あらすじ
英国スリラーの正統。競馬シリーズ再始動!
伝説の名シリーズ、復活。
英国スリラーの誇り高き正統。
ミステリー史に残るヒーローとともに〈新・競馬シリーズ〉の幕が開く。
落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。
だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、シッド・ハレー登場。
英国スリラーを代表する伝説の名作、〈競馬シリーズ〉。日本でも著名人や作家はじめ多くの読者に愛されたディック・フランシスの名シリーズが、長らく執筆の協力を務めてきたフェリックス・フランシスの手でよみがえる。〈新・競馬シリーズ〉、ここに始動。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「シッド・ハレーに何かしろと言えば言うほど、彼は反対のことをする」
シッド・ハレーが帰ってきた!
(ドンドン)シッド・ハレーが帰ってきたぞ!
(ドンドンドンドン)目を覚ませ!シッド・ハレーが帰ってきたんだぞ!!
かつてディック・フランシスの漢字二文字の『競馬シリーズ』に胸を熱くした仲間たちに告ぐ
いや同志たちに
いや兄弟たちに告ぐ
シッド・ハレーが帰ってきた!
またしてもあの冒険が始まったんだ!
不屈の主人公シッド・ハレーと出かける時がきたのだ!
雄叫びをあげろ!
拳を振り上げろ!
いやまずはベッドから出て靴下を履け
おいおい兄弟ぐずぐずするなよ
ならとっておきの情報をひとつ加えようじゃないか
チコ・バーンズも帰ってきてるぞ!!
さあ、兄弟、出かけようじゃないか
Posted by ブクログ
久しぶりにディック•フランシスを読んだ。
もっとも著者はディックの次男らしいが
不条理に巻き込まれてしまう話の流れもそのままで一気読みだった。シッド•ハレーの元気な姿をまた見たい。
Posted by ブクログ
このシリーズ初読。競馬システムの理解を途中で放棄して、本筋に集中。絶妙に嫌なところを攻めてくるマカスター、みんないいように操られ、これは終結できるのか?と思いました。ここまでしっかりやってきてたのに、ちょっとおマヌケ感すらある結末、まあ、こうじゃなきゃ彼は終わらないかもな、とは思いました。街中に賭け屋あるほど競馬が生活に密着してるんですね。シフォンドレスにピンヒールなんていう華やかな情景もイメージできて良かったです。すぐに女子と話してるチコのキャラクターが憎めず、シッドをいい感じに締めてくれてて楽しめました。ラストのドクターの言葉を基点に次作は始まるんでしょうか。ブラックジャックでは見たことあるけど、実際にできるんですかね。そんなことも期待して次作を待ちます。
Posted by ブクログ
息子さんが作者に代わって、シッド・ハレーが復活。全然違和感なく大拍手で読み終えた。
私は断然チコのファン。ちょっとイキがってるシッドの手綱を締めたり緩めたりしながらも結果を出す。そして、最後の一言、震えた。
Posted by ブクログ
2025年の19冊目は、ディック・フランシスの次男、フェリックス・フランシスによる新競馬シリーズ「覚悟」です。政治家の世襲は概して誉められませんが、こういう世襲は、良いのではないでしょうか。
主人公は、隻腕のシッド・ハレーです。ハレーの元に競馬統括機構会長サー・リチャード・スチュアート卿が訪れ、レースで大掛かりな不正が行われていると訴え、ハレーに調査を依頼します。ハレーは、調査稼業から足を洗っている事から断りますが、翌日、スチュアート卿が変死してしまいます。そこからレースの不正に絡んだ、この事件に巻き込まれて行く訳ですが、エンタメ作品としては、十分に面白いと思います。
ただ、敵が少々、小粒だと思います。スチュアート卿の変死の真相が解明されないのは、話の主題がそこではないので良いとしても、全体として物足りなさを感じてしまいました。
☆4.3シッドは、隻腕のままの方が良いのではないでしょうか?
Posted by ブクログ
落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。
だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、シッド・ハレー登場。
ハヤカワ文庫時代をリスペクトしたデザインがいい。もちろん内容も最高である。
続けて、オリジナルのシリーズを再読したいが、ほぼ手放してしまった。電子書籍にはあるようだが。
Posted by ブクログ
作者フェリックス・フランシスは、ディック・フランシスの息子である。そのディック・フランシスは、イギリス競馬のチャンピオン・ジョッキーにしてミステリ史上に輝く「競馬シリーズ」の著者である。このディック・フランシスと「競馬シリーズ」のことならどれだけでも語ることができる。僕自身の生涯において、これほど新作が待ち遠しかったシリーズはないからだ。そのディック・フランシスが往生を遂げ新刊を待つこともできなくなって長い時間が過ぎ、息子による「「新・競馬シリーズ」を読むことができた頃は、この上ない喜びである。
人気シリーズを息子が引き継いだと言っても、実は旧シリーズの最後の数冊は親子の共同名義になっている。それ以前から、競馬シリーズは父フランシスを中心に妻や子との共同作業によって書かれてきた面があるそうだ。個人営業の飲食店のようなものかもしれない。そういう意味では、伝統あるというか、のれんがちゃんと受け継がれたような感じで悪いものではないし、以前と同じような気持ちで「待ってました」と思って手に取った。
ただ(飲食店の例を続けるなら)、初代の味が素晴らしければ素晴らしいほど、二代目は大変になる。「二代目が関わるようになってから少し味が落ちたな」とか「やっぱり先代の頃が懐かしい」とか言われがちなものだ。じつはこのシリーズについて、個人的にはそんな気持ちでいた。旧競馬シリーズは名作揃いであったとは言え、時期により作品によりそれなりに差がある(最も?な作品でも高水準であることは間違いないが)のは確かだが、二代目が前に出てくるにつれて何かしらの違和感を感じたのは確かである。二代目の単独作となったこの「覚悟」では、その違和感がさらに強くなった感が否めない。
作品としてはとても面白い。シッド・ハレーの5度目の登場ということも印象強い。このシリーズでは「ここぞ」というところでシッド・ハレーが登場する。それだけ印象が強いヒーローだし、フランシス作品の根源的なテーマを体現している主人公だからだ。「利腕」で最も明確に示された「自己との戦い」というテーマは決して古びることなく人の心を打つ。再登場する度にドキドキしながら読み、感動で一杯になって最後のページを閉じたものだ。
作品としては確かに面白い。でもハレーの何かが違う。有り体に言えば、少し雑に感じる。よく考えると以前のハレーだって同じような行動をしているのだが、その奥にある深みのようなものがちょっと違う。かつては痛みに耐えた力強い行動に感じたものが、今は無神経で軽率な行動に感じられてしまう。こっちの先入観かもしれないけれど、一度そう感じてしまうと目についてしまう。旧シリーズの最後の方では主人公のキャラクターとして感じようとしていたが、ハレーが主人公となるとそうもいかない(本音を言うと「再起」あたりからそんな感じはある)。もしかすると父フランシスが本物のジョッキーであったのに対し、子フランシスは教師や実業家だったからかもしれない。
くどいかもしれないが、作品としては面白い。個人的には女性や子どもに危機が迫りかねないような話は読んでいてキツいが、それも含めてとてもよくできたサスペンス小説だと思う。これからも、このシリーズは追いかけていくと思う。ワクワクしながら手に取り、楽しく読み、ぶつぶつ言いながら、それでもやっぱり次を楽しみにするのだと思う。こんなことを言えるのも含めて、「祝!復活」である。