いとうせいこうのレビュー一覧

  • 想像ラジオ

    Posted by ブクログ

    身近な人との別れの後、死後の世界は幸せなところだろうかとか、魂となって自分の周りにいるだろうか、などたくさん想像を巡らせていましたが、結局独りよがりのもんだな、とその度落胆していました。けど、この本の、生者が想うことが死者を残すという考えがストンと落ちてきました。この本に心を救われた人はきっと多いと思います。

    0
    2024年06月25日
  • 福島モノローグ

    Posted by ブクログ

    「東北モノローグ」に続いて「福島モノローグ」です。本当は、こちらの作品の方が先に出されています。東日本大震災で被災された福島の方々の“語り”を収録しています。

     福島がそれ以外の被災地と異なるのは、原発の被害を受けたことですよね…。

    ・牛は「自然の造園師」と呼ばれることから、牛が草を食べることが除染になるのでは…?と提言する女性。
    ・幼い子を伴い県外に避難した女性たちは、飲食物が 汚染されているのではないか、プールは大丈夫か… 等不安になること。年に1回福島の子供たちに、義務付けられている甲状腺内部被ばく検査があることで不安が増すこと。
    ・震災によって、浪江町から避難し各地を転々とし取材時

    0
    2024年05月31日
  • 漱石漫談

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の作品について、筆者の二人が対談する本。

    自分の好きな作品が多くて嬉しかった。やっぱ「猫」はサイコーですよね!「門」もいいよね!「坑夫」好きだっていう意見は今まで見なかったから、同じ意見で嬉しい!
    夏目漱石の作品を読み込んでるんだろう二人の意見はとても参考になった。夏目漱石はコミュニケーション不全の話をずーっと書いてるんだということは今まで気づかなかったけど、言われるとそうだな…
    「坊っちゃん」も威勢が良くて好きだけど、坊っちゃんってあんまり話してない、と書かれてて、あ、確かに…と気づいた。なんか坊っちゃんが可愛く思えてきて、再読したくなった。猫も門も坑夫も読もうかな。

    0
    2024年05月17日
  • 「国境なき医師団」をもっと見に行く ガザ、西岸地区、アンマン、南スーダン、日本

    Posted by ブクログ

    国境なき医師団という、ニュートラルである事にかなり気を遣っている組織を通しての現地ルポなので、変に偏向せず、一般人が本当に現地で抱く感情をそのまま伝えてくれている本だと思う。
    足や手がなかったり背後から撃たれたりがあまりにも普通すぎて感覚が麻痺してしまうが、そんな中でも普通に暮らしている子供たちを見ていると、本当につらい。ガザではイスラエルもハマスも双方がそんな一般市民の手足を犠牲にして戦争をしている。。
    日本の事務所のパートも興味深かった。資金や物資集めなど、こういった組織の裏側をはじめて知った。医師団の方の利他精神とその中でも自己実現をはかる生き方、なかなか誰にでもできるものではない。皆さ

    0
    2024年04月09日
  • 想像ラジオ

    Posted by ブクログ

    まるで本当にDJアークの語りが聞こえるかのように、作中の音楽を実際に流しながら、自由に読ませてもらいました。

    想像することで死者との時間は流れる。
    最後は湧き上がるような興奮と寂しさが感じられた。

    0
    2023年09月26日
  • 見仏記 道草篇

    Posted by ブクログ

    ふらっと立ち寄った書店で、この本と出会いました。最初の見仏記から30年ぶりに見仏記シリーズを読みましたが、お二人ともまだまだ見仏続けられているんだな、と感慨深かったです。

    0
    2023年07月15日
  • 福島モノローグ

    Posted by ブクログ

    いとうせいこうさんが福島で聞き取ったお話を本にしたもの。
    一人称はそれを語った人で、いとうさんは「おわりに」でしか出てこない。それ故、その方から直接語りかけられている気持ちになる。
    喜びがあり、悲しみがあり、今の日常生活そのものなのだが、明らかに2011年3月11日の震災と原発の爆発により、不連続な線となったことは明らかだ。
    本当の意味で、心が寄り添えることが出来る人になりたいと感じさせられた。

    WITH COW
    農場を営む人の、手塩にかけて我が子のように育て上げている牛に対する眼差しと、汚染され取り残されたそれらの牛の末路に嘆く姿を表す。
    犠牲者は人間だけではないことを学ぶ。

    THE M

    0
    2022年11月29日
  • 見仏記6 ぶらり旅篇

    Posted by ブクログ

    今回は半分くらいが奈良で、それ以外は京都と愛知でした。
    愛知県は日本で一番お寺の数が多い県らしいし、自分も今度は見仏をメインに愛知へ行ってみようかな…。

    だんだんと年齢を重ねていくにつれて、いとうさんとみうらさんの仏や宗教へ対する考え方が変わっていくのも通しで読んでいて面白いところ。
    無機物にすら仏性を感じるようになるって感覚、よくわかるなぁ!

