加賀山卓朗のレビュー一覧

  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル下 倒れゆくウォール街の巨人

    Posted by ブクログ

    一般人には知り得ない舞台裏が丹念に描かれていておもしろい。あの頃のジェットコースター相場が思い出されます。

    0
    2022年07月10日
  • リーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち

    Posted by ブクログ

    一般人では死ぬまで知り得ない裏話集みたいでおもしろい。
    登場人物の誰にも同情できないところがまたいい。
    またいつか greed is good の時代が来るのでしょうか。
    後半も楽しみ。

    0
    2022年07月10日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

    Posted by ブクログ



     とてもとてもJ.D.カーらしい、凝りに凝ったオカルトミステリ。

     殺害現場からの犯人の消失、と霊廟からの死体の消失、というふたつの密室を軸に、犯人含めた登場人物たちの思惑が絡み合った推理合戦から、異様な雰囲気を増していく中盤がキャッチーで読み進めやすい分、真打ち登場とばかりに躍り出る探偵役のオーラが凄い。キワモノ。
     謎解き自体は正統なミステリで、これまで醸成されていた不気味な雰囲気が祓われるように晴れてーーいったと思ったら。そこからの揺り返しが凄い。

     真実は何処、というか、真実の軽さよ…


     ☆3.5

    0
    2022年06月29日
  • 黒き荒野の果て

    Posted by ブクログ

    悪事に身を浸した父は母と息子を残して去って行った。
    父に憧憬を持ち続ける黒人の主人公。差別の残るアメリカ南部で車の修理工場を経営するが、会社の金、施設にいる母のための金、子供たちのための金のために足を洗った裏稼業に手を出す。誘われた相手が最悪でドンドン泥沼の中に沈んでいく。
    ストーリーの展開は俊逸なクライム小説。
    キャラクターが想像を超えないので星一つ減。

    0
    2022年06月05日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    さて下巻からは一気にストーリーが動き、上巻で謎に包まれたことが玉ねぎの皮を1枚1枚剥ぐようにクリアになっていく

    ピップに大いなる遺産を渡した人物は予想通りだったが、理由がわかりちょっと切なくなる
    さらに過去に登場した人物があれよあれよと繋がっていき、「ええそうだったの⁉︎」と何度も心で叫んだ(笑)

    紳士になるため、遺産とともにロンドンへ
    贅沢な暮らしを送りながらも、人様の勝手なエゴに翻弄されていく

    さらに美しさを増したエステラに再会したピップ
    彼女への愛に確信をもつものの、相変わらずの態度に愛が深まるほど虚しさは増す
    婚約者に裏切られた過去を持つハヴィシャムの差金でエステラの面倒を見ることはできるものの、ハヴィシャムとエステラは最後の賽を投げる
    絶望のどん底に着き落とされるピップ
    最後に自分の気持ちを二人に体当たりでぶちまけエステラに別れを告げる(いやいや、カッコいいよピップ!よく言った)

    一方姉の婿、鍛冶屋のジョー
    親代わりであり、兄であり、友人のはずの二人の関係にも変化が
    ジョーはピップを「サー(sir)」と呼ぶように…
    悲しく思うものの自分が蒔いた種なのだ
    どうすることもできない

    幼い頃クリスマスに会った脱獄囚に再会
    深く同情はするものの、嫌悪感を抑えきれない
    しかし二人の関係にも変化が…

    そして姉を襲った人物にピップも襲われ絶体絶命の大ピンチ!
    死を目前にピップは自分の人生と向き合うのだ

    波瀾万丈な出来事が立て続けに降り掛かり、心身共に疲労困憊するピップ
    しかし友人のハーバートが常に彼を助ける
    そしてウェミックもしょっちゅう自身の城(家なんだけど城なの)に招待し、ピップに手を貸す

    最後はジョーの暖かさと二人の友情にジーンとくる
    遺産を渡した人物との最後も切ないながら救いを感じる
    エステラとの最後のシーンもいい!
    (個人的にエステラ一人称の番外編を読んでみたい!)

    ピップは確かに運命を翻弄された犠牲者かもしれないが、その罠にハマりにいくことは自分で選択しているのだ
    最後にはきちんと気づいたであろう
    ピップを通して皆が変わる
    脱獄囚も、ハヴィシャムも、恐らくエステラさえも…
    そして誰よりピップ自身が自分の向き合い変わっていく…
    気づけば大親友ともいえるハーバートがいつもそばにおり、ウェミック他、たくさんの人たちがピップに手を差し伸べる
    ピップくん
    幸せ者じゃあないですか!
    ちょっと羨ましいわよ!
    知ってた?

