あらすじ
マッチングアプリで知り合った二人目と別れたばかりの佐野朋香。妻とも娘ともうまくいかず、仕事も行き詰まる片山達児。むかしの仲間を若くして喪った青井千草。後輩の陰口にショックを受けて会社を辞め、半年が過ぎた新川剣矢――。平凡な暮らしが揺れ始め、岐路に立つ四人。小さなアパートの住人たちが紡ぐ愛しい日々の物語。
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★5
ベルジェ江戸川というアパートの住人が織り成す日常物語。
それぞれ、住人視点で物語が切り替わる。
作者の小野寺さんが捉える主人公たちは、いつも淡々とクールにみえるけど、ふとした瞬間にあたたかみのある人生譚を描き出し、安定のホッコリした読後感がいい。
そこに住むことになったきっかけや職業、何処の駅を使って通勤してるとか、眼に映る景色とか、土手の話とか、番外地の川の島の話とか、最近の若者の恋愛の出会いとか、へーっと感心する盛り沢山の豆知識も得た。
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アパート「ベルジュ江戸川」の住人を描く4章からなる物語。
特別キャラが立っているというわけではないがそれが逆にリアルで好ましく、そんな彼らを見つめていると心の底からふつふつと元気が込み上げてくる気持ちになれる。
この物語が人生の岐路に立つ人の不安で縮こまった背中をそっと温めてくれるだろう。
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江戸川区と市川の「国境地帯」、番外地などおもしろいコンセプトを入れての、やっぱり下町の人たちの一端を語る小野寺ワールド。日常の真面目な人たちの群像をしっかり描き、ばらばらな個を最後にまとめ上げている。孤独でありながら、決してひとりぼっちじゃない。そんな物語だと思う。
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同じアパートに住む住人視点の短編集。2番目の主人公の家族と仕事のスタンスが自分にとって妙にリアルで痛かった。それ以外はいたって普通の日常な印象。
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いつもながらの川べりのアパート。散歩。不思議な土地への関心。ニッチな話題。今回は、マッチングアプリも盛り込まれる。何とかなるよねワールド全開。
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同じ場所に住む人たち、いろんな思いや状況の中、生活している。
軽快な文章と奥深いテーマのバランスが絶妙で、読後感が爽快。普段見過ごしてしまいがちな日常の一コマが、視点を変えることでどれほど面白く、また考えさせられた。
最後にそれぞれが、微妙に影響を及ぼしていたことが分かるとなんかホッとした気分になった。
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小野寺さんの新作。読めるだけで嬉しい。
マッチングアプリで付き合い出した二人がさらっと、別れてしまう姿に驚いた。いまマッチングアプリで結婚する人が増えているから、この延長で離婚も多くて、貧困率がさらに増えるのではと心配になった。知人に話すとうちの子もマッチングアプリで結婚したと。息子からはきっかけに過ぎないから、直接出会ってもマッチングアプリでも離婚する人は離婚するでしょうと言われ、いろいろ考えさせられた。
201の佐野さんと101の新川さんのこれからの展開が気になる。
小野寺さんの作品には川や地名がよく出てくるが、いつもさらっと読んでいる。今度は地図を片手に読んで見ようと思う。狭いようで広い東京を感じられるかも。
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東京にあるアパートの住人たちの話。
そもそも東京の地理が分からないし、登場人物と年齢が重ならないため、あまり心に残らなかった。
しかし日常のなかにある小さな非日常を軽やかに描いているのは素敵だと思った。
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東京江戸川沿いにある小さなアパート「ベルジュ江戸川」、そこの入居者4人を主人公に据えた連作短編集。
特に大きな出来事は何も起こらない、最後に4人が顔を合わせるくらいのことが最大の出来事。それなのに何故か面白い。登場人物たちの考えていることが、ちょっとずれているというか、一般的を半歩だけ踏み違えているというか、そのずれが良いのだ。
誰しも、一般的とか世間常識からずれているところはあるのかもしれない。多様性とかホワイト社会とか、良くなっているけど窮屈にもなっているような昨今だからこそ、半歩くらいのずれがあって良いように思うし、その半歩を楽しみたいとも思うのだ。
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江戸川近くのアパート、ベルジュ江戸川の住人達の話。どの人の話もあ〜わかる〜と共感できる。
