誉田哲也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ジウ三部作が新装版で出たと知り、これを機に再読。
その犯行の残酷さ、凄惨さと、ジウの無垢さや孤独などが矛盾しないということにまず驚いた。
黒幕は別にいるということも関係しているとは思うが、やはりジウのバックグラウンドがあまりにも悲惨というか、何とも言えない哀しさがある。
でも、決して犯罪を犯してはいけないのだよね。
どんな理由があっても、人を傷つけたり殺したり、存在を脅かしてはいけない。
ジウの哀しさと警察側の正義、具体的には東と美咲の地道な捜査と正義感のコントラストが強くてくらくらしてしまう。
そこに伊崎基子という、これもまたジウに似た背景を持つ孤独な人間の人生も交錯してきて、これは警察小説というカテゴリーではあるけれども、人間というものについていやでも考えざるを得ない物語だった。
世界に愛があふれて、孤独から犯罪を犯す人がいなくなればいいのに、なんて、子どもみたいなことを考えてしまった。 -
Posted by ブクログ
誉田哲也『歌舞伎町ゲノム』中公文庫。
〈ジウ〉サーガの第9弾。ジロウ、市村、杏奈、シン、陣内のそれぞれの視点で描かれる5編の連作形式の短編で、現代の必殺仕置人、歌舞伎町セブンの活躍を描く。
今回も法の網をかいくぐり、悪行の限りを尽くす悪党どもに歌舞伎町セブンが胸のすくような正義の鉄槌を下す。
短編であるがためか、少々物足りない気がする。出来れば長編で歌舞伎町セブンの活躍とスリリングな物語を味わいたいものだ。
『兼任御法度』。ジロウの視点で描かれる短編。三人組の大学のラグビー部OBによる極悪非道なレイプ事件。被害者の女性は自殺し、思い詰めた婚約者の男は歌舞伎町セブンに復讐を依頼する。
『凱旋御法度』。歌舞伎町ナンバーワンホストのテルマが雇ったエジプト人運転手のアイマンが交通事故で死亡する。間近に帰国を控えた人の良いアイマンは何者かに暴行を加えられ、ふらふらになったところを車に跳ねられたらしい。市村は半ば強引にテルマから依頼を受ける。
『売逃御法度』。杏奈の元に来た依頼。29歳の女性からの恋愛相談という触れ込みだったのに、親友の35歳の女性が会社役員の男性に弄ばれて亡くなったので、男性を殺して欲しいという依頼に変わる。報酬は破格の300万。美味しい話には裏がある。
『改竄御法度』。シンが特殊清掃の仕事で処理したのはホストの死体だった。仕事に行く前にヤクザから逃げる少女から預かったICレコーダー。その後、その少女からある依頼を受ける。
『恩赦御法度』。ある夜、陣内にフリーライターの土屋昭子からの助けを求めるメールが入る。もっとも〈ジウ〉サーガを感じた短編。
本体価格740円
★★★★★ -
Posted by ブクログ
これはいい。
久々に一撃で読み続けてしまった。
誉田さんの作品は、テンポが良くキャラ映えが強いので、頭にすんなりと入って読みやすいイメージがあり、やや漫画を読んでる感覚に近いと感じる。そのせいか、読後感は「うん、面白かったな」くらいのさらりとした印象しかなかった。
本作品もそういう意味では同様だが、内容がいつもの現実的の事件解決とは異なり、まさかのファンタジー、ある意味ではホラーといった珍しい感じ。
ストーリーの進み方がとても良く、続きも気になるし、恒例のYouTube巡りも就寝時間もすっ飛ばして、読み耽ってしまいました。
改めて考えると、そんなに度肝を抜かれるほど凄いストーリーではないんだけど、誉田さんの表現技法にしっかり捕まえられた気がするな…
-
購入済み
今回も👍
「警官の貌」に続くアンソロジー集。
前作がとても良かったので、早速こちらも読んでみましたが、さすが期待を裏切りませんでした。
今野敏氏:好きなシリーズの短編
萩尾警部補もの、特に短篇は人情味アッ
プで◎
五十嵐貴久氏:私にとってはお初の作家さん。
途中、あまりにやるせない話で読む
のが辛くなりましたが、終わってみ
れば感動
三羽省吾氏:こちらもお初でしたが、後味の良い、
心暖まる話。
主人公の佐田も良かったですが、脇役
の那智、いい味出してました。
誉田哲也氏:正直、「裏切り」の意味が解らずじま
いでしたが、後々、長編に繋がる話だ
そうで……それじゃ仕方ないかなぁ。
でもそれ、ちょっとズルいかも⁉︎
今回も納得の面白さでした。
警官シリーズ、今後も期待しています。
-
ネタバレ 購入済み
GOOD👍
もともとは、今野敏さんの「常習犯」が読みたくて購入したのですが、他まったくタイプの違う3作品も一度に読めて、すごく得した気分です。
1作目:今野敏氏の萩尾警部補作品、人情話です
2作目:誉田哲也氏作品、私的にイヤミスです
3作目:福田和代氏作品、最近の世相を反映した話で外国人犯罪を取り上げています
4作目:貫井徳郎氏作品、裁判員制度について考えさせられる話です
短篇とは言え力作揃いでおススメの一冊です。
-
Posted by ブクログ
いよいよ本題に切り込み始めた感のある2作目。
「一般社会と超能力者の共存」を実現させるために越えなければいけないハードル。正面から取り組もうとする増山と裏で動く高鍋。2人のスタンスが明示された。(高鍋との力量差は歴然。対峙すべき時は必ず来ようが、増山はそれをどう克服するのか)
さらに勢力拡大に超能力を不正利用しようと企む国家レベルの陰謀の存在。(ない方がおかしいよね。個人レベルでは如何ともし難い問題だが…)
そして増山の妻子、特にアリスの能力。(今後、こちらに力点が置かれることになると思う)
緊迫の度合いを増しつつ次作へとつながるはず。ああ待ち遠しい! -
Posted by ブクログ
ちょっとヘタレな中学生が世界でいちばん長い写真を撮ることで成長していく物語。
ひょんなことからパノラマカメラを使うことができた主人公はその魅力に取り憑かれていく。そのカメラの作者との出会いが、ヘタレの主人公をカッコいい少年へと変えるきっかけとなる。
パノラマカメラを使って、皆が楽しみ、笑顔になるきっかけを作って全校生徒をまとめる役になることで、自信を持ち、絆を作り、周囲からも認められる存在になっていく。
破茶滅茶な従姉妹も要所要所で主人公の少年を助けてくれ、同級生で少年のことを鼓舞する少女、憧れのマドンナとの触れ合いなど青春の要素てんこ盛り。
サクッと読めて、面白かった。