまたOK。

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2021年08月12日

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1997年香港が中国に回帰する直前。日本人の和志がそこで見たもの、感じたもの。貧しさのなかで暮らす恋人との出会いとささやかな日々。その終わり。その当時の香港の政治、市民の声。方向性はそれぞれでもその熱量は大きい。中国の一部になることの恐れ、怒り、諦め。舞台は97年だけれど今の物語のよう。今を、未来を変えようとする強い思い、志(ウィル)が後半になるにつれ大きく膨らんでいく。一人の人間としてどう生きていくのか、どう生きたいのかを問われているような小説。岩井さんの作品は初めて読んだけれど他の作品も必ず読もうと思う。

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2021年07月17日

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舞台は中国回帰直前の1996年の香港

主人公は幼少期に過ごした香港に留学を機に再度訪れる大学生の男の子
目的は、かつて香港で交際していた少女の死の真相を探るため
ただ、そこには様々な障壁がある
移民と貧困問題、裏社会や政治に蔓延る社会主義の闇、共産党と民主派の対立、日本への敵視
様々な問題、、
分の生き方に迷い、葛藤する若い青年の物語は純粋に引き込まれる

貧困層の生活と、少年の恋心がリアルに描かれておりとても感情移入ができて面白かったし切ない。
表面的な問題に囚われず、相手の立場に立ち、信じることの大切さと尊さを考えさせられる(回帰直前の国籍問題の件)
香港が抱える様々な問題が浮き彫りとなり、非常にわかりやすく勉強になるため、香港を知りたい、歴史を学びたい方にはオススメしたい

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2023年10月09日

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乗ってくるまでが長かった。
香港語、香港情勢、建築の知識などが多く書かれており、読むことに体力が要った。

「周りは自分の意思に従って、リスクがあったとしても行動を起こしているが、自分は全然大した行動ができていない」というような主人公目線の描写があったが、彼は十分すぎるほど勇敢で、自分の正義に従った行動を起こせてるよ。って言ってあげたくなった。

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2022年08月17日

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1996年の香港。
13歳から17歳まで香港で暮らしていた和志は、その時に知り合った彼女の死が忘れられず、大学での交換留学生として香港へ。
そこで、彼女の死の真相を調べる。

これは、政治が絡んだ事件だった。
すべて政治で決まる。
殺人事件をなかったことにするのも…。

とても複雑な流れではあったが、結末を知ると納得できる。
どの時代であっても、すべて政治で、ものごとは決まるというのも世の中の常なのかと思うとやりきれなさを感じた。

読みながら2003年1月に香港へ行ったことを思いだした。
香港のイメージといえば、狭い場所にやたらと高くて細長いビルが建ち並んでいる…窮屈で閉塞感を感じたように思う。
一方で、道を外れるとスラム街ともいえるようなところもあり、もう一度足を踏み入れようとは思えなかった。
今は、あの頃に比べて変化しているのだろうか。

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2022年02月02日

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いつも個性的な設定で、悩める主人公を登場させる。
 返還前の香港で、過去を問い直す交換留学生(建築学)か。

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2022年01月30日

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めちゃくちゃ良い/ 97年の、まだアナログだった時代の猥雑な香港の感じとか学生たちの生活感とか、空気が懐かしくてのめり込んでしまう/ 少年時代の恋人の死の真相を探ろうという大学生の主人公が普通の子で良い/ スーパーマンじゃないし、頭が抜群に切れるわけでもない/ 作品内のあらゆる事象に丁寧な振りがあって好感が持てる/ 主人公の名前ひとつ取っても、しっかり意味が持たせてある/ 後半のタクシー運転手とのやりとりも、大きなオチのフリに使っているわけだ/ かなり計算して色々決めたんだろうと思う/ 細かいところを抜きにしても、同じ屋上に住んだ二人の少女の心中を慮ると本当に切なくて悲しい/ ただ、最後の〝救い〟は賛否あると思う/ あそこで誰を救わなくても現実的な話としては有りだし、自分ならそうするかもしれない/ 
 

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2022年01月12日

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1997年7月の中国返還を間近に控えた香港を訪れた1人の日本人留学生。彼は昔、香港に住んでいたことがあり、ある目的を持ってこの地を再訪したのだった。ミステリー仕立ての構成だが、犯人探しが目的の小説ではない。自由の象徴としての香港や、様々な事情で母国を去らねばならなかった人々の思いが交錯し、読む手が止まらない。最終章が理想論になってしまったのは惜しいが、読み応えのある力作だった。

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2021年10月31日

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返還前の香港、愛していた少女が目の前でスラムのビルから落ちて死んだ。犯人を目撃した和志は警察に告げた後家庭の事情で帰国する。3年後香港の大学に留学し、彼女の死の真相を調べる。この謎、事故死にされた理由が物語の本筋だが、本当の面白さは香港の人々の風景、空気、難民や本土からの違法入国など共産党支配の影に怯えつつ戦う人々にある。
歴史物としても恋愛友情モノとしてももちろんミステリーとしても読める力作だ。

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2021年09月28日

Posted by ブクログ

08月-20。3.0点。
香港返還前夜の1997年、建築を学ぶために留学していた主人公。数年前香港在住の際、好きになった女性がビルより転落死。留学の目的は、転落死の真相を探ること。。。

うーん。イマイチストーリーに乗れなかった。真相も意外にこじんまりと感じてしまった。

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2022年08月30日

Posted by ブクログ

香港の情勢や建築からの都市計画等、読み応えがあった。
この本の前に読んだ本が日本のアジア団地にも触れていたので、それもあってもか色々考えることはあった。
最後まで読んで「水よ踊れ」が「Leap like water」であることに成程と思った。
この方はの作品は「矯正医官」「数学者」「建築を学ぶ学生」と物語に添わせる専門の選び方が面白いなと思った。
ただ国家間の話で後ろ盾のない個人がそううまく行くかな、と思うところはほんの少しあった。

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2022年01月19日

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