みんなに共通しているのは今の自分を見つめ直して前に進むというところ。変わるとかじゃなくて、受け入れて前に。なんだか勇気をもらえた。
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江戸川のほど近くにある、4室だけの小さなアパート「ベルジュ江戸川」。
そこに住む人々が直面する悩ましい出来事と、それに住人たちが向き合えるようになるまでを描く連作短編ヒューマンドラマ。
◇
東京メトロ東西線。その電車から私が毎日見てしまうのが妙見島と呼ばれる、2本の川に挟まれた陸地の部分だ。2本の川と言ってもどちらも旧江戸川で、わりと大きな道路が橋代わりに渡されているとは言え、どう見ても孤島だった。そこを私は、通勤の行きも帰りもつい見てしまうのだ。
島の目印はラブホの大きな屋上看板。別にラブホに興味があるわけではない。
ただ、都会の陸地と切り離された立地を見ることで少しだけ日常から解放される気がする、その感じが気に入っているのだ。
何と言っても「少し」という感じがいい。完全には日常から離れたくないから。
考えてみれば、私がマッチングアプリに登録したのも同じ理由だったのかも知れない。別にカレシが欲しいというわけではなく ( いや欲しくないことはないのだけれど ) 、日常と少しだけ違うことをしてみたかったのだ。
してみてわかったのは、マッチングアプリというのはなかなか便利なツールだということ。大学卒業後に4年間できなかったカレシが、アプリを始めてから2年間で2人もできた。
最初から条件を絞り込んであるので、会ってみて全然好みではなかったということもない。
そんなことを考えているうちに、電車は南砂町駅に着いた。 ( 第1話「妙見島 ベルジュ江戸川201号室 佐野朋香」) ※全4話。
* * * * *
小野寺さんお得意の、アパートを舞台にした連作ヒューマンドラマ。日常の人間関係の機微をテーマにしたストーリー。
各話とも本当によくある出来事をテーマにしているので、リアリティがあり共感しやすい。そして住まいや居住区の意義とその大切さを盛り込んだ少々ファンタジーめいた展開にほっとさせられる。
これまでも小野寺さんの作品には、そのようなコンセプトで描かれた作品が少なからずありました。だいたい同じような流れなのですが、それでも新作が出ると喜んで読んでしまうのです。
ストーリー的に、「主人公がひどいことにはならないというのが予想できるから」というのが大きな理由だと思いますが、それ以外にも2つあります。
1つは、主人公が結構いろんなことをウダウダ考えているのがおもしろいということ。
本作では、第1話の佐野朋香と第4話の新川剣矢のウダウダ具合いがいい。しかもこの2人をベルジュ江戸川の 201号室と 101号室というお隣ならぬ上下の関係に持ってきているのも、ご縁が期待できていい設定だと思います。
もう1つは、主人公がどちらかと言うと不器用で損をしがちな性格なので、つい応援してしまうところ。さらに、損な役回りになってウジウジ悩んでも最終的には前を向こうとするようになっていくところも、読んでいて安心できるから好きなのだと思います。
本作では、第2話の片山達児と第4話の新川剣矢がまさにそういうタイプです。ほっとけない、励ましたくなる、そんな不器用さがいい。
さて本作について、もう少し触れておきます。
4人の主人公は、自分の立ち位置がまだわからない、または決まっていない、そんな人たちです。なんせ不器用な人たちですから。
そして住んでいるのが、実は「番外地」と呼ばれるところで、東京か千葉かが微妙な地域なのです。この符号というか設定が特に、しゃれていていいと思いました。
物語の最後に、片山達児が 102号室を出て妻子とともに新天地へ向けて出発していく場面があります。
片山は仕事や家庭での自分の立ち位置についに気づいたことで、このベルジュ江戸川を退去 ( 卒業? ) するという、実によく考えられたラストでした。 ( あとの3人も退去が近そうな感じで、第4話に描かれています。)
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川縁の小さなアパートに住む四人。
顔を合わせれば挨拶はするけど、名前も顔も知らないまま。
それぞれの日常にふとした揺らぎが起きた時、ふと向かう「番外地」
地番の付いていない土地と、居場所の定まらない自分。
考えすぎてしまう人と考えなさすぎる人、
どちらにも共感できてしまった私もまた番外地なのかも。
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東京と千葉の境にある、駅徒歩二十分のアパート、ベルジュ江戸川の四室に住む人たちの日常。201号室の女は、マッチングアプリで二度彼氏が出来、二度、失敗する。夫婦仲がうまくいかず、中学生の娘にも疎まれている102号室の男は、会社でも嫌われていて遠方への異動を言い渡される。202号室の女は、学生時代の友人が五年前に自殺していたことを知り、101号室の男は、年度末で退職したものの、次に進めず夏の終わりを迎える。出くわしたら挨拶はするが、ほとんど顔も見ず行き過ぎるだけの関係。最後の話で一堂に会する。が、特に何も起こらない。