    0
    2022年04月30日
  • 見仏記4 親孝行篇

    Posted by ブクログ

    小浜の仏像を見に行きたくなりました。
    東大寺二月堂のお水取りを何度も見に行っているので、若狭神宮司にはいつか行かなくっちゃ!

    しかし、20年前から小浜の観光はすたれてしまっていたのだね。
    公共交通機関を使って観光ができない場所には、興味があっても正直言って行きにくいし、影響力のある方々が盛り上げて欲しいけれど、ブームで終わっちゃってもダメだし、本当に難しいです。

    そもそもメディアがやたらと海外ばかりをオシャレ風に取り上げるのが本来はおかしいと思うんだけどね。
    韓国を絶賛する熱量で、国内も取り上げてくれたらなぁ…。

    0
    2022年04月03日
  • 見仏記3 海外篇

    Posted by ブクログ

    とにかく仏像だけを愛する文系ヲタクっぽい2人がひたすら仏像を見るエッセイ第3弾。
    今回は韓国、中国、タイ、インド編だったので、タイしか行っていない自分としてはイマイチかも…と思っていたけれど、リアルなグダグダ感が良かったです。一緒に旅をしているような気分になりました。

    この本を読んで、中国の寺院にはかなり行ってみたくなりました。入滅の地とか見たくなった。
    まぁ、四半世紀前のエッセイだし、今は情勢が微妙なところではありますが…。

    0
    2022年03月27日
  • 見仏記

    Posted by ブクログ

    どちらかと言うとインドア・文系っぽい感じの中年男性2人が信仰心は全くなく全国の仏像を見て回るエッセイ。

    タクシーばっかし使いやがって!
    自分の足で信仰のために四国を巡礼するお遍路さんの対極にあるような2人なので、仏像を見ることに特化された稀有でざっくばらんな見仏スタイルが新しく面白かったです。

    九州や東北の仏を見に行きたくなったよ。
    あと、奈良の五劫院と浄瑠璃寺には近いうちに行こう!

    0
    2022年03月11日
  • 福島モノローグ

    Posted by ブクログ

    いとうせいこう氏が聞き書きした被災者の証言の数々。様々な立場や年齢層の人たち(すべて女性)の地元への思いが詰まった一冊で、それぞれ人柄が滲み出るような淡々とした語りが印象的。被災牛による農地再生など、恥ずかしながら今になって初めて知る活動や事実も。災害復興住宅を終の棲家にしようとしているおばあちゃんの短歌が心に染みた。

    0
    2022年03月10日
  • 想像ラジオ

    Posted by ブクログ

    では、本当にここで音楽を。コリーヌベイリーレイで、「あの日の海」。想像してください。
    むしろ僕は彼もまた、死者の声を聴こうとして、そのことばっかり考えているんじゃないかと思った。で、聴こえないでいる。実際に聴こえてくるのは陽気さを装った言葉ばっかりだよ。テレビからもラジオからも新聞からも、街の中からも。死者を弔って遠ざけてそれを猛スピードで忘れようとしているし、そのやり方が社会を前進させる唯一の道みたいになってる。

    読むのにかなり時間かかったなー。でも、なんというか、よくわからんけど感じるところのある小説やった。読む人が読めば色々思うんやろうな。色々聞きたい曲が載ってた。ボブマーリーのリデン

    0
    2022年01月13日
  • 想像ラジオ

    Posted by ブクログ

    東日本大震災で亡くなった人と生きて残された人をテーマにした一冊。

    東日本大震災から今年で10年が経った。
    自分自身、亡くなった人への想像力を働かせることができなっていると感じている。それを自分の近しい人で東日本大震災で被害を受けた人がいても、亡くなってしまった人はいないからかもしれないと思っていた。つまり、死者に近しい人しかその死を悼むことができないのではないかと。
    しかし、この話を読んで、それは違うのではないかと感じだ。
    この話のなかで、東京大空襲や広島・長崎の原爆投下による死者を悼む人が描かれているところがある。それらに直接的に関わっていたわけではない人が、年長者からの伝聞や感受性が豊か

