あらすじ
前作「最後の事件」で稀代の悪漢モリアーティ教授とともに滝の泡と消えたかに見えたホームズは、ここによみがえった。死んだはずのホームズがいかに生き返ったかを明らかにする「空家の怪事件」を始め、ドイル短篇の白眉ともいうべき「ノーウッドの建築業者」「金縁の鼻眼鏡」等13の珠玉作を収録。
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Posted by ブクログ
ホームズの第3短編集である。
『回想のシャーロック・ホームズ』の最後の作品、その名も『最後の事件』では、ホームズはライヘンバッハの滝の上でモリアーティ教授と揉み合い、共に滝つぼに落下してしまい行方不明となる。ホームズの死体こそ見つからないが、よもや生きてはいまいと思われていた。
それから3年後、ホームズはひょっこりとワトスンの前に姿を見せる・・・という『空き家の冒険』をはじめ、復活したホームズの作品が収められている。
本作品で、ドイルは連載を打ち切りにしたいという心情を示しているが、結局この後短編集だけで『最後の挨拶』『事件簿』という2作品が発行されている。いかにホームズの人気が高かったか、ということである。
復活したホームズは、相変わらず精力的に捜査をしており、読者をワクワクさせる。
Posted by ブクログ
これに収録されている話はホームズが失踪する話を書いてから十年経ってから執筆された訳だが、そのせいか『冒険』や『回想』とは随分趣の異なる作品が載っていたように思える。
ホームズが以前よりもワトスンに事件内容を発表されるのを嫌がるようになり、『第二の血痕』を最後に発表を止めてくれと発言しているほど。他にもホームズは事件の真相を見抜いても犯人に十分同情するだけの余地があると、庇い立てするような行動に出ている(数えてみたら13編中6編がそうだった)
これだけ充分ドラマ性に富んだ物語を当時月刊連載していたという話には本当に驚かされる。
本作で気に入った短編は『金縁の鼻眼鏡』かな。この事件では下手すれば動機すら不明と思われるような事件をホームズは現場に残されていた鼻眼鏡だけで真相に辿り着いてしまう。話の流れ、事件の真相、犯人の犯行動機。どれをとっても読み応えのある内容となっている