小野寺史宜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ刑事って仕事はどんなものか…これまでドラマや漫画、ミステリー小説などで持つ一般的なイメージは、正義感が強く、平和を守るために命の危険も厭わない『聖職』として仕事をしている人が、逆に暴力団と結託して悪事をはたらくダーティーなヤツ…みたいな2択しかないような印象が普通ではないだろうか。
この小説に登場する松川律(まつかわ・りつ)はちょっと違う。合コンし、子持ちの歳上の彼女と付き合い、長いLINEをし、どちらかというと私生活は普通の32才の若者だ。
まあ、それは当たり前のことなのかもしれない。僕らは『刑事くん』(古い)から『太陽ほえろ』や様々な刑事ドラマで、刑事という職業は市民の安全のために尽くす -
Posted by ブクログ
ネタバレ安定の小野寺節。
メンタルの安定した落ち着いたいい男目線の一人称語り。淡々としている。今回は物語終盤に向けて怒涛の展開だったのだが、それでもやはり「大きなことは起きない」と感じさせてしまう語り口。いい意味でとても現実的な物語。
主人公は松川律。刑事。警察官のなかでも、事件を扱う刑事。高校時代の先輩でシングルマザーの澄音と付き合っている。澄音の子ども海音ちゃんとも会い、結婚も考える。でも澄音の父には傷害の前科があった。で、上司からも結婚を止められる。それでも結婚しようと考える。警察を辞めてでも結婚しようと考え、そう伝えるが澄音が反対。2人は別れる。そして2ヶ月ほどで澄音が交通事故で亡くなる。海 -
Posted by ブクログ
本の雑誌社の炎の営業マン、杉江由次さんが
Xでおすすめしていたので
久しぶりの小野寺史宜さん、手に取り読んでみた。
杉江さんの感想を読んでみると
「ここのところ正直あまりハマる作品がなかった」とある。
そうなんです。同じ思いです。
今作は一気読みだった。
母を介護(介助)する娘、もしくは確執のような
ドロドロ系を読み慣れているので
父と息子の関係はどこかドライなんだなと感じた。
(ケースはいろいろだと思うが)
母親は亡くなり一人暮らしの父親(78歳)に老いを感じ始めた。
息子40歳。
東京から実家の館山に戻りテレワークで仕事をこなす。
サラッと日常が書かれているが、さすが小野寺史宜さん -
Posted by ブクログ
ネタバレ7歳年上の子連れ女性と結婚した30代のサラリーマン男性が主人公。複数の家族で行った川遊びの最中、小学生の娘と友人の娘が溺れ、とっさに助けに飛び込んだが、それは娘ではなく友人の娘だった…
最初から血のつながっていない娘は、ショックで口をきいてくれなくなり、やがて年上の妻ともうまくいかなくなる―――。
以下、ネタバレ。
悪循環が続き、主人公は2年ちょっとで35歳で離婚することになるが、どうもこの主人公がふらふらして煮え切らないのが何か腹立たしい。また歳上の妻も夢を追いかけるのはいいが、年下の旦那をものすごく軽んじているのが何だか腑に落ちない。
しかし、めげない主人公は離婚後に川で助けた娘の母親 -
Posted by ブクログ
東京に住んで20年以上が経つ富生には、故郷の館山に一人で暮らす父がいる。
母が亡くなってから6年経つあいだ、ほとんど帰らずにいたが電話で話す父の様子がおかしく感じて久しぶりに帰る。
バンパーがへこんだ車を見たり、雑然とする部屋や弱くなった父を目の当たりにし、8年付き合った彼女がいたが、ひとりで父と同居することを決める。
老いていく父のもとへ帰ることに躊躇なく当然かのような自然さに意外な気もした。
けっして父といい関係ではなかったはずなのに…と。
しかもリモートで仕事できるとはいえ、40歳だといちばん中心になって仕事する世代ではなかろうかと思ったのだが、それに長い付き合いの彼女と結婚は考えなか