    0
    2021年12月25日
  • ノーライフキング

    Posted by ブクログ

    ファミコン全盛期の子どもたちのネットワークと、都市伝説的な噂が社会問題に発展する過程を描くなかで、80年代後半における、デジタルへの希望と不安が入り交じる時代感覚をすくい取ったサスペンス味のある小説。深く考えると考察の余地が多いし、汲み取れるメッセージ性もあるとは思うが、序盤はノスタルジーな感覚、ラスト付近はよくわからん不気味さが強く印象に残る雰囲気ゲー。あとがきにあるように「降りてきた」物語は神がかっている故、30年たった今も人をひきつける魅力があるんだなぁと。ファミコン世代なら一度は読んでほしい傑作。

    0
    2021年11月30日
  • 想像ラジオ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごい小説だった。

    これを書ききった勇気。
    東日本大震災というあまりに大きな出来事を、どのように受け止めるか。それをどう表現し、生きている人たちに伝えるか。小説の題材にしていいのか。葛藤と悲しみと無力感に苛まれながら書いたのだろうな、と想像する。

    しかし作家であるならば、書かない選択肢は取れないのかもしれない。どれだけ書きたくなくても、それは自分がどう生きるかということと同じだから。

    第二章で、震災のボランティアをしている男性たちの会話が展開される。彼らは、人を助けたいとか、助けたいと思うこと自体が不遜なのではとか、死者をどのように悼むべきかとか、関わりのない他者の死とその死者の思いを想

    0
    2021年11月12日
  • 福島モノローグ

    Posted by ブクログ

    「想像ラジオ」で東日本大震災で亡くなった人たちを想像して語り部となったいとうせいこう氏が、今度は震災で被災した人たち、被災した人たちの支えとなろうとした人たち、そういう人たち、特に女性にインタビューをして聞き書きをしたノンフィクション。
    傾聴がいかに自分の硬直をほぐしてくれるかを知っていたから、聞くことに徹した結果、それは語ってくれた人たちのモノローグという形になったという。
    ここで語られる様々な人たちの震災後を読んで、「力強い」、「力をもらった」というのは安易な感想だろう。
    一人一人が震災と震災後の世界に向き合って、逃避することもなく、かと言って過度に逆らうのでもなく、ある意味淡々と、着実に

    0
    2021年06月09日
  • 鼻に挟み撃ち

    Posted by ブクログ

    純文学的な小説かと思いきや前衛的。小説を書くって、誰かになることなんだと再認識した一冊だった。いとうせいこうさんの才能ほとばしる三扁が収録されている。
    「今井さん」は、ちょっと暗いトーンがありつつも妙に落ち着くしっかりとした土台があって、不思議な魅力があった。
    「鼻に挟み撃ち」は、時間と空間を超えた妄想というか社会派というか、本当にアミダクジ的に進んでいくお話。とはいえ、「小説って誰かになることなんだよ、そうなんだよ」と、私のどこかに共鳴してきた。今まで感じたことのない読後感。
    「フラッシュ」は、いちばん好きなお話。
    どれも文体が違って独自性があって、いとうせいこうさんって、なんて才能のある人

    0
    2021年05月20日
  • 「国境なき医師団」になろう!

    Posted by ブクログ

    興味本位、軽い気持ちで手に取った。
    本書の狙い通りだと思うが、漠然と抱いていた四角いイメージ、聖人君子の集まりによる、我々のような凡庸な人間とは一生関わりのない遠い世界の出来事、といった偏見は即座に吹き飛んだ。
    気高い人達・理念・活動方針であることは間違いないが、人を救いたいと思う動機の根本は自分にも理解できるし、単純に共感し助力になりたいと思わせ、その上でどうやったら協力できるかという方法までご丁寧に示してもらった。

    以下は自分の日記。
    個人的にはやらない善よりやる偽善だと思っているので、読み終えてすぐ5000円寄付した。ここに堂々と投稿するにしては少額で恥ずかしいような気もするが気にしな

    0
    2021年05月01日
  • 福島モノローグ

    Posted by ブクログ

    遅ればせながらつい最近著者の「想像ラジオ」を読み、すごい作品だと思った。この著者の福島の人へのインタビュー集なら信頼できると思った。

    WITH COW
    餓死や殺処分をされた牛のことを考え、悲しんだことはあったが、具体的にどのような死に方をしたのかまで考えていなかった。杭に繋がれたままの牛の餓死、布を頭に被せられたまま成長する仔牛…辛くなる。
    農家の方の心中を思うと、本当にやりきれない。
    「もーもーガーデン」の存在を知った。ひどい状況の中で、できることを着実に実践される姿に敬意を感じる。

    THE MOTHERS
    母子だけの避難生活のことも知ってはいたが、やはり具体的なことまでは想像もして

    0
    2021年04月12日