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Posted by ブクログ
自らも少年のころに罪を犯してしまった過去がある弁護士が、少年の弁護士にあたる「付添人」として、子どもたちに寄り添い支えていくエピソードをつづった物語。
私は子どもの声を聴く傾聴ボランティアを長くやっていて、子どもに心の内を話してもらうことの難しさをずっと考えながらやってきてるんだけど、「なんでも話して」なんて言ったって、その相手を信用できなければ自分の本当の気持ちなんて話せないと思うのね。
主人公の朧太一が言う「ここは安全です。落ち着いて話してください」っていうひとことをどれだけ責任をもっていえるか。そういった言葉たちをいくつもかみしめながら読んだ。
エピソードと並行して主人公自身の心の傷もにも焦点が当てられていくんだけど、支える人をまた別の人が支えて…というひとのつながりで得られる癒しみたいなものも描かれているのがとてもよかった。
ボランティア仲間にも勧めて読んでもらって、感想を言い合ったりしたりもしたんだけど、それをそばで聞いていた他の人も読み始めたりして、うちのボランティア界隈でちょっとした「付き添うひと」ブームが来ているのも最高にいい。
Posted by ブクログ
犯罪を犯した少年たちが、家庭裁判所で審判を受ける際に、その権利を擁護、代弁する付添人。
付添人の朧太一は、少年少女に寄り添い生活や将来へのサポートをしていく。
子どもの犯罪は奥がとても深く複雑で、一筋縄ではいかないものが多い。家庭環境や学校、職場などの人間関係を表には見えない部分まで探り出していく姿は圧巻だった。
朧自身も過去に毒親の指示で少年院へ入っていた経験を持っていることが、付添人として子どもたちを救いたい気持ちに繋がっている。
そして、子どもたちを救いの手を差し伸べることで、過去の自分自身を救ってもいるのだろう。
子どもとはいえ、犯罪を犯した罪が許される訳ではないけど、成人してから大きな犯罪を犯さないように、人生を崩してしまわないように、付添人の存在はこれからの世の中の大きな支えになるだろう。
Posted by ブクログ
岩井圭也さん、7冊目。
作者さんとの相性があまり良くないことを自覚しつつも、なんとなく気になる本も多く、ボチボチとお付き合いしているところ。
今作は、自らの過去を踏まえて「付添人」の仕事に就いた弁護士・朧太一の物語。
付添人-家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるよう裁判所に協力する人。
少年犯罪において弁護人の役割を担う人ということだが、こういう仕事(制度)があることを初めて知った。
成人の刑事事件を思えば当たり前のように思えるものが、少年事件においては過去には必ずしも必要不可欠とされていなかったということに軽い驚き。
解説を読めば、現在は国選付添人弁護士制度まで出来たようだが、そこまでの道のりが全国の弁護士の方々の自腹で取り組まれてきたということにもまた驚く。
描かれるのは様々な少年事件。殺人容疑をかけられた少年とその友人、親に虐待され逃げ出してきた少女、補導を繰り返し虞犯少年(この言葉も初見)として家裁に送致されてきた少女、ネットで誹謗中傷を繰り返す引きこもりの少年、両親が横領で捕まり保護された少年、そこにそうした行先のない少年少女を個人的に匿っている女性・笹木や朧自身の出自や過去が絡まる。
家庭の事情、とりわけ親の身勝手、に追い込まれて起こる少年事件の実際と付添人の活動の実情がよく知れる。
ディスレクシアを認めた上で人生を歩んでいこうとする少年(と子どもの障害を正しく理解した母)の決意が描かれる第四話、両親の罪を受け止め乗り越えようとする少年の姿と朧・笹木の過去が重なった第五話が、とりわけ良かった。
Posted by ブクログ
2000年の少年法改正により、少年審判の手続きや処遇を適正に進めるため、裁判所に協力する役割を果たす「付添人」(主に弁護士が担当)が公的に認められたとのこと。つまりは、被疑者の少年(少女を含む)の味方となる人ですね。
本作は、副題の「子ども担当弁護士・朧太一」が主人公の、5話からなる連作短編集です。名前はオボロ、見なりはオンボロ‥、でも少年たちへ寄り添い、手を差し伸べ続ける熱い心の持ち主で、自身が過去に傷を負っている背景がありました。
オボロは様々な問題を抱えた子どもたちへ真摯に対峙しますが、彼らはなかなか心を開かず、SOSの声の上げ方もわからないようです。それでもオボロの丁寧な語りかけが少しずつ彼らを変容させ、徐々に内に秘めた心の叫びを吐き出していきます。各話とも、リアルな描写に心が痛みます。
これらの要因を辿っていくと、親たちの傲慢で勝手な言動に行き着きます。結局、翻弄されるのはいつも子どもで、心の逃げ場を失って自分を諦め、前向きな思考ができなくなっていくんですね。
法整備が進んでも、それだけでは対処療法で根本的な解決にならないのは自明です。親や周囲の無自覚が子どもを追い込んでいると理解し、他人事ではないと胸に刻む必要がありそうです。
とまあ偉そうに書きましたが、深刻で重い内容ではあるものの、オボロの奮闘と短編ゆえか、結構さらりと各話が展開していきます。最終話で、オボロ自身が救われる終わり方もよかったです。
辛い思いをしている、かつてしていた全ての人へ伝えたいですね。「過去・他人は変えられないけれど、未来・自分は変えられる」と‥。
岩井さんの想いがオボロに反映され、温かな筆致で優しく先を照らしてくれる一冊でした。
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