いとうせいこうのレビュー一覧
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ネタバレ東日本大震災を背景に「想像」という電波から流れるパーソナリティDJアークの言葉や想いを通して死者と生者の絆や関係性を描いた作品。前情報なしで読み始めて正直全く意味がわからなくてなんだコレと思いながら読み進め第一章の最後で「!!!」とぶん殴られたような衝撃と共に涙腺が崩壊。
毎日のように流れる震災や戦争や虐殺など失われた多くの命のニュースに心を痛めながらも時間と共に記憶は薄れてしまうけど亡くなった人のことを今を生きる人たちが想像しながら語り継ぐ事は魂の浄化に繋がるんだな。
直接的に関わることがなかったとしても「想像」という電波にのせて彼らのことを思い出し語りかけることできっとどこかに誰かに私の声が届いていてほしい。なんてな。 -
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ネタバレさらっとした文体で軽快に語られる、最初は全然状況が掴めない。なんなら章ごとにいきなり登場人物が変わる。その人たちが生きてるのか死んでるのか、はたまたどちらでもないのかも分からない。読むのにも想像力がいる作品。震災文学テーマのレポート書くために読んでみたけど、言語化するのが難しいな。沢山書けそうではあるけど。
あぁ、この人達死んでるんだって気付いてから彼らの「会いたい」って気持ち感じるととても苦しくなる。また会いたいね、いつ会えるかなって書いてた第4章は切なくて苦しくて、でもその会話はあったかくて綺麗だった。
現世とあの世の存在とは。被災者とボランティアの関係性。突如訪れた人生の終わり、やり切れない思いで留まる魂。もしかしたら本当にあったのかもしれない震災の話。いろんな切り口の死生観が感じれたのも良かった -
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夏目漱石の作品について、筆者の二人が対談する本。
自分の好きな作品が多くて嬉しかった。やっぱ「猫」はサイコーですよね!「門」もいいよね!「坑夫」好きだっていう意見は今まで見なかったから、同じ意見で嬉しい!
夏目漱石の作品を読み込んでるんだろう二人の意見はとても参考になった。夏目漱石はコミュニケーション不全の話をずーっと書いてるんだということは今まで気づかなかったけど、言われるとそうだな…
「坊っちゃん」も威勢が良くて好きだけど、坊っちゃんってあんまり話してない、と書かれてて、あ、確かに…と気づいた。なんか坊っちゃんが可愛く思えてきて、再読したくなった。猫も門も坑夫も読もうかな。 -
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国境なき医師団という、ニュートラルである事にかなり気を遣っている組織を通しての現地ルポなので、変に偏向せず、一般人が本当に現地で抱く感情をそのまま伝えてくれている本だと思う。
足や手がなかったり背後から撃たれたりがあまりにも普通すぎて感覚が麻痺してしまうが、そんな中でも普通に暮らしている子供たちを見ていると、本当につらい。ガザではイスラエルもハマスも双方がそんな一般市民の手足を犠牲にして戦争をしている。。
日本の事務所のパートも興味深かった。資金や物資集めなど、こういった組織の裏側をはじめて知った。医師団の方の利他精神とその中でも自己実現をはかる生き方、なかなか誰にでもできるものではない。皆さんの人間としてのレベルが高い。 -
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純文学的な小説かと思いきや前衛的。小説を書くって、誰かになることなんだと再認識した一冊だった。いとうせいこうさんの才能ほとばしる三扁が収録されている。
「今井さん」は、ちょっと暗いトーンがありつつも妙に落ち着くしっかりとした土台があって、不思議な魅力があった。
「鼻に挟み撃ち」は、時間と空間を超えた妄想というか社会派というか、本当にアミダクジ的に進んでいくお話。とはいえ、「小説って誰かになることなんだよ、そうなんだよ」と、私のどこかに共鳴してきた。今まで感じたことのない読後感。
「フラッシュ」は、いちばん好きなお話。
どれも文体が違って独自性があって、いとうせいこうさんって、なんて才能のある人なんだ! -
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興味本位、軽い気持ちで手に取った。
本書の狙い通りだと思うが、漠然と抱いていた四角いイメージ、聖人君子の集まりによる、我々のような凡庸な人間とは一生関わりのない遠い世界の出来事、といった偏見は即座に吹き飛んだ。
気高い人達・理念・活動方針であることは間違いないが、人を救いたいと思う動機の根本は自分にも理解できるし、単純に共感し助力になりたいと思わせ、その上でどうやったら協力できるかという方法までご丁寧に示してもらった。
以下は自分の日記。
個人的にはやらない善よりやる偽善だと思っているので、読み終えてすぐ5000円寄付した。ここに堂々と投稿するにしては少額で恥ずかしいような気もするが気にしない。
MSFの活動にきっかり5000円分だけ役に立つことができた。とりあえず今はそれで充分と自分で勝手に結論づけた。
だからと言ってこれで満足なのかと言われればそうではない。
これからもとりあえず5000円ずつくらいの寄付して、悩みながら折り合いつけながら生きていくのかな。 -
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2017年から始まった、笑いに関する公開対談。
お笑いを分析する本も好きだなあ。
「真剣になりすぎてうっかりなやつ」
「スポーツに匹敵する笑い」
「芸人が舞台で演じると、何も匂わせずスルー出来ない」
「最新機材の照明は、笑える消え方ができない」
「面白いことを言った人ではなく、反応をこそ撮る」
「ケンイ・コスギ」
etc.
ギャップであるとか、真剣さの面白さとか、慣れにならず忘れることの大事さとか
当たり前のような要素も、いろいろ事例や具体例とともに話すと
そこに至るまでの説得力が出てきて面白い。
対談の中で当時の時代背景や人間関係も分かって、
アタマで考えた話だけになっていないのもいい。
バカリズムさんの回は、笑いへのアプローチの仕方に全編唸りまくり。
きたろうさんの回は、文章だけなのに、
きたろうさんの声のトーンや態度が浮かび上がって、
何度も爆笑しそうになってしまった。
電車で読むのは危険レベル。 -
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信仰の対象ではなく、仏像を見る旅。そのスタンスに共感する。室生寺、薬師寺、新薬師寺、東大寺戒壇院、唐招提寺、興福寺、浄瑠璃寺、神護寺、平等院、広隆寺…行ったことあるところが結構重なって、思い出しながら読むとまた見に行きたくなる。
東北の仏像は、京都で見た仏像を記憶で再現するときに、下から見上げて拝んだ記憶で再現しているから遠近法的に頭が小さくなってしまっているんじゃないかとか、仏像をすっかり取り込んで自国の文化のようにしておきながら廃仏毀釈で放り出そうとするあたり、結局日本という国は外からの物を本当に受け入れる気はないんじゃないかとか、考察が結構鋭かった。
仏像に感じるエキゾティシズムとエロティシズム。わかるような。
東寺の月光菩薩と西大寺の文殊菩薩見てみたい。