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ボッシュが見つけた糸口から女子校生殺しの容疑者が浮上する。
バラードたちはDNAを採取するための罠を仕掛けたが、事態は思わぬ展開を見せる。
さらにボッシュは一家殺害犯の正体に迫り、潜伏先へと単身乗り込んでいく。
彼を狩りへと突き動かすものはあまりに激しく、正義を為すための道は、暗く険しい──。
衝撃的ラストに茫然!
ふたつの未解決事件を巡るボッシュ&バラードを描いたこの作品、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リスト・ハードカバー部門一位になるなど、いつものようにベストセラーになったが、ボッシュ作品のなかでも屈指の衝撃的な展開もあって、二〇二二年十一月の刊行直後から評判を呼び、「コナリーの最高傑作に加わる」(パブリッシャーズ・ウィークリー)の声も上がったほど。(訳者あとがきより)
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Posted by ブクログ
時は過ぎゆく。その感を作品毎に強くしてゆくのが、本シリーズのこのところの読後感である。若いベトナム帰りの辣腕刑事であったハリー・ボッシュは、今や警察を退官し老いた私立探偵となっている。その後も何作もシリーズを続けていること自体奇跡的なのだが、本書ではナイトシフトの警察官であったレネイ・バラードが未解決事件専門の新部門の責任者となった構図がシリーズに新しい風を与える。
さらにレネイ・バラードは、チームに退職者であるボッシュを迎え入れる。現役を退いてなお未解決事件に挑んできたボッシュの最新のヒストリーに、若き女性捜査官レネイ・バラードの運命を重ねることがシリーズの合体と継続とを奇跡的に成功させ、なおかつ成熟させているのだから、コナリー魔術とその奇蹟的世界設計に再々ながら驚かされた。
新しいチームに組み入れられた癖の強い新しい面々もそれぞれの個性が浮き立ち、カラフルかつ摩擦や緊張にも満ちていて本書の新しい読みどころとなっている。
本書では未解決事件に執念を見せるチームの面々も面白いところだが、彼らの一部の背景となる構造も、本書では二つの大きなうねりとなる同時並行的捜査に複雑な影となってついて回る。過去からの犯罪者を追跡しつつも、現在のチーム内に疑惑を呼び起こす奇妙なメンバーの動きなどもあって、内外ともに気が抜けないボッシュとバラードの様子が、物語全体に張りつめた緊張感を与えてゆく。
静かな捜査と大団円でのガンショット。犯罪はいつでも暴力に満ちたものだし、発生した場所や、犠牲になった人々の想い出は常に悲しくむごたらしい。それらを巻き起こしたネガティブな存在を、常に追跡し対決を挑み続ける私立探偵ハリー・ボッシュと、彼よりはるかに若いが人間的にも魅力的なレネイ・バラードという女性警察官のコンビネーションを本書からはシリーズとして新たに楽しめる。そんな期待値いっぱいの大団円を迎えながら、本書ではシリーズとしては少しショッキングなしこりのようなものが最後に残される。
ボッシュの娘である市警刑事マディと現在の相棒であるレネイ。ボッシュの正義は今、次世代に少しずつ継がれようとしている。そんな重要な局面に居合わせているような感覚を覚えるこの頃。ここのところの新作は、そういう意味でも一作一作に、まさに見逃してはならないという感覚を強烈に覚えている。次の作品が待たれると同時に、読むのが怖いような気さえしてくる。予断を許さぬシリーズ転換点に今ぼくら読者も立たされているのである。
Posted by ブクログ
前作のあとがきで「次作の展開はファンには衝撃的」と書かれていたので、ちょっと読むのが怖いような気がしていたのだけど。いやあこれは確かにショッキング。「えーっ!? ウソでしょボッシュ!!」と思わず口から出た。しかも二回。参ったなあ。
ここ数作はレネイ・バラードが中心で、ボッシュは助言者っぽい脇役だったが、今作では形はダブル主演でも、焦点ははっきりボッシュにあたっている。長いスロープで息を切らしたり、立ち上がる時膝がバキバキいったり、ボッシュも加齢には勝てない。チンピラにあなどられて「じいさん」と呼ばれたりしてる。あのタフでかっこいいボッシュが。ずっと読んできたファンとしては、うたた感慨に堪えないのであった。
ボッシュがずっと追い続けてきたのは、自分の考える「正義」だ。非道な犯罪者に罪を償わせることで、被害者に(たとえ本人が死んでいても)正義をもたらす。犯罪の蔓延する大都会で徒労のように見えるその営為に、ボッシュはすべてをかけてきた。「悪」と取引はしない、「悪」と同じものにはならない。それこそがボッシュ。…のはずだった、けれど…。
シリーズを通してずっと、ボッシュは痛みを抱えている。事件解決の爽快感とは無縁だ。今回終盤で、ボッシュが予定していた行動も、実際に行ったことも、痛みに満ちている。その痛苦を引き受け、耐える姿に共感を寄せずにはいられない。やっぱりボッシュはかっこいいのだ。
訳者あとがきでも書かれていた通り、読み終えた時は「もしかしてシリーズ終了?」と思ったが、どうやらそうではないようだ。ボッシュの物語はどう着地するんだろうか。見届けたい。
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