加賀山卓朗のレビュー一覧

  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、遺言状公開の場で長く疎遠だった末の妹コーラは無邪気に「だって彼は殺されたんでしょ?」と発言した。その翌日コーラは死体で発見される。

    『ABC殺人事件』や『オリエント急行殺人事件』とかにくらべると知名度は低いイメージだけど、ミステリとしてはかなり良い作品だと思う。トリックの部分は基本的に好きでは無いけど、この作品でのやり方なら上手くいくかな。

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    2026年05月15日
  • 頬に哀しみを刻め

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    面白かった!!日常のすぐ隣にある暴力、常識に深く根付いた差別、それと並行して存在する家族への愛、全部が胃もたれしそうなくらい重い。治安は悪いし警察も頼りにならない。結局主人公たちの問題解決手段は殺人と暴力でしかないし、同性カップルやトランスジェンダーが住みやすくなるような変化は起こらない。けれど、主人公たちは無知だったと内省し、学んで一歩一歩進み出す。たとえどんなに遅く、彼らが理解したかった人間がもう死んでしまったとしても。それが息子たちへの一番の弔いになるんじゃないかなと思う。

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    2026年05月07日
  • ナルコトピア~東南アジア“黄金三角地帯(ゴールデントライアングル)”の麻薬国家「ワ州」を追う~

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    ノンフィクションの真髄を味わえる作品です
    ありがちなマンガの設定で、民族の独立を夢見たゲリラが麻薬カルテルになってしまうという悲劇を、実際の歴史として、現実には麻薬カルテルであったのか独立国であったのか、
    それは、どういったものだったのかを、一人の偉大な男性の背中越しに語られています
    出てくる組織が強大すぎて、話が国家規模にしかならないため、夢を抱いたがために、組織人として苦悩する人たちの散っていった物語でもありました
    現実路線では、銃と金だけが強く、望む結果を生むのだなぁと感じさせられました
    個人的な興味で、格言の「貧乏でも金持ちの列に並べ」か鶏口となるも牛後となるなかれ、のどちらが正しいの

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    2026年05月02日
  • ナルコトピア~東南アジア“黄金三角地帯(ゴールデントライアングル)”の麻薬国家「ワ州」を追う~

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    間違いなく今年読んで1番良かった本になる予感。
    ワという土地の成り立ちを、悲劇の英雄の経験を通して擬似体験できる本。
    この英雄の、自分の理想のためには、拷問をされようが、自分の命をかけて達成すると言う行動原理に畏敬の念を覚える。
    著者が言う、私はこの英雄を書くために神に遣わされたと言うのも納得できる話。

    ワの南部現地民に話を聞いた
    ソールーについては尊敬されているのはもちろんウェイについも同じくらい尊敬されているとのこと。ウェイは2026年現在も存命。
    若い人が彼の年齢まで覚えていたのでこれは確かだろう。やはり外からみた麻薬組織の親玉という評価と現地のものは違うものだ。

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    2026年04月26日
  • ナルコトピア~東南アジア“黄金三角地帯(ゴールデントライアングル)”の麻薬国家「ワ州」を追う~

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    大部の著であるが、ビルマ/ミャンマーの国家内別国家とでもいうべき『ワ州』の歴史を追う一冊ゆえである。
    内容も読ませる文章で書かれたもので、読み通すのに時間は要したが、必要な知識を参照しながらしっかり理解できたので、星5つを。満足とともに。

    ・文字通りの首狩り族であった『ワ人』
    ・バプテスト派伝道師の薫陶を受けた『ワ人』

    主人公ソー・ルーは後者の難民の子である。共産主義者たちがやってきて、宗教コミュニティから彼らを追い出した。

    ……からの、成人後。
    まずビルマから情報提供者として雇われ、任務は『ワ』コミュニティを対共産主義の盾にすること。(なにせビルマ軍は弱体で、戦力投射能力もなく、かとい

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    2026年04月04日
  • 葬儀を終えて〔新訳版〕

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    ネタバレ

    あーーー犯人そこーーーーー。
    となった。まさかコーラが別人だとは思わなかったし、本命が〈そっち〉だとは思わなかったよなあ。
    最初は弁護士のエントウィッスル氏を疑っていたよ。だってあまりにも語り口が胡散臭くてさ。信用できない語り手かと思っていたら、いつの間にか気配が薄くなって消えていた…。
    途中では、そこまで頭良くない設定なのに分かっている風なことを言うロザムンドも疑った。
    その全てがミスリードだったとは…。
    確かにミステリーの定石は「一番怪しくない人が犯人」だけれども、「怪しくない人が複数いる」のはクリスティの十八番ですね。してやられた感。
    やはりクリスティは好きです。

