加賀山卓朗のレビュー一覧
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「あらゆる決断によって新しい未来をひとつ作る、他の未来を全て潰して」
随所に、なかなかの哲学的な名言が刻まれている。
一九六三年十一月ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件は、ミステリーな点が多くフィクション、ノンフィクションとも数多くの作品が世に出ている。
この小説は、事件の謎解きではなく、事件によって人生が動き出した人々の物語。
追う側、追われる側、それに巻き込まれる人たち
疑心暗鬼の中、それぞれにドラマがあり、人生が動き出す。
それは、先に確かなことなど何ひとつないドラマ……
登場人物が魅力的で、ラストを読み終えたあとの余韻が映像的に残る。
わたしには、シャーロットの撮ったギドリーの長 -
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この作品の不思議なタイトルを見て、不思議に思ったので、まずはネットで検索してみたのだが、『死ぬまでにしたい100のこと』『死ぬまでにしたい10のこと』がヒット。ミステリーではないみたいだが、ドラマ化されたり、推奨行為として実践されたりしているようである。本書を読むまで、死ぬまでにしたいことのリストアップをぼくはちなみに考えたことすらない。
でもこの物語の少女は、『死ぬまでにしたい3つのこと』のタトゥーを片腕に入れてから、しっかりと行方不明になってしまったそうである。本書のこのタイトルが気になる方は、その意味ではぼくの疑問に回答が得られたや否やを、読むことで探り当てて頂きたい。
個人 -
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これに満点以外を付ける人の気持ちがわからない。
それくらいには衝撃を受けた作品だった。
上巻の200ページくらいまではひたすらイングランドの田舎での貧乏な暮らしの細かな描写が続き、正直退屈していたが主人公がある人物の家に招かれてから興味を惹かれ出した。
そのまま導かれるように下巻を読み進めるとディケンズの魔力に取り憑かれることとなった。
上巻で描かれていた(私が退屈だと感じた箇所含め)ことが、見事な伏線となり丁寧に少しずつ回収されていく。こんなことされてはページを捲る手が止まらない。
本作は大きくミステリーとジャンル分けされているようだが、文学で表現出来る様々な要素が入り組んでおり、読み手によ -
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途轍もない実力を備えた作家に出会うと、ぼくはいつも少し興奮してしまう。それほどの掘り出し物の作家は、毎年のようにあちこちで見つかるわけではない。数年に一度、いや十年に一度くらい火傷しそうなくらいの印象と熱とを伴って唐突に眼の前に現れるのだ。
ぼくがこの作品を手に取ってすぐに感じたのが、そのような感覚であった。おお、来たぞ、来たぞというような震えが走る。翻訳小説であれ、この手の文章によるグルーブ感は感じられる。素晴らしい文章であり、言葉の流れであり、行間を流れる時がガラスの中を落ち行く砂音を確実に伝える。
題材はジョン・F・ケネディの暗殺事件。主人公ギドリーは、組織から依頼を受け、暗殺 -
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「ガットショット・ストレート」を
読んでからの二作目
直前に読んだ「キャサリン・ダンス」にも出てきた「雨が降れば、土砂降り」と言う言葉がこちらの話にも出てきた…謎
舞台は1963年
ボスのある秘密に気づき追われる身となった
マフィアの幹部ギドリー
それを追う同じマフィアの幹部(殺し屋)バローネ
そして、全く関係のない。ダメな夫に別れを告げ、子供二人と犬をつれて新しい生活探しの旅をする主婦シャーロット
三者が交差する。
前作にもあった「追う」「追われる」の読み合いの面白さアリ
他のマフィアのボスや殺し屋と行動を共にすることになる黒人の少年とのやり取りとか、会話が楽しい。
表紙は読んだ -
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ネタバレ6つの愛の形があることを知っているだろうか?いやほんとはもっと多いのかもしれないし、少ないのかもしれない。ひょっとしたらそもそも愛って何という問題にぶち当たるのかもしれない。
それでも人間は6つの愛の形を持つ可能性があると知ることは、これから先の人生で愛の問題に取り組むに当たって何らかのヒントになりそうだ。
ギリシャ思想の中では愛は「エロス(性愛)」「フィリア(友愛)」「ルードゥス(遊び)」「プラグマ(成熟した愛・情愛)」「アガペー(無償の愛)」「フィラウティア(自己愛)」の六つに分類され、昔はそれをそれぞれ異なる人と満足させてきたが、現在ではすべてを一人の人で満足させようとしている。
結 -
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ネタバレやたらと海外ミステリが並んでるエジンバラの本棚で見掛けて、密室講義だけ読んで満足していたのを思い出しました…はい…
有名すぎて、観てないのに見た気になっている映画、ドラマ、アニメとかありません?
〇〇を観ずしてSFを語ることなかれ、とか
✕✕を読まずしてファンタジーを語ることなかれ、とか
そう云われるとじゃぁお前何を語れるんだい、ということになってしまうんだけど(スターウォーズは観てるからSFは語っていいの? ガンダム好きならSFは…いやそれは語っちゃダメだな…)、
こればっかりは、
三つの棺を読まずして、密室ものを語るなかれ、と云わしめる力があるな、と思いました。
トリックの力であると -
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【罠にかかると知りながら】『寒い国から帰ってきたスパイ』,『テンィカー,テイラー,ソルジャー,スパイ』等の至極の諜報小説で知られるジョン・ル・カレが著した回顧録。自身も従事したスパイとしての活動から父親への葛藤した思いまで,謎の多かった著者の半生が明らかになっています。訳者は,推理小説の翻訳でも知られる加賀山卓朗。原題は,『The Pigeon Tunnel: Stories from My Life』。
極端に言えば,ジョン・ル・カレの小説をまったく読んだことがなくても十二分に面白い作品(ということは読んでいる場合は言わずもがなです)。描かれる内容そのものが興味深いのはもちろんのこと,そ -
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原題は”Too Big To Fail”。「私は世界大恐慌の研究者として人生をすごしてきました。歴史から判断しても、いま大胆な行動をとらなければ、ふたたび恐慌が訪れるでしょう。そして今回は以前よりはるかに、はるかに深刻なものになる」(ベン・バーナンキ、下巻、P.279)と言われた2008年9月の数週間のドキュメンタリー。
内容は関心あればお読み頂くとして、一番重かったのは、責任を負っている人ほど負っていない人に対して我慢しなければならないということだ。「山のようにある悪い選択肢のなかでは、いちばん現実的な解決策」(同、P.370)は政治家、マスコミに袋叩きにされる。事態が解決しなければ被害を -
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私達の生活を歴史という観点から考察する、という趣旨。 正直、今年一の内容だった。
まず素晴らしいのはテーマの広範さ。愛の分類からはじまり、家族、仕事、料理、お金、死生観と、生活をめぐる多くのテーマがあり、これらの全体として生活がある事がよく理解できる。 また、章を分け、それぞれについて論じられている事で読み手が理解しやすい。 この手の話は論旨がハッキリせず、寄り道のように様々な事が語られがちなのだが、全体における部分として、それぞれ独立した構造になっている。
以下感想
読書の動機は生活について考察をしよう、というテーマに強く惹きつけられたからであり、これは現在の生活に疑問を抱いているとい