アーサー・コナン・ドイルのレビュー一覧
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これに収録されている話はホームズが失踪する話を書いてから十年経ってから執筆された訳だが、そのせいか『冒険』や『回想』とは随分趣の異なる作品が載っていたように思える。
ホームズが以前よりもワトスンに事件内容を発表されるのを嫌がるようになり、『第二の血痕』を最後に発表を止めてくれと発言しているほど。他にもホームズは事件の真相を見抜いても犯人に十分同情するだけの余地があると、庇い立てするような行動に出ている(数えてみたら13編中6編がそうだった)
これだけ充分ドラマ性に富んだ物語を当時月刊連載していたという話には本当に驚かされる。
本作で気に入った短編は『金縁の鼻眼鏡』かな。この事件では下手すれば動機すら不明と思われるような事件をホームズは現場に残されていた鼻眼鏡だけで真相に辿り着いてしまう。話の流れ、事件の真相、犯人の犯行動機。どれをとっても読み応えのある内容となっている -
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この中に収録されている幾つかは昔に一度読んだことがあるはずなのだが、何故か読んでみるまで思い出せず話の途中で「ああ、これ読んだことあるな」と感じたりもした
ホームズシリーズは事件の推理過程よりも、事件の特異性や冒険性を優先していると思う。実際、依頼人が長々と自分の体験したことを話し、ホームズが残り数ページで解決法を示すというやり方も珍しくないし。
この中で気に入った短編は『ボスコム渓谷の謎』かな。この話は推理や物語性、更にはホームズ特有の調べ方「事件現場の床や地面を徹底的に調べ尽くす」という捜査方法も披露されている。冤罪で追いつめられる息子や驚きの真犯人などミステリとして必要な要素をしっかりと備えている。 -
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歌謡曲の名作「襟裳岬」の歌詞で、
通りすぎた 夏のにおい
想い出して なつかしいね
という一節があります。
若い頃から、詩がステキやなあ、と思っていたんですが。
オジサンになるにつけ、この一節。
特に、「通りすぎた 夏のにおい」というのは凄い日本語だなあ、と。
北海道と沖縄の人には申し訳ないですが、春夏秋冬の四季のリズムに体が慣れている日本の風土ならではの、言葉ですね。
「過ぎ去った」でも「終わった」でもなく、「通りすぎた」というのもステキ。橋の上から川の流れを見ているような。
無論、何より「夏のにおい」。
なんかこう、あの暑苦しくて無駄に強烈で、意味も無くエネルギッシュな感じが…。
と、猛暑な2015年八月にしみじみと。
「シャーロック・ホームズの事件簿」を読んで思いました。
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光文社文庫さんで、ほぼ順番に読んできたシャーロック・ホームズ・シリーズ。
第1作「緋色の研究」を読んだのが2013年3月。
足掛け2年半で、全8冊読破、ということになりました。
ちょっと感無量。
シャーロック・ホームズ・シリーズの第1作、
長編「緋色の研究」は、1887年に発表されました。
当然イギリスで。
日本ではまだ、夏目漱石が二十歳の学生でした。
コナン・ドイルさんはまだ28歳くらい。
今いち流行らない若い開業医。
暇な時間に小説を書いては投稿していました。
「緋色の研究」は左程、売れませんでした。
2年後1889年の第2作の長編「四つの署名」も、そこそこ。
コナン・ドイルさんは、実は歴史小説家志望だったようですね。というか、歴史小説はホームズ以前も以後も、ずっと書いていたそうです。
そして、ホームズがヒットする前に、初めに職業作家として売れたのも、歴史小説だったそうです。
歴史小説を書く一方で。
1891年に、雑誌でホームズ・シリーズの連載を始めます。
雑誌の都合で短編連作のカタチを取ります。
これが、当初から大ヒットになったそうです。
それからは、1927年の短編「ショスコム荘」まで。第1作から足掛け、なんと40年!。
ドイルさん、28歳から67歳くらいまで!
