古沢嘉通のレビュー一覧

  • 紙の動物園

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    SFのレーベルから出てるし、SFっぽい話が多いから、一応ジャンルはSFなんかな?1話が程よい長さで、訳もきれいで読みやすいんだが、全体的に社会風刺がビシビシなので、読んでで楽しくはない。が、おもしろかった。1話ずつ、間を開けて読んだ方がよいと思う。あと、デット・チャンみたいやな〜と思いながら読んでたら、作者注でデット・チャンについて語ってたし、あと訳者さんも同じでしたわ。

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    2025年04月27日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    アヘン戦争前のイギリス、清から連れて来られた主人公の物語。翻訳が魔力を生み出す世界。最初は戸惑うが、青春物語としても奴隷の物語としても面白く読めた。

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    2025年04月23日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    圧倒的な銀の保有量と覇権言語の英語を母国語とする英国帝国が世界支配を強める中、それに反旗を翻す革命家たちの物語。

    現実の世界史を下敷きにする魔法ファンタジー。帝国vs抵抗軍という古典的な対立構造だけど今のグローバリゼイションや欲望の肥大化へのアンチテーゼとも読める。多様性や寛容性というのはなかなか育まれにくい。下巻での伏線回収が楽しみ。

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    2025年04月20日
  • 鬼火(上)

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    ボッシュ・シリーズ22作目。

    ハリー・ボッシュが新人刑事だった頃にパートナーだった先輩のトンプスンが亡くなった。
    葬儀に参列したボッシュは、未亡人から、トンプスンが保管していた事件の調書を渡される。1990年に起きた未解決事件で服役囚が殺されたものだった。
    ボッシュはレネイに協力を求めます。

    ボッシュは、ミッキー・ハラーが担当している事件の被告側調査員も引き受けていた。判事が公園で暗殺された事件である。
    一方、レネイは、テントで暮らしていたホームレスの焼死事件も扱っている。事故死のように見えたのだったが…
    三つの事件が進行し、絡み合う‥?!

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    2025年04月13日
  • 素晴らしき世界(上)

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    マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズ21作目。
    レネイ・バラードとの初共演作でもある。
    前に登録した時に電子書籍だったので、登録しなおしました。

    ハリー・ボッシュは、ロサンゼルス市警に長く勤めた刑事。
    猟犬のように正義を追い求める根っからの刑事だが、やや型破りでもあった。
    サンフェルナンド署では未解決事件を担当し、驚くべき成果を上げている。

    レネイ・バラードは、ハワイ出身の30代の女性。左遷されて深夜勤務についていたのだが。
    ある日、見たこともない男が資料をあさっているのを発見する。
    昔取った杵柄で、ハリウッド署でかって起きた事件のファイルを見るために入り込んでいたボッシュだった

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    2025年04月13日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    ネタバレ

    CL 2025.4.7-2025.4.10
    本書の原題が「バベル、あるいは暴力の必要性ーオックスフォード翻訳家革命秘史」であることを考えれば、このラストはある意味そのままで、予測できるけど。それでも下巻はなかなかに厳しい状況ばかりで切なくもある。
    19世紀のイギリスの傲慢すぎる帝国主義、今に残る白人至上主義。決して過去の話ではない。
    こういう作品が日本の若い人にももっと読まれるといいのにと思ってしまう。

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    2025年04月10日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下

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    ネタバレ

    以下ネタバレしてます!!!

     架空歴史学園ファンタジー? いやいや、これは、革命史。そう、タイトルは「バベル オックスフォード翻訳家革命秘史」後書きによれば、英語タイトルでは「バベル、あるいは暴力の必要性 オックスフォード翻訳家革命秘史」だそうで、助長なので「あるいは暴力の必要性」は削られたそう。読後に知ったけれど、たいへん的を射たタイトルだと思った。

     上巻は楽しい。でも、ひたひたと変化が追ってくる緊張感を感じていた。ゆっくり澱が形成されていくように。生い立ち、血のつながり、搾取、差別、被支配、暴力、孤独。
     上巻の終わりにそれまで澱のように沈んでいたものが撹拌され、衝撃的かつ決定的な事

