加賀山卓朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレクリスティにしてはトリック?が凝ってて良かった。
葬儀に現れ、事故死とされた事件が実は殺人だったと告発した人物が、翌日遺体で発見されるという掴みの良さ。しかもそれが別人という真相は面白い。
ただ、首を傾げる癖を真似たとき、鏡越しに見ていたから違和感なかったが実は逆に傾げていたなんて後から気づけるだろうか?そこはゴリ押し感があると感じる。
まぁ言い出したらキリがない。
ロザムンドは結構気に入ったキャラ。バカっぽいけど大切なことは知っていて、男のバカさも理解しているのが格好良かった。妊娠して女優を引退。お母さんになる。
ポアロ「その職業はあなたに最もお似合いですよ」
んーかっこいい!
-
Posted by ブクログ
富豪アバネシー家の当主リチャードの葬儀が執り行われた後、宏壮な邸「エンダビー・ホール」で親族が一堂に会した中、莫大な遺産の分配が伝えられた。遺産の大部分はリチャードの弟ティモシー、亡き弟の妻ヘレン、妹コーラ、甥ジョージ、2人の姪スーザンとロザムンドに6等分されるという内容であった。自分の取り分を聞いて素直に喜んだ末妹のコーラは、小首をかしげて無邪気に言い放つ。「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」その一言が、一族を怪事件へと巻き込んでいく。
面白かった!結末が分かってからの衝撃。人って本当に何を見て何を分かっているか、全然当てにならないんだなって思う。分かったような気でいて、事実は違うかもしれない。ミスリードの上手さに舌を巻きました。そして意外と小さなミスが綻びとなるということも、ミステリーとしては本当に良い作品だなと思う。クリスティの作品は人間関係の機微が細やかで、今回のように夫婦や兄弟関係が複雑に絡み合っていると余計に混乱してしまいました。新訳は読みやすくて古臭さもないし良かった。 -
Posted by ブクログ
アメリカ南部の街で、自動車整備工場を営む黒人男性ボーレガード。
周りに犯罪者が多いような環境で育ち、友達の誘いに乗って、ちょっとした悪事に加担したこともあったが。
何よりも好きなのは、車。
走り屋だった父の面影は理想で、家族を捨てて去って行った男でも、憧れをぬぐい切れずにいた。
自分は家族を愛し、妻にも子供たちにも、あたう限り、まともな暮らしをさせてやりたいと思っていたが。
経営が苦しくなり、思い余って賭けレースに参加した。
ところが失敗、さらに追い詰められる。
そこへ、強盗の仲間に加われという誘いが。
走り屋の腕を生かせば、逃げ切れるかもしれない‥
妻には、愛車のダスターを売れば、資金難は解決できると再三言われていたのだが。
もはや、それでは間に合わない‥
ボーレガードが愛車で走る疾走感は出色の描写で、これだけでも読む価値あります。
ただ、クライムノベルなのでね~
真面目に働いて、貧困を脱し、ある程度までは成功した。
だが、多くを望み過ぎた男の、選んだ道は。
ボーレガードはいい人みたいに描かれているけど、いやダメだって。
状況が丁寧に描かれているので、アメリカの悲劇という見方もしそうになりますけれど。
いや…悲劇というのともちょっと違うし。
こんなやり方じゃ、家族を巻き込むに決まっているでしょ? 妻子に何させてるの。ど素人じゃないんだからさ~。これじゃ、子供たちはどうなるの。捨ててはないけど、家族の元に戻ったとは言えませんよ。
という怒りが込み上げてきた結末でした(笑)
でもまあ、この妻も、こういう男を選んだんだしね‥
一種の業みたいなものかしら。
息子がこんなことに負けずに、力強く生きてくれますように! -
Posted by ブクログ
このミス大賞で海外部門の1位に選ばれた『頬に哀しみを刻め』のS.A.コスビーの長篇デビュー作
アメリカ南部ヴァージニア州を舞台とし、人種問題や南部独特の闇を描いているのはデビュー作から一貫しているようだ
主人公のネイサンはヴァージニア州の田舎町の葬儀社に勤めている
元は保安官だったネイサンに牧師殺害事件の調査が信徒から依頼される
やがて牧師の裏の顔が浮かび上がり…
ネイサンは町を支配する悪に立ち向かおうとするのだが、ネイトへの衝撃はすざましい…
解説にも書かれていたが、とにかくS.A.コスビーの作品は暴力描写に手を抜かない!
しかし、この主人公ネイサンが何とも陽気でやたらに強い…
だからなのかひどい描写であるにも関わらず、どこか痛快に読み進めてしまうのだ!
