いとうせいこうのレビュー一覧

  • 福島モノローグ

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    もっと多くの声を聞いておかなければと思った。何年もかけて開墾し土壌を改良して作った麦畑が汚染土のフレコンバッグ置き場になってしまった話、牛の鼻が考えられない程伸びて死んでいた話など一人一人の人が抱えなければならなくなった痛みにせめてずっと耳を傾けていかなくては。

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    2021年04月05日
  • 今夜、笑いの数を数えましょう

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    2017年から始まった、笑いに関する公開対談。
    お笑いを分析する本も好きだなあ。
    「真剣になりすぎてうっかりなやつ」
    「スポーツに匹敵する笑い」
    「芸人が舞台で演じると、何も匂わせずスルー出来ない」
    「最新機材の照明は、笑える消え方ができない」
    「面白いことを言った人ではなく、反応をこそ撮る」
    「ケンイ・コスギ」
    etc.
    ギャップであるとか、真剣さの面白さとか、慣れにならず忘れることの大事さとか
    当たり前のような要素も、いろいろ事例や具体例とともに話すと
    そこに至るまでの説得力が出てきて面白い。
    対談の中で当時の時代背景や人間関係も分かって、
    アタマで考えた話だけになっていないのもいい。

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    2021年03月08日
  • 見仏記

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    信仰の対象ではなく、仏像を見る旅。そのスタンスに共感する。室生寺、薬師寺、新薬師寺、東大寺戒壇院、唐招提寺、興福寺、浄瑠璃寺、神護寺、平等院、広隆寺…行ったことあるところが結構重なって、思い出しながら読むとまた見に行きたくなる。
    東北の仏像は、京都で見た仏像を記憶で再現するときに、下から見上げて拝んだ記憶で再現しているから遠近法的に頭が小さくなってしまっているんじゃないかとか、仏像をすっかり取り込んで自国の文化のようにしておきながら廃仏毀釈で放り出そうとするあたり、結局日本という国は外からの物を本当に受け入れる気はないんじゃないかとか、考察が結構鋭かった。
    仏像に感じるエキゾティシズムとエロテ

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    2021年01月31日
  • 「国境なき医師団」になろう!

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    この本を読むと、文系の私も、魅力たっぷりな「国境なき医師団」に入りたくなった。求められる人材は、即戦力になり、チームで活躍できる人。日本人としての強みも活かせるとわかった。

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    2020年11月03日
  • 雑談藝

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    こういう雑談が延々とできる相手っていいよな〜と思ったところで、まず妹の顔が浮かんできた。
    趣味を語り、得た知識を無駄に駆使し、妄想し、幾度も本題から外れ、ボケてはツッコみツッコんではボケて…。
    妹との会話も終始こんな感じ。

    お互い謎の習性やこだわり、奇行もクセも変態もそのままにしておける余裕と寛大さがある。
    親しき中にも礼儀と配慮はあるが、遠慮はあんまりない。
    これが可能な相手ってそうそういないのかもしれない。

     小学時代からの友人もそんな感じ。
    読みながら、「大学はみんなマトモでつまんない。お前みたいな変なのがいない。やっぱ落ち着く」と言われたのを思い出した。
    私もそう思うことがある。

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    2020年09月22日
  • 存在しない小説

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    どの掌編もたいへんにおもしろく、思わず頁を繰ってしまう「うまさ」を堪能した。一編を除いて翻訳小説の体で書かれているが、そこには作家が意識するとしないとに関わらず、どこか「日本語で日本の作家が書いている」ということが垣間見え、それがいかにも興味深かった。

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    2020年07月25日
  • 雑談藝

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    おじさん二人が森羅万象について雑談するだけなのに、実に面白い。こんなに語り合える人がいれば恋人も配偶者もいなくてもよいのでなかかろうか。

    いとう「ジョン・アーヴィングが原作の『ホテル・ニューハンプシャー』って映画見てない?実のお姉さんを好きになっちゃった弟が、あえてものすごい時間お姉さんとセックスしちゃんうんだよね。で、した挙句、お姉さんへの執着が解けるんだよ。それに似てない?愛しすぎるものから離すためには、大量に与えればいいんだっていう」
    みうら「一度、嫌いになるほど満ち足りたほうがいいのかもね」

    二人が語る「見仏記」も読みたくなった。

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    2020年04月16日
  • 「国境なき医師団」になろう!

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    いとうせいこう氏による「国境なき医師団(MSF)」の取材からまとめられたルポルタージュ。失礼ながら思っていたよりもずっと真面目に向き合って取材された本で関心したし、ほとんど偶然のような想起から寄付先として出会ったことやそこから取材に至るまでの経緯、そして何よりMSFについての現地ルポが本作で2作目となることを考えるとその姿勢は真摯なものと感じる。

    本作では「誰でも国境なき医師団になりうること」を主要なメッセージとして、各国の活動地や日本で活動する多くのスタッフへの取材が進んでいく。「国境なき医師団」という団体名からも、医師を始めとした医療従事者が中心となった団体というイメージが強いが、実は全

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    2020年04月14日
  • ノーライフキング

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    圧倒されました。誰も真似できないすごい作品。嫉妬する。★5でないのはただ自分が理解しきれていないから。

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    2020年03月29日
  • 「国境なき医師団」になろう!

