【感想・ネタバレ】オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

いわずとしれたディケンズ初期代表作。運命に翻弄される孤児オリヴァーの波瀾万丈な少年時代、そして出生の秘密。

何度も映像化されていて見たことはないのだが、救貧院で薄粥のお代わりを求めるシーンが有名らしい。読んでみるとこれはひどい。貧民救済施設といえど、人を人間扱いしていないじゃないか!以下、当時の貧困層と弱者虐待の実態、低俗な人間の醜さが描かれ、作者ディケンズの痛烈な皮肉と風刺の切れ味がすさまじいほどに冴える。そのなかで前半はオリヴァーの逆境と克服が繰り返されるスリリングな展開が続き、先が気になって仕方なかった。

次第に集まってくる多くの登場人物たちの個性や配置が魅力的かつ巧妙だ。特に窃盗団たちの描かれ方は本作最大の特徴ともいえ、犯罪小説的な側面もある。善人と悪人がはっきりしていて、それぞれの人間性の程度にふさわしい結末が用意されているので、非常に健全なカタルシスが得られた。ただ、その意味では境界線にいる、とある少女だけは別で、ラストの文章など作者も特別な目線を捧げているのが印象的だった。

主人公オリヴァーは純粋無垢な少年だが、ひたすら運命に翻弄されるだけで、そこから特に成長するというわけではない。加えてあまりに都合の良すぎる巡り合わせが続いたり、後半はオリヴァーを置き去りにした展開になるなど、本作にはいくつかの欠点も見受けられる。しかし、そんなことは気にしなくてもいいじゃない、と言いたくなるほどのエネルギーとスピード感に満ちた大作なのは確かだ。700ページオーバー、面白いので一気に読めます!

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2023年09月17日

Posted by ブクログ

ホームズの時代の貧困について、小説を読みたくなり、ギッシング『無階級の人々』に続き読んでみました。
貧困は悪いことなのだと納得しました。
この本の解説はG.K.チェスタトンが書いていて、ディケンズについて理解が深まります。

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2023年01月04日

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オリヴァーからしたらハッピーエンドでも、ナンシーからしたらバッドエンド。小説でプラマイゼロにするの描くとかすごすぎ!

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2024年02月04日

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イギリス文学の傑作、ディケンズ読むならこれ! みたいな話を聞いたので読みました。
確かに面白い。しかもエンタメ作品として。
タイトルはオリヴァー・ツイストだが、オリヴァー以外の登場人物にもポンポン視点が移る群像劇。恩田陸並みに登場人物がたくさん出てくるのでメモ必須。
文章はとにかく皮肉まみれで思わずニヤリとさせられる表現が多い。キャラはみんな個性が尖っていて特に悪人の描写が上手い。
文学的にどうこうは置いといて、ヴィクトリア朝イギリスの風俗小説として、メロドラマとしてなどの俗っぽい楽しみ方もできることは特筆すべきである。
ただし、ストーリーの構成がガタガタで最後の方などオリヴァーが出てこなくなるので、その点はマイナス。

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2022年08月28日

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役者あとがきにある通り、人物が生き生きとしている。
オリヴァーや女性たちが受ける扱いは本当にひどかった。この時代では当たり前のことだったのかと思うと、現代に生まれた幸せを感じる。

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2021年01月26日

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なろう小説で、無職転生に代表される幼少期スタート系小説が好きな方は、読んで面白いと思います。はい、私の事ですね。
ガス灯、ガルバニ電池、蒸気機関、、、情報量と描写力は、流石ディケンズ!

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2021年01月11日

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孤児オリヴァー・ツイストが運命に翻弄されながらも生き抜き、幸福な生活を手に入れるまでのドラマを描くチャールズ・ディケンズの代表作であり、イギリス文学の古典。

非常に多くの人物が登場するが、そのそれぞれが強い個性を持ち合わせるあたりは人物造形に非凡な才能を発揮した著者ならでは。

そろそろクリスマスも近い。名作「クリスマス・キャロル」を読み返したくなる頃合い。

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2017年12月09日

Posted by ブクログ

ずっと前、大いなる遺産を最後まで読むことができなくて合わないのかなって思ったけど、オリヴァー・ツイスト物語は読みやすかったです。借り物なので、今度自分用に買います。これを機に大いなる遺産をもう一度読み直そう……。

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2017年09月29日

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一部の登場人物を整理し切れず読み進めてしまった。。
善良な人物より悪党寄りの人間の方がドラマがあるのでもっとゆっくり読めばよかったと少し後悔。

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2023年05月31日

Posted by ブクログ

もともとこの夏はディケンズ作品を読もうと思っていたが、ちょうど来月からオーブでこの作品のミュージカル版が上演されるとのことで、一作目は『オリヴァー・ツイスト』にした。

700ページ越えだから早々に挫折するかと思っていたけど、2日で終わった笑
先の展開が気になるように伏線をはるディケンズの手腕を感じましたね…。
酷い場面や恐ろしい場面、血生臭い場面と、安心してほっとできる幸福な場面が交互に描かれて、ある種のスリリングさがあった。

救貧法や新救貧法についても後から調べて勉強になりました。
オリヴァーを中心とした周囲の様々な階級、職業、地位の人々の描写を通して、新救貧法という制度が社会に何をしていたかを露わにするような作品。
実際、この作品が為政者を動かす世論づくりに貢献したという。
エンタメ小説っぽい展開なんだけど、社会批判的視点も含まれているという大衆受けとのバランスがちょうど良かったのかなと。シンプルにオリヴァーが可哀想でこれ以上酷い目に遭わせないで!って思うもん。オリヴァーの描写は当時の子ども観らしく純粋ではあるものの、お母さんを侮辱されたら(責められたほどではないけど)暴力も振るうし、At the Back of the North Windのダイヤモンドよりは全然ましだったかな。

