星新一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
久しぶりに読んだショートショート。
大人になって読んでみると、予想ができるストーリーも多いけど、でもまぁ相変わらず楽しめる。
子どもが大きくなって文庫本とかに手を出す頃になったら(青いとり文庫とかを卒業する頃になったら)、進めてあげたい気はするよね。自分が親からそうしてもらったように。入り口として入りやすいだろう本よね。(このタイトルが、という意味ではなく、星さんの作品、という意味)
あとがきを読んで初めて知ったこととしては、星さんのこだわりとして、時代を限定する用語はなるべく入れない、というのが書かれていて、しかも、もし時代遅れになり始めたら手を入れてその部分を改修するんだ、という話をされていて。なるほどな、と思いました。今読んでもさほど違和感ないから。
とはいえ、いつか子どもに...の長期スパンだと...もう手を入れてくれる作者はいないし、世の中変わり過ぎていて、ムツカシイ面も出てきてしまうのかもなぁ。。
こういう作品て、他に書いてる作家さんているのかしら。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ星新一のショートショート集。まだ未収録作品がこんなにもあったなんてびっくりした。
しかし初期の星氏の切れ味豊かなショートショートはここにはもう、ない。結構読者を突き放した形で終わる話が多く―これは後期星作品の特徴だったが―、ポイッと放り出されてどうしたものかと逡巡することが多かった。
収録作の中で気に入ったのは表題作の『天国からの道』、『火星航路』、『収穫』、『大宣伝』、『禁断の命令』、『疑惑』あたりか。
『天国からの道』は天使たちが二手に分かれて天国の会社を作り、死者の誘致合戦が行われ、次第にエスカレートするもの。結末は映画『マトリックス』の世界観を髣髴とさせ、ちょっとゾッとする。
『火星航路』は火星に調査に行く男女の団体の物語。てっきり火星に行き着くまでのSF冒険ファンタジーかと思いきや、さにあらず、2ヶ月に渡る宇宙船での暮らしぶりを語る辺り、星氏独特の着想が光り、しかもラヴ・ストーリーに着地するのが意外だった。これがベストかな。
『収穫』、『大宣伝』、『禁断の命令』、『疑惑』は初期星作品を想起させるオチもついて楽しめた作品。
宇宙を旅する謎の生命体が集める銀色の粒の正体が実は衛星核兵器だったというアイロニーが光る『収穫』。
社運を賭けて開発した新調味料を世間に広めるべく大宣伝作戦を打って出た結果がユニークな『大宣伝』。
隣人のロボットを預かった男が「命令をしてはいけない」という約束を破るとどうなるかを描いた『禁断の命令』。
霊媒を商売にすることになった男が妻の関心を惹くために行った霊媒がある疑惑をもたらすことになる『疑惑』。
この辺は良質のショートショートだ。
今回の特徴はいやにドライな性表現が多発すること。『平穏』と『解放の時代』がそれ。
前者はいきなり親が性教育をし出すし―しかもアブノーマルなものも含めて―、後者は異性・同性・獣の種類を問わず、道行くたびにセックスを交わす世界の話でいささか困惑を禁じえなかった。
あと冒頭にも述べた読者を突き放す形で物語が閉じるというのは、『つまらぬ現実』や『担当員』などを読むと物語を紡ぎすぎた結果の行く末、物語作家の視点が達観している感があり、仙人の境地にいるかのように思わせられた。
これをどう理解するかが鍵なのだろうが、やはりまだこの境地までには自分は至っていないようだ。