あらすじ
結婚して、離婚して、新しい人に恋をして、それでも「家族」は続いていく。2019年本屋大賞2位『ひと』で話題の俊英がおくる、新しい家族の物語。川遊びの最中、小学生の娘・菜月が友人の娘と溺れるのを見て、とっさに助けに飛び込んだ守彦。必死の想いで引きあげた腕の中には、菜月ではなく友人の娘がいた。「お父さんは菜月をたすけてくれなかったもん」その言葉を最後に、口をきいてくれなくなった血の繋がらない娘。七歳年上の妻ともすれ違いはじめ―――。困り果て、とりあえずの間と家を出る守彦だが、会社の後輩や、川遊びに来ていたシングルマザーとの何気ない会話の中で、娘と妻への本当の気持ちに気づかされていく。いつもあと一歩が踏み出せない、不器用な守彦の出す答えが心にしみる、新しい家族の物語。
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自分なりに愛しているのに伝わっていないとか、他の人と比べると愛は少ないとか、愛情表現が苦手なタイプの人は共感できるものがあるかもしれない。
まさに私はそのタイプなので、読んでいてもどかしさと共感が入り混じる複雑な気持ちになった。
愛の言葉も大事だけど、最後はどれくらい行動できるかで、愛が伝わるのだと思う。
愛の程度は本当に人それぞれだと思った。
伝わる人に伝わればそれでいい気もするし、それだけでは足りない気もするし。愛って難しいなぁ。
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7歳年上の子連れ女性と結婚した30代のサラリーマン男性が主人公。複数の家族で行った川遊びの最中、小学生の娘と友人の娘が溺れ、とっさに助けに飛び込んだが、それは娘ではなく友人の娘だった…
最初から血のつながっていない娘は、ショックで口をきいてくれなくなり、やがて年上の妻ともうまくいかなくなる―――。
以下、ネタバレ。
悪循環が続き、主人公は2年ちょっとで35歳で離婚することになるが、どうもこの主人公がふらふらして煮え切らないのが何か腹立たしい。また歳上の妻も夢を追いかけるのはいいが、年下の旦那をものすごく軽んじているのが何だか腑に落ちない。
しかし、めげない主人公は離婚後に川で助けた娘の母親と良い仲になってゆく…そしてフラれる(笑)
また主人公の会社の後輩、小池くんが登場するが、これも彼女(くるみ)に浮気されながらも未練がましく許している変なやつ。そしてこのくるみという彼女も最低。しかし2人はやがて結婚することになり、エンディングの章は2人の結婚式だ。
最後は主人公がこれまで見てきた愛について、それぞれの大きさや深さは違うことを再認識し、これから自分が人を愛するとしたら、その愛の程度はどれくらいなのだろう…と空想して終わる。
感動するシーンはあまりないが、今の若い人の恋愛事情とか結婚にむけての感情を多少垣間見た気がするな。
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小野寺さんのたいていの作品は
読んでいると、
“一人の女の子に片想いした二人の男の子がその子を巡って勝手に決闘する”ような幼稚な男臭さのようなものを感じるんだけど、
今回も多分にその雰囲気があった。
作風としてそう書いているのか、認知がそちらに偏っているのか、毎回考えながら読むけれど、少しメタ的に否定するような表現もあって結論は出ないまま。
自分自身は別にパートナーが異性と旅行に行ってもあまり気にならないし、それが少数派な気はしているし、とはいえ仮にDNA検査の話をされた日には、先輩だろうが領域に踏み込んできすぎなので、とても腹が立つと思う。
