星新一のレビュー一覧
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ネタバレこの本の前に読んだ本が割と体力を使う本だったので休憩のように手に取った一冊。
没後の作品集「気まぐれスターダスト」を再編集し、デビュー前の処女作や文庫未収録のものも集めた一冊。なんてことは全く知らず、星新一の本という理由だけで手に取ったがそういう背景を知って読むことができて面白かった。特に処女作「狐のためいき」は、切なさも感じたがどこか自分も普段感じている、他人に対して何か違うなあと感じていても言えないもどかしい感覚を覚えた。また、この作品はあまり星新一らしくないようにも感じられ、その『らしさ』という点では、「悪夢」「Q聖人来る」「収穫」のあたりがすごく『らしさ』を感じられたと思う。いずれにしてもどの作品を読んでもハズレはなく、星新一の著書の読みやすさ・皮肉めいた面白さ、何冊読んでも飽きないなあと改めて感じた。 -
Posted by ブクログ
星さんのこの内容。本当、未来を予言したような内容が今更ながらすごい。
ファンタジーのようでファンタジーとも言い切れないショート短編集。読みやすく、また、予言が当たっているようなそんな肌寒さすら感じさせてくれます。
あとがきに、中学生や小学生なんかもちょっと背伸びして読む大人の文庫。ライトノベルから初の大人小説への背伸びにぴったりの一冊。と、あったが、確かになるほどなと思う。下ネタもかなりあるからなんとも言えないが、まぁ、その頃には大方いろんな想像はついてるだろうし、このくらいはよしと。
やたらいろんな人とセックスをする惑星の話にはなかなか感慨深いものがあるが、確かにそういう考え方もある。と視野を広くもつにはいいよね。いや、良くはないけど、それはその常識の中の1つという、ありとあらゆる世間があることを知る。という意味でも、本当、ショートなのに深い星さんの一冊。毎回考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
ヤナーチェクの評論において、ミラン・クンデラが、「作者のあとに残された一切のものを掻き集めるという情熱の形で表れる」「忠実さ」について、批判しているのを思い出す。例えば、《棍棒体操のための音楽》のような重要でないものを「ヤナーチェク・ピアノ曲全集」に収録する「忠実さ」である。
クンデラはひとりの創作者として、創作者ヤナーチェクに同情している。しかし私は愚かな享受者である。ヤナーチェクの作曲したものなら、《棍棒体操のための音楽》でもありがたがって聴く。面白くないけれども。
そして神様には忠実にならざるを得まい。相手は「ショートショートの神様」だ。ということでできたのが『よせあつめプラネット』、もとい、『つぎはぎプラネット』、単行本未収録作全集に近いもの、である。改作されて複数ヴァージョンあるものをすべて収録まではされていないから「近いもの」である。
星新一のご息女とここに解説を書いている高井信らが、「あとに残された一切のものを掻き集める」作業をしたわけだが、その成り行きについて書かれた解説が苦労を偲ばせてなかなか面白い。まさに「情熱」。
冒頭に収められているのは「SF川柳・都々逸 101句」。星新一はこういうナンセンスが好きだったらしいが、当時の世相を反映していて、解説なしではわけのわからないものもある。作品が古びないように、時事的なことは書かないようにして作品を作っていたという星新一にとって、こういうのを収録されるのは不本意だと思うが、それをまた冒頭に持ってくるあたりに、編者たちの確信犯的自覚を読み取ることもできるだろう。どのみちいくら「神様」でも死んでいたら文句は言えないのだ。クンデラはまさにそのままならなさを怒っているのだが。
あとの作品は発表年代順に並べられている。1957年の同人誌『宇宙塵』収録作から始まるので、習作といえなくもないのだが、未熟な作品というわけでもない。アマノジャクなクイズが流行る話を新聞社への投書のみで描いた「ミラー・ボール」は、かなり長く、後の作風とはいささか異なるものの、アマノジャクにこだわるあたり、いかにも星新一らしくて面白かった。
しかし、である、その後、少年誌への寄稿作品が結構な数、続く。これはちょっとなあ……
そのうちエフ博士とかエヌ氏とかが出てきて、「二○○○年の優雅なお正月」。ボタンひとつで朝食が出てくるというのは冷凍食品のチン、テレビのチャンネルの数が50ほどもあって、だが、あまりおもしろいのはやってなかったとはなんたる慧眼。映画は4ミリフィルムになっていて、安く借りられる、欲しい商品があればテレビについているダイヤルで商品番号を回せばいい……、35年前の予測は結構実現されている。
1965年のソニーのPR誌に掲載された「ビデオコーダ−がいっぱい」。これも「YouTubeと監視カメラがいっぱい」にかえたらだいたい予測どおりだ。いやいやSF作家の仕事は未来予測ではないなどと、かつてさかんにいわれたものだが。
少年誌の収録作のほか、だいたい1970年初頭くらいまでの企業のPR誌用の「明るい未来」的な作品が多く、残念ながら全体的には《棍棒体操》といわざるを得ない。星新一未経験者は『ボッコちゃん』とか『エヌ氏の遊園地』とかから読むべきである。 -
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ショートショートで有名な作家で知らない人はまず無い。
私が中3時点でもこの人の作品は無数に読んだ。
当時古本屋で見つけた時のふれこみが(オビにかいてあったような)作者初めての長編とウタッてた。
今で言うラノベに分類されるタッチ。ストーリーは偶然出会った男と女がふとしたことで巻き込まれるドタバタラブコメって感じだった。
ショートショートの達人だけあって読み落とすところが無いくらいムダの無い文章の配列。
当時、読後これって日本人の作家でなくサラッとクールな外人の作家のタッチ。大好きなヘンリースレッサーとかぶった。出品が20年遅かったら映画かビデオでもヒットしたと思ったが調べたらテレビ化はされてた。しかも植木等主演。番組も覚えてるが(おれの番だ)この作品を原作にした際の放送は残念ながら覚えてない。
今だったら阿部ひろしと米倉涼子でキマリ・・・かな? -
Posted by ブクログ
ネタバレ星新一作品唯一の“レーゼドラマ(戯曲風小説)”。
マンションの一室。住んでいるのは高利貸しの亭主と占い師の夫人、そして一人娘。
そこに金目当ての妙な男たちがやって来て、大騒動が持ち上がる。
さらに、死後に人間にとりついてその出来事を皮肉に見守る霊魂たちもからんで……。
詐欺師、強盗、霊魂たち――人間界と別次元が交錯する、軽妙なコメディー。
霊魂の存在システムがシニカルで星新一さんの作品らしく面白かった。
霊魂になると無限の時を過ごさなければならない。
だからベテランの霊魂は暇つぶしのために変った人間にとりつきたいと願う。
戦争や伝染病などでとりつく人間がいなくなると、霊魂は“消滅”を選択することができる。
しかし今は人間の数が増え続けているので霊魂は当分消滅できないことに悲観している。
新人の霊魂が尋ねる。
「消滅後も霊魂みたいな世界ってあるんですかね?」
「悪い冗談はよしてくれ。それこそ無限地獄じゃないか。」
少子高齢化で人口減少傾向の末来は霊魂にとっては救いなのですな。。。
場面転換で演者が観客に語り掛けたりと、とても昭和らしい戯曲廻し。
これくらいベタで親切な展開も 今また ありかも。