    ミステリー要素もピップの成長も、人の心の移り変わりも…多彩で巧みで面白い
    今読んでこれだけ面白いということは、当時の人たちにはどれほどの影響を与えたのか…

    ただどうしてもピップに対する執拗なイジメや蔑み、俗物たちの品のない嫌がらせ…
    こういう描写が多すぎてウンザリしてしまったので、少々好みからは外れる…うーん残念

    0
    2022年05月21日
  • 黒き荒野の果て

    Posted by ブクログ

    わかりやすい登場人物の描写。カーアクションの描き方は圧巻である。実際に事が進む中盤以降、物語はテンポ良く進んでいく。あれだけ巨額の強奪事件で人も多数死んだのに警察がほとんど絡んでこないって、あり?

    0
    2022年04月19日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    終盤まではオカルトが絡んだ推理小説で、おもしろいが特段目を引くものでもなかった。

    しかし最終盤、最後の最後でこの本が名作と評されているわけが分かった。
    この結末を忘れることはできないだろう。

    0
    2022年03月21日
  • シルバービュー荘にて

    Posted by ブクログ

    冷戦が終わったとき、これでスパイ小説も終わった、とよく言われた。米英を中心とする資本主義諸国と旧ソ連を盟主とする共産主義諸国がイデオロギーの対立を掲げ、角突き合わせていたからこそ、米英ソの諜報合戦は関心を集めた。冷戦が終われば、スパイは仕事がなくなるだろうと皆が思ったのだ。当然、そんなことはなかった。ル・カレはその後もスパイ小説を書き続けた。ただ、重心の置き方は変わった。

    英国情報部はオックスブリッジで部員をリクルートする。パブリック・スクール出身者が多く、家族や交友関係、本人の思想信条について調査するまでもないからだ。彼らは生え抜きであり、組織の頭、中枢になる人材である。代々諜報活動に従事する一家も多く、身内には国政に携わる者も多くいる家柄で、イギリスのために働くことに疑問を持つことはない。

    頭だけでは仕事にならない。手足となって働く部員が必要だ。関係諸国の言語に通じ、内部事情に詳しい人員だ。そういう連中の中には、金のために自分の祖国を売る者もいるし、秘密を握られ、仕方なく手を貸す者もいる。だが、自分の思想信条のために自ら進んで渦中に飛び込む者もいる。この手の人間は熱意があり、よく働くが、自分というものを持っているので、ときにはそれが仇をなすこともある。

    国家と個人が同じ夢を見ている間はいいが、同床異夢を見出すと厄介だ。人体に喩えるなら、組織の中で他と異なる動きをする細胞は癌だ。早急に切除しなければ命取りになる。そこで、今までは同胞だった者が敵に回る。一人の主人公を中心に話が展開するのではなく、立場を異にする複数の人物が登場し、多視点で語られる。それに応じて時間が前後することもあり、展開が読みにくい。最近のル・カレの特徴だ。

    英国に限ったことではないが、肥大化した組織は機能不全を起こす。劣化した組織は疲弊し、情報は停滞し、問題が起こればどこも責任逃れに躍起になる。中枢がそんな状態では末端に混乱が生じるのは必至だ。それが原因で多くの人命を失うことになっても、組織は自分を疑うことはしない。過ちを正視し、誤りを正してこそ死者も浮かばれるのに、決してそうはしない。そんな組織に命を預ける値打ちがあるのか、という問いが生まれる。

    『シルバービュー荘にて』は、ル・カレの遺作である。最後まで作品の質を落とさなかったル・カレらしい、上出来のスパイ小説である。イースト・アングリアの海沿いにある小さな町で書店を経営する三十三歳のジュリアンが主人公。父のせいで苦労しているのに、良識があり、正直でぶれることがない。ル・カレが最後に自分の小説を託すに足る人物だ。人を疑うことを知らない書店主が、国家を揺るがす一大機密漏洩事件に巻き込まれる。

    大物の女性スパイから、情報部内の内部調査に携わる人物に極秘連絡が入る。機密が漏れているというのだ。事実だとすれば大問題だ。内密に調査を進めるうちに情報漏洩犯の素顔が次第に明らかになる。女スパイの夫はポーランド人。戦時中にユダヤ系の同胞をナチスに売った父を恥じ、ファシストと闘うことに人生を賭けてきた男だ。しかし、組織が彼の情報を軽視したことで、友人が死亡。彼は組織と自分の信条との間で板挟みにされた。

