【感想・ネタバレ】ナルコトピア~東南アジア“黄金三角地帯(ゴールデントライアングル)”の麻薬国家「ワ州」を追う~のレビュー

あらすじ

ミャンマー南部、世界最大の麻薬生産地として知られる「ゴールデントライアングル」。この地域を支配する「ワ族」はアメリカや中国を出し抜き、イスラエルよりも広い領土を支配しスウェーデンよりも多くの軍隊を擁する。ミャンマーという正式な国家をも凌駕する世界最強の麻薬組織を作り上げたワ州の人々の正体とは? CIAやDEA、中国共産党といかにして渡り合ってきたのか? 血で血を洗う闘争の歴史に迫る本格ノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ノンフィクションの真髄を味わえる作品です
ありがちなマンガの設定で、民族の独立を夢見たゲリラが麻薬カルテルになってしまうという悲劇を、実際の歴史として、現実には麻薬カルテルであったのか独立国であったのか、
それは、どういったものだったのかを、一人の偉大な男性の背中越しに語られています
出てくる組織が強大すぎて、話が国家規模にしかならないため、夢を抱いたがために、組織人として苦悩する人たちの散っていった物語でもありました
現実路線では、銃と金だけが強く、望む結果を生むのだなぁと感じさせられました
個人的な興味で、格言の「貧乏でも金持ちの列に並べ」か鶏口となるも牛後となるなかれ、のどちらが正しいのか、たまに頭の片隅で考えていたのですが、ユダヤ人の金持ちより中国式のやり方に軍配が挙がったようです
私が、この本に出合えたのは、高野秀行の「アヘン王国潜入記」を読んでいたからで、それゆえワ州のアヘンの行方が非常に面白かったです ああ加工はそこでして流通はそうなってたんだって驚かさせられました
おそらくミャンマーの特殊詐欺の拠点とも関連の深いワ州の成り立ちと現状について知れる貴重な本なのでオススメです!

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2026年05月02日

Posted by ブクログ

間違いなく今年読んで1番良かった本になる予感。
ワという土地の成り立ちを、悲劇の英雄の経験を通して擬似体験できる本。
この英雄の、自分の理想のためには、拷問をされようが、自分の命をかけて達成すると言う行動原理に畏敬の念を覚える。
著者が言う、私はこの英雄を書くために神に遣わされたと言うのも納得できる話。

ワの南部現地民に話を聞いた
ソールーについては尊敬されているのはもちろんウェイについも同じくらい尊敬されているとのこと。ウェイは2026年現在も存命。
若い人が彼の年齢まで覚えていたのでこれは確かだろう。やはり外からみた麻薬組織の親玉という評価と現地のものは違うものだ。

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2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大部の著であるが、ビルマ/ミャンマーの国家内別国家とでもいうべき『ワ州』の歴史を追う一冊ゆえである。
内容も読ませる文章で書かれたもので、読み通すのに時間は要したが、必要な知識を参照しながらしっかり理解できたので、星5つを。満足とともに。

・文字通りの首狩り族であった『ワ人』
・バプテスト派伝道師の薫陶を受けた『ワ人』

主人公ソー・ルーは後者の難民の子である。共産主義者たちがやってきて、宗教コミュニティから彼らを追い出した。

……からの、成人後。
まずビルマから情報提供者として雇われ、任務は『ワ』コミュニティを対共産主義の盾にすること。(なにせビルマ軍は弱体で、戦力投射能力もなく、かといって白人の新たな帝国、アメリカに依存するのも怖かった)

でもソー・ルーには独自の思惑があったのです。
「ワ人は団結してひとつの民族国家をつくるべきだ。それには首狩りの習慣を止め、ワの言葉で教育を充実させ、病院や学校を建てるようになるべき」

しかし、「外部からやってきた文明的ワ人」の言うことなど誰も聴くはずはなく。
「共産主義者たちがケシ畑を焼き払うぞ」
と言って初めて、ワの人々はソー・ルーの訴えを真面目に聞くようになったのです。

ここから。話はここから二転三転する。
『アメリカ』といっても一枚岩ではなく、国務省とCIAは
「共産主義を食い止めるためなら、ヘロイン製造地域の武装勢力を支援するぞ。たとえアメリカの若者がヘロイン中毒になってベトナムから帰還し、社会を病ませようともだ。」
DEA(アメリカ薬物取締局)はDEAで
「ヘロインの流通を食い止めるためなら、地元軍部や政治家も一緒に逮捕して何が悪い」
という態度。
CIAはDEA職員の電話を盗聴し、個人宅に盗聴器をしかけ、捜査妨害どころか情報提供者を窮地に陥れることもいとわない。
ミャンマーの軍部独裁政治は、その時その時の思惑で
「国際的に良い顔して支援を引き出したい」
「が、自分たちのメンツをつぶされるようなDEAとソー・ルーの計画は許さん」
となる。

最終的に、ソー・ルーは新型コロナ大流行の折、孤独に亡くなり、義理の息子は「ワの言葉の教科書」すら定着させえずに失意のまま宗教コミュニティに居る。

メサイアコンプレックスという言葉は本書には登場しないが、ソー・ルーも彼の義理の息子も、
「ワ人を文明的な世界に向かって前進させたい」
という強い意志を持っていた。
彼らの失敗の理由のひとつは、その宗教信条故に、拷問や苦境に屈さず頑張りはできても、
「同宗派ではないワ人の味方」
を、体制変更を迫るほどの強さ、多さにはできなかったことであろう。

著者は末尾に、ワ州の今後の見通し、あり得るシナリオを描いている。が、現実のワ州に病院は無いし、小学校中学校は中国語の古びた教科書を使っている。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

ここ数年で読んだ本の中で最高の一冊。アヘン王国潜入記や、ネトフリのナルコスとかと合わせて楽しもう。麻薬ビジネスの闇だけでなく、民族とは何か、正しい国を作るためのアプローチとはどうあるべきか、誇り高く生きることの難しさそして尊さが全て詰まった名著中の名著。表装もすばらしくて所有欲がそそられる一冊。

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2026年01月11日

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