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    2025年03月02日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    19世紀、大英帝国は世界中の銀を手中に収めることで空前の大繁栄を遂げていた。
    そんな中、遥か彼方の中国・広東で死にかけていた少年ロビンが、非印欧語のネイティブかつ英語話者という資質を買われオックスフォード大学教授のラヴェルの元で言語を教え込まれ翻訳家への道を歩み出す。
    だが一方で、帝国に反旗を翻そうとするヘルメス結社の存在があった。

    寮生活で親友たちと一緒、魔法が出てくるということもあって、どこか『ハリー・ポッター』のような雰囲気もあった
    前半・ロビンたちの順風満帆さと、後半・その順風満帆さの裏に隠れた世界の構造との対比がえげつなかった
    時々入る注釈が、『バベル』世界そのものの注釈として(例

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    2025年02月27日
  • バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上

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    タイトルだけ見るとなにやら小難しそうな印象だが、本作は19世紀イギリスを舞台にしたアカデミックなファンタジーだ。著者は前書きに相当する注釈で「スペキュレイティブ・フィクション」と呼んでいる。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作だ。
    銀の棒に刻まれた2つの言語による単語の意味の違いから生じる魔法が、イギリスに強大な力を与えていた。オックスフォード大学の敷地内にある研究所〈バベル〉の新入生となった男女4人が、世界中の言語とそれをめぐる陰謀に向かい合う姿を描く。
    上巻だけで467ページもある。注釈も多く、読みやすいとはいえないがおもしろい。下巻へ。

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    2025年02月23日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    ネタバレ

    (上巻より)

    依頼者が撃っていないことを証明しようとした画像が
    AIを使って作成されていたので、
    証拠として認められないというハプニングが起きながら、
    わざと法廷侮辱罪を受けるようにして、
    時間を稼ぎをするとはさすが、ハラー。
    もっとも判事にばれてもう一度刑務所に収監されることになるが。

    ただ、依頼者を無実の罪に陥れた保安官補が殺されてしまって、
    ちょっと不完全燃焼。
    二度目の収監でハラーは転換点を迎えたらしい。
    どんな転換になるのやら。

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    2025年01月04日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(上)

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    ネタバレ

    リンカーン弁護士シリーズ。

    ボッシュが警察を退職してしまった今となっては、
    間接的な形でしか事件に関わらないのは仕方がないのだが、
    どうも「敵」である刑事弁護士ハラーとのタッグはちょっと抵抗がある。
    いまだに。

    ボッシュ自身も刑事弁護の仕事には一線を引いていて、
    ハラーの事務所のアソシエイツの頼みで、
    彼女の甥の事件の警察資料を読み込んで内密でアドバイスをしても、
    記者会見には同席しないと断るぐらいには。

    とはいえ、もう登場しないかと思っていたボッシュが登場することは嬉しい。
    ボッシュはハラーのお蔭で癌の治療を受けながら、
    ハラーに届く無実を訴える手紙をの中から一通を選び出す。
    保安官補

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    2025年01月04日
  • 正義の弧(下)

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    正義の弧。
    正義というベクトルは、どんなに悪が蔓延っても最後は弧を描いて正しい場所にたどり着く。

    正義はボッシュである。
    悪は、もちろん犯罪者である。

    2つの未解決事件を軸に物語は進むが、
    未解決事件だからこその難しさと、その事件にはボランティアとして参加している難しさが
    ボッシュを苛立たせる。

    そして正義の弧はラストに思いも寄らぬ弧を描いてたどり着く。

    原題はDesert Star。
    砂漠に咲く花。
    未解決事件の凄惨な現場が砂漠であることにちなんでいるのだろう。

    原題より邦題がこの物語のすべてをひとことで物語っている。

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    2024年11月27日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    本作のタイトルは『復活の歩み』という事で、癌を患ったボッシュに復活の兆しがある事、そして、ミッキーが扱った事件で被疑者とされた人が復活することを表しているのかなぁと思っていたんですが、実は実は、物語の最後の最後に、もっと違う“復活の歩み”の兆しが描かれていたというのは、気のせいでしょうか?ってか、その人物の“復活”って何だ?という気もしますが。

