星新一のレビュー一覧
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【もうこのコンセプトだけで大勝利】
「ノックの音がした。」の一文で始まるショートショート15編。まず、この発想だけで「参りました」って気分になる。
コンセプトがおしゃれなだけでなく、それに負けないお話のパワーがあるのが星新一。
読み終わった後、どの話が好きだったかなーと振り返ってみた。出だしの数行読めば「ああ、あの話か」って思い出せて驚いた。登場人物は少ないのに、15編全て被ることなく違う印象が私の中にある。
星新一ってストーリーに対してすごく俯瞰でいることを貫いてる気がする。ストーリーから何を受け取るかは読者に委ねて、押し付けがましさや説教くささがない。
私は勝手に物の捉え方が藤子・F・不二雄に近いんじゃないかと考えていて、この二人は未来を見通す力が凄まじい人なんじゃないかと思う。
特に好きだったのは「現代の人生」「しなやかな手」「人形」の3編。 -
Posted by ブクログ
『ボッコちゃん』新潮文庫、1971年(昭和46年)発行する。手元の本は2011年(平成23年)の98刷になり、以下ウエブ調べによると...「98刷まで増刷(重版)を重ねているということは、数十年にわたり読み継がれている歴史的な名著や、社会現象になった超大ヒット作であることは確実です。おおよその目安を計算すると、少なくとも数十万部、一般的には100万部〜数百万部(ミリオンセラー)に達していると考えられる」らしい。
誰が買ったのか、本棚にあったので読んでみた。当時、小学生が一番最初に手にする文庫本はだいたい星新一のショートショートと相場が決まっていた。気になったのが、この本は読まれた形跡がないことである。購入時の紙カバーがそのままであること。これはミステリーだ。彼は購入して読んだ気になり本棚奥へしまい込んだ、そして時が流れて...やっと読まれることになる。真相はいかに…
50編のショートショートから、ベスト1を選んで紹介。『ねらわれた星』は、地球侵略のためにウイルスをばらまく宇宙人、そのウイルスとは、皮を溶かすというものなのだが...溶かしたのは皮じゃく、服だったという落ち。だれも死なず人々が喜ぶ姿に恐怖した宇宙人は、地球を去っていくのだった。 -
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ネタバレ星新一にしてはSF少なめというか、社会問題に繋がるストーリー多めに感じたがそれはただ単に私がちょっと大人になったからかもしれない。
・休日の数時間と、出勤の電車30分で読み終えた。
忙しい社会人でも読める短編。星新一は短時間で非日常へ一瞬で連れていってくれる、小学生時代からの大切な友達。
・一年間
人間の指示に対して「気が進まない」とすぐに実行しないロボット。そのわけは、あまり忠実すぎると使う人間の思考が単純化になるから。結果そのロボットを一年使った青年が、人間の奥さんと幸せに暮らすという話。何度だって言うが、AIがあるこの世の中に星新一が生きていてほしかった。彼の言葉や考え方を聞きたかった。実際、AIが普及する世の中で、AIが言った通りに行動する人や、AIが生成したものを信じこむ人が増えてきている。かくいう私自身もそんな傾向がなくはなくて、この短編はあまりにも近未来(もはや現代)だ。
・現実
眠るたびに自分の周りの状況が変わるという話。
演劇的でとてもよかった。
・最後の中田耕治さんの解説文もすごくよかった。
今回の短編の内容ではなく、星新一のショートショートが面白い理由にフォーカスしていた。これこそ、おのぞみの結末。
-星新一曰く、アイデア捻出の原則は、異質なものどうしを結びつけること。(これは企画職の私自身が会社でも言われていること)
*ごくありきたりの対象(たとえばコーモリガサ)が、不意に、まるで関係ない対象(たとえばミシン)のとなりに置かれます。しかも、この二つがへんてこな、場違いな感じの場所(たとえば解剖台)に置かれると、そのために、コーモリガサはコーモリガサの目的がなくなり、ミシンはミシンとしての性質(アイデンティティー)を失ってしまいます。
→→シュールレアリスムに繋がる
-「彼は言った」「彼女はいった」と書かずに、
「刑事は女といくらか会話をかわした」「彼は質問に応じて説明してくれた」と書く
-人々の会話で物語が進む→落語の話術を使用?
-文章はうまいへたでなく、あくまで人柄らしい、星新一曰く。ユーモアのない人にユーモラスな文が書けるはずがない。
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ショートショートの人というのは存じてましたが、プレミアムカバー目当てに今回が初の星新一さんでした。
目当てというのは少し下世話な表現で、今迄読んだ事のない所に手を出せる良いきっかけの提供になっていて良いですよね。
中身については、時に中学生向けに紹介されている星新一さんだけあって、自分が子供の頃に読んでいたら多大な影響を受けていたんだろうなと思わされる物がありました。
一作一作の短さが本当に凄い。書かれた時代背景なんだろうなという宇宙船と異星人の登場回数にもにこにこさせられます。ロマンがありますよね。
折角のショートショート作品集なのでもっと薄かったら出先にフラッと持っていける本になったのになーとかちょっと思ったりしました。 -
Posted by ブクログ
星新一の作品は、ショート・ショート形式のため、無駄な表現がほとんどない。当時の流行語や具体的な時代背景をあえて排除し、登場人物や世界の細かなビジュアルを読者の想像力に委ねている。
そのため、いつの時代に読んでも「自分の知っている世界」の出来事として、作品にリアリティを感じるのだと思う。
また、作品の多くは、人間関係や社会の仕組み、人間の欲望や愚かさを描き出している点で、イソップ童話(寓話)に近い構造を持っていると感じた。
本書に収録された「妄想銀行」や「鍵」にも、その特徴がよく表れている。
表題作の「妄想銀行」は、人々の空想や願望が預金のように扱われる社会を通じ、人間の尽きない欲望や、夢さえも商品化してしまう社会への皮肉が込められている。
もう一方の「鍵」は、人生の意味を深く考えさせられる作品だ。拾った鍵に合う存在(鍵穴)を求めて生涯を過ごした主人公が、最期に求めたのは結果ではなく、それまでに積み重ねた「思い出」だった。大切なのは目的の達成だけではなく、その過程で得た経験や思い出なのだと感じた。
未来的で不思議な世界を描きながらも、その中心にある現代社会や人間の本質を鋭く映し出している。これこそが星新一の持つ、色褪せない最大の魅力だと改めて実感した。 -
Posted by ブクログ
さらっと読めて内容の分かりにくさがなく面白いが、あまりにもすぐに読めてしまうため読んだ後すぐに通り抜けてしまうようだ。
宇宙物、新しい技術が出てくるものが多いのは、発想を自由にし、世界を縦横無尽にショートショートにしたいためだろう。
話で共通するパターンとして、〇〇したいと思って行動するが××という落とし穴があって予期せぬ結果に陥る、形式だ。
この流れの中で、登場人物は自分自身の性質が鏡の如く映され結果として返ってくるという印象を受けた。
また常に漂うのは、童話のような世界観で、夢のように自由自在な世界、ルールが引かれた世界に思えた。
子供のピュアな夢物語のよう