古沢嘉通のレビュー一覧

  • 復活の歩み リンカーン弁護士(上)

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    ネタバレ

    リンカーン弁護士シリーズ。

    ボッシュが警察を退職してしまった今となっては、
    間接的な形でしか事件に関わらないのは仕方がないのだが、
    どうも「敵」である刑事弁護士ハラーとのタッグはちょっと抵抗がある。
    いまだに。

    ボッシュ自身も刑事弁護の仕事には一線を引いていて、
    ハラーの事務所のアソシエイツの頼みで、
    彼女の甥の事件の警察資料を読み込んで内密でアドバイスをしても、
    記者会見には同席しないと断るぐらいには。

    とはいえ、もう登場しないかと思っていたボッシュが登場することは嬉しい。
    ボッシュはハラーのお蔭で癌の治療を受けながら、
    ハラーに届く無実を訴える手紙をの中から一通を選び出す。
    保安官補

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    2025年01月04日
  • 正義の弧(下)

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    正義の弧。
    正義というベクトルは、どんなに悪が蔓延っても最後は弧を描いて正しい場所にたどり着く。

    正義はボッシュである。
    悪は、もちろん犯罪者である。

    2つの未解決事件を軸に物語は進むが、
    未解決事件だからこその難しさと、その事件にはボランティアとして参加している難しさが
    ボッシュを苛立たせる。

    そして正義の弧はラストに思いも寄らぬ弧を描いてたどり着く。

    原題はDesert Star。
    砂漠に咲く花。
    未解決事件の凄惨な現場が砂漠であることにちなんでいるのだろう。

    原題より邦題がこの物語のすべてをひとことで物語っている。

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    2024年11月27日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    本作のタイトルは『復活の歩み』という事で、癌を患ったボッシュに復活の兆しがある事、そして、ミッキーが扱った事件で被疑者とされた人が復活することを表しているのかなぁと思っていたんですが、実は実は、物語の最後の最後に、もっと違う“復活の歩み”の兆しが描かれていたというのは、気のせいでしょうか?ってか、その人物の“復活”って何だ?という気もしますが。

    ところで、ボッシュって、この作品上では、もう70歳を超えているんですね。という事は、ミッキ-・ハラーは何歳なんだ?ボッシュの娘のマディもLAPDでのキャリアを進めている様だし、物語の登場人物が移り変わっていくのかもしれませんね。

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    2024年11月21日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(上)

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    ハリー・ボッシュとミッキ-・ハラーが出る作品。

    前作で、ボッシュは被爆してしまう訳ですが、今作では、その治療に取り組みながら、ハラーの仕事をしています。ボッシュは、LAPDやSFPDを退職し、どうやって行くのかと思っていたのですが、何とかうまくやっている様です。ってか、でもやっぱり、これまではハラーの反対側にいたわけですから、なにかと引っかかるところはある様です。

    でも逆に、その警察官としこれまで培ってきたスキルが、刑事弁護士と仕事をする際に、何かと役に立つこともある様です。

    上巻は、物語のほんのとっかかり。きな臭い香りもしてきています。下巻で、どう話が進んでいくのか、期待です。

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    2024年11月17日
  • 紙の動物園

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    ケン・リュウの作品はテーマがストレートに描かれていてわかりやすい。ディズニー映画級にわかりやすい。日本人が主人公の表題作など顔が赤らんでしまうほどだ。
    わかりやすく説明的に描かれている分想像の余地は当然薄れてしまい、自分的には物足りなさを感じてしまう要因となるのだけれど。
    SF味の薄い「文字占い師」のような作品の方が印象に残っています。空虚なただの言葉であるはずのものが強カな力をもち人々を動かしはじめる。ル・グインを思わせる読後感。言葉は大事に使わないとね。
    ラストのオカルト・スチーム・パンクといった趣の「良い狩を」が哀愁もあり一番おもしろいかな。

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    2024年11月15日
  • 正義の弧(下)

