小野寺史宜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
人に作ってもらった温かいご飯の味は、きっとあなたの心に優しさを思い出させる。疲れた時に読むと効く。お粥の様な、香り高いお茶を飲む様な、そんな気分にさせてくれる作品でした。
夫の事故死をきっかけに、近所にある閉店された喫茶店、「クロード」を改装し「クロード子ども食堂」を開いた松井波子、月2回、17時から20時までの3時間の営業。未成年は無料、大人は300円。メニューは毎度変わる定食とデザートのみ。
様々な事情や過去をもった老若男女が今夜も食堂にやってくる。
派手な事件や怒涛の展開はありませんが、誰しもが経験する別れ、後悔、寂しさ、不安。それに美味しいご飯を持って寄り添い、考えるきっかけをく -
Posted by ブクログ
馴染みのある地がモデルであり、そこに小野寺先生の優しいタッチが重なり合って、とても心地よい優しい物語だった。
日比野豆腐店を切り盛りする日比野初は、夫勇吉をがんで亡くし、その後息子の清道とともにがんばってきたものの彼もコロナで突然この世を去ってしまう。そんな豆腐店に遺された初と清道の妻咲子、そして息子令哉の物語が淡々と柔らかい日常が展開されていく本作。初が豆腐屋を切り盛りしながら咲子や令哉を見守ったり、咲子がお店だけでなく様々なところに豆腐を卸せるように努力したり、令哉が高校生ながらに自分の気持ちに迷いながらも豆腐屋の将来を考えたり…そんな一生懸命生きている人々を亡き清道と同じように上から覗 -
Posted by ブクログ
日比野豆腐店を舞台とした親子3代の物語が飾らずに静かに語られます。途中、悲しいことや嬉しいことも起こりますが、語り口は不思議なほど穏やか。たとえば家族の死なんかがポンっと置かれた感じで、それだけにじんわりと感情が伝わってきます。読み終わると日比野家の人々をグッと近しく感じ、木綿豆腐を買いに行きたくなります。
舞台となる日比野豆腐店は葛飾区の堀切菖蒲園の近く。菖蒲園も何度も登場します。今年の菖蒲まつりは5月25日かららしい。ついでにご近所を散歩したら本当に日比野豆腐店が見つかるかも。そんな日常感あふれる、普通の人々の生活を切り取ったような作品でした。
ちなみに、長いスパンのお話なので、登場人 -
Posted by ブクログ
亡くなった夫との思い出がきっかけで松井波子が開いた「クロード子ども食堂」は、ごく普通の住宅地にあって、月二回のペースでメニューは一種類。
この物語は主催者の波子さんをとりまく人たちのそれぞれのおもいが詰まった群像劇です。
大学生ボランティアスタッフも、母子家庭の男の子も、両親が離婚してしまった女の子も、ホステスとして働くシングルマザーも、近所に住むお年寄りも、みんな何かしらの事情を抱えているけれど、ひとつひとつのお話がとても奥が深くて温かい気持ちになれます。
波子さんの、お客さんやスタッフさんへの気配りや心遣いが行き届いていて素晴らしいです。
子ども食堂の存在は知っていたけれど、それを実行