40年間、同じ主人公の小説を商業的に書き続けるっていうのは、ギネスブックじゃないでしょうかね…。
日本では1899年に、もう翻訳が出ているそうです。英語圏以外では、相当に早いみたいですね。
「シャーロック・ホームズの事件簿」。
最後のホームズ本です。短編が12篇入っています。
1921年~1927年に発表された短編をまとめたもの。
つまりドイルさん60代の晩年です。
どうやら、ホームズ好きの人たちの中では、
「晩年の作、つまり"事件簿"は、いまいちだ」
という評価が定番のようですね。
それは、僕も同感です。
ですが、もうここまで長々と読んできてしまった付き合いっていうものがあります(笑)。
ルパン三世だって、1話1話は面白くないかもしれないけど、ついつい見ちゃうし、ルパン一味のキャラクターを見るだけで楽しめちゃう。
それから、この短編集は、
●引退してロンドンを離れて養蜂家になったホームズが描かれる短編がある。
●ホームズが一人称で語る短編がある。
という、ホームズファンからするとちょっと見逃せないイロモノが含まれています。
(どれも、小説としてシリーズ屈指か、と言われるとそんなことは無いんですけど)
なんだか悪口を言うようですが、そうでもないんです。
やっぱり面白かったんです。
なんていうか…老いてるんですよね。作者が。
ホームズとワトソンを産んだのは、40年前なわけです。
それからというもの、時代は変わりました。
馬車が自動車になり。電話が普及して。何よりも第1次世界大戦があり。戦争は騎士道から即物的な残酷さへと変わりました。
大英帝国は新たな勢力に押されてきています。
そして、燃えるアマチュア青年作家だったドイルさんは、サーの称号を持つ世界の人気作家な訳です。
なんかこう…ホームズとワトソンの物語にも、どこかしら、
「ああ、僕たちが若かった頃は過ぎてしまったね。
無軌道に、自由で、独身で、しがらみの無かった、あの危なっかしくて輝かしい日々は、もう戻ってこないよね」
というような感傷が。
つまり、「通りすぎた 夏のにおい」ってヤツが。
それがささやかに、かすかに、見え隠れするんです。
と、僕は思いました。
そんな薄い苦みが入り込む、
いつもながらのエンターテイメントな犯罪人間ドラマ、
ヒーロー物語。
弾むような才気やキレは薄まっていると思いますが、
ドイルさん60代の郷愁ただようホームズも、なかなかどうして。
そして、「ああ、読み終わっちゃったなあ」という、この感覚。この感傷(笑)。
これがまた、やっぱり読書の愉しみですねえ。
思わずこのまま、モーリス・ルブラン「ルパンvs.ホームズ」を再読するか…!
そのままルパンシリーズ再読?!
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もともと思い出したら。2年半前にたまたまテレビで、現代に置き換えた海外ドラマ「シャーロック」を観たんですね。
それがきっかけで、ホームズを読みだしたんでした。
「考えたらあんまり読んでないなあ。原作を読んでから見ようかな」と。
そのきっかけを忘れてました(笑)
ぼちぼち見てみようかな…。
実は「事件簿」の解説で知ったのが。
ドイルさんは「事件簿」の前の短編集、1917年出版の「最後の挨拶」で、ホームズ・シリーズは終わらしたつもりだったんですって。
ところが、1920年に制作された、ホームズの映画を見て、その出来に感激して、「事件簿」の短編たちを書いたんだそうです。
映画・ドラマと小説っていうのも、そう考えるとちょっと、愉快な関係な気もしますね。
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以下、各編の備忘録
①マザリンの宝石
もともとは戯曲だったそうです。
何故か三人称。
悪党がいて、ホームズが追い詰める。
だが、ホームズは、マザリンの宝石を取り返したい。
その場所が分からない。
悪党と部下がホームズの部屋を訪問。
ホームズは隣室でバイオリンを弾いている。その間に悪党は部下と密談。
ところが、実は最新の「蓄音機」だった。騙したホームズは密談が聞こえていて、宝石を取り戻す。
②ソア橋の難問
これは印象に残っています。
愛情の冷めた夫婦。だが妻は嫉妬深い。
夫は別の女に走った。(その女は、純粋な、良い人)
嫉妬に狂った妻は、その女が、自分を殺したように見えるように、自殺する、という。
どうみても、女が妻を殺した、と見える事件を、ホームズが見破る。
③這う男
今でいうとバイアグラみたいな若返りの薬を飲んだ学者が、正気を失っていく。
正直、「?」という一篇。この頃の感覚で、最新医学SFみたいなことだったんだろうか。
④サセックスの吸血鬼
「妻が赤ん坊の次男の首から血を吸った」と訴える男。
でも実は、嫉妬した長男が入れた毒を吸い出していた、という落ち。
長男は養子で、まあいろいろ愛情のねじれの背景があった、という。
⑤三人のガリデブ
「赤毛同盟」的なオハナシ。
悪い男が「ガリデブさんがもう一人いたら財産が入ってくる」、という騙しで、引きこもっている男を家から出そうとする。
その家の床下に、高価な偽札マシンがあるからだった。
「地下に偽札マシン」っていう設定が、「ルパン三世・カリオストロの城」と同じだ!
