加賀山卓朗のレビュー一覧
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新潮の新訳版で再読。これまで旧版を愛読してきたけれど、新版で読んでもドラマティックな展開、強い感動が胸に残るラストのインパクトは変わらない。人が人のために為しうることは少なく、けれど愛が為しうることは偉大で尊い。フランス革命前後の英仏を舞台にした圧巻の物語。
シドニー・カートンというキャラクターは、これまで読んだ小説の中でも一二を争う強烈な印象を私に残した人物。彼がなぜあんなに虚無的な生き方をしているのか作中では詳しく説明されないけれど、あのラストは彼が自分自身を救う(あるいは許す)ためにも必要な選択だったのだろうと思うととても切ない。また折りに触れ読み返したい。 -
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この並外れた個性を持つ作家の一作目は『黒き荒野の果て』だと思っていたが、これまで日本でも翻訳ミステリーのなかで最高評価を受けてきた三作の前に、実は未訳の本書が存在していたとは。現代の新しいクライム小説に眼を着けているハーパーBooksの代表的傑作となっているコスビーだが、今になって版元を変えて、知られざるデビュー作が時代を遡って登場した。
未だ日本の版元が眼を着ける前の作品とは言え、これまでの既翻訳作品3作と比べても何の遜色もないばかりか、この作家の原点となる南部を舞台にしたノワール&バイオレンスをこれでもかと見せてくれるハイレベルな傑作であるように思う。一人称による葬儀社勤務の中年黒人 -
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ネタバレディック・フランシスの息子、フェリックス・フランシスの新競馬シリーズ。先にシッド・ハレーシリーズが刊行されたが、ノンシリーズのこちらから。
リスク管理専門のハリィ・フォスターは、ある厩舎で起こった火事について調べるよう依頼される。当初は馬だけが犠牲になった火事だと思われていたが、中から死体が見つかり…
父のディック・フランシス顔負けの作品。シリーズ引き継ぎなんて滅多に聞かないし、しかも競馬シリーズという親のライフワークかつ偉大なシリーズを、なんと滑らかに引き継いだのだろうと感心する。
非常に重苦しい真相だが、ハリィのロマンス要素のおかげで全く暗くならない。好き嫌いは別れるだろうが、このロマ -
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うん、ありやわ
いいんです
もう開き直りますよ
だってわいなんかあれですもん
なんの責任もないただの読者ですもん
今回も華麗に返しますよ!手のひらw
素晴らしい!
もういやもうなんかもうむしろもうありがとう(「もう」多いわ!)
という訳でフェリックス・フランシスの『競馬シリーズ』最新作です
この『競馬シリーズ』はイギリスの冒険小説の伝説的作家ディック・フランシスから次男のフェリックスが引き継いだものなんですが、以前わいは親子の微妙な作風の違いを「違和感」と、わりと批判的に捉えていたんですな
まぁ、そこにはその違いを明確に認識出来ている自分をちょっぴり自慢してる部分もあったわけですが
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⭐️5.0
コスビーを初めて読んだのがこの作品で、大ファンに。
中年のダメパパ2人が、殺された息子たちのために立ち上がる復讐もの。
まず、パパたちがスネに傷ありまくり、偏見ありまくりという設定からして、これまでのハードボイルドものとは少々毛色が違う。とにかくヒーロー感もダンディ感も皆無。それなのに最後は、めちゃくちゃカッコいいパパたちに泣けてくる。
ストーリーはシンプルながら、人種差別やLGBTという今日的なテーマを下敷きにしつつ、アクションシーンは血で血を洗うようなえげつなさもあり、手に汗握るシーンが続き、読ませる筆致に唸らせられながら、一気読みしてしまった。
次の作品が楽しみな作家さんに -
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ネタバレ私の最も好きな物語、今後更新されるとしても3番以内に君臨し続けること請け負いの作品である。
ミステリー小説の原点とも言われる『月長石』を書いたウィルキー・コリンズと実は仲が良かったというのは、後からロンドン旅行でチャールズ・ディケンズ博物館(ディケンズの生家)を訪れた際に知ったのだが、ディケンズもまたミステリーの伏線を張るのが得意なようだ。
本作はミステリーの要素(伏線の要素)、つまり、マネット医師がバスティーユ牢獄に囚われていて記憶が朦朧としているという設定、ダーネイがフランスから亡命してきた元貴族であるという設定、カートンとダーネイが異国人であるにも関わらず瓜二つであるという設定、カー -
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ネタバレ前作に引き続き、やっぱり面白かった!
