加賀山卓朗のレビュー一覧
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「ヒューマン・ファクター…人間や組織・機械・設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために考慮しなければならない人間側の要因のこと」(Wikipedia)
舞台は第二次大戦後冷戦時代のイギリス諜報部。
アフリカ情報担当である諜報部員カッスルは、すでに定年を過ぎても仕事を続けているが、その理由は自分でも解らず、常に「引退」を考えていた。
そこへ、所属する部署に内部調査が入る。
誰かによる情報漏洩の疑いを明らかにするため……。
イギリス諜報部というと「スパイ大作戦」「007」など派手なイメージがあるが、まったくそんな描写はなく、淡々と日常を描きながら疑心暗鬼が高まっていく -
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殺し屋に追われる悪党ギドリーと家族を連れ戻そうと酒癖の悪い夫から逃げ出した母シャーロットとの逃走シーンがこの小説の展開の面白いところだ。双方に身元を明かさずいるが暫くすると悪党に情が芽生え、家族を母親を守ろうと動き始める。その逃走の中での言葉「これから出会うのは新しいことばかりだ。ここからずっと、どこへ行っても。新しいものは古いものよりずっといいかもしれない。その時になるまでわからないんだ」それは、新しいものが必ずしても良いとは限らない、だが経験しないことには誰にもそれを判断できない、と言うことだ。力強い母の情熱と新たな挑戦は子供二人の将来を見通し人生を賭けたのだ。
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家族を守るために出来ることは何ですか? 米国南部の街で生き抜くクライムミステリー #黒き荒野の果て
■人生のつらい現実
環境が人生を決める。こういうつらい現実を実感するのは私が20代後半に差し掛かった頃だったでしょうか。
若い時代は夢と希望があれば、どんなに貧乏でも幸せなものでした。
しかし気が付くといつの間にか大人のしがらみの中で生活をしなければならず、毎月の支払いのために自分のやりたかったことがができてないと気がつく。守るものができた時、生き抜くためにどんな厳しい運命が待っているのか。
■家族を守るために
本書は自動車整備工場を営む主人公が、アメリカ南部の決して裕福ではない街で生き抜 -
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イギリス文学の傑作、ディケンズ読むならこれ! みたいな話を聞いたので読みました。
確かに面白い。しかもエンタメ作品として。
タイトルはオリヴァー・ツイストだが、オリヴァー以外の登場人物にもポンポン視点が移る群像劇。恩田陸並みに登場人物がたくさん出てくるのでメモ必須。
文章はとにかく皮肉まみれで思わずニヤリとさせられる表現が多い。キャラはみんな個性が尖っていて特に悪人の描写が上手い。
文学的にどうこうは置いといて、ヴィクトリア朝イギリスの風俗小説として、メロドラマとしてなどの俗っぽい楽しみ方もできることは特筆すべきである。
ただし、ストーリーの構成がガタガタで最後の方などオリヴァーが出てこなくな -
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さて下巻からは一気にストーリーが動き、上巻で謎に包まれたことが玉ねぎの皮を1枚1枚剥ぐようにクリアになっていく
ピップに大いなる遺産を渡した人物は予想通りだったが、理由がわかりちょっと切なくなる
さらに過去に登場した人物があれよあれよと繋がっていき、「ええそうだったの⁉︎」と何度も心で叫んだ(笑)
紳士になるため、遺産とともにロンドンへ
贅沢な暮らしを送りながらも、人様の勝手なエゴに翻弄されていく
さらに美しさを増したエステラに再会したピップ
彼女への愛に確信をもつものの、相変わらずの態度に愛が深まるほど虚しさは増す
婚約者に裏切られた過去を持つハヴィシャムの差金でエステラの面倒を見るこ -
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S・A・コスビー『黒き荒野の果て』ハーパーBOOKS。
アメリカのノワール小説。
必死に家庭と家族の生活を守ろうとするかつてのアウトローが陥った窮地。終盤は慌ただしく風呂敷を畳んだ感じで、中盤までのなかなか面白いノワールも霞んでしまった。主人公を徹底的に過去から甦ったアウトローとして描いてくれれば面白さは増したろうに。
かつて裏社会の伝説のドライバーだったボーレガード・モンタージュは家族のために危険な犯罪から足を洗い、アメリカ南部の町で自動車修理工場を経営していた。しかし、近くに新たな自動車修理工場が出来ると経営は傾き、様々な支払にも困窮するようになった。
金策に奔走するボーレガードに -
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冷戦が終わったとき、これでスパイ小説も終わった、とよく言われた。米英を中心とする資本主義諸国と旧ソ連を盟主とする共産主義諸国がイデオロギーの対立を掲げ、角突き合わせていたからこそ、米英ソの諜報合戦は関心を集めた。冷戦が終われば、スパイは仕事がなくなるだろうと皆が思ったのだ。当然、そんなことはなかった。ル・カレはその後もスパイ小説を書き続けた。ただ、重心の置き方は変わった。
英国情報部はオックスブリッジで部員をリクルートする。パブリック・スクール出身者が多く、家族や交友関係、本人の思想信条について調査するまでもないからだ。彼らは生え抜きであり、組織の頭、中枢になる人材である。代々諜報活動に従事