反対に、邪悪または愚かな人々の描写一言一句に大袈裟な皮肉が込められていて面白かった。ただし、偏見が色濃いユダヤ人のフェイギンの描写が舞台版でどう描かれているか気になる。
ちなみに教区吏のバンブル氏は「尊大な下っ端役人」という意味で普通名詞bumbleになっているとか。

女性の描写も結構興味深かった。親切で心の美しいお嬢さん、生まれ落ちた環境のために悪の中で生きざるを得なかったがいまだ優しさや情など女心のようなものを持つナンシー、バンブル氏を尻に敷く抜け目のない夫人などなど…
ヴィクトリア時代の小説の女性も家庭の天使って感じのが多いけど、バンブル氏の夫人はかなり痛快だった。

あとフェイギンの一味の中でも、ナンシーや、少年(名前ど忘れした)は改心の余地があるように描かれていたが、ナンシーはサイクスを愛したがために自ら囚われたまま結局殺されることとなり、まだ若い少年は抜け出すことができたというのも興味深いと思った。

まだチケット取ってないけど、ミュージカル版観たいなと思う。

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2021年08月17日

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The 世界名作劇場。

700ページを経て、オリヴァー少年は幸せになりました。
めでたしめでたし。

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2020年11月27日

Posted by ブクログ

ジェイン・オースティンを読む合間に、別の本を読んでみようと思って、同じく英国の代表的作家であるディケンズを読んでみた。

話はそれるが、サマセット・モームの「世界の十大小説」(1954年)の国別構成は、英4、仏3、露2、米1となっていて、作家とタイトルを挙げると、

イギリス
 フィールディング 「トム・ジョーンズ」 1749年
 オースティン 「高慢と偏見」 1813年
 エミリー・ブロンテ 「嵐が丘」 1847年    
 ディケンズ 「デビッド・コパーフィールド」 1850年  

フランス
 スタンダール 「赤と黒」 1830年
 バルザック 「ゴリオ爺さん」 1835年
 フローベール 「ボヴァリー婦人」 1856年

ロシア
 トルストイ 「戦争と平和」 1869年
 ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟」 1879年

アメリカ
 メルヴィル 「白鯨」 1851年
 
と錚々たる作品が並ぶ。

英国人のモームだけに、イギリスが多いの当然だろうが、「トム・ジョーンズ」は英文学の研究者以外には、あまりなじみのない作家ではなかろうか。
その代わりにだれを入れたらよいか、モームに合わせて1800年代の作家と作品で考えてみたが、「モンテ・クリスト伯」のアレクサント゛ル・デュマか、「レ・ミゼラブル」のヴィクトル・ユーゴーが思い浮かんだ。

ディケンズが入っているなら、この二人でもいいのではないか。
とちらか一人を選ぶのが難しいというなら、「嵐が丘」ただ一作のエミリー・ブロンテをはずして、デュマとユーゴー両人とも入れてもおかしくないと思うのだが、そうすると英2、仏5になってモームとしては承服し難いだろうから、やっぱりこういう結果にしかならないのかもしれない。

ドイツがないのが意外なのだが、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」は1774年だし、トーマス・マンの登場は1900年以降なので、うまくいかない。あとはスペインのセルバンテスだが、「ドン・キホーテ」は意外と古く、1600年初頭だ。

というわけで、このラインナップ、「トム・ジョーンズ」を除けば誰もが知っている名作中の名作なので、できれば20代のうちに一度は読んでおくべき作品群だ。

それで本作品の「オリバー・ツイスト」なのだが、これまで読んできたオースティンの作品にくらべると、さほど面白くない。オースティンばかりでなく、デュマの作品よりも劣ると思う。面白くさせようさせようという意図が目立ちすぎて、逆に面白くない。

ディケンズの他の作品に較べてデキが良くないだけなのかもしれないが、そういえば過去に読んだ「デビッド・コパーフィールド」や「大いなる遺産」もそれほど面白くはなかった。それからすると、モームの自国びいきがなかったら、はたして十大小説のラインナップに名を連ねることができるのだろうか、そんな気もしてくる。

とはいえ、オーウェルはじめ、イギリス人のディケンズに対する評価はきわめて高いので、こちらの読解力不足もあるのだろう。

でも、その真価と魅力がわかりずらい作家だ。
そう思うのは私だけだろうか。

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2020年08月09日

Posted by ブクログ

子供の頃に手にとっていたら夢中になったかもしれない。
ストーリーとしては、善玉はとことん善良で、悪玉は救いようもなく邪悪な定型的なメロドラマ。

ただ、社会の最下層で押し潰されそうになっている人々の悲嘆や、それにも負けずずる賢く立ち回る悪人たちの描写が奮っている。あまり当時のイギリスの世相に詳しくないけど、かなり風刺も入っているのかな?と思わせた。

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2020年01月13日

Posted by ブクログ

主人公オリヴァーが後半ほとんど姿を見せないが、登場人物の面々は個性的。バンブルは滑稽な道化師的役回り。悪人フェイギンもユニークだが、彼を指すにユダヤ人が代名詞的にやたらと強調されている。シェークスピアの「ベニスの商人」もしかり、英国でのかつてのユダヤ人の差別的な位置づけが窺える。2019.4.2

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2019年04月02日

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