小野寺史宜のレビュー一覧
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同じアパートに住む4世帯それぞれの日常。よく分かるあるあるな悩み、他人に振り回される理不尽さ共感できるところもあれば、よくわからないなあというのも含めホントに人それぞれってのが伝わる。
2作目と3作目の話が好きだった。
片山達児
家族の中でどうしても浮いてしまうお父さん。嫌われていると思ってしまいがち。空回り。
仕事だけと思っていたら会社でも嫌われていた。居場所がない。そう思うと最悪の結末を想像する。
だけど家族ってそんな表面的なものじゃない。もっと信じるものなんだって。すり合わせどころが難しいけど積み重ねてきたものは本物だって。
青井千草
昔のアルバイト仲間が亡くなった。遠い関係のはずだけど喪失感は大きい。なんとなく遺族の元へ向かうことになっちゃうんだけど、重くならない。というよりスッキリしてしまう。
5年という月日なんだろうか。それでもその人を忘れずに話せることが癒やしになる気がする。
本筋には関係ないけど、バイト仲間のみくが本当に嫌いだ。薄っぺらな自分の正義、理屈で他人を攻撃する。人によって態度を変える。こんな人間にならない様に気をつけたい。 -
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小野寺さん17冊目だが、あっさりした作風なのか、どれも面白いのだが印象が薄い感じ。
神保町にある一流出版社の景談社に勤める社員を中心とした4組の夫婦と独身の女流作家の物語。神保町に実在する講談社を知っているだけに、出版社の内側を描いているような気がしてくる。
どこの家庭、夫婦にでもあるような出来事を登場人物達で共有し、トラブルがあっても皆で昇華しあっている。人事部長の佐原氏は娘の結婚相手を拒否することで、妻と娘と断絶が生まれる。それを解消してくれたのが、部下や後輩、作家のいろいろな家庭状況を知ること。新婚早々で奥さんが転勤となった夫婦には驚く。ブラック企業にも思ったが、最善の解決が図れて安心した。どの夫婦も作家も最後は明るい展開なので、読み味は良い。 -
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今回も最高でした!
やっぱり小野寺さんの文章が個人的に1番好きなだな〜。
圧倒的なヒーローは登場しないし、劇的な展開もないし、探したらすぐ会えそうな人たちばかりなのになぜか引き込まれる。
今回は母を亡くし、祖父母に育ててもらった僕が東京で教師になり、ある出来事をきっかけに辞めるお話。教師時代とその後の警備員時代。章ごとに入れ替わる物語が終わりに向かうにつれ、少しずつ噛み合っていきました。
身近にあるようなお話の中に光と影、善と悪、主観と客観のような壮大なテーマの対比のようなものが盛り込まれており、文章以上に考えさせられてしまいました。自分が善いと思ってした行動が世間的には悪だったり、助けたつもりがおせっかいだったり…。必ずしも気持ちと結果が関係していないこのなんとも言えない感じが北村の人生を通してガンガン伝わってきました。
ちょびっと恋愛要素も入りつつ、北村の人生をもっと見ていきたいな。そう思っちゃうお話です。
「人には光があり、影がある。どちらも同じ人のなかにある。それは変えられない。」
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人に作ってもらった温かいご飯の味は、きっとあなたの心に優しさを思い出させる。疲れた時に読むと効く。お粥の様な、香り高いお茶を飲む様な、そんな気分にさせてくれる作品でした。
夫の事故死をきっかけに、近所にある閉店された喫茶店、「クロード」を改装し「クロード子ども食堂」を開いた松井波子、月2回、17時から20時までの3時間の営業。未成年は無料、大人は300円。メニューは毎度変わる定食とデザートのみ。
様々な事情や過去をもった老若男女が今夜も食堂にやってくる。
派手な事件や怒涛の展開はありませんが、誰しもが経験する別れ、後悔、寂しさ、不安。それに美味しいご飯を持って寄り添い、考えるきっかけをくれる。
色んな事情や課題は人生尽きないけれど、とにもかくにも、ごはんは食べよう。と波子さんの人たらしっぷりが心に沁みる一冊でした。
名作漫画、鋼の錬金術師に、やらない善よりやる偽善ってセリフがあるんですが、偽善でもなんでも行動を起こして人を助ければ無駄にはならない。きっと思いは繋がる。と改めて思える。人情味溢れる本著、お腹が空いてる時に読むのは危険です。笑
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馴染みのある地がモデルであり、そこに小野寺先生の優しいタッチが重なり合って、とても心地よい優しい物語だった。
日比野豆腐店を切り盛りする日比野初は、夫勇吉をがんで亡くし、その後息子の清道とともにがんばってきたものの彼もコロナで突然この世を去ってしまう。そんな豆腐店に遺された初と清道の妻咲子、そして息子令哉の物語が淡々と柔らかい日常が展開されていく本作。初が豆腐屋を切り盛りしながら咲子や令哉を見守ったり、咲子がお店だけでなく様々なところに豆腐を卸せるように努力したり、令哉が高校生ながらに自分の気持ちに迷いながらも豆腐屋の将来を考えたり…そんな一生懸命生きている人々を亡き清道と同じように上から覗かせてもらった私は、たくさんの勇気と想いのつながりを本作から教えてもらった。ただ個人店を切り盛りという話だけだと現実的になってしまいそうだが、それを堀切菖蒲園や荒川の下町情緒溢れるスポットが柔らかく包み込んでくれていて、とても心地よく読み続けることができた。
特に好きなシーンは、初が咲子に店主を託すシーン。
初は自分が年配であり体力の心配面もあったが、それ以上に咲子を信頼して豆腐屋の将来を彼女に託す。そのときに咲子は心中でこう言う。
「お義母さん。もうお母さんでいい。」
この言葉は泣けたなぁ。仕事を辞めて、豆腐屋に嫁いでたくさんの苦労をするなかで、それでも近くに清道がいて彼の支えがあったからここまでこれたのだと思う。その支えがなくなっても初が咲子を見守って2人がお互いを思い合い、二人三脚でがんばってきた。だからこそ咲子にとって初は、お義母さんではなくお母さんであり、この言葉の深い意味を知ったとき、とても尊く美しい関係だなと思った。
個人豆腐店を切り盛りしていくのはとてつもなく大変なことだけれど、本作を読んで個人店こそ無くなっていけないものでかけがえのないものだと強く思う。スーパーに行けば安くてそこそこに美味しいものは手に入る。でも個人店にしかない商品へのこだわりや想い、人との繋がりや温かさはそこでしか育むことのできないものだ。昔葛飾に住んでいたから、殊更そんな個人店の温かさに救われたなぁとしみじみと思う。
いつも人の優しさを掬って紡いでくれる小野寺先生の作品に、今回も勇気づけられてしまった!
次はどんな下町が登場するのか、どんな人の優しさに触れられるのかとても楽しみだ。