ホームセンターだったり、飲食店だったり、食品メーカーだったり、ごくごく普通の会社に勤め、ごくごく普通の人生を、誠実に生きているたちを掬い上げるのが、小野寺さんは本当に上手だと思う。何が起こるというわけでもないけれど、みんな、誰もが抱くような悩みを、ああでもないこうでもないと考え、なんとか生きている。上を目指したり、成功したり、そういうのはなく、ただ生きるだけで、大仕事なのだなあと思う。そして人を生かすのは人だということを、思い知る。
ラブホテルと会社と工場がある、川の中の島、妙見島が気になって、いろいろ検索してしまった。
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どこにでもある日常を切り取って書かれた物語。でも、そんなことあるあると妙に納得してしまいます。
ちょっとしたきっかけから展開していく内容も、読んでいて興味をひかれました。
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同じアパートに住む四人の人間の心の動きを描いた作品。
東京と千葉の境目にある町のアパートに住む四人(三人と一家族)。
マッチングアプリでの出会いを求める女性、妻や娘とギクシャクしている中年男、かつての友人の死を知った女性、仕事を辞めたが新しい道に踏み出せずにいる若い男。それぞれの日常が川沿いの町と「ベルジュ江戸川」という名のアパートを舞台に動いている。
四人とも何かに躓いていて、それでいて立ちあがろうともがくでもなく、淡々と過ごしている。
じっくり読ませる一冊。
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同じアパートに住む人のそれぞれの暮らし、少しだけ交わり、基本挨拶程度しか交わらず、リアル
同じアパートってことはまぁ同じくらいのの家賃を払い、同じ生活圏で暮らしてるって時点で何かしら共通点というか親近感とかありそうなんだけど、そこはやはり他人には踏み込まない感もあり、、小野寺作品なので人情的な面もあり、かな
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ほのぼのはするけど、オチがないねんな。これは関西人やから言うのとちゃうで。で結局住民同士の交流で何かが変化したり生まれた訳とちゃうやん。作家はんは好きやけど、これは何が主題かわからんなあ。
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一章一章の終わり方はいいが、そこに行き着くまでの部分が長く、中弛みのような感じがした。もしくは文章が私の好みではなかったのか。
一番最後の終わり方はほっこりした。
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好きな作家さんの1人だけど…。
同じアパートに住む人達 みんなそれぞれいろいろある
地形や場所やそれ以外も説明が多くてわかりやすいような でも多すぎかな
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特に何が起こるわけではないが
同じアパートの住民達の日々の心の機微をうまく物語にしている
とても読みやすく、日常的過ぎて自分にあてはめたりしてスルスルと読めた
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最近、小野寺さんの作品の感想はいつも同じことを書いている気がするけど…今作も淡々と静かに日常が描かれた物語だった。
小野寺さんらしいと言えばそうなんだけど、時間が経ったらきっと内容を覚えていないだろうなぁ。
他の作品とも区別がつかなくなっていそう。
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ベルジュ江戸川という集合住宅に住む人のお話。
失敗の人生に目を背けたいと思う時もある。
だけど、失敗と思っていたことは単なる経験で、失敗ではないことがほとんどなのかもしれない。
見たいものも見えているものは違う、悲観しなくても案外幸せだし、幸せの種は身近にあるのかもしれない。
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なんてことない日常の物語。でも、なんてことない日常ってあまりなく、誰しも少しだけのなんてことある日々を生きてるって感じさせられる。少しのなんてことあるきっかけで変わるなんてことない日常が心地よい。
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心が暖かくなり、様々な愛を感じることのできる小説。
アパートに暮らす4人の各々のストーリーを楽しめることができます。
人はそれぞれ抱えているものがあり、住民の各視点や人生観を楽しむことができました。
アパートでの人との繋がりをいい意味で感じることができると幸せだなっと思います。人として当たり前ですが、挨拶をすると後々の効果を得れると強いですね。
また、家族愛って素晴らしいと思いました。
気分転換に読むにはちょうどいい本でした。