⑥高名な依頼人
悪人、殺人も辞さない高級犯罪者がいます。色男で女ったらし。
社交界で、名誉ある女性が、この男にたらしこまれてしまって、ぞっこんに。結婚するぞ!と。
周りはみんな、酷い目に合わされる、と反対。でも悪行過去を聴いても、恋は盲目あばたもえくぼ、その女性は動じない。
さて、これを恐らく王室筋の依頼で、ホームズがなんとかする。
最終的には、この男の、変態色恋の備忘メモを手に入れて、それを見せることで万事めでたし。
途中でぼこぼこにされて動けなくなるホームズ、というのが珍しい。
そして、ホームズに言われて中国陶器に詳しいふりをするために頑張って勉強するワトソン。
そして、悪人と対決して、その知識をもとに芝居を打つワトソン。
でも、すぐに見破られて、大失敗のワトソン。
でも、その裏でワトソンを囮に目的を達するホームズ。
でも、中国陶器の知識は要らなかったワトソン…。
いったいワトソンの無駄な努力って…かわいそう…。
⑦三破風館
破風=つまり切り妻屋根ということだと思われます。
そういう切り妻屋根の家に住んでいる女性。息子が異国で死んでしまった。
その遺品から何かの草稿が盗まれる。
ホームズがその大元は、スペイン系?の社交界のプレイガールだと看過。
自分との色んなことを小説に書かれたから。違法行為もばれてしまうから。
見逃す代わりに切り妻屋根の女性への慰謝料を払わせる。
⑧白面の兵士
珍しい「ホームズ一人称」。ワトソンが出てこない。
異国で病気になった男性が、ハンセン病なのかな?世間体を恐れて自宅で逼塞している。
それが誤解を生んで犯罪と思われた事件を、ホームズが看破する。
特段な大きなトリックは無いです。
⑨ライオンのたてがみ
これも、「ホームズ一人称」。そして、引退して郊外で養蜂家をしているホームズ!。
その田舎で起こった事件。
殺人かと思ったら、クラゲだった、というお話。
⑩隠居した画材屋
妻が有価証券を持って男とかけおちした、と主張する男。
でも実は、男が地下金庫を密室にしてガスでふたりを殺していた。
それをホームズが暴く。
始めに忙しいホームズに代わって、ワトソンが単独で探偵にいく。
戻ってきて報告して、ホームズにけちょんけちょんに言われるのが可哀そうで面白い。
⑪ヴェールの下宿人
巡業サーカスのボスがいる。ひどい男で、奥さんを苛めている。奥さんは団員の男と愛し合い、夫を殺す。
その際にライオンに顔をめちゃくちゃにされる…
という過去を、ホームズに語る。
⑫ショスコム荘
あるお屋敷で、ある男が、妹を殺したのではないか?という疑惑。
生きていると思える妹はニセモノで、実は死んでいる、というところまでホームズが暴く。
なんだけど、その後は「実は事故死だった。財産の関係でしばらく生きていることにしたかった」という腰砕けな落ち。
以上 -
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「マザリンの宝石」
ワトソンが久々に訪れたベイカー街。ホームズは盗まれたマザリンの宝石を取り戻す為、犯人を追い詰めていた。
「ソア橋の難問」
家庭教師の女性に惚れた金鉱王ニール・ギブソンの妻が死んだ。容疑者は家庭教師の女性に違いないと思われたが、ホームズは…。
「這う男」
高名な教授の様子がおかしくなったと、秘書がホームズの元へ相談に来た。教授が妙な行動をとるのは9日起きである。その真相をホームズは突き止めた。
「サセックスの吸血鬼」
南国出身妻が赤ん坊の血を吸ったという。駆けつけたホームズの前に現れたのは、手紙を出した主人、前妻の障害を持った息子、後妻の生んだ美しい赤ん坊。飼い犬も調子が悪そうだ。ホームズが暴いた答えは…。
「三人のガリデブ」
ガリデブという名の男が三人見つかれば莫大な遺産を送る。だから三人目のガリデブを探そうと言われたという男がホームズにガリデブを探すよう依頼する。しかし、言い出しっぺの男はホームズが関与するのを嫌がった。その突拍子もない話の裏に隠れていたものとは。
→ワトソンが怪我をするシーンがある。ワトソンが怪我をしたり気絶したらホームズが冷静で居られなくなるのは空き家の冒険でも同じ。
「高名な依頼人」
ホームズの元に名を伏せた依頼人の代理人がやってきた。グルーナー男爵とヴァイオレット・ド・メルヴィルの婚約を取り止めさせて欲しいとのことだった。グルーナー男爵は大陸で数々の犯罪を犯してきたと名高い。だがヴァイオレットはそれが嘘だと信じている。説得にも耳を貸さない。その矢先、ホームズは暴漢に襲われる。グルーナー男爵の手下だ。そこでホームズが考えた方法は……。
「三破風館」
とある夫人から、怪しい不動産屋が来たのだが一体何を企んでるのか突き止めて欲しいとホームズに依頼があった。どうやら、家と土地、家具だけでなく、一切の物を売ってくれという契約らしい。調査に乗り出したホームズの元に、ゴロツキが手を引けと脅しにやってくる。脅しに屈さないホームズが突き止めた計画は?
