あらすじ
ある日ホームズのもとへブロンドの若い婦人が依頼に訪れる。父の失踪、毎年のように送られる真珠の謎、そして突然届いた招待状とは?死体の傍らに残された四つのサインをめぐり、追跡劇が幕をあける。
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1作目に引き続き、読みやすい翻訳だった。細かく注釈がついてるのも助かる。
1作目と比べて、ホームズとワトソンの関わり方に手探り感が抜けているのがわかる。ワトソンが積極的に捜査に加わるようになって、相棒感が強まっているのもいい。
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シャーロックホームズシリーズの2作目の作品。
1作目と比べるとホームズの人となりが多少違って見えた。
1作目では文芸などの知識はないと表記されていたが、当時の文学作品を引用する場面があった上、変装や料理が得意な描写もあり万能人間のように描かれていた。
その反面、冒頭からコカインを使用しており、解き明かす謎がないと廃人然になる情緒不安定な姿も描かれている。
内容としては1作目の作品同様見事な推理の上、犯人を追い詰める場面では緊張感溢れる水上チェイスを繰り広げている。
推理と冒険が混同したようなドキドキワクワクする作品となっている。
個人的には最後に描かれているワトソンが結婚するとホームズに報告したやりとりが好みだ。
素直に祝福できないホームズにワトソンとの関係が垣間見れてつい笑いが溢れてしまう。
1作目と多少毛色が異なるが、十分に楽しめる作品だ。
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『四つのサイン』? 『四つの署名』でしょうといいたくなるが、これも字の書けない3人が署名代わりに×印という記号を書いているという両義性をとって、サインとカタカナにしたという。
無聊をかこち、コカインを注射して過ごす探偵(当時は合法麻薬だった)。そこに現れる美しい依頼者。依頼者の開陳する謎めいた話。そして殺人事件が起こる。現場を検分して早々にほぼ全貌がわかったと述べる探偵。
名探偵の情景がもうこの第2作目で広がっている。
他方、ワトスンがホームズの緻密な捜査を見て、この才能を法律を守るためでなく、破るために使ったらと考えるという場面がもうすでに出てくるが、この時点でモリアーティ教授の登場を構想していたわけではなかろう。
最近、ロバート・ダウニーJr主演のアクション映画『シャーロック・ホームズ』が出て、ずいぶんと奇をてらったものだと思ったが、実はホームズが頭脳派というのはいつしか出来上がっていた誤った印象であった。彼はアームチェア・ディテクティヴではない。アマチュア・ボクサーであり、銃は撃つし、武道にも通じている。ついでにヴァイオリンはうまいし、料理もする。『緋色の習作』では、文学の知識なしとワトスンに描写されていたが、文学からの箴言もしばしば口にする。およそ犯罪を専門に研究する者は、あらゆる人間的事象に通じていなければならないだろう。
当時はまだ警察犬というのはなかったのだと思うが、犬の嗅覚を使った追跡や、ベーカー街遊撃隊による情報収集、そして変装しての捜査。縦横無尽の活躍は、ついにテムズ河での船での追跡劇になだれ込む。なかなかの「アクション巨編」である。
アクションとくればロマンスだが、こちらはホームズには無縁であって、相棒のワトスンのほうが結婚相手を見つける。
オックスフォード版の解説は本書の成立までをたどり、また同時代の影響関係を論じた興味深いものではあるが、舞台裏には関心がないという向きもあろう。さらに訳者による解説は、コナン・ドイルの母親への憎悪が『四つのサイン』のストーリーとなっているという精神分析的解釈だが、こういうの、あまりお好きじゃない方には蛇足以外の何ものでもない。
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これも、多くの場合「四つの署名」で知られている作品。ですが翻訳者は、サインと行った人物たちが、“必ずしも文字が書けるわけでは無い”と解釈して、署名ではなくサインと訳したそうです。
恐らく、中学あるいは高校以来に読んだのですが、良いものは、いつ読んでも良いものですね
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当初、創元推理文庫でシリーズを読み始めたが、注釈の多さに惹かれてこちらで揃え直し始めた。どうやら文庫版は単行本より注釈が減っているらしいが、それでも充実している。320ページ中228ページまでが本編で、その後にクリストファー・ドーデンによる注と解説(オックスフォード版)が訳出されて掲載されている。注釈も面白かったが、別のイギリス文学との関係が述べられていた解説が、読みごたえがあった。
内容的にはとても面白くて、先へ先へと読み進み、あっという間に読み通してしまった。一番面白かったのは、ホームズとワトスンの関わり、かけあいの部分。1作よりさらに関係性が増している感じがする。ワトスンが結婚したことは知っていたが、こういうなれそめであったとは。ホームズの描かれ方も、より広がったよう。ヴァイオリンを弾き、料理もできる名探偵、すごーく惹かれる。夫や恋人には荷が重いが。
また、犯人の描き方が良かった。これはネタバレになってしまうかもしれうが、悪人であって悪人でない、法律的に悪いことはしたけれど人間的には筋の通った人間で、好感を感じた。それと犯人追跡の部分も読んでいて面白かった。今回は、変装あり、犬を使った追跡あり、船での追跡もありでスペクタクル感があった。
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短編集二作を読んでから長編に戻ったけど、やはり長編の方がミルフィーユのように謎が複雑かな。でも、ワトソンがあっさり未来の妻と愛し合ってしまうのは微妙だった。当時はそんなものだったのかな。
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シャーロック・ホームズ全集、第2弾。
翻訳本は読むのに時間がかかるのに、このシリーズはスラスラ読めて面白い。
ホームズを訪ねてきた小柄で気品のある若い婦人の相談は、十年近く失踪中の父・毎年贈られてくる真珠・謎の招待状という、なんともワクワクする始まり。
その後、殺人・宝探し・追跡劇と盛りだくさんな展開。ホームズの相変わらずな博識と推理に驚き、何かを追究していない時のダメ人間っぷりにも驚き、ワトスンの唐突なロマンスに驚いた。
この小説が120年以上前に書かれているとは思えませんでした。面白いものはいつまでたっても色褪せず面白い。読めてよかったです。
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シャーロック・ホームズシリーズの「四つの長編小説の中で、最も密度の濃い(裏表紙の内容紹介より)」とされる作品で、河出文庫の全集の2冊目です。
最初の作品(『緋色の習作』)が面白かったので、続けて読んでみました。
当時のイギリスの風俗や社会状況を反映した舞台背景や、推理だけでなく冒険の要素もあることで、人気を博していたことは容易に想像できます。
『緋色の習作』のころにくらべて、ワトスンとホームズの関係性(友情?)が深まっており、シリーズを通しての本作品の魅力の一つとなっていると思います。
一つだけ、気になる(というか、個人的に受け入れがたいと感じた)点を挙げるとすれば、インド人や「アンダマン諸島」の原住民についての描写です。”とても人間とは思えない醜い容姿”であるとか、”残虐な人喰い種族”であるとか、当時のイギリス(白人)の有色人種への偏見を表しているだけだ、といわれればその通りなのでしょうが、やはり読んでいて気持ちのいい表現ではありません。
Posted by ブクログ
以前角川の新訳で読んでいるはずなのに全く展開を覚えておらず初読みばりに楽しんだ。
犯行がなぜ起こるかにも必ず深いバックストーリーがあるのが面白い。
前作の緋色の習作以上にホームズとワトソンのコンビ仲が深まっていて、二人の後を付いて一緒に冒険している気分だった。