加賀山卓朗のレビュー一覧
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『裏切りのサーカス』『寒い国から帰ってきたスパイ』などの原作者ル・カレの回想録。みずからがMI5やMI6に所属していた事実をさらりと明かしながら、グレアム・グリーンや他のジャーナリストたちも同様にスパイ・エージェントであったこと、元スパイという肩書きからインテリジェンスにかかわる様々な依頼を受けてきたことなどが、淡々と綴られる。香港の海底トンネル完成を知らずに作品を書いてしまったという「失敗」から、必ず現地取材を重ねることにした、という挿話も興味深いものだった。
イギリス史上もっとも著名な二重スパイ、キム・フィルビーと彼の親友で、彼を追いつめたニコラス・エリオットのこと。ヤセル・アラフ -
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珍しく外国の小説を読んだ。ネットのお勧め小説だったかと思うが、期待を裏切らず面白い小説でした。
時代背景の違いや価値観の違いによる、洋書特有の違和感はあり感情移入は難しかったが、わかりやすいキャラクターやストーリーでその場の雰囲気が想像でき、オチには見事に騙されてしまいました。ミスリードに対する種明かしも納得のいくものでした。
また、エピローグで煙に巻くような後味の悪い終わり方をするので、それが苦手な方は注意してください。
あらすじとしては以下の通り。
主人公は編集者で仕事として、過去の犯罪を扱うノンフィクションの小説を渡される。そこには彼の妻とそっくりの、斬首刑となった犯罪者の写真が掲載され -
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本書の解説には、某小説家による以下のコメントが引用されています。
「スパイを主人公にしているからスパイ小説にちがいないだろうが、そのようなレッテルは無用の傑作である」
まさにその通りです。
スパイ小説の傑作であることは間違いないですが、より大事なことはスパイという存在を描いた人間小説ということかもしれません。
誰が二重スパイなのかという謎を追いかける愉しみもありますが、それと同時に語り手であり主人公である男にとって何が大事なのかを知っていく愉しみもあります。
500ページ近い作品ですが、久しぶりに睡眠時間を削ってでも読み進めたいと思わせてくれた一冊でした。 -
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『寒い国から帰ってきたスパイ』と『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の二作を読んでから読むことを勧める書評があった。訳者あとがきにも、同様のことが書かれているが、それはネタバレを恐れての注意。二作品を読んでいなくてもこれ一作で、十分楽しめるので、わざわざ旧作を掘り返して読む必要はない。ただ、これを読むと、前の二作を未読の読者は、おそらく読みたくなると思うので、読めるなら先に読んでおくといいだろう。
数あるル・カレのスパイ小説の主人公として最も有名なのが、ジョージ・スマイリー。眼鏡をかけた小太りの風采の上がらない中年男だ。ただし、現場から寄せられる真贋の程の分からぬ数多の情報を重ね合わ -
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この本を読むと、リーマンショックは不可避だったのではないかと思う。振り返って見ると、それぞれの打ち手の良し悪しは評価できるのだろうけど、トップノッチの人たちが、頭脳と体力を振り絞っても(から?)、あの結果になったことを考えると、資本主義という仕組み上、起こるべくして起こったとしか言えない気がする。
P99 バフェットはまたリーマンの財務諸表に取り掛かった。ある数字や事項が気になるたびに、そのページ番号を報告書の最初のページに書きためていった。読み始めて一時間と立たないうちに、報告書の最初のページは何十もの番号で埋まった。これは明らかな危険信号だ。バフェットは一つ単純なルールに従っていた。疑問 -
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「よくここ迄詳細に人物の発言や会議内の様子を含めて調べきれたな」というのが素直な感想。
話は、ベアスタンズ合併後のリーマンが破綻に向かう一部始終、その後市場は更に下がり続け、モルガンスタンレー、ゴールドマン・サックスにまで経営危機が及んでいく。
まさにリーマン・ショックの裏側。当時の実在のトップ投資銀行のCEOたちや財務省連銀の役員たちが史上最大の金融危機に対し、どのような行動を取っていなのかが詳細に記してあり、読み応えがあった。
金融危機のさなかのせいか、投資銀行が自社の保有資産価値を全然把握できていないのは何とも間抜けであり、適切な対策を施したとしも、市場は違う反応を示せば結局は危機を脱