加賀山卓朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ・あらすじ
アメリカのサウスカロライナ州、レッドヒル群が舞台。
ボーレガードは、裏社会で伝説的な走り屋だった。
家族ができた事をきっかけに裏社会からは足を洗い自動車修理工場を経営していたが、資金難によりその工場の経営が傾き出していた。
家族のため、従業員のため、生活のためにボーレカードは昔の仲間から持ちかけられた宝石店への強盗計画に乗ることにした。
そしてそこからボーレガードはギャングの抗争に巻き込まれてしまう。
・感想
コスビー作品の暴力描写が相変わらずすごい!すごく痛そう!!
私がとても思い付かない事やってのける。
カーチェイスとかカーアクションの描写の臨場感も良かった。
今回もめちゃくちゃクレバーな主人公。
足を洗って真面目に暮らしたいのに色々な問題、環境のせいでうまくいかない。
そして本人もスリルと分泌されるアドレナリンの魅力に抗えない……。
ラストに妻のキアから「あなたは変われない」と言われ、本人もこれだけ家族を危険に晒したあとですら「変われるかわからない」という返答。
このラストが良かった。
親友が殺され、息子が危険な目にあったあとですら人間は簡単に変われない。
スリルジャンキーになってるボーレガードが可哀想ではあった。 -
Posted by ブクログ
殺人の容疑者となったものの、無罪放免になった(完全犯罪を成し遂げた)者達によるパーティーが地方の洋館で開かれる。という大きめの釣り針にまんまと喰らい付いたものの、当のパーティーが始まるのは左手の親指に感じる枚数がだいぶうっすくなってからだった。
パーティー自体は結構な急ぎ足としてもトラディショナルなフーダニットとして楽しめるのだけど、問題はそこに至るまで30年代のイギリスのスモッグの中で狐につままれ続けるところ。絶妙にワクワクし辛い塩梅で情報を与えられ続けるのが退屈っちゃ退屈だけど、30年代に憧れを持つ私としてはたとえ煙に巻かれていようとそこでただ彼らを覗き見てるだけで満足ではある。
レイチェルはといえば前作ほど謎めいた様子も冷んやりした態度もなく、好敵手としてレオノーラが登場しても割と圧倒し続けたりして、前作とはまた違った無敵感を漂わせていた。相変わらず超人的な推理もむしろ気にする方が居心地が悪いくらいにはぶっ飛んだ推理をしてくれるので、そこを気にするのは野暮ったい気がする。
通底するテーマとしては「そして誰もいなくなった」あたりから引っ張ってきたのかとも思ったけど、モートメイン館での殺人では顔馴染みの動機が出てきたりもして、一体何が書きたいんやと頭を抱えかけたものの、ミステリオタクが詰めれるもんたくさん詰め込んだんだなぁとも思うし、ここ数年の刊行物としてこれだけ黄金期風のものを送り出してくれるおかげで、アーカイブに頼り続けて歳をとっていかなくても良いんだという安心感を与えてくれるだけでありがたいと思う。 -
Posted by ブクログ
レイチェル・サヴァナクシリーズ第2作。
今回も前作同様1930年代イギリスが舞台。やっぱりこの時代の雰囲気に浸れるというのがシリーズの大きな魅力の一つだと思う。
今作は前作に登場する謎の探偵レイチェル・サヴァナクと新聞記者のジェイコブの他に、新たな謎の女性犯罪学者レオノーラ・ドーベルが登場。殺人事件もたくさん起こるが、自分はいま何を読んでいるのか、どこに着地するつもりなのか分からないモヤモヤしたまま読み進める。
物語ラスト、名探偵レイチェルが関係者を一堂に集めてご開陳される推理が凄すぎて、若干ついていけなくなったのが残念……。
本編の終わりには「手がかり探し」と呼ばれる、推理を行ううえでキーとなるセンテンスを著書自ら提示する一覧があり、あくまでフェアであることは示されている。が、これを読み解くのはなかなか難しい。まあ言われればそんなこと書いてあったね、もあるので軽い気持ちで楽しめばよいか。
サヴァナク家に仕えるメイド マーサとレイチェルとのジェイコブを巡る恋模様?が気になる。今後も刊行されるであろうシリーズは追っていきたい。 -
Posted by ブクログ
一作目『黒き荒野の果てに』もパンチ力があったが、『頬に哀しみを刻め』は文句なしの凄玉だった。白人と黒人の双方とも息子を殺された父親というダブル主人公。しかも息子たちの関係はホモセクシュアルであったという、社会的受難を二重三重に受けた中年二人が、人種の壁を乗り越え協力して犯罪者であり差別主義者である連中と闘ってゆくあまりに胸アツの作品であった。毎年一作ペースで、今年も例によって一作、そして毎度のことながらテーマは人種間の軋轢、差別、そしてそれが起こす犯罪である。しかし、本書は一つの犯罪だけではなかった。読者は、ある街の過去にまで遡る犯罪の犠牲者たちの堆積、そして現在も起こる山のような人種差別の暴力に対峙しなければならないのである。
本書は黒人警官タイタス・クラウンのまずまずの日常が、事件の勃発によって破られるところからスタートする。現場に駆けつけると、高校で白人教師を射殺した黒人青年が警官たちに包囲され、うち一人の発砲によって射殺される。いつもの通り劇的な幕開けだ。
