加賀山卓朗のレビュー一覧

  • 虎口

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    うん、ありやわ

    いいんです
    もう開き直りますよ
    だってわいなんかあれですもん
    なんの責任もないただの読者ですもん

    今回も華麗に返しますよ!手のひらw

    素晴らしい!
    もういやもうなんかもうむしろもうありがとう(「もう」多いわ!)

    という訳でフェリックス・フランシスの『競馬シリーズ』最新作です

    この『競馬シリーズ』はイギリスの冒険小説の伝説的作家ディック・フランシスから次男のフェリックスが引き継いだものなんですが、以前わいは親子の微妙な作風の違いを「違和感」と、わりと批判的に捉えていたんですな
    まぁ、そこにはその違いを明確に認識出来ている自分をちょっぴり自慢してる部分もあったわけですが

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    2025年12月07日
  • 頬に哀しみを刻め

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     昨年のこのミス海外部門で1位だった本作をかねてより読んでみたいと思っていた。犯罪小説だけあって、スピード感、凶暴性に事欠かない読みやすい内容だった。息子たちを殺された父親同士がバディというのも、新感覚。
     しかしながら、何か物足りない、もう一捻りほしいというのが正直な気持ちである。展開や心理面に深みがあると、より楽しめたと思う。

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    2025年11月24日
  • 頬に哀しみを刻め

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    ⭐️5.0

    コスビーを初めて読んだのがこの作品で、大ファンに。
    中年のダメパパ2人が、殺された息子たちのために立ち上がる復讐もの。
    まず、パパたちがスネに傷ありまくり、偏見ありまくりという設定からして、これまでのハードボイルドものとは少々毛色が違う。とにかくヒーロー感もダンディ感も皆無。それなのに最後は、めちゃくちゃカッコいいパパたちに泣けてくる。
    ストーリーはシンプルながら、人種差別やLGBTという今日的なテーマを下敷きにしつつ、アクションシーンは血で血を洗うようなえげつなさもあり、手に汗握るシーンが続き、読ませる筆致に唸らせられながら、一気読みしてしまった。
    次の作品が楽しみな作家さんに

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    2025年11月09日
  • 二都物語

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    ネタバレ

    私の最も好きな物語、今後更新されるとしても3番以内に君臨し続けること請け負いの作品である。

    ミステリー小説の原点とも言われる『月長石』を書いたウィルキー・コリンズと実は仲が良かったというのは、後からロンドン旅行でチャールズ・ディケンズ博物館(ディケンズの生家)を訪れた際に知ったのだが、ディケンズもまたミステリーの伏線を張るのが得意なようだ。

    本作はミステリーの要素(伏線の要素)、つまり、マネット医師がバスティーユ牢獄に囚われていて記憶が朦朧としているという設定、ダーネイがフランスから亡命してきた元貴族であるという設定、カートンとダーネイが異国人であるにも関わらず瓜二つであるという設定、カー

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    2025年10月26日
  • モルグ館の客人

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    ネタバレ

    前作に引き続き、やっぱり面白かった!
    エピローグから始まる構成にびっくりしましたが、そういえば前作(処刑台広場の女)も同じような構成でしたね。
    前作の彼女の日記は彼女の身に何が起きたのかをレイチェルの謎を解き明かしていくように物語の合間になぞる形式でしたが、今回は本当に最後から最初に飛ぶ形式で、読み終わってみるとそれもなるほどなあと頷かされるものでした。
    それにしてもレイチェル・サヴァナクという人はなんて魅力的なんでしょうか……ジェイコブが恐ろしく思いながらも魅了され追わずにいられない気持ちがあまりにもよくわかります。俺もレイチェル嬢に振り回されたい。冷たい視線を向けられながらも助けられたい。

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    2025年09月27日
  • 頬に哀しみを刻め

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    白人男性と黒人男性という同性カップルが殺され、2人の父親が復讐のために力を合わせて犯人を探して追い詰めていくというストーリー。
    物語の舞台はアメリカで、アメリカで黒人や性的マイノリティはどのような扱いを受けているのか、主人公である2人の父親コンビがそれぞれ自分の息子の性的マイノリティにどれほど理解を示せずに過ごしてきたのか、という苦悩を交えながら速い展開で話は進んでいく。
    暴力の場面もあるが、犯人をやっつけてスッキリ爽快・溜飲を下げるのではなく、タイトル通り哀しい物語でした。

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    2025年09月20日
  • 頬に哀しみを刻め

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    「なんだか最近心に元気ないな...。なんでだろう...。」と思いつつ、そういえば最近ブクロブを見てなかったなと思い開いたら、なんと年初から記録をつけてなかったことに気づいたズボラ読書家です。やっぱり本を読まないとダメですね、語彙力も感情も乏しくなりがちです。

    まずは何か1冊読まねばと、久々の読書に手に取ったのはこちら「頬に哀しみを刻め」

    舞台はThe現代のアメリカ!

