いとうせいこうのレビュー一覧
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2017年から始まった、笑いに関する公開対談。
お笑いを分析する本も好きだなあ。
「真剣になりすぎてうっかりなやつ」
「スポーツに匹敵する笑い」
「芸人が舞台で演じると、何も匂わせずスルー出来ない」
「最新機材の照明は、笑える消え方ができない」
「面白いことを言った人ではなく、反応をこそ撮る」
「ケンイ・コスギ」
etc.
ギャップであるとか、真剣さの面白さとか、慣れにならず忘れることの大事さとか
当たり前のような要素も、いろいろ事例や具体例とともに話すと
そこに至るまでの説得力が出てきて面白い。
対談の中で当時の時代背景や人間関係も分かって、
アタマで考えた話だけになっていないのもいい。
バ -
Posted by ブクログ
信仰の対象ではなく、仏像を見る旅。そのスタンスに共感する。室生寺、薬師寺、新薬師寺、東大寺戒壇院、唐招提寺、興福寺、浄瑠璃寺、神護寺、平等院、広隆寺…行ったことあるところが結構重なって、思い出しながら読むとまた見に行きたくなる。
東北の仏像は、京都で見た仏像を記憶で再現するときに、下から見上げて拝んだ記憶で再現しているから遠近法的に頭が小さくなってしまっているんじゃないかとか、仏像をすっかり取り込んで自国の文化のようにしておきながら廃仏毀釈で放り出そうとするあたり、結局日本という国は外からの物を本当に受け入れる気はないんじゃないかとか、考察が結構鋭かった。
仏像に感じるエキゾティシズムとエロテ -
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こういう雑談が延々とできる相手っていいよな〜と思ったところで、まず妹の顔が浮かんできた。
趣味を語り、得た知識を無駄に駆使し、妄想し、幾度も本題から外れ、ボケてはツッコみツッコんではボケて…。
妹との会話も終始こんな感じ。
お互い謎の習性やこだわり、奇行もクセも変態もそのままにしておける余裕と寛大さがある。
親しき中にも礼儀と配慮はあるが、遠慮はあんまりない。
これが可能な相手ってそうそういないのかもしれない。
小学時代からの友人もそんな感じ。
読みながら、「大学はみんなマトモでつまんない。お前みたいな変なのがいない。やっぱ落ち着く」と言われたのを思い出した。
私もそう思うことがある。
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おじさん二人が森羅万象について雑談するだけなのに、実に面白い。こんなに語り合える人がいれば恋人も配偶者もいなくてもよいのでなかかろうか。
いとう「ジョン・アーヴィングが原作の『ホテル・ニューハンプシャー』って映画見てない?実のお姉さんを好きになっちゃった弟が、あえてものすごい時間お姉さんとセックスしちゃんうんだよね。で、した挙句、お姉さんへの執着が解けるんだよ。それに似てない?愛しすぎるものから離すためには、大量に与えればいいんだっていう」
みうら「一度、嫌いになるほど満ち足りたほうがいいのかもね」
二人が語る「見仏記」も読みたくなった。 -
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いとうせいこう氏による「国境なき医師団(MSF)」の取材からまとめられたルポルタージュ。失礼ながら思っていたよりもずっと真面目に向き合って取材された本で関心したし、ほとんど偶然のような想起から寄付先として出会ったことやそこから取材に至るまでの経緯、そして何よりMSFについての現地ルポが本作で2作目となることを考えるとその姿勢は真摯なものと感じる。
本作では「誰でも国境なき医師団になりうること」を主要なメッセージとして、各国の活動地や日本で活動する多くのスタッフへの取材が進んでいく。「国境なき医師団」という団体名からも、医師を始めとした医療従事者が中心となった団体というイメージが強いが、実は全 -
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いとうせいこう(1961年~)は、タレント、小説家、作詞家、音楽家として幅広く活動するクリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞を受賞(1999年)したほか、野間文芸新人賞を受賞している(2013年)。
本書は、1999年にノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団(MSF)」について、2016年から取材を続ける著者が、その組織、現場(ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダン)の活動の様子、日本人スタッフへのインタビューをまとめたものである。
読み終えて、組織の面で目を引いた主な点は以下である。
◆MSFは、赤十字から分派してできた組織である。1967~70年にナ -
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ツッコミはまとめ。言葉でつこんじゃうとそこで客にとっての想像力はなくなっちゃう
ツッコミが面白いのではなく、反応の方が面白い
意外性、裏切りが笑いを生む
ハーバード・スペンサー 下降性の不一致と笑いの生成"
神経に興奮がたまって通常の行き場がなくなる
笑わない理由を消す
笑いは、裏切りと共感
言葉が近すぎると退屈で、ちょっと距離がある言葉を組み合わせると面白い
笑いって、知ってることが大きい
バカな人たちの中の人間らしさがおかしい ex. シティボーイズ 怒鳴りながら会話、ババアはダメ、やさしいズ
無自覚さの面白さ 斉木しげる
笑いは忘れる能力が必要 -
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ネタバレ1988年の小説。インターネットやスマホが世にはびこっていない時代が舞台。
「ライフキング」というゲームが空前のブームになり、すべての子供たちが夢中になっている。そのゲームの攻略法やバージョンの違いなどの情報を交換するネットワークが子供たちの情報交換の場となっている。そのネットワーク上に噂が流れ始める。死がまとわりつく噂が。この呪われた世界を救うため、子供たちが立ち上がる。
ゲームの世界と現実の世界が交錯する展開にしびれる小説。
子供の視点で語られる点もユニークだし、彼らから見た世界観の描写が、郷愁をさそうようで、昔はもっと直観的でシンプルに世の中を見ていたことを思い出す。
また、死について