「白面の騎士」
戦争を共にした親友の消息が不明だ。親友の実家を訪れた所、顔が真っ白になった友人がいた。だが、親友の父親はけんもほろろに私を追い出した。
ホームズを訪れた依頼人はそういった。親友、そしてその家族は何を隠しているのか?
「ライオンのたてがみ」
ホームズ引退後の話。
ホームズの暮らす片田舎で、海から上がってきた科学教師がホームズの目の前で死んだ。背中には鞭で打たれたようかミミズ腫れの痕があった。男は「ライオンのたてがみ」と言い残して死んだ。犯人として疑われたのは、激しい性格の教師マードック。マードックは疑われた事に腹を立て仕事を辞めて村を出ようとする。ホームズが突き止めた真相とは?
「隠居した画材屋」
画材屋がホームズの元へ妻と浮気相手の行方を調査するよう依頼に来る。妻と浮気相手は有価証券を持ち出したようだ。他の事件にかかりきりになっているホームズの代わりに、ワトソンが話を聞きに赴いた。画材屋は家の中をペンキで塗り替えていた。ホームズが突き止めた事件の真相は?
「ヴェールの下宿人」
下宿人の女性の素顔が見るも恐ろしい容貌だった。しかも、夜中に「人殺し!」と叫ぶ声が聞こえる。何かあるなら警察に、と言った家主に、ヴェールの女性は否という。それではホームズなら、と言ったところ、是非話を聞いて欲しいと言われた。
訪れた家主にそう言われたホームズは、興味を持って女性を訪れる。女性は、昔とあるサーカス団で起こった事故の被害者の一人だった。女性の夫はその事故で命を落とした。二人はライオンに襲われたのだと当時の新聞では報じていた。そこでホームズが聞いた真相は?
「ショスコム荘」
ホームズの元に、競馬馬主の元で働く馬の世話係が訪れた。主人が奇妙な振る舞いをするようになった原因を突き止めて欲しいという。主人は妹の家で暮らしていた。妹はその家の持ち主である夫を亡くしており、体が弱く、兄の世話をしながらも兄弟仲睦まじく暮らしていた。だが、ある日を境に兄弟仲は悪くなっていた。兄には借金があった。邸を訪れたホームズが突き止めた真相はーー。 -
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これで本当にホームズシリーズは最後の作品になる。この頃にはドイルはただの推理小説作家ではなく、国際的に見ても有名な人物になっていたようだから、あまりの忙しさにホームズを書く暇がなくなっていたらしいですね。しかし、その合間に素晴らしい発想を有した物語を書くことができるのは彼のひとかどの才能によるものなのでしょう。
収録内容はどちらかというと不可思議な事件に対し、ホームズが解決策や光明を照らすといった作品が多い。初期の様な悪意ある犯罪者に対しホームズが正義を下す、というような描写が少なくなっている。何故そのような変化が起きたのかは判りませんが、長く世情を観察するようになって以来考え方に何かしらの影響があったのかもしれませんね。
私が今回気に入った短編は『サセックスの吸血鬼』と『ソア・ブリッジ』です。迷った挙句一つに決めることはできなかった。前者はイギリスの片田舎に吸血鬼の仕業としか思えないような事件が起き、最初は馬鹿にして相手にしなかったホームズも詳しい話を聞くうちに進んで事件解決に乗り出すという話である。この話で特徴的なのは、最近の作家に良く見られる異常心理に頼らないで、しっかりとした論理と証言で物語が成り立ち、不快な点がないことである。後者は悪人としか思えない金鉱王からとある女性の無実を証明して欲しいといわれ、当初は彼女を犯人と思い敵視していたホームズが、最後にはとても小さな事実から真犯人を突き止める事件である。ホームズシリーズには珍しく殺人に関して明確な「物理的トリック」が使われている点は印象に残るだろう。
今作を読んで心に深く残った印象は、確かにドイルの絶頂期は過ぎたかもしれない。だが、けして作品を書くのに飽きたとかもう話が思い付かなくなったとかそういう兆候は一切見られなかったことだ。 -