そして何といっても作品の根底にある家族や仲間との絆がすごい
まぁ、そんな絆があっていいのか?と思わなくはないが…(笑) -
Posted by ブクログ
節目節目でシッド・ハレーを再登場させることは理解する。読めば面白いし。今作はチコが帰ってきたのもうれしい。
でもやっぱり競馬シリーズは都度新しい主人公を登場させていくところに魅力があると思っているので残念な気持ちもある。
ただ、出版社がシッド・ハレーの登場作しか信用していないみたい(本作より前に刊行されたものを邦訳していない)なので危機感を覚える。
今作のシッド・ハレーが金融資産の運用やベンチャーキャピタル的なことで稼ぐことに内心で満足していないという、21世紀的な訴求ポイントもあるのだし、なんとかなりませんかね?(文春もしくは早川向けのメッセージ?) -
Posted by ブクログ
ベルリンの壁を挟んだ熾烈な諜報戦での悲劇的な結果を受け、ジョージ・スマイリーは英国情報部を去った。今は妻アンとの穏やかな引退生活を送っている。そんなある日、ロンドンでソ連の暗殺者が突如として任務を放棄した。同時に、暗殺者の標的だった文芸エージェントのバーナーティもロンドンから姿を消した。情報部を指揮するコントロールは暗殺者の身柄を確保し、スマイリーを呼び戻す。スマイリーはコントロールの要請で、消えたバーナーティの行方を追いはじめた。スマイリーら情報部の懸命な調査により、バーナーティの過去が明らかになっていくが、その裏でモスクワも邪悪な手をのばしていた。やがて迎える衝撃の結末とは?
サーカスふたたび。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同性愛が病気や犯罪扱いされていた時代に愛し合う2人の青年の物語。モーリスは一貫して恋愛対象が男性だったが、クライヴは女性を好きになり結婚する。元恋人のモーリスと縁を切るのかと思いきや、友人のままでいたがる。クライヴにも様々な葛藤があったことはわかるが、二度と結ばれることのない元恋人と会い続けたモーリスはどんな気持ちだったのだろう。いっそのことすぐに縁を切ってしまえばお互い楽だったのではないか?
モーリスはクライヴの家で出会った森番の少年と生きていく決意をし、その後クライヴに森番との関係を打ち明け、その後彼と会うことはなかった。
モーリスが自身のセクシャリティと向き合い男性と結ばれた点からハッピーエンドと捉えられる。しかし、学生時代から愛し合っていたクライヴと結ばれなかった点、クライヴ視点ではモーリスへの想いが少し残ったまま永遠に別れることになってしまった点からバッドエンドとも捉えられる。もし時代が違ったらこの物語の結末は変わるのだろうか?
この時代と比べると、現代では同性愛に対して寛容になってはいるものの、やはりまだ偏見があるように感じられる。異性愛と同性愛で何が違うというのか。人間同士の愛という形で何も変わらないではないか。同性愛について否定的な意見を言うことで本人たちにどのような影響を与えているのか、よく考えてから発言するべきだ。 -
警察・スパイ組織 解剖図鑑
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
シッド・ハレーは誰のもの?
本作に隠された最重要なテーマはこれだと思われる
本作はイギリスが生んだ冒険小説の巨匠ディック・フランシスの競馬シリーズを次男であるフレデリック・フランシスが受け継いだシリーズの(邦訳の)4作目にあたる
さて冒頭の問いに戻ろう
シッド・ハレーとは様々なヒーローが登場する本シリーズにおいて、父フレデリック、息子フランシスそのどちらの執筆作品でも最多の登場回数を誇る隻腕の元チャンピオンジョッキーで、もちろんシリーズで最も人気のあるキャラクターであると言っていい
古き良き英国の冒険小説の主人公とはかくあるべしを体現する不屈のヒーローである
この人物はいったい誰のものなのか?
候補者は三者だ
彼を生み出した父ディック・フランシス
彼を受け継いだ息子フレデリック・フランシス
そして我々読者だ
今作でシッド・ハレーにはたいへん大きな”改変”が加えられている
それは移植手術により自由に動く左手を手に入れ、隻腕でなくなっているのだ!
そう、これはたいへんなことでなのです
果たしてこの”改変”は許されるのか?
その答えは「シッド・ハレーは誰のものか?」という問いの答えが出れば自ずと明らかになると思う
わいなりの結論はこうだ
シッド・ハレーは現在シリーズを書き継いでいるフレデリック・フランシスのものだと思う
そう認めざるを得ない受け継ぎっぷり、英国冒険小説の魂を体現するストーリーにも文句のつけようがない
そして左手を得たことでシッドがどう変わったのか、どう変わらなかったのか
このへんの心の動きの描写も見事だった
でもなぁ…
シッドはやっぱり隻腕だよなぁ…