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主人公の言わんとしていることを端的に表したタイトルがいい。その言わんとしていること自体に、そこまでの深さは感じない。でも、結論めいたそこに至るまでの半年間の展開と描写は、深みがあって、読ませる。
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再婚相手の娘
バツイチの女性
色んな人から逃げられちゃう可哀想な主人公の話。
ではないかな。笑
真剣に相手と向き合わなくても良いときもある。
そんなゆるっとした愛がほどよいときもある。
でもちゃんと決断して行動しないといけないときもある。
どんな愛の程度がベストかなんて分かんないんだよねぇ。
色んな人生あるなぁって読んでてすごい面白かった。
いい相手みつかるといいなー
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この話の主人公は人に対して誠実でありながらも起用に立ち回れずというキャラクター。作者の小野寺史宜の作品である「ひと」や「まち」の主人公と共通している。しかし、本書の主人公は誠実なあまり行動に移せないもどかしさがあり、結果的に上手く立ち回れない。考えすぎて動けない主人公に対し、大丈夫かよと思いながらも行動を起こす後輩の対比が面白い。
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綺麗な終わり方。
『その愛の程度』って、素敵。 わたしも恋したくなる程、優しく素敵な物語でした。 ままならない、でも、明日への希望が・・・。 最後、"ふふふ"と、笑みが浮かんでいた。
淡々と綴る優しい文章が素敵。
ドラマティックな酔いよりも、普通の男性の喜怒哀楽の素直な呟きが、なんだか魅力的。
小野寺史宜さん、いいなぁー。
主人公・豊永守彦は、結婚、離婚、新しい恋、後輩くんの結婚を通して、変わって行く。 恋して敗れての葛藤は、流されやすかった彼には、大きな成長。 応援したくなる。
それに比べて、年上の妻の逞しさ、したたかさは圧巻。 会社の後輩くんの盲目の恋の勝利には、驚く。
○ちょっと余談だけど○
主人公の会社の"蚊とり器が必ず蚊をしとめる"描写が面白くて読み入った。
『本当に感心したからこそ、おれは蚊とり器を礼賛したのだ。』
『礼賛』って・・・。 蚊とり器だよ。 うふふ。
Posted by ブクログ
男性作家さんであまり読んだことのない、登場人物の心情が繊細に描かれている文章。
守彦と妻の成恵、後輩、シングルマザーの女性その子供とのやりとり。後輩の小池くんがなんとも憎めない。結婚した後も小池くんは守彦に相談してきそうだ。
他の著書も読んでみたい
Posted by ブクログ
7歳の娘を持つ7歳年上の女性と結婚した35歳の男性
一人称で語られるが故に
その本音と建前がはっきりわかる
バカなやつだと思っても
無難な言葉で返したり
こんなやつだと思われたくないので
言葉にしなかったり
でも、多かれ少なかれ
人間みんなこうなんだと思う
面倒なことになりたくないので
本心は隠しておく
愛っていうのも
曖昧なものだね
自分では愛していると思っても
愛そうとしていただけかもとか
顔は好きだけど愛しているのだろうかとか
自分でもよくわからなかったりする
作者はひとの心をよく見ていると思った
Posted by ブクログ
血の繋がりのない娘がいる守彦。
川遊び中に娘と一緒に遊んでいた女の子が溺れてしまう。
守彦は娘を助けに川に入るが、助けたのは娘ではない方の女の子。
そこから娘との関係が悪くなり、家を出る羽目に
そして結局離婚…しかも妻は他の男と結婚したいとまで言い出す
どうしてそうなる???
しかも、いい感じになりそうだと思っていた、シングルマザーも
え?