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シャーロック・ホームズ全集、第2弾。
翻訳本は読むのに時間がかかるのに、このシリーズはスラスラ読めて面白い。
ホームズを訪ねてきた小柄で気品のある若い婦人の相談は、十年近く失踪中の父・毎年贈られてくる真珠・謎の招待状という、なんともワクワクする始まり。
その後、殺人・宝探し・追跡劇と盛りだくさんな展開。ホームズの相変わらずな博識と推理に驚き、何かを追究していない時のダメ人間っぷりにも驚き、ワトスンの唐突なロマンスに驚いた。
この小説が120年以上前に書かれているとは思えませんでした。面白いものはいつまでたっても色褪せず面白い。読めてよかったです。 -
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1917年に発行された、シャーロック・ホームズの連作短編集です。
鉄板の面白さ。楽しめました。
光文社の新訳シリーズを、もともとイギリスで発表された順番で並べると。
①緋色の研究(長編)-1887
②四つの署名(長編)-1890
③シャーロック・ホームズの冒険(短編集)-1892
④シャーロック・ホームズの回想(短編集)-1894
⑤パスカヴィル家の犬(長編)-1902
⑥シャーロック・ホームズの生還(短編集)-1905
⑦恐怖の谷(長編)-1915
⑧シャーロック・ホームズ最後の挨拶(短編集)-1917
⑨シャーロック・ホームズの事件簿(短編集)-1927
と、こうなります。光文社文庫シリーズで愉しみ始めて、①~⑥を読んで、今回⑦を飛ばして⑧を読みました。
残り少ないのがちょっと残念です。
かなり長い期間にまたがって読んだので、もう覚えていない話もあります…。
無理せずに覚えている印象だけメモっておきます。
●まえがき
いきなり、第1次世界大戦下のワトソンの回想で、引退しているホームズが報告される。
養蜂やってるっていうのが、なんともらしくて素敵だと思います。
●ウィステリア荘
思い出せない…
●ブルース・パーティントン型設計書
イギリスの命運を握る設計書の話なんですが、それはヒッチコック映画で言うところの「マクガフィン」と言うやつで。
実態は何でも良いし、良く判んないんですね(笑)
地下鉄で発見された死体の謎を暴く。なかなか読ませます。
ホームズの兄、マイクロフトさんが出てきます。
●悪魔の足
これまた、割とおなじみの、「植民地下で起こったことの因果が、国内にやってくる恨みの犯行」。
妻を殺された男の復讐譚。
麻薬が出るのが新味ですね。
舞台がコーンウォール地方という場所で、「マスター・キートン」愛読者としてはちょっと嬉しい。
●赤い輪団
これまた、アメリカ大陸での因果がロンドンで。
凶悪犯、結社。そのグループから抜けられない男。その妻。
「全く姿を見せない下宿人の謎」が入口。謎と冒険譚ですね。面白かったです。
●レディ・フランシス・カーファクスの失踪
これまた、欧州での因果がめぐります。
女を誘拐して殺すのに、「二重底の棺桶」というのが味噌になっています。
なぞ解きとして、かなり「へー」という感がありました。
●瀕死の探偵
これは面白かった。
ホームズが敵を陥れて証拠を握るために、仮病で死線をさまよってみせるのですが、
当然、ワトソンの一人称で、当然、ワトソンも読者も騙される。
ワトソンとホームズの友情ものとしても面白い。
●最後の挨拶
どーんと時代が飛んで、引退後のホームズが、大戦を前にイギリスの国運のために復帰、ドイツのスパイを陥れるというもの。
なんと、三人称で書かれています。
そして、好ましいのは、ドイツ側を「悪」として描いては居ません。「敵」ではあるけど、「悪」ではない。
騎士道精神が残っていた最後の時代、第一次世界大戦。
ルノワールの映画「大いなる幻影」を連想しました。