加賀山卓朗のレビュー一覧
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ネタバレ「頬に哀しみを刻め」と同じ作者だったので。
桜の樹の下には死体が埋まっていると言ったのは、誰だったか。
ミステリーファンならば、
死体が埋まっているのは土の酸性度で色が変わる紫陽花だろう。
実際にそういうミステリーがあるかどうかは別として。
それゆえ、息子が高校の教師を殺したと知った母親が、
息子は先生のことが好きでふたりで居残りをしていた、と語った時には、
ミステリーファンならそこに何が埋まっているのかに気が付いたはずだ。
意外だったのは、早々にその最優秀教師の裏の顔が掘り返されたこと。
奴隷制度の過去が色濃く残るアメリカ南部の町の高校で発砲事件が起き、
白人の教師が殺され、犯人の黒人 -
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ネタバレ密室のレジェンド、カーの代表作ひとつ。
『白い僧院の殺人』の伏線回収の手腕に度肝を抜かれたので未読だった名作に手を伸ばす。
過去の事件への言及なんかがそこここにあり、シリーズものの途中であることを伺わせるが、まあ普通に単体として楽しめる。
ただ、フェル博士のクセ強ぶりが前置きなしに出てくるので博士慣れしてない自分は何だこいつ、、と思ってしまった。
終始はぁはぁぜぃぜぃしていたり、ことあるごとに、はぅっ!とかへっ、へっ、へっ!とか言っちゃったりして正直キモいw(でも嫌いになれない)
それはさて置き、この全体の雰囲気が意外だった。
もっと何か王道本格探偵物っぽい想像をしていたのだが、殊の外オカ -
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1963年11月22日、第35代アメリカ大統領・ジョン・F・ケネディが狙撃され、暗殺された
裏社会に生きる男ギドリーは嫌な予感を覚える
数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない
「自分は消される」
そう思ったギドリーは仇敵を頼り西へ逃げる
そんな時、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会い…
組織が放った殺し屋がギドリーを追う形で物語は進んでいく…
無事に逃げ切れるか?
訳あり母娘とどう絡んでいくのか?
ドキドキしながら読み進める
展開が読めたところもあったが、最後までおもしろく読めた
ラストの何ともいえない主人公の行動は、前回読んだ同作家の作品『7月のダークライド』と重なるものがあった -
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ネタバレ2025年の19冊目は、ディック・フランシスの次男、フェリックス・フランシスによる新競馬シリーズ「覚悟」です。政治家の世襲は概して誉められませんが、こういう世襲は、良いのではないでしょうか。
主人公は、隻腕のシッド・ハレーです。ハレーの元に競馬統括機構会長サー・リチャード・スチュアート卿が訪れ、レースで大掛かりな不正が行われていると訴え、ハレーに調査を依頼します。ハレーは、調査稼業から足を洗っている事から断りますが、翌日、スチュアート卿が変死してしまいます。そこからレースの不正に絡んだ、この事件に巻き込まれて行く訳ですが、エンタメ作品としては、十分に面白いと思います。
ただ、敵が少々、小粒だと -
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落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。
だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、シッド・ハレー登場。
ハヤカワ文 -
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息子たちを殺された二人の父親が、復讐する物語。
その父親たちの経歴がひどい。
一人は貧乏白人で、アル中で、前科持ちで、刑務所帰り。
もう一人は黒人で、人殺しの前科があり、もちろん刑務所帰り。
さらに、殺された二人の息子たちはゲイで、生きている間の親子関係は最悪だった。
とにかく、二人が暴力的で殺しまくる。
警察もあまり出てこない。
少しご都合主義的な展開もあるが、
復讐を通して、
人種間のわだかまりが実は子どもの頃から
植え付けられた古びた価値観だったり、
命を張って助け合うことで、人間としての本質的な良さを知り、
友情を深めていく。
暴力に彩られた、大人のファンタジーでもある。 -
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あのS・A・コスビーのデビュー作
そりゃ、読まないとダメでしょ!
S・A・コスビーと言えば、、、
強盗稼業から一度足を洗った男がまた犯罪に巻きこまれていく話で、アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞というミステリ主要三賞のほか、数々の受賞を果たした『黒き荒野の果て』
ゲイのカップルを惨殺された父親たちが犯人を捜して復讐する話で、『黒き荒野の果て』と同じ三賞を二年連続で受賞した『頬に哀しみを刻め』
黒人保安官がひと癖もふた癖もある部下を率いて連続殺人犯を追う話で、アンソニー賞やエドガー賞に輝いた『すべての罪は血を流す』
これらの作品があり、もうどの作品も面白い!
『黒き荒野 -
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作品の舞台はアメリカ、バージニア州リッチモンド
黒人で過去に服役しがらも、地道に働き庭園管理会社を経営しているアイク
白人で妻に捨てられ、酒浸りになっているバディー・リー
彼らの息子同士(ゲイ)は互いに父親に祝福されることなく結婚していたが、ある日警察からこの息子たちが撃ち殺されたとの連絡を受ける
男の世界を生きてきたアイクとバディー・リーは息子を愛しながらも、息子たちの性について理解できず向き合うことを避けてきた…
それに対する後悔や贖罪が二人の男を掻き立て、息子たちを殺した犯人への復讐に向かっていく
とにかく元囚人のおっさんたちのこと…
いくら息子たちを殺されたからといって、やるこ -
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フッドのトラブルシューターかと思って読み始めたらパニッシャーだった。作家も過ごしたのであろう南部の狭いコミニティを舞台に、「デビュー作には作家のすべてがあらわれる」という言葉通り、体験した、そこにあったはずの闇も暴力や差別も、音楽や文学、カルチャーも、土地の情景や暗黙のルールも言葉に文章にして、主人公の学んだ哲学に沿って言えば、血と一緒にスピットされる。過剰とも言えるほど盛り込まれて少し歪にも感じられるけれど、暴力的に色々なものを薙ぎ倒しながら突き進んでいく、めちゃくちゃ読ませる小説。サザン・パニッシャー・ノベル。最高だった。
暴力で「解決」しようとすることは「最高」とは言いづらい気もするけ