あらすじ
その夜、親友が湖で命を落とした。二十二年前に高校で組んだバンドのメンバーが集まった宴での出来事だった。生徒会長の信明、副会長だった昌子、元バスケ部の壮介、吹奏楽部の君香。彼らは当時、スターのように輝いて見えた。歳月を行き来しつつ語られる、恋、別れ、喪失。そして秘密。人生を歩む道程であなたが味わう喜怒哀楽、そのすべてがここにある。作家としての成熟を表す、記念碑的長篇小説。(解説・澤田康彦)
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Posted by ブクログ
「人」、「ライフ」、「ナオタの星」のような安心・安全小説とはちょっと違って、何度かアクシデントがあるお話。そのアクシデントが了治の人生のターニングポイントだ。人にはそれぞれいくつかターニングポイントがあって、後悔しながら生きていく。君香にとっては、ボートの事故が人生最大のターニングポイントで、最良の結果なんだと思う。
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昼と夜。光と影。
表裏一体だな、と思う一冊だった。
主人公の了治の目線で描かれているが、
それぞれの目線でそれぞれの夜があるのかも。
読み終わってみれば
あれ?けっこう重い話では…?
と、感じるが、
読んでいる途中はふわっと日常に溶け込んだように
読めるのが不思議な感覚。
私は私の中の夜の側に立つ気持ちを
知っているけれど、
私以外の人の夜の側に立つ気持ちを
知らない。
それは一瞬襲いかかるような衝動的なものかもしれない、それとも常に覆われたものなのかもしれない。
そんな気持ちが誰にでも在ることを
知りたくて安心したくて
私は本を読んでいる。と、思い出した。
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18才(高3)、20代、30代、40才(現在)の視点を終始行き来する。
が、全く読みづらさなし。
むしろすごく効果的。
小説の技法って無限大なのだな、と今さらながら気づく。
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内容も小説の構成も非常に複雑な内容だった。
現在40才、18歳の高校3年生、20代、30代の繰り返しが3回続く。情報が小出しのため、全てを理解するのに最後まで読まないといけない。
友人と乗ったボートが転覆し、友人が死亡する。赤ちゃんが出てくるが、誰の子供かわからない。5人の高校生。生徒会長と副会長のカップル、元バスケ部のエースのイケメンと吹奏楽部のエース美女と4人のスターと普通な主人公がバンドを組む。
突然の隣家の奥様と主人公との一夏の経験。この奥様家族とは最後に意外な関係に。
5人の関係も複雑に変わって行く。エース美女との両思いなのに、告白されて断る主人公。皆んなくっついたり別れたり。主人公もある女性との交際で職を失ったり、忙しい。
イケメンと美女の結婚、それに複雑な思いの主人公。「夜の側に立つ」の題名が意味深。黒い主人公の内側が若干怖い。
最後まで読まないと、色々な秘密が解読できないので一気に読ませてもらった。
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時間軸が行ったり来たりするけれど、そこがすごくよい。
今を生きてても、何十年前のことを昨日のことのようにうじうじモヤモヤすることあるもの。
救いとか、ほつこり、はないけど、もういっちょ頑張ってみますかなって思ったり。
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タイトルで選んだ感じやったけど、夜というのは、もうちょっとダークな感じを想像してた。(血ドバドバではなく!)
ミステリー要素もあるんかな?最後に分かるけど。
高校時代から、22年のエピソードをシャッフルさせて展開していく流れは、結構面白い。
でも、主人公が高校時代に引き摺り過ぎな気もする…
確かに高校時代って、一番楽しい時なんは否定せんし、後悔する事も結構あるしね。
でも、時は解決してはくれんし…
やっぱり、自分が動かんとダメなんやな。主人公は、時間はかかったけど、動いたから良かったのかも?
やっと高校から続く、青春が完結した感じ。
しかし、殺意は…(`_´)ゞ
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高校生四人の物語
楽しいこと悲しいなこと モヤモヤすること嫌なこといろいろあっての四十代
なんとか正しく生きて行こう!という感じがよかった 優等生キャラじゃないところがよかった。
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小野寺史宜って誰?面白くって一気に読んだ、高校3年の同級生5人が40歳になるまでの話が時系列シャッフルして進む物語。青春とその思い出が入り混じっていて主人公と一緒に懐かしんでしまったり何だかごまかされているような?ちょっとあり得ない不自然な展開も許せるほど引き込まれた。
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野本了治を中心に高校時代からの仲間、榊信明、辰巳壮介、小出君香、萩原昌子らが繰り広げる壮大な物語だが、大きな事件が話をやや複雑にしている.成瀬夫人事件、地下鉄事件、水難事件だ.了治の兄夫妻も面白い役割を果たしている.バンドの結成が彼らを強く結びつけたのだろう.エピソードを小分けにして語っていく構成も楽しめた.