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    前作の流れが続くボッシュ&バラードシリーズ。相変わらず常に先が気になるストーリー展開と、一作ごとに成長していく登場人物たち。バラードはついにリーダーとなり、ボッシュは…、ちょっと元気が足りないかな。
    いつも楽しみな訳者解説(あとがき)、ついに「全作翻訳」できたそうで、おめでとうございます。映像作品もまだまだ続くようで、そちらも含めて楽しみです

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    2024年11月13日
  • リンカーン弁護士(下)

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    うーん、流れが良くてすごく考えられてるんだろうなぁ、とは思うけども。でもよ、最後に警察が犯人に気がつくというくだりが理解できないよ。てかみんな付いてってるの?馬鹿なおじさんにも分かるように3行で教えてプリーズ。
    みたいなのもあるけどそこら辺は勢いで無視してまぁ面白かったよ。最終的には主人公もコテンパンでwin-winどころかlose-loseじゃろうがってことだけど、なんか一皮むけた主人公の次回作に乞うご期待って感じよね。

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    2024年10月19日
  • リンカーン弁護士(上)

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    ちょっとダーク・ヒーローみたいで、とても読み応え有り。
    ワクワクドキドキしながら下巻へ。
    超一級品のリーガル・サスペンスだぞ。すげ~

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    2024年10月08日
  • ダーク・アワーズ(下)

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    最も信頼すべき作家であるコナリー先生は、今回も裏切るどころか、期待を上回る物語でした。
    バラードとボッシュの組み合わせは、本当に素晴らしいね。次作にも続くようなので楽しみ。ロス市警の腐敗ぶりが気になるねけどね。
    ドラマシリーズにもバラードが登場を期待。

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    2024年10月03日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    サンズの無実を証明する裁判が始まり、ハラーは犯行の再現映像や携帯電話の位置追跡などあらゆる手を尽くす。だが、検察側は意外な証人を用意して、新証拠の採用を認めさせない。ボッシュの証言の反証に立ったのは、ハラーの元妻マギーだった。窮地に陥ったハラーは、さらに法廷侮辱罪で拘束されてしまう!

    今作に限って、珍しく着地点が見えてしまった。それでも読み応えは十分でした。

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    2024年09月29日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(上)

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    無実の罪の服役囚を救い出した刑事弁護士ミッキー・ハラーには、冤罪を訴える囚人からの手紙が殺到していた。元ロス市警刑事のハリー・ボッシュがその選別をし、前夫殺害犯のルシンダ・サンズに目をとめる。凶器が未発見など不可解な点を探り始める二人だが、その矢先、それぞれの自宅に何者かが侵入した。
    リンカーン弁護士シリーズ第7弾!

    いよいよ法廷というところで、下巻に続く。

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    2024年09月27日
  • 復活の歩み リンカーン弁護士(下)

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    リンカーン弁護士ミッキー・ハラーとハリー・ボッシュの最強コンビ。ミッキーの章は一人称、ハリーの章は三人称でスピーディーに展開する。シリーズ当初、刑事弁護で勝利を収めるために必ずしも正義や真実を求めなかったハリーが、自身の弁護によって無実の人が復活する瞬間に立ち会うことによって、これまでと全く違う弁護士になっていく。一方、ハリーは刑事弁護人の調査員となることでこれまでの法執行官としての自分自身を見つめ直すとともに娘とのふれあいを通じて生きる喜びを再認識していく。ラストに向かう息詰まる展開とカタルシスはファンを裏切らず、次回以降のふたりの活躍に益々期待させられる作品である。

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    2024年09月17日
  • 転落の街(上)

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    久しぶりのコナリー。一つ前に読んだ『証言拒否』の印象が悪く長らく積ん読状態だったが、ふと気が向いて手に取った。サラサラっと上巻終了。最近は訳者の口調(でいいのかね)でイライラさせられることが多いが、コナリーもその一つ。「〜しており」「〜ということがボッシュにはわかった」が頻発。原書がそうならコナリーも老いたってことですかね。文章に味わいがない。

