加賀山卓朗のレビュー一覧

  • 7月のダークライド

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    遊園地で働く23歳のハードリーが煙草の火傷跡のようなものが幼い兄妹にあることを偶然見かけるところから始まる。それまでなんとなく生きていたハードリーが、兄妹を助けたいと動き始める。行政は当てにならず頼るところが見つからないまま自分で調査をする。なぜここまでするのか、どうすることが一番いいのか。そういう問いとともにハードリーの生い立ちが明かされていく。前作の『11月に去りし者』よりもユーモラスもあって脇を固める人物たちも魅力的。一人で突き進んでしまうラストまでたっぷり読ませる作品。

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    2024年02月26日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    ネタバレ

    エドガー・アラン・ポーの早すぎた埋葬モチーフを本歌取りしたらしい、墓場から土をかき分けて這い出す手、という雰囲気満点のつかみが気になりすぎて、真相がわかるまで一気に読んでしまった(これ、真相あてられる人いますかね?MIT白熱教室で複雑な数式を用いて再現実験してもらいたいような…)。東欧出身の三兄弟が絡む骨肉の争い、という点でエラリー・クイーンの某国名シリーズに通じるものがあり、どちらも「仲が悪すぎじゃない...?お母さん泣くよね」と突っ込みを入れたい。ただし本格推理のため(だけ)にホラー並みの血みどろ惨劇が淡泊に展開されてまったく怖さを感じないとぼけた味わいの某作に対し、本作は主人公のろくでな

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    2024年02月20日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    オリヴァーからしたらハッピーエンドでも、ナンシーからしたらバッドエンド。小説でプラマイゼロにするの描くとかすごすぎ!

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    2024年02月04日
  • 黒き荒野の果て

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    「V8!V8!」
    『マッドマックス怒りのデスロード』をご存知でしょうか。映画内では車のエンジンが神格化しており、それを崇めるボーイズ達が叫んでるのですが本書を読んでいて中盤からずっとこの声が頭に響いておりました。
    読書に集中したい時は大抵クラシックかオペラを垂れ流しているのですが(音があった方が集中出来るようです)今回ばかりはこれはあかん!とワイルドスピードのサントラを流してました。

    お世話になっている1Q8401さんに『頬に哀しみを刻め』を読んだならこっちもかっこいいおじ様が出るよと教えて頂き、かっこいいおじ様は見ているだけで眼福なので拝読。

    タイトルと表紙から黒人さんの悲哀がまた書かれ

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    2024年01月29日
  • 頬に哀しみを刻め

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    2024年初読み本。『このミステリーがすごい!2024年版』海外編第1位作品。このミス推しの作品ということで、余りストーリーとかを気にせずに書店で見つけて、即購入しました❗

    本書は、ジェンダーやLGBT、人種差別という重く深い問題に真正面から向き合いながら、愛する子供の復讐劇を描いた、ピカレスク小説。

    息子の死から、復讐を誓うまでの過程が結構丁寧に描かれているので、最初は少し退屈に感じるかも知れませんが、復讐すると誓ってからは、とてもハードな展開のバイオレンス小説となっています❗

    訳者の加賀山 卓朗さんはパーカーの『スペンサー』シリーズでも御馴染みの方で、海外小説にありがちな読み辛さは殆

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    2025年03月19日
  • 黒き荒野の果て

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    古き良きアメリカ映画のような一冊でした

    はい、宝島社が毎年発表しているこのミステリーがすごい!ランキング2024の海外編1位に『頬に哀しみを刻め』が選ばれましたね
    ということで、S・A・コスビーの『黒き荒野の果て』を読んでみました

    『頬に哀しみを刻め』のほうは既読です
    めちゃくちゃ面白かったんですが、「このミス」1位はアンソニー・ホロヴィッツの『ナイフをひねれば』と予想してたんですよね
    なんとなく「このミス」って王道というか正道のミステリーが1位になるイメージがあって、それに対抗するわけではないのかもしれませんが、他のミステリーランキングがちょっと変化球で攻めてくることが多いみたいな

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    2023年12月16日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち

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    とにかく登場人物と関係機関が多いので読むのに時間がかかるが、取材の深さと構成の旨さで読ませるだけの力があります。
    窮地の状況でも、CEOに箴言できない役員たちや、支離滅裂な論理展開でも何もアドバイスしない他社プレーヤー等、読んでいて気が滅入ってきます。ポジションを持っている人は影響を及ぼすので休場日に読むのがいいと思います笑

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    2023年11月16日
  • 二都物語

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    ▼ディケンズって読んだことなかったんです。ご縁がなくて。ミュージカル映画になった「オリバー!」は、何故か少年時代に何度も観たんですけれど。ディケンズって1812-1870なんですよね。イギリス人。「二都物語」は1859。大まか1838-1861くらいに、ベストセラー作家だった。フランスで言うとフローベールと同時代。バルザックが、ふたりより10年くらい早いか。

    ▼つまりは、小説が「まあ、2023年現在の人が翻訳で読んでも、かろうじてエンタメだとも言えそうな感じになった」という状況の、まあ大まかに言うと第一集団、と言っていいと思います。しかもなんでだか、(まあ理由ははっきりしてるとも言えるけれど

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    2023年10月21日
  • 二都物語

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    フランス革命下のパリとロンドンを舞台にした小説。
    前半は少々かったるいが、後半の息もつかせぬ目まぐるしい展開は素晴らしい。何と言ってもパリの街全体の狂気に満ち溢れた描写の物凄いこと。ブラックなジョークには思わずニヤリとしてしまう。
    全編において重く苦しい展開が続くので少々読み通すのがきついが、一冊読み通した上でのあの素晴らしいラストは胸を打つ。

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    2023年08月27日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    ネタバレ

    冒頭から奇妙な符合がたて続き、それら全てが主人公の妻が犯人であることを示唆しており肝をひやす、というところまではよくできたミステリにおける、一種の定型だが、それだけではなくその奇妙な符合は全て彼の妻がすでに処刑された魔女であることを暗示しているように思われる、となっていて読者の心を掴む。
    中盤では推理合戦が繰り広げられ、その過程でタイトルを意識したような、法廷尋問のようなくだりもあって、遊び心がある。
    クライマックスで、探偵が謎解きし全てが実現可能なトリックとして解き明かされなーんだと思うのも束の間、最終的な結論としては、やはり魔女だったのか…?と思わせるようなものになっている。そんなことあり

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    2023年10月11日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    図があるにもかかわらず物の位置関係をきちんと把握できない自分の空間把握能力のなさのせいでこのお話のトリックを100%理解できず…お話自体は非常に面白いです!

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    2023年06月27日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

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    貧しい少年が、思いがけなく得ることになる「大いなる遺産」とは……。

    『クリスマス・キャロル』に代表される、19世紀のイギリス人作家チャールズ・ディケンズの長編小説。

    アルソンフォ・キュアロン監督による同名の映画では、舞台を20世紀のアメリカに移してリメイクされているが、原作は当然に19世紀のイギリス・ロンドンとその郊外が舞台。

    本筋は主人公の成長物語ではあるが、小説では恋と富と挫折と後悔が様々な場面で様々な人物に見えたり隠れたりする。
    主人公ピップにエステラ以外の登場人物も魅力的で、ミス・ハヴィジャム、実の姉とその夫ジョー、囚人マグウィッチ、後見人ジャガーズなど、19世紀の風情のなかで映

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    2023年06月25日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    だって彼は殺されたんでしょ?すべてはこの一言から始まった。
    このあらすじを見たら、読まずにはいられないでしょう!!登場人物全員怪しくて、まさかこの人が犯人?それとも次の被害者?とドキドキする描写が多々あった。
    そして私は今回も女性たちそれぞれの生き方に感情移入してしまった。みんな幸せになってほしい。

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    2023年06月11日
  • 黒き荒野の果て

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    ネタバレ

    裏社会から足を洗って2年、自動車整備工場を経営するボーレガード。
    近所に出来た別の店との価格競争に勝てず、仕事が急激に減り、資金は底を付く間近。
    右に出る者のいない走り屋としての己の腕を頼りに、なけなしの財産をはたいて賭けレースに出向くも、警察の取り締まりに合い財産没収。
    ペテンであることを見抜くが、時すでに遅し。
    全額を取り戻すことはできず、取り戻せたのは誇りばかり。