    調査の結果、小さな町の中で行われていたスパイ活動が判明する。人は死なない。けが人も出ない。表面上は、町の商店内に置かれたコンピュータで骨董の売り買いをしたり、大量の本を発注したりする、ただそれだけの面白くも何ともない事件である。ところが、驚いたことにそれが英国情報部の検閲をすり抜けてしまっていたから、さあ大変。情報部はおろか、国家の上層部が上を下への大騒ぎになる。

    これが、ジョン・ル・カレの遺作だと思うと、いささか感慨深いものがある。というのも、これはいわくつきの父親を持ったせいで、人生のスタート時点で転んでしまった男の物語だからだ。知っての通り、ル・カレの父親は有名な詐欺師で、彼は生涯それに翻弄され続けた。詐欺師とスパイは凄腕の人たらしであることが似ている。人に好かれようとして嘘をつくことに慣れると、人は自分を見失い、相手に合わせて自分を拵える。その結果、アイデンティティを失ってしまうのだ。

    『パーフェクト・スパイ』の主人公がそうだった。いい小説だったが、読んでいて辛かった。作家と父親の関係がそのまま反映されているからだ。『シルバービュー荘にて』はちがう。作品に自嘲の苦さがないし、目が過去でなく未来を向いている。ジュリアンとその恋人でスパイ夫婦の娘リリーのアイデンティティは微塵も揺るがない。とんでもない父親ではあったが、二人の父親は組織と袂を分かっても、自分の信条は捨てなかった。これは、作家ル・カレから、かつてその身を置いた「組織」への別れの挨拶なのかもしれない。

    0
    2022年02月03日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    火刑法廷は17世紀フランスで行われた裁判。登場するマリー・ドブレーは実在の毒殺魔と同名。デスパード家当主急死の謎を解くミステリー。最後の数ページでミステリーから怪奇に変わる。面白い。

    0
    2025年05月22日
  • シルバービュー荘にて

    Posted by ブクログ

    ロンドンの金融街で辣腕トレーダーだったジュリアンは、厳しい競争社会に嫌気がさし、仕事をやめた。彼は書店主となるが、思ったように本は売れず、経営は苦しかった。 そんな折り、エドワード・エイヴォンと名乗る男が、彼の前に現われる。エドワードはジュリアンの父のことをよく知っていて、書店の地下室に強い興味を示した。 その頃、イギリスの情報機関「部(サービス)」で国内保安の責任者を務めるプロクターのもとに、幼い子供を連れた若い女性が訪ねてきた。彼女は母から託された手紙をプロクターに渡した。手紙を読んだプロクターは、イギリスに打撃を与える重大な事態が起きていることを知り、調査を開始する。やがて、その調査はジュリアンの周囲に迫っていく。

    没後1年。未発表の長編が刊行された。後ろ髪を引かれるような思いで、読み終えた。

    0
    2021年12月29日
  • 死ぬまでにしたい3つのこと

    Posted by ブクログ

    スウェーデンのミステリー作品。
    大企業の社長令嬢が失踪し10年の月日がたちほぼ迷宮入り。その少女の腕には特徴的なタトゥーがあった。そして同じタトゥーを入れた少女の死が判明。その捜査に関わることになったのは、元FBIのオトリ捜査官で、今はスウェーデンの県警の刑事。
    スウェーデン、ミステリー、タトゥー、大企業というと、もうスティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズを彷彿させるキーワードばかり。複雑な人間関係と過去の沿うさ記録に丹念にあたる内容もあったりと、読んでて似てるなあと思わずはいられなかった。
    大きな違いと言えば、本作の主人公たる探偵役はアメリカ育ちの設定。なのでウエスタンヒーローのようなゴーイングマイウェイで、ルールは破るもの的な行動がエンタメ感を盛り上げている。600ページのボリュームを感じさせない素早いストーリー展開に引き込まれた。

    0
    2021年04月18日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    マフィアのボスから追われるギドリー、アル中の夫から逃げるオクラホマの主婦と娘達、そしてギドリーを追う殺し屋。3人の運命が交差し発火し思いがけない先へ連れて行く。
    次々登場する魅力的な人物達、二転三転する物語の行方、生き生きとした描写力にどんどん引き込まれた。サスペンスであるのは勿論だが愛の物語でもあった。

