加賀山卓朗のレビュー一覧

  • 黒き荒野の果て

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    悪事に身を浸した父は母と息子を残して去って行った。
    父に憧憬を持ち続ける黒人の主人公。差別の残るアメリカ南部で車の修理工場を経営するが、会社の金、施設にいる母のための金、子供たちのための金のために足を洗った裏稼業に手を出す。誘われた相手が最悪でドンドン泥沼の中に沈んでいく。
    ストーリーの展開は俊逸なクライム小説。
    キャラクターが想像を超えないので星一つ減。

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    2022年06月05日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

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    さて下巻からは一気にストーリーが動き、上巻で謎に包まれたことが玉ねぎの皮を1枚1枚剥ぐようにクリアになっていく

    ピップに大いなる遺産を渡した人物は予想通りだったが、理由がわかりちょっと切なくなる
    さらに過去に登場した人物があれよあれよと繋がっていき、「ええそうだったの⁉︎」と何度も心で叫んだ(笑)

    紳士になるため、遺産とともにロンドンへ
    贅沢な暮らしを送りながらも、人様の勝手なエゴに翻弄されていく

    さらに美しさを増したエステラに再会したピップ
    彼女への愛に確信をもつものの、相変わらずの態度に愛が深まるほど虚しさは増す
    婚約者に裏切られた過去を持つハヴィシャムの差金でエステラの面倒を見るこ

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    2022年05月21日
  • 黒き荒野の果て

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    わかりやすい登場人物の描写。カーアクションの描き方は圧巻である。実際に事が進む中盤以降、物語はテンポ良く進んでいく。あれだけ巨額の強奪事件で人も多数死んだのに警察がほとんど絡んでこないって、あり?

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    2022年04月19日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    終盤まではオカルトが絡んだ推理小説で、おもしろいが特段目を引くものでもなかった。

    しかし最終盤、最後の最後でこの本が名作と評されているわけが分かった。
    この結末を忘れることはできないだろう。

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    2022年03月21日
  • 黒き荒野の果て

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    S・A・コスビー『黒き荒野の果て』ハーパーBOOKS。

    アメリカのノワール小説。

    必死に家庭と家族の生活を守ろうとするかつてのアウトローが陥った窮地。終盤は慌ただしく風呂敷を畳んだ感じで、中盤までのなかなか面白いノワールも霞んでしまった。主人公を徹底的に過去から甦ったアウトローとして描いてくれれば面白さは増したろうに。

    かつて裏社会の伝説のドライバーだったボーレガード・モンタージュは家族のために危険な犯罪から足を洗い、アメリカ南部の町で自動車修理工場を経営していた。しかし、近くに新たな自動車修理工場が出来ると経営は傾き、様々な支払にも困窮するようになった。

    金策に奔走するボーレガードに

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    2022年02月24日
  • シルバービュー荘にて

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    装丁・・昏い海に向かって立つ男の背中・・ル・カレその人?或いはエドワード?

    なかなか読みにくさが付きまとう滑り出しで、登場人物の大和にも困惑。しかも、諜報モノに付き物・・人物の名称が微妙に異なる。煎じ詰めればジュリアン/リリー/デボラ・とエドワードのダイアログを骨とし、展開する。
    一件、しんとして事なき様を呈しつつ、底流に流れる裏切りの歴史、しかも家族皆がスパイと有って互いが互いを裏切る・・そぶりも見せず。

    冷戦最中の空気感が極まる。20世紀後半、スパイモノの旗手たる彼は最後まで冴えわたるペンを走らせた。
    英国と共産圏の諜報合戦で国を、妻をと二重の意味で裏切ったエドワード・・彼の想いはシル

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    2022年02月03日
  • シルバービュー荘にて

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    冷戦が終わったとき、これでスパイ小説も終わった、とよく言われた。米英を中心とする資本主義諸国と旧ソ連を盟主とする共産主義諸国がイデオロギーの対立を掲げ、角突き合わせていたからこそ、米英ソの諜報合戦は関心を集めた。冷戦が終われば、スパイは仕事がなくなるだろうと皆が思ったのだ。当然、そんなことはなかった。ル・カレはその後もスパイ小説を書き続けた。ただ、重心の置き方は変わった。