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    いとうせいこう(1961年~)は、タレント、小説家、作詞家、音楽家として幅広く活動するクリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞を受賞(1999年)したほか、野間文芸新人賞を受賞している(2013年)。
    本書は、1999年にノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団(MSF)」について、2016年から取材を続ける著者が、その組織、現場(ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダン)の活動の様子、日本人スタッフへのインタビューをまとめたものである。
    読み終えて、組織の面で目を引いた主な点は以下である。
    ◆MSFは、赤十字から分派してできた組織である。1967~70年にナ

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    2019年12月31日
  • 「国境なき医師団」になろう!

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    医師でなくてもなれるんですね。良く考えれば、そちらの数が多いのは当たり前ですね。 MSFに興味を持ったし、他の人にも紹介したいです。 朝起きて、嫌々仕事に行くのではなく、自然に身体に力が充実してきて始めてしまう、そういう仕事なんですね。苦しんでいる人のためと同時に、自分が幸せを感じための仕事。 自分にとっては、残りの人生をどう生きるか、ここまでの「覚悟」があるか、しっかり考えたい、と思います。

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    2019年11月20日
  • 「国境なき医師団」になろう!

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    <目次>
    はじめに
    第1章  「国境なき医師団」ってどんな組織?
    第2章  MSF日本インタビューⅠ
    第3章  現地ルポⅠ
    第4章  MSF日本インタビューⅡ
    第5章  現地ルポⅡ

    <内容>
    いとうせいこうによる、「国境なき医師団(MSF)」シリーズ第2弾。よりMSFに興味を持ってもらうためのつくりとなっている。著者が言うように、現地に行く必要も、医者である必要もない。少しのお金の寄付がこの組織を動かしている。多くの強い意思を持った人たちによって。ただ、語学が強ければ働ける。そのことだけは此処に記しておこう。

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    2019年11月11日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    取り付きにくい古典を身近にしてくれる訳者の方に感謝。
    曽根崎心中、女殺油地獄、菅原伝授手習鑑、義経千本桜はストーリーも非常に面白い。

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    2019年05月19日
  • 今夜、笑いの数を数えましょう

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    ツッコミはまとめ。言葉でつこんじゃうとそこで客にとっての想像力はなくなっちゃう

    ツッコミが面白いのではなく、反応の方が面白い


    意外性、裏切りが笑いを生む
    ハーバード・スペンサー 下降性の不一致と笑いの生成"
    神経に興奮がたまって通常の行き場がなくなる
    笑わない理由を消す

    笑いは、裏切りと共感

    言葉が近すぎると退屈で、ちょっと距離がある言葉を組み合わせると面白い

    笑いって、知ってることが大きい

    バカな人たちの中の人間らしさがおかしい ex. シティボーイズ 怒鳴りながら会話、ババアはダメ、やさしいズ

    無自覚さの面白さ 斉木しげる

    笑いは忘れる能力が必要

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    2019年05月03日
  • 今夜、笑いの数を数えましょう

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    ネタバレ

     シティボーイズの舞台の話題が多くて、『お笑いスター誕生』では大好きだったけど、それ以降の舞台は全く見たことがなくて、理解できなかった。僕はお笑いには、悪ふざけや狂っている感じが好きなので、分析や解説には冷めてしまう。また、昨今の空気をいかに読むかとかお約束事などについても本当に大嫌いであると、改めて思った。

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    2019年04月05日
  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    やはり『雨月物語』が奥が深くて味わい深い。『好色一代男』の遺産500億円なんてものすごい金持ちであり、よく飽きもせず女、男遊びするものだと感心してしまう。光源氏に色で対抗したのも面白い。『春色梅児誉美』はハッピーエンドで楽しく読めた。

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    2019年03月20日
  • ノーライフキング

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    ネタバレ

    1988年の小説。インターネットやスマホが世にはびこっていない時代が舞台。
    「ライフキング」というゲームが空前のブームになり、すべての子供たちが夢中になっている。そのゲームの攻略法やバージョンの違いなどの情報を交換するネットワークが子供たちの情報交換の場となっている。そのネットワーク上に噂が流れ始める。死がまとわりつく噂が。この呪われた世界を救うため、子供たちが立ち上がる。
    ゲームの世界と現実の世界が交錯する展開にしびれる小説。

    子供の視点で語られる点もユニークだし、彼らから見た世界観の描写が、郷愁をさそうようで、昔はもっと直観的でシンプルに世の中を見ていたことを思い出す。
    また、死について

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    2019年01月19日
  • 見仏記2 仏友篇

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    1巻に引き続き、見仏スタイルは面白可笑しいのに考察は意外と深く、ところどころしみじみと考えさせられる。

    このふたりが機嫌よく見仏をしていられる世の中でずっといてほしいものです。

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    2018年10月21日
  • 見仏記2 仏友篇

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    笑いあり、考察あり、感動ありの高品質エッセイ。
    これまだシリーズ続いているのかな。ぜひ読破したい。

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    2018年10月14日
  • 見仏記

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    映像の見仏記は見ていたけれど、元祖ともいえるこの本は読んだことがなかったので今更ながら。
    掲載の京都・奈良の仏像はほぼ見仏したことがあったので、記憶をたどりながら楽しく、ときどき吹き出しながら読んだ。
    現在の見仏ブームのはしりともいえる本ですね。

    (ちなみにいとうさんと同じく、わたしも大報恩寺の六観音は如意輪がリーダーです)

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    2018年09月30日