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野本了治
壮介とボートに乗ったが助かった。
高校三年のときにバンドを組んだ。
母校の西高で教師となった。
生徒の母親と付き合ってい事が発覚し、教師を退職。
小出君香
壮介の妻。
吹奏楽部の花形奏者。サックス。アメリカに二年弱いて、帰国して短大を卒業。地銀に就職。
辰巳壮介
酔ってボートに乗り、事故で溺れて死んだ。
校内屈指の実力派バンドのドラマー。元バスケ部のエース。人命救助した地下鉄の会社に入った。
榊信明
高三で了治と同じクラス。生徒会長。中学のときベースをやっていた。高校卒業後は大学に進学せず、実家のスーパーサカキヤを継いだ。
萩原昌子
生徒会の副会長。信明のカノジョ。昔ピアノを習っていたとかで、バンドに引き入れられた。自分が通っていた大学の職員になった。
蓮人
君香の息子。
成瀬万千
野本家の隣人。離婚して姓が亀井になった。
早英
成瀬家の一人娘。
野本美津
母。スーパーでパートをしている。
野本純蔵
父。高校教師。
蓮見計作
ブルースっぽいロックをやる人。売れてない。
成瀬悦郎
成瀬家の主人。暴力をふるっていた。純蔵が別れさせた。
輝明
信明の弟。
阿部珠子
了治が交際している女性。西高の生徒の親。
阿部敦樹
珠子の息子。ベースをやっている。
高柳亜砂
英語科の教師。
子安
整形外科の先生。
中西
リハビリ科の先生。
藤田むつみ
了治の隣の席。
恭市
了治の兄。大手生保会社に勤めている。
牧さと子
恭市のカノジョ。大手飲料会社に勤めている。
川島
野本家の隣人。
澄生
恭市の息子。
アキタ
秋太。野本家で飼った秋田犬。
真下
体育科の先生。
染谷
数学科の先生。真下と結婚した。
菱沼のばあちゃん
壮介の住むマンションの近くの一軒家に住んでいる。七十代くらいの女性。
ジロ
菱沼のばあちゃんが飼っている柴犬。
岩永春代
英語科の先生。
大森日菜
了治が勤める予備校の生徒。
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主人公は高校生の頃から、いわゆる「普通の人」なのだが、高校時代のバンド仲間は、主人公以外は皆、キラキラしたスター的な存在。時の流れの中で、高校時代のスター達も「普通の人」になって社会に溶け込んでゆく…。
時の移り変わりと共に、表面的なことで言えば、それぞれの生活や関係性も変化してゆくのだが、内面的なものは、実はそれほど大きくは変わらない…さらに言えば、全然変わらないままだったりする。それが主人公やその仲間達との関係性に大きなうねりをもたらし、この小説の最終章に繋がってゆく。
淡々とした「普通の人」の人生なのだけれど、なぜか一気に読めてしまう…そんな小説でした。
Posted by ブクログ
小野寺さん作品は好きだけど、今回はあまりしっくりせず…。生徒会長や副会長ってそんなにすごい人かなぁ、主人公は自分を卑下しすぎじゃないかな。と思いながら読みました。
Posted by ブクログ
高校生の時に組んだバンド。約20年後、みんなで集まることになったが、そこで一人亡くなった。湖で、二人でボートに乗ったが、バランスを崩したことにより、一人は助かり、一人は命を落とした。悲しみにふけながらも、生きていかなければならない。学生時代の思い出、社会人での思い出など過去を振り返りながら、「今」を生きていく物語。
小野寺さんの作品というと、「ひと」や「ホケツ」が思い浮かぶのですが、テンポよく会話のキャッチボールをしているので、会話のリズムが心地よい印象があります。
この作品でも、リズムよく会話をしている部分があって、心地よかったです。
冒頭は親友の死から始まるのですが、特にミステリーがあるわけではなく、思いにふけっていきます。
この時点では40代で、その後、10代→20代→30代→40代と小出しにする形で、ループしていきます。
ちょっと読みづらい印象もありました。年代が変わるごとに、
「あっそういえば、このエピソードって、この年代だっけ?」と思ったことが、しばしばあって、戸惑いがありました。
小出しにせず、一気に書けばいいのにと思いましたが、要となる部分が、後半でようやく判明するという構成になっているので、それはそれで粋な構成だなと思いました。
その要となる部分は、
どのようにして出会ったのか?
いかにして、親友が亡くなったのか?
それぞれの年代での空白だった部分を埋めるかのように書かれています。
主人公が、文章から察するに大人しめかなと思いましたが、意外に奥手なことにちょっと驚きでした。
それぞれが別々の人生を歩んでいきますが、特に大きな盛り上がりということはなく、淡々としています。
人が亡くなっても、時間は流れます。生きていかないといけません。読んでいて、ゆっくりと人生に浸っている感覚がありました。
そんな中での最後の結末は、ゾワっとざらつきのある気持ちにさせられました。爽やかに書かれているのですが、中身は「これって・・・。」と思うこともあって、ちょっと複雑な心境になってしまいました。