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    2026年03月28日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

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    大いなる遺産は恋愛小説であり、冒険小説であり、ミステリー小説であり、ピップの成長物語だ。まさにそのとおりである!物語としてあまりに面白く、エンタメとしての見どころが多い。
    エステラへの恋は正直あまり共感できるところがなかった。恋とは意外とそんなものなのかもしれない。
    身近な人の幸せを自分のことのように喜べるだろうか。家族なら喜べるかもしれない。離れた親戚は?友人は?同僚は?人間少なからず嫉妬はするものだが、ジョーはその様子を一切見せない。嫉妬の感情と向き合うこと、あるいはその人の幸せを自分のことのように喜べる人を作ることが、人生のひとつのテーマのように思う。

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    2026年03月20日
  • 黒き荒野の果て

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    作品全て読みましたが、テイストがそれぞれ異なりどれも濃い!熱量が素晴らしくて引き込まれます。これまで見てきた数多くの走り屋映画のシーンが思い起こされるボーレガードの走りっぷり、冒頭のレース場面から釘付けです。とんでもないやつと組んだおかげで酷いことになっていく展開、そこで放たれるボーレガードの言葉には重みすら感じられます。結末では家族ともども幸せになって欲しい、と願っていました。とんでもないパワーのアメリカンマッスル車、エンジンにニトロとかまるで映画の世界。ホンダの車はそりゃ「車のようなもの」になるよね。

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    2026年03月11日
  • 二都物語

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    フランス革命期のパリとロンドンを舞台にしたディケンズの小説。
    恋愛、家族の絆、人間的葛藤、自己犠牲を描いている。

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    2026年03月08日
  • 二都物語

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    新潮の新訳版で再読。これまで旧版を愛読してきたけれど、新版で読んでもドラマティックな展開、強い感動が胸に残るラストのインパクトは変わらない。人が人のために為しうることは少なく、けれど愛が為しうることは偉大で尊い。フランス革命前後の英仏を舞台にした圧巻の物語。
    シドニー・カートンというキャラクターは、これまで読んだ小説の中でも一二を争う強烈な印象を私に残した人物。彼がなぜあんなに虚無的な生き方をしているのか作中では詳しく説明されないけれど、あのラストは彼が自分自身を救う(あるいは許す)ためにも必要な選択だったのだろうと思うととても切ない。また折りに触れ読み返したい。

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    2026年01月25日
  • 闇より暗き我が祈り

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     この並外れた個性を持つ作家の一作目は『黒き荒野の果て』だと思っていたが、これまで日本でも翻訳ミステリーのなかで最高評価を受けてきた三作の前に、実は未訳の本書が存在していたとは。現代の新しいクライム小説に眼を着けているハーパーBooksの代表的傑作となっているコスビーだが、今になって版元を変えて、知られざるデビュー作が時代を遡って登場した。

     未だ日本の版元が眼を着ける前の作品とは言え、これまでの既翻訳作品3作と比べても何の遜色もないばかりか、この作家の原点となる南部を舞台にしたノワール&バイオレンスをこれでもかと見せてくれるハイレベルな傑作であるように思う。一人称による葬儀社勤務の中年黒人

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    2026年01月25日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    ナンシーが死んだ時の描写が強烈すぎて、頭から離れない。ディケンズが正真正銘の天才だってことが思い知らされた。ナンシーを殺したあとのサイクスの動揺ぶりがどうしようもなく愚かで憎くて哀れでうぉーーーってなった。最後のみんなが幸せに暮らしている描写で、あぁ、、、、。本当はナンシーもここにいるはずだったのに、って思ってボロ泣き、、、。つれぇ

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    2026年01月23日
  • 生活の発見 場所と時代をめぐる驚くべき歴史の旅

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    より意味のある生活を送るため、日常生活で新たな発見をする視点の置き場を歴史的背景、変化を踏まえ示してくれています。VUCAな時代だからこそ、今をどのように生きるのかを改めて考える機会を得る

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    2026年01月21日
  • ナルコトピア~東南アジア“黄金三角地帯(ゴールデントライアングル)”の麻薬国家「ワ州」を追う~

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    ここ数年で読んだ本の中で最高の一冊。アヘン王国潜入記や、ネトフリのナルコスとかと合わせて楽しもう。麻薬ビジネスの闇だけでなく、民族とは何か、正しい国を作るためのアプローチとはどうあるべきか、誇り高く生きることの難しさそして尊さが全て詰まった名著中の名著。表装もすばらしくて所有欲がそそられる一冊。

