加賀山卓朗のレビュー一覧

  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    派手さの全くないスパイ小説。なのに、確かにぐいぐい引き込まれる。政治状況は変わっているが、今、読んでも古びれないのは、ヒトの生きざまの根幹に触れているから。

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    2015年10月17日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    密室講義を読むために本作品を手に取ったと言っても過言ではありませんが、実際にこの作品で使われたトリックが発端となりその後様々なミステリに使われていると思うと、当時これを考え出したことが如何に偉大なことか思い知らされます。

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    2015年08月23日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    かの有名な「密室講義」は素晴らしい内容ですし、名探偵自ら架空の存在であることを認めてしまったメタ発言が楽しいです。ただ、どうしても冗長に感じてしまうのが残念なところです。
    本書の密室トリックは理解出来ない部分があって微妙に感じるものの、全体的な仕掛けや犯人の隠匿方法と有機的に結び付いている所が秀逸です。

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    2020年04月19日
  • 二都物語

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    ネタバレ

    古典読書。タイトル以外は予備知識なしで読み始めた。ロンドンとパリを舞台にした歴史小説で、本人の言葉からは歴史考証もこだわったと思われる。フランス革命が起こったときの実際の雰囲気を味わえる。教科書ではただの暗記になることも小説で読むと登場人物に寄り添った疑似体験になるため今までとは違った視点を得られた。ただ前半散りばめられた登場人物の経歴が終盤に次々ときれいにハマっていくミステリ的な要素が強いので、純粋な歴史小説とは言えない面もある。ただそれがドラマチックな展開を引き出しているので、本書はフィクションとノンフィクションどちらの側面でも読み応えのあるものになっている。

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    2015年07月12日
  • 繊細な真実

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    もし日本で高名な人気作家が日本を舞台にこんなシチュエーションの小説を発表したら、現政権下では、出版社に圧力がかけられるかも。ル・カレの小説はもうスパイエンタメの範疇を脱している。日本にトビーやキットのような良心と勇気を併せ持つ外交官が存在するだろうか。

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    2015年03月08日
  • 繊細な真実

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    ル・カレってジャンルでいうとスパイ小説、エスピオナージュなんだけど必ず主人公の恋愛の要素が含まれていて(で、それがダメダメだったりして)少し切なくなるよね。

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    2015年01月15日
  • 繊細な真実

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    風采も人柄も問題はないが、思いやり溢れる優しい妻と、冷静沈着で親思いの娘のほかに、これといった能力、職歴は持ち合わせていない外務省職員キットは退職を目前に控えていた。人妻との火遊びがやめられない外交官トビーは三十代。持ち前の器量と上司の推挽もあって順調に出世街道を上っていた。本来出会うべくもない二人の男が、功を焦る閣外大臣の計画を機に、互いの人生を交差することになる。それは平凡な男二人にとって運命を狂わせる一大転機となるものだった。

    イラク戦争が世間を騒がしていた頃。外務省職員のキットは、閣外大臣のファーガスン・クインに秘密任務を命じられる。ポールという変名でジブラルタルに赴き、アルカイダの

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    2015年01月04日
  • 剣の八

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    ネタバレ

    カーの凡作と呼ぶ声もある作品。

    題材はいいと思う。
    周りの被害者への不自然なほどの低評価から疑問は始まり、被害者の殺害直前の謎の行動、被害者の謎の経歴と謎がそこかしこに散りばめられて、どうつながっていくのかワクワクして物語にひきつけられる。
    ただ、都合良すぎでしょという部分もある。手際の良く、ヒューズをショートさせるための手袋とかボタンフックの用意などその一例である。
    詰めが珍しく甘いな、と思う。

    中盤で、被害者が変装して入った等々の真相を明かすのが早すぎた、という批判(?)もあるが、特に早すぎたとは思わなかった。フーダニットを志向していて執筆していたなら、妥当なタネ明かしの時期頃だろう。

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    2014年08月21日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    密室の王者の異名をもつ作者の代表作の一つ。
    その作者による〈密室〉に関する講義もおさめられている。

    今までの新訳が読みやすかったからか、今回はちょっと読むのに時間がかかった。それでも全ての謎が解ける終盤は息つく暇もないぐらい一気に読んでしまった。

    内容的には星5つだけど、個人的に感じた読みにくさで星一つマイナス。

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    2014年07月30日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    「時間があると言うときには足りないものだ。」

    誰がリーマンを救うのか、から始まる後編。
    後編でも、各会社の生き残りをかけた画策が見られる。そして、”株主のため”というスタンスを重視している姿は、やはり日本の起業人とは違う考えなのだと感じた。株式会社である以上は、他社を顧みずに自社利益を追求するのが第一に正しい考え方なのだとは思う。

    リーマンショックを通して、金融は貪欲で危険なものだという認識がそれまで以上に広がった。その結果、お金からお金を生み出す行為は不潔で非人間的だという侮蔑が一般化している。そのような考え方は一理あるかもしれないが、人が成功してお金持ちになることを妬んではいけない。

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    2014年06月05日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    米国だけでなく、英国、中国、そして日本からも金融エリートが集い、打開策を昼夜を問わず議論し試みるがついにその日がやってくる。100年以上の歴史を誇るリーマン・ブラザーズの破綻である。これに前後して、AIG、モルガンスタンレーなど連鎖倒産の危機が現実的なものとなる。ついに政府が乗り込んで・・・。自由経済を信じ、自由経済を守るために政府が乗り込むという皮肉。上巻に続き、各社のCEO、弁護士、州知事や大統領、財務長官、連銀総裁などの生々しいやり取りが一層加熱する。またじっくり読みたい一冊。

