いとうせいこうのレビュー一覧
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「東北モノローグ」に続いて「福島モノローグ」です。本当は、こちらの作品の方が先に出されています。東日本大震災で被災された福島の方々の“語り”を収録しています。
福島がそれ以外の被災地と異なるのは、原発の被害を受けたことですよね…。
・牛は「自然の造園師」と呼ばれることから、牛が草を食べることが除染になるのでは…?と提言する女性。
・幼い子を伴い県外に避難した女性たちは、飲食物が 汚染されているのではないか、プールは大丈夫か… 等不安になること。年に1回福島の子供たちに、義務付けられている甲状腺内部被ばく検査があることで不安が増すこと。
・震災によって、浪江町から避難し各地を転々とし取材時 -
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夏目漱石の作品について、筆者の二人が対談する本。
自分の好きな作品が多くて嬉しかった。やっぱ「猫」はサイコーですよね!「門」もいいよね!「坑夫」好きだっていう意見は今まで見なかったから、同じ意見で嬉しい!
夏目漱石の作品を読み込んでるんだろう二人の意見はとても参考になった。夏目漱石はコミュニケーション不全の話をずーっと書いてるんだということは今まで気づかなかったけど、言われるとそうだな…
「坊っちゃん」も威勢が良くて好きだけど、坊っちゃんってあんまり話してない、と書かれてて、あ、確かに…と気づいた。なんか坊っちゃんが可愛く思えてきて、再読したくなった。猫も門も坑夫も読もうかな。 -
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国境なき医師団という、ニュートラルである事にかなり気を遣っている組織を通しての現地ルポなので、変に偏向せず、一般人が本当に現地で抱く感情をそのまま伝えてくれている本だと思う。
足や手がなかったり背後から撃たれたりがあまりにも普通すぎて感覚が麻痺してしまうが、そんな中でも普通に暮らしている子供たちを見ていると、本当につらい。ガザではイスラエルもハマスも双方がそんな一般市民の手足を犠牲にして戦争をしている。。
日本の事務所のパートも興味深かった。資金や物資集めなど、こういった組織の裏側をはじめて知った。医師団の方の利他精神とその中でも自己実現をはかる生き方、なかなか誰にでもできるものではない。皆さ -
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いとうせいこうさんが福島で聞き取ったお話を本にしたもの。
一人称はそれを語った人で、いとうさんは「おわりに」でしか出てこない。それ故、その方から直接語りかけられている気持ちになる。
喜びがあり、悲しみがあり、今の日常生活そのものなのだが、明らかに2011年3月11日の震災と原発の爆発により、不連続な線となったことは明らかだ。
本当の意味で、心が寄り添えることが出来る人になりたいと感じさせられた。
WITH COW
農場を営む人の、手塩にかけて我が子のように育て上げている牛に対する眼差しと、汚染され取り残されたそれらの牛の末路に嘆く姿を表す。
犠牲者は人間だけではないことを学ぶ。
THE M -
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では、本当にここで音楽を。コリーヌベイリーレイで、「あの日の海」。想像してください。
むしろ僕は彼もまた、死者の声を聴こうとして、そのことばっかり考えているんじゃないかと思った。で、聴こえないでいる。実際に聴こえてくるのは陽気さを装った言葉ばっかりだよ。テレビからもラジオからも新聞からも、街の中からも。死者を弔って遠ざけてそれを猛スピードで忘れようとしているし、そのやり方が社会を前進させる唯一の道みたいになってる。
読むのにかなり時間かかったなー。でも、なんというか、よくわからんけど感じるところのある小説やった。読む人が読めば色々思うんやろうな。色々聞きたい曲が載ってた。ボブマーリーのリデン -
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東日本大震災で亡くなった人と生きて残された人をテーマにした一冊。
東日本大震災から今年で10年が経った。
自分自身、亡くなった人への想像力を働かせることができなっていると感じている。それを自分の近しい人で東日本大震災で被害を受けた人がいても、亡くなってしまった人はいないからかもしれないと思っていた。つまり、死者に近しい人しかその死を悼むことができないのではないかと。