    英国情報部はオックスブリッジで部員をリクルートする。パブリック・スクール出身者が多く、家族や交友関係、本人の思想信条について調査するまでもないからだ。彼らは生え抜きであり、組織の頭、中枢になる人材である。代々諜報活動に従事

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    2022年02月03日
  • 火刑法廷〔新訳版〕

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    火刑法廷は17世紀フランスで行われた裁判。登場するマリー・ドブレーは実在の毒殺魔と同名。デスパード家当主急死の謎を解くミステリー。最後の数ページでミステリーから怪奇に変わる。面白い。

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    2025年05月22日
  • シルバービュー荘にて

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    ロンドンの金融街で辣腕トレーダーだったジュリアンは、厳しい競争社会に嫌気がさし、仕事をやめた。彼は書店主となるが、思ったように本は売れず、経営は苦しかった。 そんな折り、エドワード・エイヴォンと名乗る男が、彼の前に現われる。エドワードはジュリアンの父のことをよく知っていて、書店の地下室に強い興味を示した。 その頃、イギリスの情報機関「部(サービス)」で国内保安の責任者を務めるプロクターのもとに、幼い子供を連れた若い女性が訪ねてきた。彼女は母から託された手紙をプロクターに渡した。手紙を読んだプロクターは、イギリスに打撃を与える重大な事態が起きていることを知り、調査を開始する。やがて、その調査はジ

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    2021年12月29日
  • 死ぬまでにしたい3つのこと

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    スウェーデンのミステリー作品。
    大企業の社長令嬢が失踪し10年の月日がたちほぼ迷宮入り。その少女の腕には特徴的なタトゥーがあった。そして同じタトゥーを入れた少女の死が判明。その捜査に関わることになったのは、元FBIのオトリ捜査官で、今はスウェーデンの県警の刑事。
    スウェーデン、ミステリー、タトゥー、大企業というと、もうスティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズを彷彿させるキーワードばかり。複雑な人間関係と過去の沿うさ記録に丹念にあたる内容もあったりと、読んでて似てるなあと思わずはいられなかった。
    大きな違いと言えば、本作の主人公たる探偵役はアメリカ育ちの設定。なのでウエスタンヒーローのような

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    2021年04月18日
  • 11月に去りし者

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    マフィアのボスから追われるギドリー、アル中の夫から逃げるオクラホマの主婦と娘達、そしてギドリーを追う殺し屋。3人の運命が交差し発火し思いがけない先へ連れて行く。
    次々登場する魅力的な人物達、二転三転する物語の行方、生き生きとした描写力にどんどん引き込まれた。サスペンスであるのは勿論だが愛の物語でもあった。

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    2021年03月26日
  • 大いなる遺産(下)(新潮文庫)

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    人はやはり失敗から多くを学ぶ生き物だと感じた。成功からも学びはあるけれど、失敗してどうしようもない不幸を感じる時こそ、本当に大切なモノが見えたり自分の言動を省みたりできて、それはいつの時代も変わらないのだと思った。下巻での伏線回収や謎が解けていく感覚がすごく快感で一気に読んでしまった。

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    2021年02月10日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    役者あとがきにある通り、人物が生き生きとしている。
    オリヴァーや女性たちが受ける扱いは本当にひどかった。この時代では当たり前のことだったのかと思うと、現代に生まれた幸せを感じる。

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    2021年01月26日
  • オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)

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    なろう小説で、無職転生に代表される幼少期スタート系小説が好きな方は、読んで面白いと思います。はい、私の事ですね。
    ガス灯、ガルバニ電池、蒸気機関、、、情報量と描写力は、流石ディケンズ!