    0
    2021年03月26日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    人はやはり失敗から多くを学ぶ生き物だと感じた。成功からも学びはあるけれど、失敗してどうしようもない不幸を感じる時こそ、本当に大切なモノが見えたり自分の言動を省みたりできて、それはいつの時代も変わらないのだと思った。下巻での伏線回収や謎が解けていく感覚がすごく快感で一気に読んでしまった。

    0
    2021年02月10日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    役者あとがきにある通り、人物が生き生きとしている。
    オリヴァーや女性たちが受ける扱いは本当にひどかった。この時代では当たり前のことだったのかと思うと、現代に生まれた幸せを感じる。

    0
    2022年09月23日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    なろう小説で、無職転生に代表される幼少期スタート系小説が好きな方は、読んで面白いと思います。はい、私の事ですね。
    ガス灯、ガルバニ電池、蒸気機関、、、情報量と描写力は、流石ディケンズ!

    0
    2021年01月11日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    スパイ小説ですが、007みたいな感じではなく文学作品という感じ。ヒューマンファクターのタイトル通り、登場人物のもつ異なる性格や背景がストーリーを動かしていきます。

    好きなフレーズ
    “我が国の人たち(my people)なんて話をしないで。わたしにもう同胞はいない。あなたが我が民(my people)なの”

    0
    2020年11月08日
  • モーリス

    Posted by ブクログ

    1913年にはじまり1914年に終わったより幸せな一年に捧げる


    イギリスの上流階級のモーリスが性癖に悩み苦しみ自分の道を選んで人々の偏見を恐れる話。
    同性愛は死刑だった時代もあって、苦しかったと思うけど人が悩み苦しむのは美しいと思った。

    クライヴはモーリスのことをわすれられなかったのに世間に合わせて生きることを選んだけど、心の中はどうだったのかな。急に女性に興味をもったりとかあるのかな。モーリスを忘れるためとしか思えない?わからない。

    0
    2020年11月06日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    ケネディ大統領が暗殺された背景にいた奴らが事件後にどのような顛末になったのかを作品に展開した。暗殺事件性の黒幕としてニューオーリンズの犯罪組織のボスであるカルロス・マルチェロは暗殺に絡んだ人物を消していく。ジャック・ルビーがオズワルドを警察署で射殺したのも作品ではマルチェロの指示とされる。ギドリーは現場の車を処分する役割であるが、証拠隠滅のため、殺し屋のバローネに狙われる。そこから逃避行が始まる。別の場所ではどうしようもない夫から逃げてきたシャーロットと二人の娘がロサンゼルスを目指している。ギドリーとシャーロットとの出会いが、二人の心情を変えていく。殺し屋から逃げるためには合理的な思考と裏をかく行動をする。殺し屋のバローネは獲物を仕留めるために犯す殺人は何とも思わない冷酷さ。ギドリーとバローネの騙しあいなど、犯罪現場の行動哲学が滲み出てて面白い。

    0
    2020年10月17日
  • 11月に去りし者

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白い。

    単なるギャングモノの小説ではありません。逃げるもの、追うもの、巻き込まれたもの。三者三様の思いを胸に逃避行・追跡行が繰り広げられます。

    追われるものは、これまでの経験を下に巧妙に他人に成りすまして追跡を振り切ろうとするわけですが、その途中で心境に変化が・・・

    巻き込まれたものは、自分の元々の生活から逃げ出そうとしていたところに、逃げているものと出会います。そして、最後の最後に・・・

    追うものは、淡々と追われるものを追い詰めていくのですが・・・

    映画にすると面白そうです。

    0
    2020年09月16日
  • スパイたちの遺産

    Posted by ブクログ

    『寒い国から帰ってきたスパイ』と、スマイリー三部作の続編。
    特に『寒い国から~』に直接的な繋がりが多いので、最低でも『寒い国から~』は読んでからのほうがいいとおもう。

    いままでの作品の登場人物がほぼでてきたので総集編感があって懐かしくなった。
    ちょっとの出番だったけどフォーンがでてきたのにはびっくりした。
    結構気になってたキャラだったけど元々出番少ないから出ないだろうとおもってた。

    相変わらず文章は読みづらいし、時系列もあっちこっちいくし、嘘と真実がごっちゃになってるので集中して読まないとわからなくなりそうではあったけど、面白かった。

    0
    2020年09月03日