小野寺史宜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
女性ドライバーだけでなく、若手男性(イケメン)のショートストーリーなんかも絡めた複数視点の作品。軽快なテンポも相まって読みやすいです。
実はわたしも小6の作文に「タクシードライバーになりたいです」なんてヘタクソな絵まで付けたので、様々なお客さんを乗せて街中を走り、距離とお金の計算をして早朝帰社したら洗車、なんていう日常的なお仕事サイクル自体を純粋に楽しめました。
女性ドライバーがまだまだ少ないという現状。あるいは来年小6になる私の息子がタクシーやりたいと言ったら一体どんな顔になるだろうか。
その戸惑いの背後にタクシー業は挫折した人間の受け皿、という固定観念があることも再認識させられました。
─私なら絶対AIより女性ドライバーのタクシーに乗りたい。
なるほどこれは面白い視点だな〜と納得。
というか一種の共感なのかな?これ。
私が言ってみてもなんかエロい目でみてるオッサンになりますが、少し掘り下げて考えてみたいテーマです。 -
Posted by ブクログ
サッカー部に所属する高校生大地が主人公のお話。
タイトルの通り、大地は部の補欠部員であり、コンプレックスを持っています。
そうした境遇におかれているキャラクターを料理するのは、作者さんの得意とするところで、やはり安定して面白かったです。
小野寺さんの作品は、物語の本筋でないところも、心に残ったりして、好きなんですよね。
「いつでもー、ファオ!」のところとか笑
いつでものところが良いんだよねってゆう一言もなんか心に残るし。
ありのままの姿を肯定してくれる優しい作品です。
以下、気に入った文章と所感。
p92(叔母さんに父に会いたいかと聞かれた大地)「会うの、いやではないよ。会いたいわけじゃないけど、いやでもない」会いたいのか、会いたくないのか。本当の自分の気持ちなんてわからない。叔母さんがいいと思うようにしたい。叔母さんに嫌な思いをさせないようにしたい。強いて言うなら、僕の本当の気持ちはそれだ。そのことで、お前には自分でもんがないのか?と訊かれるなら、こう答えてもいい。それが自分なんですよ、と。
→それが自分なんですよ。うん、良い(笑)
世間って割と型にはめたがる人が多いので、大地みたいな人をわかろうとしない人、わからない人もいると思いますが、僕は大地みたいな人好きです。
p300でも私がマネージャーをやってなかったら、たぶん、今も話してなかったよね。道で会っても、お互い、何となく目を逸らしたりするの。たまたまだとしてもさ、そのたまたまが大事なんだよ。だって、すごいと思わない?そのたまたまのせいで、大地が私のお母さんのために救急車を呼んでくれて、今ここでこうしてるんだよ。きっとさ、いろんなたまたまが重なって、たくさんのことがあちこちでつながっていくんだよ。そう考えると、たまたまだって、実はそんなにたまたまじゃないの。
→なんかわかる。そういうたまたまってあるよなーって信じて生きていきたいなって思う。 -
Posted by ブクログ
乗客の数だけ人生がある。目的地までの短い時間に、物語が生まれる。
東央タクシーに勤める若き女性ドライバー・高間夏子が、終電を逃した女性、危篤の母のもとへ急ぐ息子、崖っぷちのプロ野球選手など、さまざまな乗客と出会いながら誠実に仕事に向き合う姿を描くお仕事×青春小説シリーズの最新刊です。
小野寺さんの作品は、日常の何気ない出来事を小説として書き起こしながら、一人一人の人生にドラマがあるのだなと感じさせてくれます。タクシー運転手が小説になり、シリーズで何冊も続くものなのかと思うかもしれませんが、ドライバーにもお客様にもそれぞれの人生があり、それが交わるときに物語が生まれる。これこそが人間社会の営みなのだと実感させてくれます。職業についての専門的な描写もしっかりしており、タクシー運転手という仕事への解像度が上がりました。若い女性がタクシードライバーをしているという設定も新鮮で面白いです。舞台が東京都江東区を中心に描かれており、東京の街描写も楽しめる要素の一つです。自分の経験できない世界を知ることができる、お仕事小説の魅力が詰まった一冊でした。