    ジャンルとしてはサスペンスでとある殺人事件を中心に話が進みます。その進んでいく過程で、現代アメリカが直面する、人種だったり属性だったりという問題がハイライトされていくような形です。

    私は海外に長く住んでいたような経験は無い

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    2025年08月26日
  • 闇より暗き我が祈り

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    ネタバレ

    SAコスビーのデビュー作。何故かハヤカワから刊行されている(ハーパーは版権を抑えれんかったか?)

    この後の作品の原点なんだから当然だが、コスビーらしい、犯罪と暴力と差別まみれのアメリカで、それでも芯を通して生きる男の物語。

    いわばバタ臭く作り直した。健さんの任侠映画っぽい感じ、主人公は常人とは思えないくらいにケンカが強く、やたらと女性にもてて、敵もそれなりにいるけど友達も多く、辛い過去を背負っているとはいえ、以降の作品の主人公ほどには不幸な人ではない。

    その設定が、とにかく書きたいように書いた小説なんだろうなと思われて、その気分に乗れると小説を読むスピードもモチベーションも上がってくる。

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    2025年07月10日
  • 覚悟

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    「シッド・ハレーに何かしろと言えば言うほど、彼は反対のことをする」

    シッド・ハレーが帰ってきた!

    (ドンドン)シッド・ハレーが帰ってきたぞ!

    (ドンドンドンドン)目を覚ませ!シッド・ハレーが帰ってきたんだぞ!!

    かつてディック・フランシスの漢字二文字の『競馬シリーズ』に胸を熱くした仲間たちに告ぐ

    いや同志たちに

    いや兄弟たちに告ぐ

    シッド・ハレーが帰ってきた!

    またしてもあの冒険が始まったんだ!
    不屈の主人公シッド・ハレーと出かける時がきたのだ!

    雄叫びをあげろ!

    拳を振り上げろ!

    いやまずはベッドから出て靴下を履け

    おいおい兄弟ぐずぐずするなよ

    ならとっておきの情報

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    2025年06月23日
  • 二都物語

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    ディケンズ は『クリスマス・キャロル』を除いて長篇が多くて敬遠していましたが、愛憎入り乱れた物語は、よく練られたストーリー展開と伏線回収など、とても引き込まれる内容でした。また、挿絵も物語の雰囲気を感じられて良かったです。

    本作は、夏目漱石『二百十日』など、たまに他の小説などに引用されていて気になっていました。ただ、背景にフランス革命がある関係で、勝手に多くの残酷なシーンを想像。それは、読後に杞憂だったとほっとしてますが、悲劇には変わりないですけどね。フランス革命関連としては、怖い絵シリーズなどの新書が有名な中野京子の小説『ヴァレンヌ逃亡』のように、手に汗握る歴史小説も好きですが、このような

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    2025年06月21日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    衝撃的だった。まったくその人は除外してた、そういう人に限ってなのは分かってたつもり。それでも絶対ないと思っていた人。話の導入から展開も面白い。今回、他の本と並行して読んだから、次読むときはこの本だけに集中して読みたいと思った。

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    2025年06月12日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    ネタバレ

    ウォール街の緊迫を描いたドキュメンタリー小説のような金融ノンフィクション

    『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(原題:Too Big to Fail)』は、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックに至る過程とその最中に繰り広げられた米国金融界と政界の舞台裏を克明に描いた一冊である。著者であるアンドリュー・ロス・ソーキンは、ニューヨーク・タイムズの記者として長年ウォール街を取材してきた経歴を持ち、膨大なインタビューと文書をもとに、この未曾有の金融危機の内幕を驚くほど生々しく描写している。

    この本は上巻・下巻の2冊構成となっており、上巻では危機の兆候が徐々に現れ、ベア・スターン

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    2025年05月30日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち

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    ネタバレ

    ウォール街の緊迫を描いたドキュメンタリー小説のような金融ノンフィクション

    『リーマン・ショック・コンフィデンシャル(原題:Too Big to Fail)』は、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックに至る過程とその最中に繰り広げられた米国金融界と政界の舞台裏を克明に描いた一冊である。著者であるアンドリュー・ロス・ソーキンは、ニューヨーク・タイムズの記者として長年ウォール街を取材してきた経歴を持ち、膨大なインタビューと文書をもとに、この未曾有の金融危機の内幕を驚くほど生々しく描写している。

