いとうせいこうのレビュー一覧
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いとうせいこうさんの「国境なき医師団(MSF)」の取材ルポです。
スーダンなどの活動地域からの報告は他の著者のMSFの本とは大きくは変わりませんが、本書の特徴としては、日本のスタッフへの活動やインタビューに多くの紙面が割かれている、というところにあります。
また、医師や看護師と言った直接医療にタッチする職種のものもありますが、むしろロジスティック(拠点・物資管理)やアドミニストレーター(人事・経理)など、緊急医療活動を支えるスタッフの記述が多いです。
「私が予算を1ドル節約すると、その1ドルで薬が買えます。」というインタビュー内での言葉が、この組織を支える人の本質を端的にあらわしていると -
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ネタバレ東日本大震災を背景に「想像」という電波から流れるパーソナリティDJアークの言葉や想いを通して死者と生者の絆や関係性を描いた作品。前情報なしで読み始めて正直全く意味がわからなくてなんだコレと思いながら読み進め第一章の最後で「!!!」とぶん殴られたような衝撃と共に涙腺が崩壊。
毎日のように流れる震災や戦争や虐殺など失われた多くの命のニュースに心を痛めながらも時間と共に記憶は薄れてしまうけど亡くなった人のことを今を生きる人たちが想像しながら語り継ぐ事は魂の浄化に繋がるんだな。
直接的に関わることがなかったとしても「想像」という電波にのせて彼らのことを思い出し語りかけることできっとどこかに誰かに私 -
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ネタバレさらっとした文体で軽快に語られる、最初は全然状況が掴めない。なんなら章ごとにいきなり登場人物が変わる。その人たちが生きてるのか死んでるのか、はたまたどちらでもないのかも分からない。読むのにも想像力がいる作品。震災文学テーマのレポート書くために読んでみたけど、言語化するのが難しいな。沢山書けそうではあるけど。
あぁ、この人達死んでるんだって気付いてから彼らの「会いたい」って気持ち感じるととても苦しくなる。また会いたいね、いつ会えるかなって書いてた第4章は切なくて苦しくて、でもその会話はあったかくて綺麗だった。
現世とあの世の存在とは。被災者とボランティアの関係性。突如訪れた人生の終わり、やり -
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夏目漱石の作品について、筆者の二人が対談する本。
自分の好きな作品が多くて嬉しかった。やっぱ「猫」はサイコーですよね!「門」もいいよね!「坑夫」好きだっていう意見は今まで見なかったから、同じ意見で嬉しい!
夏目漱石の作品を読み込んでるんだろう二人の意見はとても参考になった。夏目漱石はコミュニケーション不全の話をずーっと書いてるんだということは今まで気づかなかったけど、言われるとそうだな…
「坊っちゃん」も威勢が良くて好きだけど、坊っちゃんってあんまり話してない、と書かれてて、あ、確かに…と気づいた。なんか坊っちゃんが可愛く思えてきて、再読したくなった。猫も門も坑夫も読もうかな。 -
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国境なき医師団という、ニュートラルである事にかなり気を遣っている組織を通しての現地ルポなので、変に偏向せず、一般人が本当に現地で抱く感情をそのまま伝えてくれている本だと思う。
足や手がなかったり背後から撃たれたりがあまりにも普通すぎて感覚が麻痺してしまうが、そんな中でも普通に暮らしている子供たちを見ていると、本当につらい。ガザではイスラエルもハマスも双方がそんな一般市民の手足を犠牲にして戦争をしている。。
日本の事務所のパートも興味深かった。資金や物資集めなど、こういった組織の裏側をはじめて知った。医師団の方の利他精神とその中でも自己実現をはかる生き方、なかなか誰にでもできるものではない。皆さ -
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では、本当にここで音楽を。コリーヌベイリーレイで、「あの日の海」。想像してください。
むしろ僕は彼もまた、死者の声を聴こうとして、そのことばっかり考えているんじゃないかと思った。で、聴こえないでいる。実際に聴こえてくるのは陽気さを装った言葉ばっかりだよ。テレビからもラジオからも新聞からも、街の中からも。死者を弔って遠ざけてそれを猛スピードで忘れようとしているし、そのやり方が社会を前進させる唯一の道みたいになってる。
読むのにかなり時間かかったなー。でも、なんというか、よくわからんけど感じるところのある小説やった。読む人が読めば色々思うんやろうな。色々聞きたい曲が載ってた。ボブマーリーのリデン -
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東日本大震災で亡くなった人と生きて残された人をテーマにした一冊。
東日本大震災から今年で10年が経った。
自分自身、亡くなった人への想像力を働かせることができなっていると感じている。それを自分の近しい人で東日本大震災で被害を受けた人がいても、亡くなってしまった人はいないからかもしれないと思っていた。つまり、死者に近しい人しかその死を悼むことができないのではないかと。
しかし、この話を読んで、それは違うのではないかと感じだ。
この話のなかで、東京大空襲や広島・長崎の原爆投下による死者を悼む人が描かれているところがある。それらに直接的に関わっていたわけではない人が、年長者からの伝聞や感受性が豊か