あらすじ
ある日ホームズのもとへブロンドの若い婦人が依頼に訪れる。父の失踪、毎年のように送られる真珠の謎、そして突然届いた招待状とは?死体の傍らに残された四つのサインをめぐり、追跡劇が幕をあける。
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Posted by ブクログ
シャーロックホームズシリーズの2作目の作品。
1作目と比べるとホームズの人となりが多少違って見えた。
1作目では文芸などの知識はないと表記されていたが、当時の文学作品を引用する場面があった上、変装や料理が得意な描写もあり万能人間のように描かれていた。
その反面、冒頭からコカインを使用しており、解き明かす謎がないと廃人然になる情緒不安定な姿も描かれている。
内容としては1作目の作品同様見事な推理の上、犯人を追い詰める場面では緊張感溢れる水上チェイスを繰り広げている。
推理と冒険が混同したようなドキドキワクワクする作品となっている。
個人的には最後に描かれているワトソンが結婚するとホームズに報告したやりとりが好みだ。
素直に祝福できないホームズにワトソンとの関係が垣間見れてつい笑いが溢れてしまう。
1作目と多少毛色が異なるが、十分に楽しめる作品だ。
Posted by ブクログ
当初、創元推理文庫でシリーズを読み始めたが、注釈の多さに惹かれてこちらで揃え直し始めた。どうやら文庫版は単行本より注釈が減っているらしいが、それでも充実している。320ページ中228ページまでが本編で、その後にクリストファー・ドーデンによる注と解説(オックスフォード版)が訳出されて掲載されている。注釈も面白かったが、別のイギリス文学との関係が述べられていた解説が、読みごたえがあった。
内容的にはとても面白くて、先へ先へと読み進み、あっという間に読み通してしまった。一番面白かったのは、ホームズとワトスンの関わり、かけあいの部分。1作よりさらに関係性が増している感じがする。ワトスンが結婚したことは知っていたが、こういうなれそめであったとは。ホームズの描かれ方も、より広がったよう。ヴァイオリンを弾き、料理もできる名探偵、すごーく惹かれる。夫や恋人には荷が重いが。
また、犯人の描き方が良かった。これはネタバレになってしまうかもしれうが、悪人であって悪人でない、法律的に悪いことはしたけれど人間的には筋の通った人間で、好感を感じた。それと犯人追跡の部分も読んでいて面白かった。今回は、変装あり、犬を使った追跡あり、船での追跡もありでスペクタクル感があった。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズシリーズの「四つの長編小説の中で、最も密度の濃い(裏表紙の内容紹介より)」とされる作品で、河出文庫の全集の2冊目です。
最初の作品(『緋色の習作』)が面白かったので、続けて読んでみました。
当時のイギリスの風俗や社会状況を反映した舞台背景や、推理だけでなく冒険の要素もあることで、人気を博していたことは容易に想像できます。
『緋色の習作』のころにくらべて、ワトスンとホームズの関係性(友情?)が深まっており、シリーズを通しての本作品の魅力の一つとなっていると思います。
一つだけ、気になる(というか、個人的に受け入れがたいと感じた)点を挙げるとすれば、インド人や「アンダマン諸島」の原住民についての描写です。”とても人間とは思えない醜い容姿”であるとか、”残虐な人喰い種族”であるとか、当時のイギリス(白人)の有色人種への偏見を表しているだけだ、といわれればその通りなのでしょうが、やはり読んでいて気持ちのいい表現ではありません。