しかし、この話を読んで、それは違うのではないかと感じだ。
この話のなかで、東京大空襲や広島・長崎の原爆投下による死者を悼む人が描かれているところがある。それらに直接的に関わっていたわけではない人が、年長者からの伝聞や感受性が豊か -
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ネタバレすごい小説だった。
これを書ききった勇気。
東日本大震災というあまりに大きな出来事を、どのように受け止めるか。それをどう表現し、生きている人たちに伝えるか。小説の題材にしていいのか。葛藤と悲しみと無力感に苛まれながら書いたのだろうな、と想像する。
しかし作家であるならば、書かない選択肢は取れないのかもしれない。どれだけ書きたくなくても、それは自分がどう生きるかということと同じだから。
第二章で、震災のボランティアをしている男性たちの会話が展開される。彼らは、人を助けたいとか、助けたいと思うこと自体が不遜なのではとか、死者をどのように悼むべきかとか、関わりのない他者の死とその死者の思いを想 -
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「想像ラジオ」で東日本大震災で亡くなった人たちを想像して語り部となったいとうせいこう氏が、今度は震災で被災した人たち、被災した人たちの支えとなろうとした人たち、そういう人たち、特に女性にインタビューをして聞き書きをしたノンフィクション。
傾聴がいかに自分の硬直をほぐしてくれるかを知っていたから、聞くことに徹した結果、それは語ってくれた人たちのモノローグという形になったという。
ここで語られる様々な人たちの震災後を読んで、「力強い」、「力をもらった」というのは安易な感想だろう。
一人一人が震災と震災後の世界に向き合って、逃避することもなく、かと言って過度に逆らうのでもなく、ある意味淡々と、着実に -
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純文学的な小説かと思いきや前衛的。小説を書くって、誰かになることなんだと再認識した一冊だった。いとうせいこうさんの才能ほとばしる三扁が収録されている。
「今井さん」は、ちょっと暗いトーンがありつつも妙に落ち着くしっかりとした土台があって、不思議な魅力があった。
「鼻に挟み撃ち」は、時間と空間を超えた妄想というか社会派というか、本当にアミダクジ的に進んでいくお話。とはいえ、「小説って誰かになることなんだよ、そうなんだよ」と、私のどこかに共鳴してきた。今まで感じたことのない読後感。
「フラッシュ」は、いちばん好きなお話。
どれも文体が違って独自性があって、いとうせいこうさんって、なんて才能のある人 -
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興味本位、軽い気持ちで手に取った。
本書の狙い通りだと思うが、漠然と抱いていた四角いイメージ、聖人君子の集まりによる、我々のような凡庸な人間とは一生関わりのない遠い世界の出来事、といった偏見は即座に吹き飛んだ。
気高い人達・理念・活動方針であることは間違いないが、人を救いたいと思う動機の根本は自分にも理解できるし、単純に共感し助力になりたいと思わせ、その上でどうやったら協力できるかという方法までご丁寧に示してもらった。
以下は自分の日記。
個人的にはやらない善よりやる偽善だと思っているので、読み終えてすぐ5000円寄付した。ここに堂々と投稿するにしては少額で恥ずかしいような気もするが気にしな -
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遅ればせながらつい最近著者の「想像ラジオ」を読み、すごい作品だと思った。この著者の福島の人へのインタビュー集なら信頼できると思った。
WITH COW
餓死や殺処分をされた牛のことを考え、悲しんだことはあったが、具体的にどのような死に方をしたのかまで考えていなかった。杭に繋がれたままの牛の餓死、布を頭に被せられたまま成長する仔牛…辛くなる。
農家の方の心中を思うと、本当にやりきれない。
「もーもーガーデン」の存在を知った。ひどい状況の中で、できることを着実に実践される姿に敬意を感じる。
THE MOTHERS
母子だけの避難生活のことも知ってはいたが、やはり具体的なことまでは想像もして