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    2026年01月11日
  • 虎口

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    ネタバレ

    ディック・フランシスの息子、フェリックス・フランシスの新競馬シリーズ。先にシッド・ハレーシリーズが刊行されたが、ノンシリーズのこちらから。

    リスク管理専門のハリィ・フォスターは、ある厩舎で起こった火事について調べるよう依頼される。当初は馬だけが犠牲になった火事だと思われていたが、中から死体が見つかり…

    父のディック・フランシス顔負けの作品。シリーズ引き継ぎなんて滅多に聞かないし、しかも競馬シリーズという親のライフワークかつ偉大なシリーズを、なんと滑らかに引き継いだのだろうと感心する。
    非常に重苦しい真相だが、ハリィのロマンス要素のおかげで全く暗くならない。好き嫌いは別れるだろうが、このロマ

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    2025年12月22日
  • 虎口

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    うん、ありやわ

    いいんです
    もう開き直りますよ
    だってわいなんかあれですもん
    なんの責任もないただの読者ですもん

    今回も華麗に返しますよ!手のひらw

    素晴らしい!
    もういやもうなんかもうむしろもうありがとう(「もう」多いわ!)

    という訳でフェリックス・フランシスの『競馬シリーズ』最新作です

    この『競馬シリーズ』はイギリスの冒険小説の伝説的作家ディック・フランシスから次男のフェリックスが引き継いだものなんですが、以前わいは親子の微妙な作風の違いを「違和感」と、わりと批判的に捉えていたんですな
    まぁ、そこにはその違いを明確に認識出来ている自分をちょっぴり自慢してる部分もあったわけですが

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    2025年12月07日
  • 頬に哀しみを刻め

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     昨年のこのミス海外部門で1位だった本作をかねてより読んでみたいと思っていた。犯罪小説だけあって、スピード感、凶暴性に事欠かない読みやすい内容だった。息子たちを殺された父親同士がバディというのも、新感覚。
     しかしながら、何か物足りない、もう一捻りほしいというのが正直な気持ちである。展開や心理面に深みがあると、より楽しめたと思う。

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    2025年11月24日
  • 頬に哀しみを刻め

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    ⭐️5.0

    コスビーを初めて読んだのがこの作品で、大ファンに。
    中年のダメパパ2人が、殺された息子たちのために立ち上がる復讐もの。
    まず、パパたちがスネに傷ありまくり、偏見ありまくりという設定からして、これまでのハードボイルドものとは少々毛色が違う。とにかくヒーロー感もダンディ感も皆無。それなのに最後は、めちゃくちゃカッコいいパパたちに泣けてくる。
    ストーリーはシンプルながら、人種差別やLGBTという今日的なテーマを下敷きにしつつ、アクションシーンは血で血を洗うようなえげつなさもあり、手に汗握るシーンが続き、読ませる筆致に唸らせられながら、一気読みしてしまった。
    次の作品が楽しみな作家さんに

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    2025年11月09日
  • 二都物語

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    ネタバレ

    私の最も好きな物語、今後更新されるとしても3番以内に君臨し続けること請け負いの作品である。

    ミステリー小説の原点とも言われる『月長石』を書いたウィルキー・コリンズと実は仲が良かったというのは、後からロンドン旅行でチャールズ・ディケンズ博物館(ディケンズの生家)を訪れた際に知ったのだが、ディケンズもまたミステリーの伏線を張るのが得意なようだ。

    本作はミステリーの要素(伏線の要素)、つまり、マネット医師がバスティーユ牢獄に囚われていて記憶が朦朧としているという設定、ダーネイがフランスから亡命してきた元貴族であるという設定、カートンとダーネイが異国人であるにも関わらず瓜二つであるという設定、カー

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    2025年10月26日
  • モルグ館の客人

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    ネタバレ

    前作に引き続き、やっぱり面白かった!
    エピローグから始まる構成にびっくりしましたが、そういえば前作(処刑台広場の女)も同じような構成でしたね。
    前作の彼女の日記は彼女の身に何が起きたのかをレイチェルの謎を解き明かしていくように物語の合間になぞる形式でしたが、今回は本当に最後から最初に飛ぶ形式で、読み終わってみるとそれもなるほどなあと頷かされるものでした。
    それにしてもレイチェル・サヴァナクという人はなんて魅力的なんでしょうか……ジェイコブが恐ろしく思いながらも魅了され追わずにいられない気持ちがあまりにもよくわかります。俺もレイチェル嬢に振り回されたい。冷たい視線を向けられながらも助けられたい。

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    2025年09月27日