加賀山卓朗のレビュー一覧

  • 11月に去りし者

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    1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていた―。

    「このミス」でベスト10入りだったことを知り、本棚から取り出して読んでみた。例年のことながら、今年読んだ新作は、いずれもランキングの下位、もしくは圏外ばかり。
    この作品は、犯罪小説だが、ロードノベルでもあり、実に切ない展開を見せる。おすすめ。

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    2019年12月29日
  • 11月に去りし者

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    フランク・ギドリーはニュー・オリンズを牛耳るマフィアのボス、カルロス・マルチェロの組織の幹部。一九六三年、カルロス・マルチェロとくれば、ケネディ暗殺事件がからんでくる。ジェイムズ・エルロイの「アンダーワールドU.S.Aシリーズ」でお馴染みの名前だ。オズワルドではない真の狙撃手の逃走用の車、スカイブルーのキャデラック・エルドラドをダラスの現場近くまで運んだのがギドリーだった。

    暗殺事件が起きるまで、ギドリーは何も知らされていなかった。関係者が次々と殺される中、ギドリーは自分も消されようとしていることに気づく。ダラスでエルドラドを始末したその足でバスに乗り、行方をくらます。車を手に入れ、ラスヴェ

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    2019年12月03日
  • 11月に去りし者

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    11月に間に合った〜。

    セリフ回しは結構ハードボイルド系だし、逃亡ということでロードノベルでもあるし、バイオレンス要素もちょっぴり恋愛要素も含んで、盛り沢山。でもまとまってる。

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    2019年11月28日
  • 二都物語

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    教科書にも出てくる作品
    二都がロンドンとパリを表すとは知らなかった
    革命期の社会動乱が背景になっていて壮大な物語

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    2019年11月16日
  • 地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録

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     『裏切りのサーカス』『寒い国から帰ってきたスパイ』などの原作者ル・カレの回想録。みずからがMI5やMI6に所属していた事実をさらりと明かしながら、グレアム・グリーンや他のジャーナリストたちも同様にスパイ・エージェントであったこと、元スパイという肩書きからインテリジェンスにかかわる様々な依頼を受けてきたことなどが、淡々と綴られる。香港の海底トンネル完成を知らずに作品を書いてしまったという「失敗」から、必ず現地取材を重ねることにした、という挿話も興味深いものだった。
     
     イギリス史上もっとも著名な二重スパイ、キム・フィルビーと彼の親友で、彼を追いつめたニコラス・エリオットのこと。ヤセル・アラフ

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    2019年05月20日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    珍しく外国の小説を読んだ。ネットのお勧め小説だったかと思うが、期待を裏切らず面白い小説でした。
    時代背景の違いや価値観の違いによる、洋書特有の違和感はあり感情移入は難しかったが、わかりやすいキャラクターやストーリーでその場の雰囲気が想像でき、オチには見事に騙されてしまいました。ミスリードに対する種明かしも納得のいくものでした。
    また、エピローグで煙に巻くような後味の悪い終わり方をするので、それが苦手な方は注意してください。
    あらすじとしては以下の通り。
    主人公は編集者で仕事として、過去の犯罪を扱うノンフィクションの小説を渡される。そこには彼の妻とそっくりの、斬首刑となった犯罪者の写真が掲載され

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    2019年04月08日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    凄かったけど凄すぎて腑に落ちてない所や理解が追っついてない所がちょいちょい有るので、1から全部読み返したい。素直になるほど!!ってなれなかった。腑に落とさせてみせる(?)ぞ

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    2019年01月27日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    スパイ小説だが複雑な複線があるわけでないシンプルなプロットだ(最後のカッスルの役割が明かされるところは少しひねった感じだが)。しかし強く引き込まれた。いかにもイギリス人と言うシニカルな視点。愛と怖れをコインの裏表として描いている。

    最後のほうになってセイラの視点で描かれる転換は何か他の本で同じような手法を読んだ気が。そこに限らず後に続くスパイ小説には大きな影響を与えているのだろう。ただひとつうらみがあるとすれば、うますぎてスルスル流れてしまうような感じだろうか。

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    2018年11月05日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    本書の解説には、某小説家による以下のコメントが引用されています。

    「スパイを主人公にしているからスパイ小説にちがいないだろうが、そのようなレッテルは無用の傑作である」

    まさにその通りです。
    スパイ小説の傑作であることは間違いないですが、より大事なことはスパイという存在を描いた人間小説ということかもしれません。

    誰が二重スパイなのかという謎を追いかける愉しみもありますが、それと同時に語り手であり主人公である男にとって何が大事なのかを知っていく愉しみもあります。

    500ページ近い作品ですが、久しぶりに睡眠時間を削ってでも読み進めたいと思わせてくれた一冊でした。

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    2018年10月19日
  • 地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録