エピローグから始まる構成にびっくりしましたが、そういえば前作(処刑台広場の女)も同じような構成でしたね。
前作の彼女の日記は彼女の身に何が起きたのかをレイチェルの謎を解き明かしていくように物語の合間になぞる形式でしたが、今回は本当に最後から最初に飛ぶ形式で、読み終わってみるとそれもなるほどなあと頷かされるものでした。
それにしてもレイチェル・サヴァナクという人はなんて魅力的なんでしょうか……ジェイコブが恐ろしく思いながらも魅了され追わずにいられない気持ちがあまりにもよくわかります。俺もレイチェル嬢に振り回されたい。冷たい視線を向けられながらも助けられたい。 -
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「なんだか最近心に元気ないな...。なんでだろう...。」と思いつつ、そういえば最近ブクロブを見てなかったなと思い開いたら、なんと年初から記録をつけてなかったことに気づいたズボラ読書家です。やっぱり本を読まないとダメですね、語彙力も感情も乏しくなりがちです。
まずは何か1冊読まねばと、久々の読書に手に取ったのはこちら「頬に哀しみを刻め」
舞台はThe現代のアメリカ!
ジャンルとしてはサスペンスでとある殺人事件を中心に話が進みます。その進んでいく過程で、現代アメリカが直面する、人種だったり属性だったりという問題がハイライトされていくような形です。
私は海外に長く住んでいたような経験は無い -
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ネタバレSAコスビーのデビュー作。何故かハヤカワから刊行されている(ハーパーは版権を抑えれんかったか?)
この後の作品の原点なんだから当然だが、コスビーらしい、犯罪と暴力と差別まみれのアメリカで、それでも芯を通して生きる男の物語。
いわばバタ臭く作り直した。健さんの任侠映画っぽい感じ、主人公は常人とは思えないくらいにケンカが強く、やたらと女性にもてて、敵もそれなりにいるけど友達も多く、辛い過去を背負っているとはいえ、以降の作品の主人公ほどには不幸な人ではない。
その設定が、とにかく書きたいように書いた小説なんだろうなと思われて、その気分に乗れると小説を読むスピードもモチベーションも上がってくる。 -
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「シッド・ハレーに何かしろと言えば言うほど、彼は反対のことをする」
シッド・ハレーが帰ってきた!
(ドンドン)シッド・ハレーが帰ってきたぞ!
(ドンドンドンドン)目を覚ませ!シッド・ハレーが帰ってきたんだぞ!!
かつてディック・フランシスの漢字二文字の『競馬シリーズ』に胸を熱くした仲間たちに告ぐ
いや同志たちに
いや兄弟たちに告ぐ
シッド・ハレーが帰ってきた!
またしてもあの冒険が始まったんだ!
不屈の主人公シッド・ハレーと出かける時がきたのだ!
雄叫びをあげろ!
拳を振り上げろ!
いやまずはベッドから出て靴下を履け
おいおい兄弟ぐずぐずするなよ
ならとっておきの情報 -
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ディケンズ は『クリスマス・キャロル』を除いて長篇が多くて敬遠していましたが、愛憎入り乱れた物語は、よく練られたストーリー展開と伏線回収など、とても引き込まれる内容でした。また、挿絵も物語の雰囲気を感じられて良かったです。
本作は、夏目漱石『二百十日』など、たまに他の小説などに引用されていて気になっていました。ただ、背景にフランス革命がある関係で、勝手に多くの残酷なシーンを想像。それは、読後に杞憂だったとほっとしてますが、悲劇には変わりないですけどね。フランス革命関連としては、怖い絵シリーズなどの新書が有名な中野京子の小説『ヴァレンヌ逃亡』のように、手に汗握る歴史小説も好きですが、このような -
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ネタバレウォール街の緊迫を描いたドキュメンタリー小説のような金融ノンフィクション
『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(原題:Too Big to Fail)』は、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックに至る過程とその最中に繰り広げられた米国金融界と政界の舞台裏を克明に描いた一冊である。著者であるアンドリュー・ロス・ソーキンは、ニューヨーク・タイムズの記者として長年ウォール街を取材してきた経歴を持ち、膨大なインタビューと文書をもとに、この未曾有の金融危機の内幕を驚くほど生々しく描写している。
この本は上巻・下巻の2冊構成となっており、上巻では危機の兆候が徐々に現れ、ベア・スターン -
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ネタバレウォール街の緊迫を描いたドキュメンタリー小説のような金融ノンフィクション
『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(原題:Too Big to Fail)』は、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックに至る過程とその最中に繰り広げられた米国金融界と政界の舞台裏を克明に描いた一冊である。著者であるアンドリュー・ロス・ソーキンは、ニューヨーク・タイムズの記者として長年ウォール街を取材してきた経歴を持ち、膨大なインタビューと文書をもとに、この未曾有の金融危機の内幕を驚くほど生々しく描写している。
この本は上巻・下巻の2冊構成となっており、上巻では危機の兆候が徐々に現れ、ベア・スターン