    この本は上巻・下巻の2冊構成となっており、上巻では危機の兆候が徐々に現れ、ベア・スターン

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    2025年05月30日
  • すべての罪は血を流す

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    「姿無き連続殺人犯を、主人公の刑事(今作では保安官)が追い詰める」話もですが、昔から沢山書かれてきたストーリーにどのようなアレンジを加えて、オリジナリティを出すか??
    この作者は本当に上手くアレンジをして新しい作品に仕上げています

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    2025年05月29日
  • 二都物語

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    革命前後のフランス、イギリスを舞台にした物語。
    長編で読み応えがあり、ページをめくる手が止まらない。
    本好きの人におすすめ。

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    2025年05月24日
  • 処刑台広場の女

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    ネタバレ

    面白かった。
    自分が海外ミステリをあまり読まないためかそれともこの作者の癖なのか、めまぐるしく変わる視点に少し戸惑ったが、今誰の視点なのかすぐにわかる書き方をしてくれているおかげですぐに慣れ、楽しく読むことができました。
    読む前に期待していた要素は十分に得ることができたし、途中で違和感を覚えた部分もきれいに回収されたのでモヤつきもなく、久々にここまですっきりとした気分で本を読み終えられた気がします。
    (これは他書への批判というわけではなく、自分の読書傾向の偏りのせい)
    この本一冊で主人公である彼女の事件そのものは終わったとも見られるわけですが、現在は続編にあたる小説も邦訳されているそうで、果た

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    2025年05月11日
  • 二都物語

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    ネタバレ

    フランス革命前夜から革命に至るまでの人間ドラマを描いたディケンズの感動巨篇。フランス・パリとイギリス・ロンドンの二都を舞台として、バスティーユから釈放された老医師の家族を中心に物語が進んでいく

    フランスへのスパイ行為で告発された青年ダーネイと、人生に絶望した無頼の弁護士カートンが、医師の娘ルーシーに恋心を寄せていく
    結局ダーネイがルーシーと結婚し、暫しの間ソーホーのこだまが響く家で幸せな生活を送る
    しかしフランス革命が起き、物語は急速に展開していく…

    中盤の、精気を取り戻したマネット医師がルーシーを愛し幸せに暮らしているところや、「家族の親愛なる友人」であるローリー氏と家族の絡みなど、心温

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    2025年05月01日
  • 闇より暗き我が祈り

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    ネタバレ

    デビュー作から一貫してたとこれを読めば分かる。頬に悲しみを刻めが1番好きで、これが2番目かな。
    主人公が暴力のスイッチを入れられる瞬間がかっこいい。お母さんの言葉も素晴らしい。景色が真っ白になって、痛みを無視して暴力をふるう。
    91ページで主人公に完璧に感情移入させられた。
    1番ムカつくヴィクターを生かしておくのがフェアなとこだなって感じた。

    会話の楽しさはこれが1番。
    1ページに1つくらいウィットに富んだやり取りがあってそれだけでもう最高ですね!
    次作が今年の6月に本国では出るらしいのでそれまでに2作目読みたい。

    とにかくできるだけ地獄に近くなるように深く埋めて

    大好きだったことをして

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    2025年03月24日
  • すべての罪は血を流す

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     黒人差別が色濃く残る南部アメリカの高校で起きた銃殺事件を元FBI捜査官の黒人保安官タイタスが捜査を経て何度も凄惨な現場を目にし、人種差別による住人たちの対立に頭を悩ませながら自分の信念を曲げずに真犯人を暴こうとする姿がカッコよく、重厚な雰囲気が漂う犯罪小説としての面も面白かった。

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    2025年03月19日
  • 処刑台広場の女

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    1930年ロンドン
    私がこれまでに出会ったことのない名探偵、
    レイチェル・サヴァナク 
    彼女は美貌と膨大な財産を持つ謎めいた女…
    自分が突きとめた殺人者を見事に死においやる!
    必殺仕事人かっ!と突っ込みたくなる華麗さで…(笑)

    とにかくおもしろかった
    レイチェルの秘密を暴こうとする新聞記者のジェイコブと共に、
    読者もドキドキしながらページを捲っていく!
    そして、読者だけがレイチェルが何をしているのか?という、その華麗な仕事ぶり((笑))を知ることができるためさらに大興奮〜〜
    しかしその目的は分からず翻弄される…

    そして処々に挿入される1919年の『ジュリエット・ブレンターノの日記』
    どうや

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    2025年03月13日