    整備工場の家賃ばかりか子ども達の生活に関わる出費、さらには保険の手違いにより母親を預ける施設の代金が大きく請求されることに。
    こののっぴきらない状況の中で取りうる策は、そう、裏社会への復帰。
    そこにタイムリーに舞い込む、宝石

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    2023年06月03日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    「ヒューマン・ファクター…人間や組織・機械・設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために考慮しなければならない人間側の要因のこと」(Wikipedia)

    舞台は第二次大戦後冷戦時代のイギリス諜報部。
    アフリカ情報担当である諜報部員カッスルは、すでに定年を過ぎても仕事を続けているが、その理由は自分でも解らず、常に「引退」を考えていた。
    そこへ、所属する部署に内部調査が入る。
    誰かによる情報漏洩の疑いを明らかにするため……。

    イギリス諜報部というと「スパイ大作戦」「007」など派手なイメージがあるが、まったくそんな描写はなく、淡々と日常を描きながら疑心暗鬼が高まっていく

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    2023年01月19日
  • 黒き荒野の果て

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    昔、アングラな走り屋だった男が自動車修理工場に務めるが、ギャングとの抗争に巻き込まれる話

    多分やけど、ブレイキング・バッドにかなり影響受けてそう。実際名前も出てくるし。

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    2023年01月09日
  • 11月に去りし者

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    殺し屋に追われる悪党ギドリーと家族を連れ戻そうと酒癖の悪い夫から逃げ出した母シャーロットとの逃走シーンがこの小説の展開の面白いところだ。双方に身元を明かさずいるが暫くすると悪党に情が芽生え、家族を母親を守ろうと動き始める。その逃走の中での言葉「これから出会うのは新しいことばかりだ。ここからずっと、どこへ行っても。新しいものは古いものよりずっといいかもしれない。その時になるまでわからないんだ」それは、新しいものが必ずしても良いとは限らない、だが経験しないことには誰にもそれを判断できない、と言うことだ。力強い母の情熱と新たな挑戦は子供二人の将来を見通し人生を賭けたのだ。

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    2023年01月09日
  • 黒き荒野の果て

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    家族を守るために出来ることは何ですか? 米国南部の街で生き抜くクライムミステリー #黒き荒野の果て

    ■人生のつらい現実
    環境が人生を決める。こういうつらい現実を実感するのは私が20代後半に差し掛かった頃だったでしょうか。

    若い時代は夢と希望があれば、どんなに貧乏でも幸せなものでした。
    しかし気が付くといつの間にか大人のしがらみの中で生活をしなければならず、毎月の支払いのために自分のやりたかったことがができてないと気がつく。守るものができた時、生き抜くためにどんな厳しい運命が待っているのか。

    ■家族を守るために
    本書は自動車整備工場を営む主人公が、アメリカ南部の決して裕福ではない街で生き抜

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    2022年12月12日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    ネタバレ

    カーの不気味な雰囲気が存分に楽しめる作品だった。
    推理小説かと思いきや、ホラー小説かな、これは。分類し難いところが既に洒落ている。


    クロスが探偵役で登場したところから解決編がなかなか圧巻で、マリー視点のラスト素晴らしいの一言。
    クロスの前世の魔女仲間がマリーで、現世でマリーに見つけてもらうために自身の顔写真を本に載せていたのはわかるけど、スティーブンズとゴーダンが結びついたのは偶然??ここがわからなかった。

    仮面舞踏会や墓荒らしなどの場面はあるものの、全体的に重々しい、暗い雰囲気の作品だった。

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    2022年11月27日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    Too Big To Fail
    リーマンショックの最中は学生ということで、さわりしか知らなかったけど、勉強になった。三菱の小切手のくだりには痺れた。
    この本に出てくるCEOの中に未だ現役がいるというのもなかなか感慨深い。

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    2022年11月10日