    ところで、ボッシュって、この作品上では、もう70歳を超えているんですね。という事は、ミッキ-・ハラーは何歳なんだ?ボッシュの娘のマディもLAPDでのキャリアを進めている様だし、物語の登場人物が移り変わっていくのかもしれませんね。

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    2024年11月21日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(上)

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    ハリー・ボッシュとミッキ-・ハラーが出る作品。

    前作で、ボッシュは被爆してしまう訳ですが、今作では、その治療に取り組みながら、ハラーの仕事をしています。ボッシュは、LAPDやSFPDを退職し、どうやって行くのかと思っていたのですが、何とかうまくやっている様です。ってか、でもやっぱり、これまではハラーの反対側にいたわけですから、なにかと引っかかるところはある様です。

    でも逆に、その警察官としこれまで培ってきたスキルが、刑事弁護士と仕事をする際に、何かと役に立つこともある様です。

    上巻は、物語のほんのとっかかり。きな臭い香りもしてきています。下巻で、どう話が進んでいくのか、期待です。

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    2024年11月17日
  • 紙の動物園

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    ケン・リュウの作品はテーマがストレートに描かれていてわかりやすい。ディズニー映画級にわかりやすい。日本人が主人公の表題作など顔が赤らんでしまうほどだ。
    わかりやすく説明的に描かれている分想像の余地は当然薄れてしまい、自分的には物足りなさを感じてしまう要因となるのだけれど。
    SF味の薄い「文字占い師」のような作品の方が印象に残っています。空虚なただの言葉であるはずのものが強カな力をもち人々を動かしはじめる。ル・グインを思わせる読後感。言葉は大事に使わないとね。
    ラストのオカルト・スチーム・パンクといった趣の「良い狩を」が哀愁もあり一番おもしろいかな。

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    2024年11月15日
  • 正義の弧(下)

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    前作の流れが続くボッシュ&バラードシリーズ。相変わらず常に先が気になるストーリー展開と、一作ごとに成長していく登場人物たち。バラードはついにリーダーとなり、ボッシュは…、ちょっと元気が足りないかな。
    いつも楽しみな訳者解説(あとがき)、ついに「全作翻訳」できたそうで、おめでとうございます。映像作品もまだまだ続くようで、そちらも含めて楽しみです

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    2024年11月13日
  • リンカーン弁護士(下)

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    うーん、流れが良くてすごく考えられてるんだろうなぁ、とは思うけども。でもよ、最後に警察が犯人に気がつくというくだりが理解できないよ。てかみんな付いてってるの?馬鹿なおじさんにも分かるように3行で教えてプリーズ。
    みたいなのもあるけどそこら辺は勢いで無視してまぁ面白かったよ。最終的には主人公もコテンパンでwin-winどころかlose-loseじゃろうがってことだけど、なんか一皮むけた主人公の次回作に乞うご期待って感じよね。

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    2024年10月19日
  • リンカーン弁護士(上)

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    ちょっとダーク・ヒーローみたいで、とても読み応え有り。
    ワクワクドキドキしながら下巻へ。
    超一級品のリーガル・サスペンスだぞ。すげ~

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    2024年10月08日
  • ダーク・アワーズ(下)

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    最も信頼すべき作家であるコナリー先生は、今回も裏切るどころか、期待を上回る物語でした。
    バラードとボッシュの組み合わせは、本当に素晴らしいね。次作にも続くようなので楽しみ。ロス市警の腐敗ぶりが気になるねけどね。
    ドラマシリーズにもバラードが登場を期待。

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    2024年10月03日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    サンズの無実を証明する裁判が始まり、ハラーは犯行の再現映像や携帯電話の位置追跡などあらゆる手を尽くす。だが、検察側は意外な証人を用意して、新証拠の採用を認めさせない。ボッシュの証言の反証に立ったのは、ハラーの元妻マギーだった。窮地に陥ったハラーは、さらに法廷侮辱罪で拘束されてしまう!

    今作に限って、珍しく着地点が見えてしまった。それでも読み応えは十分でした。

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    2024年09月29日