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    2024年08月16日
  • 紙の動物園

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    海外SFは今まで古典的なディック、ハインライン、クラーク等の長編しか読んだことがなかったのですが、短編で作品ごとに全く違う世界が繰り広げられる本作に圧倒されました。
    読む人やタイミングで、1番心に残る作品は変わってくると思います。「結縄」「文字占い師」にショックを受け、「紙の動物園」に涙しました。「良い狩りを」も好きです。
    問題に向かって進むSFばかりに慣れていたので、こんな終わり方があるのか!と驚かされるものも多かったです。
    個人的にはNetflixで連続ドラマ化して欲しいと思いました。作品によって長さが違っても融通がきくのが配信なので。

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    2024年07月10日
  • 正義の弧(下)

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    ネタバレ

    ボッシュは1950生まれの設定。
    本書の出版は2022年、物語は2021年の設定と考えると71歳というところか。
    ボッシュシリーズは常に事件の解決なり解明はされるのだが、一方で必ずほろ苦い側面も用意されている。
    その多くの苦さは、ボッシュの性格vs.世間、組織の理不尽さの摩擦から来るものだったが、今回はちょっと違う。
    もう最終回なのだろうか?
    自分なりのケリを付けて辞めた警察組織、そして私立探偵、ボランティアとしての未解決事件への関与。
    初めてボッシュシリーズを読んでから随分経つが、そうだよな。いつまでも続くはずもない。
    これが最後とは思わないが、次にどの物語で会えるのだろう?
    そんなことを思

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    2024年06月24日
  • 正義の弧(上)

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    ネタバレ

    ボッシュ&バラードのコンビ。

    ボッシュも70歳、ジジイとか言われながら、やるべきをやり言うべきを言う。
    ボランティアという立場でありながら、時間も金も捜査のためには躊躇なく自腹を切って取り組んでいる。
    使命感と、それを果たす自信の前には年齢なんぞ知った事かと云う姿勢、そんな物語を胸すく想いで読める幸せ。

    まあでも、そんな簡単に犯人が割れるのか?
    下巻が楽しみ。

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    2024年06月23日
  • 紙の動物園

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    15作もの短編集で、魔法や呪い的な要素が入った作品、生命の定義を問うもの、システマティックなもの、歴史認識に関するものなど幅広い作品が収録されていました
    読み応えのある作品が多く、読む時間は長くなりました

    【特に好印象だった作品】
    ・良い狩りを
    ・紙の動物園
    ・結縄
    ・波

    【歴史認識を高めた作品】
    ・文字占い師
     
    訳者の後書きは、あらすじに触れずに作者の略歴や収録の経緯を解説されていて秀逸、先に読んでも問題はなさそうです

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    2024年04月28日
  • ダーク・アワーズ(下)

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    ネタバレ

    下巻は一気に読めてしまう。
    硬直した官僚主義、事なかれ主義の上司、怠惰な同僚。
    それでもバラードは腐ること無く捜査活動を続ける。
    ボッシュのバックアップによって新たな証人からの情報を基に殺人犯人を追い詰めていく。
    レイプ犯についても街灯への事前工作から次のターゲットを見つけ罠を仕掛ける。
    一連の活動でバラードはロス市警を退職することとなったが、最後に本部長から復職を打診されて終わる。



    二人組のレイプ犯(ミッドナイト・メン)も同夜に犯行を重ねており、バラードは忙殺される。射殺事件でボッシュの協力を得た彼女は、動機の解明につながるギャング団の内通者に接触しようとする。だが、その行動から彼女は

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    2024年01月09日
  • ナイトホークス(下)

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    原題の方がいいじゃないかと思いながら読んでいったが、ラスト後、絵を確認すると、邦題もなるほどと。しかし、第1作からここまでスト=リーを練っているとは。

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    2023年11月16日
  • 正義の弧(上)

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    ボッシュが未解決事件捜査班に復帰。市議の妹殺人事件と黒人女性殺人事件が関連して捜査が進む。一方砂漠での一家殺人事件という未解決事件もあり、経理者家族失踪後に会社の資材を売却し失踪した人物を捜査する上巻でした。下巻へ

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    2023年11月08日