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    作者の半生、下っ端スパイだった頃や、父母の話やら色んなエピソードが面白かったです。
    スマイリーものって三部作しか読んでなかったので、他のも読んでみよう。
    映画も見直して、やっぱ良いなぁ、と。続編作られるといいなぁ。

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    2018年08月21日
  • スパイたちの遺産

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    なんとも面白い、過去の忌まわしい事件の数々、形を変えて現在に蘇ります。スマイリーと仲間たち、その後、そして、今は、でありますな。星4つ

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    2018年01月30日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

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    リーマン・ブラザース、AIG、モルガン・スタンレー、そしてゴールドマン・サックスと立て続けに押し寄せる危機の波の中で、なんとか時間を稼いで、資金調達や担保を探して...と金融危機の中で必死にもがく様が伝わって来る。上巻は今一つだったが、下巻がスピード感もあって面白い。

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    2018年01月06日
  • スパイたちの遺産

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    『寒い国から帰ってきたスパイ』と『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の二作を読んでから読むことを勧める書評があった。訳者あとがきにも、同様のことが書かれているが、それはネタバレを恐れての注意。二作品を読んでいなくてもこれ一作で、十分楽しめるので、わざわざ旧作を掘り返して読む必要はない。ただ、これを読むと、前の二作を未読の読者は、おそらく読みたくなると思うので、読めるなら先に読んでおくといいだろう。

    数あるル・カレのスパイ小説の主人公として最も有名なのが、ジョージ・スマイリー。眼鏡をかけた小太りの風采の上がらない中年男だ。ただし、現場から寄せられる真贋の程の分からぬ数多の情報を重ね合わ

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    2017年12月22日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    孤児オリヴァー・ツイストが運命に翻弄されながらも生き抜き、幸福な生活を手に入れるまでのドラマを描くチャールズ・ディケンズの代表作であり、イギリス文学の古典。

    非常に多くの人物が登場するが、そのそれぞれが強い個性を持ち合わせるあたりは人物造形に非凡な才能を発揮した著者ならでは。

    そろそろクリスマスも近い。名作「クリスマス・キャロル」を読み返したくなる頃合い。

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    2017年12月09日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    火刑法定のようなホラーテイストはありませんが、秀逸なトリックに魅せられる作品でした。ネタバレになるかわかりませんが見事なドミノでした。

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    2025年12月21日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    ずっと前、大いなる遺産を最後まで読むことができなくて合わないのかなって思ったけど、オリヴァー・ツイスト物語は読みやすかったです。借り物なので、今度自分用に買います。これを機に大いなる遺産をもう一度読み直そう……。

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    2017年09月29日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち

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    この本を読むと、リーマンショックは不可避だったのではないかと思う。振り返って見ると、それぞれの打ち手の良し悪しは評価できるのだろうけど、トップノッチの人たちが、頭脳と体力を振り絞っても(から?)、あの結果になったことを考えると、資本主義という仕組み上、起こるべくして起こったとしか言えない気がする。

    P99 バフェットはまたリーマンの財務諸表に取り掛かった。ある数字や事項が気になるたびに、そのページ番号を報告書の最初のページに書きためていった。読み始めて一時間と立たないうちに、報告書の最初のページは何十もの番号で埋まった。これは明らかな危険信号だ。バフェットは一つ単純なルールに従っていた。疑問

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    2017年08月20日
  • 三つの棺〔新訳版〕

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    以前にも読んだことはなく初読でしたが、なるほど、『火刑法廷』と並ぶカーの代表作の1つとされるだけあり、このトリックというか謎解きは今読んでも練られておりかつ意表を突きすごい。(練られすぎているが故やや無理は感じるものの)

    個人的にはどうもカーはストーリーに没入出来ずに好きな作家ではないのですが、第17章の「密室講義」が無くとも確かに古典として残る名作と思います。そして、その密室講義が作品に色を添えていることもまた事実。

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    2017年02月27日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    推理小説の古典として有名なジョン・ディクスン・カーの傑作です。推理小説の古典はシャーロック・ホームズとエドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人しか読んでいなかったので、チャレンジしてみました。ミステリとしても秀逸ですが読後感としてクトゥルフを読んでいるような静かな恐怖がじわじわくるような感じで楽しく読めました。

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    2025年12月21日
  • 二都物語

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    母親にはじめて買ってもらった文庫本(のひとつ)。旺文社文庫だった。表紙はほぼ同じで、こちらはカラーになっている。あまり面白かった記憶はなく、読み終えたかどうかも定かではない。
    今回、新訳ということもあり、懐かしくなって読んでみた。けっこう面白いじゃないですか!! なんとなく結末がわかっていても、思ってもみなかった伏線がつながってくる快感と、後半に向けて尻上がりに加速するスピード感が素晴らしい。ディケンズにしてはコンパクトなサイズも、話が広がりすぎずよい。名作。

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    2016年08月04日