古沢嘉通のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“銀の棒が震えながら歌っていた。自分たちに関する筆舌に尽くしがたい真実を表現しようとしているかのようだ。それは翻訳が不可能だと言う真実だった。翻訳がとらえ、表現する純粋な意味の領域は決してわからないだろうし、わかりようがないことを。
というのも、アダムの言語なんてものがどうやったらあり得るのだろう? 生得的で、完璧に理解可能な言語なんてものは存在しない。そんな言語になり得る候補なんてない。威張りちらし、一つのものになろうとして、吸収できるような言語はない。
言語はたんなる相違なのだ。千もの異なる見方、世界の動き方がある。いや、ひとつの世界の中に千の世界がある。そして翻訳は、どれほど無駄であろ -
Posted by ブクログ
同じ意味の単語を二か国語からそれぞれ選んでも、語源を辿ると完璧には一緒の意味を示すことにはならない。言葉は、単語一つ取り出しても歴史的・文化的背景によって本質的に多義的なのだ。この単語のペアに含まれた意味のズレに魔法が宿る、という設定が面白い。これは自分でも考えて作りたくなる。
例えば日本語と英語のペアでは、こんなのはどうだろう?
「間」と「gap」をGoogleで調べるとAIがこう回答してくれる。
「間(ま)」と「gap」は、どちらも「隔たり」や「隙間」を意味しますが、ニュアンスや使われ方が異なります。「間(ま)」は、時間や空間、または心理的な隔たりなど、幅広い意味で使われる抽象的な概念で -
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ケン・リュウ / 桜坂洋 / アンディ ウィアー / デヴィッド・バー・カートリー / ホリー・ブラック / チャールズ・ユウ / チャーリー・ジェーン・アンダース / ダニエル・H・ウィルソン / ミッキー・ニールソン / ショーナン・マグワイア / ヒュー・ハウイー / コリイ・ドクトロウ / アーネスト・クライン / D・H・ウィルソン / J・J・アダムズ / 中原尚哉 / 古沢嘉通3.6 (31)
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ゲーム×SFという、好きな物同士の掛け合わせで面白くないわけがなかった。
アンディ・ウィアー目当てで買ったものの、他の作家さんの短編も面白いものがたくさんあって大満足。
「1アップ」「リコイル!」「アンダのゲーム」「キャラクター選択」が特に良かった。
MMOを長く遊んでいるし、FPSやテキストアドベンチャーもある程度通ってきているから想像がつきやすく楽しめた。この本を手に取っている時点でゲームが好きな人が多いとは思うけれど、ゲームに馴染みが無さすぎるとあんまり楽しめないような気はする。
ゲームだしSFだしで、絶対に現実ではないんだけど、でもそこで繰り広げられる人間同士の会話や感情はフィク -
Posted by ブクログ
アヘン戦争や産業革命の時代の英国を舞台にした魔法使い(翻訳家)たちの物語。中国との戦争を止めるため植民地に出自をもつ魔法使いが中心となってクーデターを起こす。
すでに銀を触媒にした魔法は英国のインフラとなっておりストライキによってそのメンテナンスをしないことで混乱を拡大させていく。すでにインフラとなったインターネットやこれからなるであろうAIに置き替えると、職業が失われることがどういうことか、寡占的に起業に技術が集中し資本や政治と結びつくことで権力がどう暴走するのかということを考えさせられる。
物語として面白いけど前半の丁寧な前提の描写に対して登場人物が簡単に死にすぎだなと感じる。 -
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ボッシュ・シリーズ22作目。
ハリー・ボッシュが新人刑事だった頃にパートナーだった先輩のトンプスンが亡くなった。
葬儀に参列したボッシュは、未亡人から、トンプスンが保管していた事件の調書を渡される。1990年に起きた未解決事件で服役囚が殺されたものだった。
ボッシュはレネイに協力を求めます。
ボッシュは、ミッキー・ハラーが担当している事件の被告側調査員も引き受けていた。判事が公園で暗殺された事件である。
一方、レネイは、テントで暮らしていたホームレスの焼死事件も扱っている。事故死のように見えたのだったが…
三つの事件が進行し、絡み合う‥?! -
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マイクル・コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズ21作目。
レネイ・バラードとの初共演作でもある。
前に登録した時に電子書籍だったので、登録しなおしました。
ハリー・ボッシュは、ロサンゼルス市警に長く勤めた刑事。
猟犬のように正義を追い求める根っからの刑事だが、やや型破りでもあった。
サンフェルナンド署では未解決事件を担当し、驚くべき成果を上げている。
レネイ・バラードは、ハワイ出身の30代の女性。左遷されて深夜勤務についていたのだが。
ある日、見たこともない男が資料をあさっているのを発見する。
昔取った杵柄で、ハリウッド署でかって起きた事件のファイルを見るために入り込んでいたボッシュだった -
Posted by ブクログ
19世紀、大英帝国は世界中の銀を手中に収めることで空前の大繁栄を遂げていた。
そんな中、遥か彼方の中国・広東で死にかけていた少年ロビンが、非印欧語のネイティブかつ英語話者という資質を買われオックスフォード大学教授のラヴェルの元で言語を教え込まれ翻訳家への道を歩み出す。
だが一方で、帝国に反旗を翻そうとするヘルメス結社の存在があった。
寮生活で親友たちと一緒、魔法が出てくるということもあって、どこか『ハリー・ポッター』のような雰囲気もあった
前半・ロビンたちの順風満帆さと、後半・その順風満帆さの裏に隠れた世界の構造との対比がえげつなかった
時々入る注釈が、『バベル』世界そのものの注釈として(例