星新一のレビュー一覧
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日本最古の創作文学と同時にSF小説なのですから、星新一訳もこの機会に。
文庫の最後に古文原文も収録されていて、文章はいつもの軽快な星先生ですけれど、思いの外、忠実に翻訳されています。ご自身の解説で、心がけた事は、物語作者の立場に近づく事と書かれています。各段落ごとに、“ひと息”と題して、ご自身の感想を入れてあります。
解説で、竹取物語には四季が描かれていないこと、姫やその他男性陣の容姿の詳細が省かれていること、単に発想とストーリーで長い年月人を惹き込んでいる。と賞賛されていましたけど、これは、星新一のショートショートと通じますね。
参考文献で、川端康成の「竹取物語」を読まれていて、ーこれは、川 -
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地球人と異星人、宇宙と地球をモチーフとしたSF短編42遍が収録されている。短いストーリーにオチをつけるショートショートを楽しむのが苦手であったのだが、印象に残ったのは、「天使考」である。
「天国はずっと独占事業だったので、天使たちは、しだいに役人臭をおびてきた」という最初の一文から、登場してくる天使たちが可愛かった。天国は一つしかないので、放っておいても、地上で死んだ魂はやってくる。そのため、天使たちは、真面目に働かなくても職を失うことがない。次第に天使たちは、「雑談やふざけっこをしながら、いばりちらしてい」るだけになり、「太陽のかけらで作った勲章がほしい、ほかの星の天国に出張したい」などと -
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星新一のショート・ショート。
本著は「星新一の単行本未掲載作品を集める」ことを目指したものであり、故に星新一が生前に請け負った広告やPRのための作品も多く収録されている。
広告であるからにはその題材やテーマが縛られているということである。それは一見、自由度が狭まるように思えるが、題材が縛られているからこそ彼の独創的な発想や切り口がむしろ際立つ。「ここからこの広告につながるのか」という新鮮な驚きがあった。
「デザイン思考」に関する本を読んでいると、完全に自由な条件よりも多少の制約があった方が良いものが生まれるということはよく言われることだが、これは実は簡単ではない。
その点、星新一は題材をS -
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いつ読んでも、古くても新しさがある星新一。
読んでは、忘れ、忘れては、読みの数十年。
と、作品数が多い中で、一作目の「雄大な計画」は、忘れた事が無い大好きな作品です。
ある会社が、優秀な新人社員をライバル会社に入社させて、企業スパイとして活動をしてもらい、その報酬に相応の地位を与えようという、一人の男の一生を左右する雄大計画。男はひたすら努力して、すくすく出世して、遂にはライバル会社の社長となる。いよいよトップシークレットが思いのまま。ふと、男は考える。なんたって、こっちのライバル会社の方が大企業。何の為のスパイか?
これは、企業物ですが、時折見かける、相対する組織への潜入ドラマやコミックに出 -
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星新一氏の文庫本39冊のショートショート作品の38冊目のようで、初期の作品群とは趣が異なっている。
この作品群には『ボッコちゃん』のような分かり易いオチはなく、どの話も何を言いたかったのか分からないまま唐突に終わるのでモヤモヤが残る。
唯一タイトル名にもなっている「これからの出来事」だけは具体的にイメージが湧いて、手塚治虫の医学マンガを読んでいるようで良かった。
「小さなバーでの会話」という話の最後に、「…人生も社会も、錯覚の連続の上に存在しているのかもしれませんな…」というセリフがあった。
これが、本書の作品群全体に共通するテーマを言い表しているように思えた。
本書で後期作品の雰囲気