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    2014年05月20日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち

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    2008年 9月、150年以上の歴史を持つ投資銀行リーマン・ブラザーズが Chapter11 による破産を申請したとき、僕はたまたまイギリスを観光旅行中で、リーマンのイギリス支社が本拠を置くカナリー・ワーフ近くに泊まっていた。破産が発表された翌日、ダンボールを両手に抱えた多くの社員が、涙ながらにビルから出て散り散りに去って行ったのを覚えている。オフィスの近所で従業員のペットを預る商売をしていた親父も、連鎖倒産していた。

    本書は、ベア・スターンズの破綻・救済から、時々刻々と変化する環境の中でリーマンが破綻に至るまでの各金融機関 CEO、財務省、ニューヨーク連銀、FRB のパニックと奮闘を描く。

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    2014年04月08日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    日本の小泉政権時代を一気に解決するために
    アメリカの利害関係者がおのおのの立場でどう
    動いたかが分かる本でした。

    良くも悪くも民主主義・資本主義がわかるが
    功罪はおいても決断してきめるリーダーが
    いるかいないかは大事。

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    2014年02月16日
  • 誰よりも狙われた男

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    ネタバレ

    ル・カレは二度読め。一度目は話(ストーリー)の筋を追うために。二度目は話を存分に楽しむために。ストーリーを展開してゆく上で提供される人名、地名、所属庁名等々の情報量が尋常でなく、一度読んだだけでは、それを追うのに必死で、なかなか物語を味わうところまで行かないからだ。ただ、作者も歳をとったせいか、小説の構成自体は以前と比べるとシンプルになってきている。時間の流れが前後するにしても小幅だし、視点の交代も限られている。素直に読んでゆけばサスペンスフルな展開を楽しむことができるように書かれている。もし、ル・カレを読むという特別な期待を持たないのなら。

    スパイ小説の名手、ジョン・ル・カレも八十歳をすぎ

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    2014年01月18日
  • ディープゾーン

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    ネタバレ

    薦められて読んでみた。そうでなければ手に取ることはなかっただろう。
    主軸となるリアリティのある洞窟探検に、アフガニスタンで細菌への対応に追われる女性医師と背後にある陰謀が絡む冒険小説。著者が登山家、洞窟探検家、熟練のダイバーというだけあって、探検シーンは迫力がある。
    裏切りあり、修羅場での恋愛あり、1対1の格闘あり、最後のどんでん返しありと色々な要素がてんこ盛りで、非常に楽しめた。ただ、ボウマンが復活するのは、ハリーも同じ状況で帰還できていることで違和感は薄まるが、それでもご都合主義だなと思った。
    製薬会社が自社の製品を大量に売るために、意図的に細菌の感染拡大を図ったという筋立ては、現実に有り

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    2013年08月20日
  • ディープゾーン

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    あらゆる薬剤に耐性のある新型ウィルスとの戦いがテーマのスリラー。

    以前に、ワシントンDCに致死率90%のエボラ・ウィルスが直接持ち込まれてしまった事件を描くドキュメンタリーがありましたが、そういう事故は終わったわけではないんですね。イラク戦争時に負傷兵が病院で感染症にかかったりといった実際の事件を題材にしています。

    恐ろしいのはウィルスだけではありません。抗生物質を抽出するために必要な好極限性微生物を採取するために行く先は、メキシコ南部の紛争地帯にある洞窟!現代の洞窟探検は水没部分をダイビングで超え、垂直の壁をクライミングで超え、二酸化炭素や硫化水素で充満したポケットを超え、水流を超え・・

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    2013年07月03日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    派手なアクションは無縁ですが、登場人物の心情が細やかに描かれていて作品の世界に入りやすい作品です。翻訳が良いのでしょうが、場面、場面を、まるで絵を見るかのように想像できます。 文学作品にふれた印象を残すでしょう。

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    2012年10月27日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    12年ぶり!に読んだ。
    感動した感覚は覚えていたけど何が起こったのか覚えてなかった。まったく新鮮に再読した。
    おもしろかった。
    モルティーザーズ探したけどプラザにもジュピターにも売ってなかった。韓国スーパーに行ってみる。12年前にはなかったよね。韓国スーパー。

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    2012/06/14

    『死者にかかってきた電話』、『真冬に来たスパイ』、『スピアフィッシュの機密』に続いて読んだ。前3作はどうしても「おっさん目線」が鼻につき、「あー、そうですか。はいはい。」といった感じだった。

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    2012年06月17日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    フレミングのような分かりやすいスパイ活劇ではなく、主人公の内面を追ったスパイ小説。面白かった。それ以前のスパイ小説が愛国主義vs.敵国という構図だったのに対して、1978年のこの小説では個人の感情vs.組織の外圧という構図が物語の枠組みとなっている点が興味深い。主人公以外にも、登場人物それぞれを悩みを持った人間としてしっかり描いているところに好感を持った。少し残念なのは、主人公の魅力が少し薄いように感じられてしまったところ。正直、カッスルよりもデイヴィスに感情移入してしまった部分もある。

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    2011年12月04日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    主人公カッスルの心情を表わす箇所を一部抜粋。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「信じてないのか?」 「もちろん信じているわ。でも・・・」 階段の上まで”でも”が追いかけてきた。カッスルは長いこと”でも”と生きてきた(中略) いつか人生が子供の頃のように単純になる日がくるだろうか。”でも”と縁を切り、誰からも信頼される日が。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主人公がイギリス外務省の二重スパイであるという小説でありながら、ハラハラする場面は殆どなく、ずっと静かな"哀しみ”

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    2011年09月03日