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    2021年01月11日
  • ヒューマン・ファクター〔新訳版〕

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    スパイ小説ですが、007みたいな感じではなく文学作品という感じ。ヒューマンファクターのタイトル通り、登場人物のもつ異なる性格や背景がストーリーを動かしていきます。

    好きなフレーズ
    “我が国の人たち(my people)なんて話をしないで。わたしにもう同胞はいない。あなたが我が民(my people)なの”

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    2020年11月08日
  • モーリス

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    1913年にはじまり1914年に終わったより幸せな一年に捧げる


    イギリスの上流階級のモーリスが性癖に悩み苦しみ自分の道を選んで人々の偏見を恐れる話。
    同性愛は死刑だった時代もあって、苦しかったと思うけど人が悩み苦しむのは美しいと思った。

    クライヴはモーリスのことをわすれられなかったのに世間に合わせて生きることを選んだけど、心の中はどうだったのかな。急に女性に興味をもったりとかあるのかな。モーリスを忘れるためとしか思えない?わからない。

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    2020年11月06日
  • 11月に去りし者

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    ケネディ大統領が暗殺された背景にいた奴らが事件後にどのような顛末になったのかを作品に展開した。暗殺事件性の黒幕としてニューオーリンズの犯罪組織のボスであるカルロス・マルチェロは暗殺に絡んだ人物を消していく。ジャック・ルビーがオズワルドを警察署で射殺したのも作品ではマルチェロの指示とされる。ギドリーは現場の車を処分する役割であるが、証拠隠滅のため、殺し屋のバローネに狙われる。そこから逃避行が始まる。別の場所ではどうしようもない夫から逃げてきたシャーロットと二人の娘がロサンゼルスを目指している。ギドリーとシャーロットとの出会いが、二人の心情を変えていく。殺し屋から逃げるためには合理的な思考と裏をか

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    2020年10月17日
  • 11月に去りし者

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    ネタバレ

    面白い。

    単なるギャングモノの小説ではありません。逃げるもの、追うもの、巻き込まれたもの。三者三様の思いを胸に逃避行・追跡行が繰り広げられます。

    追われるものは、これまでの経験を下に巧妙に他人に成りすまして追跡を振り切ろうとするわけですが、その途中で心境に変化が・・・

    巻き込まれたものは、自分の元々の生活から逃げ出そうとしていたところに、逃げているものと出会います。そして、最後の最後に・・・

    追うものは、淡々と追われるものを追い詰めていくのですが・・・

    映画にすると面白そうです。

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    2020年09月16日
  • スパイたちの遺産

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    『寒い国から帰ってきたスパイ』と、スマイリー三部作の続編。
    特に『寒い国から~』に直接的な繋がりが多いので、最低でも『寒い国から~』は読んでからのほうがいいとおもう。

    いままでの作品の登場人物がほぼでてきたので総集編感があって懐かしくなった。
    ちょっとの出番だったけどフォーンがでてきたのにはびっくりした。
    結構気になってたキャラだったけど元々出番少ないから出ないだろうとおもってた。

    相変わらず文章は読みづらいし、時系列もあっちこっちいくし、嘘と真実がごっちゃになってるので集中して読まないとわからなくなりそうではあったけど、面白かった。

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    2020年09月03日
  • 11月に去りし者

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    2019このミス海外篇6位。
    物語はのっけからJFKが暗殺されるのと同時進行で動き出し、その関連性にワクワクしながら読み進める。組織からはぐれた中間管理職的なフランクと、酒飲みでだらしない夫から娘2人と犬(ラッキー)を連れて衝動的にオクラホマの田舎町から逃げ出したシャーロット。後半は2人でラスベガスまで移動するロードノベルとなる。フランクを追う冷血な殺し屋パローネが運転手として雇う黒人少年、ラスベガスでフランクが頼る大物エドなど、脇役達が魅力的。
    ラストのフランクの選択はおもいがけないものであり、シャーロットへの愛が本物だったという証かな。
    物足りないのはJFK事件との絡みがもう少しあっても良

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    2020年08月16日