ミニシアターの六人

ミニシアターの六人

825円 (税込)

4pt

3.7

上映最終日前日、午後四時五十分の回の奇跡。

銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。天気は雨、観客は六人だった。
この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。
観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。
『ひと』『まち』『いえ』の著者が、銀座という街とミニシアター、そこに集う人々、そして映画への愛を描き切った渾身の人生讃歌。

限られた人生の中で「映画」と出会えた幸福を、この小説はあらためて教えてくれた。
──脚本家・向井康介さん(解説より)

※この作品は過去に単行本として配信されていた『ミニシアターの六人』 の文庫版となります。

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ミニシアターの六人 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    末永静男監督の追悼上映に集まった6人の観客。
    観客のこれまでの人生や置かれた状況を振り返りながら話が進められていく作品。
    夜、街の隙間を観て、6人+息子が前向きな気持ちに変わっていく物語。久々に小野寺さんの作品を読んだけどやはり読後の幸福感が沁み渡る。

    0
    2025年11月01日

    Posted by ブクログ

    銀座のミニシアター、数年前に亡くなった映画監督の作品が追悼上映される…そしてそこにたまたま集った観客6人には、それぞれの人生とこの映画には接点があった…

    こんな一節があった。
    一本の映画を通して観る二時間。その間は自分から離れ、自分でいる必要が無くなる。他人の日常を追体験し、元の自分に戻る…
    まさ

    0
    2025年03月19日

    Posted by ブクログ

    映画の中の登場人物たちが少しずつ交わるように、映画を観ている人たちも少しずつ交わる。ヒューマンドラマという感じで面白かった。映画が好きなので「夜、街の隙間」を観てみたくなった。

    0
    2024年12月10日

    Posted by ブクログ

    映画監督が亡くなりその追悼上映のある一日の同じ時間にミニシアターに映画を観に来た六人。その一人ひとりが映画を観ながら自分の過去や現在に思いを馳せていく連作短編集。六人のそれまでの人生とか現在の生活もとても読ませるんだけれど、その途中に入る映画の場面がとても印象に残る。映画と自分を重ね合わせるように観

    0
    2024年12月04日

    Posted by ブクログ

    小野寺さんの優しい作風にまたほっこりした
    追悼作品が上映されているミニシアターで映画を観ている6人。そして、次の回を観る7人目。の物語。
    映画に絡んで、それぞれの人生が描かれている。それぞれの人生はともすれば自暴自棄になりかねない人もいるなかで、皆堅実に嫋やかに日々を積み重ねている。映画の進行と同様

    0
    2024年10月27日

    Posted by ブクログ

    映画見に行きたくなった。ミニシアター系の。
    今までミニシアター系ってスカしていて芸術家気取りのわけわからん主張の物って思い込みがあった。
    すいません、偏見でした。
    という風に考えを改めさせられる作品だ。
    テレビドラマと映画の違いってそんな表現の違いだったんだ。目からウロコ。

    はじめはとにかく読みに

    0
    2024年10月09日

    Posted by ブクログ

    とある映画監督の追悼上映に集まった男女六人の人生を描く連作短編集。銀座のミニシアターが舞台なので、シネスイッチ銀座をイメージしながら読んでいたら、まさに著者の取材先だったのこと。映画のストーリーが登場人物たちの物語と並行しながら進行するため、作中映画『夜、街の隙間』を登場人物たちと同じ目線で味わえる

    0
    2025年03月18日

    Posted by ブクログ

    ミニシアターで、ある映画を観る六人。それぞれの人生を映画の風景も交えながら辿る物語。
    ミニシアターという場所での出来事や一本の映画との出会い、映画を作った人との出会い、数々の出会いが交差し、心地良い物語となっている。
    ミニシアターに行ってみたくなった。

    0
    2025年01月29日

    Posted by ブクログ

    最近ミニシアターが好きで、なんとなくタイトルで購入。読み進めるのに少し時間がかかったが、話が進むにつれてどんどん読めた。
    映画のキャラクターたちと、見ている六人とそれをとりまく人々が少しずつ交わる姿がよかった。

    0
    2024年10月30日

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