なんか、守彦かわいそうすぎ
Posted by ブクログ
二つの母娘家族と、その旦那さんである豊永さんの気持ちの揺れ動きを描いている話。
主人公である豊永さんは悪い人ではないし、卒はないのだが、何とも立ち回りが上手く行かない。
他の読者さんが書かれているように、登場人物みんなが何か好きになれない。
それでリアルな人間らしさが出てるという気もする。
ただあまりにも報われない豊永さんが少し不憫だった。
豊永さんと同じ35歳、色々な出来事と人に振り回されて生きている身としては、胸に詰まる話だった。
Posted by ブクログ
「ひと」や「まち」がとても良かったので期待して読んだがちょっと思っていたのと違った。
何が違うのかと考えると…
登場人物がみんなあまり好きになれないのだ。
だけど、キレイにまとまりすぎてない感じが人間味があっていいのかな。
"すべては程度の問題だ"という言葉には妙に納得‼︎
Posted by ブクログ
主人公の男性は悪い人ではないんだけど女性からするともう少し決断力と言葉で伝える表現力がほしいところ。
スカしてないのにスカして見られるタイプなんだろうけど、だからこそ密に自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを聞いたりしてほしい。と自分も同じタイプだから自戒を込めて思ってしまう。
みっともなくても理解が及ばなくてもいいから、とにかく言葉で伝え合ってさえいれば、彼は自然と違う道を歩んでいたのではと。
対極にいるかのような後輩くんの思考・選択は全くもって理解できなかったがどこか憎めない。彼を好きになった主人公やくるみの気持ちがよく分かる。
この作品は他の小野寺作品とは少し毛色が違って、動くより考えて考えて動けない、ひとりの中年男性にフューチャーした物語。個人的な好みとは違った。
Posted by ブクログ
妻の職場の仲間と出掛けたバーベキューで、川遊びしていた娘が溺れるのを見てとっさに川に飛び込んだ守彦だったが、その腕の中にいたのは娘ではなく一緒に溺れた別の女の子だった。
娘も助かったが、その日から口をきいてくれなくなり、妻との関係もぎくしゃくし始めて、困り果てた守彦はとりあえずの間と家を出る、といった発端。
だけど、なんか、彼の行動には違和感があるなぁ。
家を出るのはまだあるかなと思うが、助けた娘の母親・結衣から連絡が来たからといって、彼女が働く喫茶店に通ったり、家に行ったりするかなぁ…。
下心があるのかないのか、中途半端に生真面目っていう感じで、小池くんでなくこっちこそ度を越えているような気がするぞ。
どういうつもりか守彦の気を惹きながら最後に梯子を外す結衣のほうもどうだかなぁ。
この二人だけでなく出来てくる人物が皆、私にとってはどこか変。
大人の振りして自分が一番大事の妻やバイト先の女性たちに次々と声を掛けていく塚越くんには付き合いきれない感じだし、どうしようもなく性悪女の品田くるみと彼女に首ったけで全く学ばない小池くんのカップルもなんだかな…。
守彦が人事課長に登用されたり、最後の深井さんの登場まで、真面目に悩む話な割には軽い話に微妙な陳腐さや違和感を覚えたのでした。
★は2と3の間くらい。
Posted by ブクログ
35歳の守彦の結婚、離婚、仕事、恋愛。
溺れた義娘を助けたつもりが別の子で、それまでうまく行ってたような家族が微妙にうまくいかなくなり、、
そう落ち込まずに新たな別の人間関係も生まれ、
淡々としてるんだけど、いろいろ考えてる守彦。
特に結末とかないんだけど、こういう考える系の男性が主人公の本は好きだけど、現実の男性は小池くんみたいに少し単細胞がいいなぁ。
Posted by ブクログ
小野寺史宜といえば物静かな男性主人公の日常がちょっとだけ揺らぐ話です。当然今回もそうです。
主人公の豊永守彦が妻の連れ子との関係悪化をきっかけに離婚、それでも周囲の人々と表面的に関係を持ち続けた結果、「すべては愛の程度だ」と解脱したような内容。
著者の作品にしては登場人物に特殊な人物が多く登場する。
効率厨で人生をRTA実施中の元妻の成恵、主人公にコナをかけつつ大事なところは浮気で別れた元夫を頼ってしまう結衣、どう考えてもビッチ認定の品田くるみなど、全体的に恋愛観・結婚観・家庭観がまともではないキャラクターがもりだくさんだ。登場人物で唯一まともなのは小池君くらだよぉ…