しかし射殺された白人教師の携帯電話に遺されたビデオには陰惨な殺人動画が遺されており、多くの黒人たちが惨殺されその死体が隠され埋められているという大事件に発展する。動画に映っていたのは複数の名のある人間たちで、それを捜査する保安官が黒人主人公であるタイタス。彼はFBI出身の優秀な人材だが、この町で黒人保安官であるゆえに敵も多く、陰湿な攻撃に晒されつつの捜査という苦境の中で孤立しつつ闘う運命となってゆく。
捜査を進めるうちに数人の隠れ差別主義者による暴力が明らかになってゆく。土の下から掘り起こされる複数の黒人児童たちの亡骸。動画に映っていた黒人の子供たちの虐待と殺人のシーンなどから、三人の白人が浮かび上がる。うち一人が射殺された教師だったことに町は揺れ動く。尊敬される教師であった人物が実は黒人児童を殺害して動画に撮るような男であったのだ。
黒人警官であるゆえに差別や暴力と闘わねばならない構図。コスピーが前作でも前々作でも書いてきたテーマである人種差別と、そこから生まれる暴力。人間というよりも野獣のような残酷さ。そして社会がそれを更生し切れずにいるアメリカ南部という隠された地獄。それらを今なお描き出し、闘おうとする作者並びに主人公の保安官。どうにも落ち着きどころのないテーマを描いて三作目。
本書は初の警官主人公というど真ん中のヒーローを軸にして、街を揺り動かす連続人種差別事件、そして埋もれていた山ほどの殺人事件の発掘というところまで繋がる人種差別組織の存在。KKKを思わせる差別と犯罪という永遠の命題に取り組み続けるコスビー作品三発目であるが、これまでで最も正面切った構図であること(FBI帰りの黒人保安官が主人公となって真向犯罪と対決というのはいつものコスビーらしくなく、全体に平坦なイメージ過ぎたか)、また犠牲者があまりに多すぎること、残酷過ぎることなどから、やり過ぎの評価を免れることはできないような気がするが、そこを気にしない方にはコスビー節が心地よいのかもしれない。ぼくは、ここまで過酷な作品だと、罪の深さもあまりに不快過ぎてちと読みづらかったというのが本音のところです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3.5くらい?
評判は悪くないけどちょっと歯切れの悪い感じの感想だったので、デッドエンドになりそうだなと思ってたら案の定。ハードボイルドモノ?それ未満な感じ?
タイトルのダークライドは遊園地の暗闇の中を進むコースター的な乗り物かな。お化け屋敷のようなアトラクション。つまり一夏の冒険を表したかったのかな。
主人公の、誰かを救いたい、あの子達を救いたいという気持ちは良かった。救いたい理由より救わない理由がある?というのも良かった。
だけどやっぱ最後らへんの暴走はダメだよ、と感じるで。ハードリーのような人間がたどる末路としてはむべなるかな。
気になったのは、主人公より賢い人間がフェリスという年上の女性やエレノアというゴスの女性。あとは敵のネイサン。同居人兼家主のバークは賢いが危なくて頼っちゃいけない人間。兄はどうかな。
とにかく、メンター的な、いわば主人公のお株を奪うようなキャラがいない。お株を奪われたら話として成立しないが、なんか都合の良い世界だなって感じ。ラノベ的。
サルヴァドールは年下で頭の回らない描写がされ主人公を崇拝するという、読者を喜ばせるようなキャラで、それもなんだかな。
フェリスと寝るのも驚いた。寝ても良いくらいの容姿だったのかハードリー。ここら辺もラノベ的。
まあそれでも、ズブの素人が試行錯誤しながら見張ったり付けたり知恵をまわらそうとしたのは面白かった。
こういうのがアメリカではウケるんだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ23歳くらいの青年ハードリーが勇気を出して、児童虐待を受けている子ども2人を救おうとする話。
ハードリーは今が楽しければいいや、という生き方。マリファナを適度に楽しんで遊園地のお化け屋敷的なところで働いている。
この青年がいきなりむちゃくちゃな探偵まがいな行動をする。周囲の人に助けてもらうのだが突飛すぎる。最後はアドバイスを無視して強行突破。銃嫌いだったのに銃撃戦で2人を殺す。ハードリー本人も重症でその後のハードリーの結末はわからないまま。おそらく命を失ったと思われる。
今まで、何かを一生懸命にそれこそ命をかけた行動をしたことがない青年が暴走した一部始終という感じだった。巻き込まれた撃たれたサルヴァドールもかわいそうだし、必死になってハードリーの暴走を止めようとしていたエレノアもかわいそう。
ラストでハードリーがおそらく命を失う結果になったのは別にいい。こういう結果でもいい。だが何もかも唐突すぎてなんでこういうことになったのかよくわからないままだった。
自分は読書において、登場人物へ共感できるかどうかというのはどうでもいいタイプなので、ハードリーに共感できなくてもそれは別によい。ただ作品のなかに理解ができなかった部分が多いと感じた。
これは人生の不条理を楽しむ物語なのかとも思えてきた。リアルの人生では伏線と思えるようなことがあってもその後何も起こらなかったり、つじつまが合わないことがほとんど。ハードリーの物語もそういうことかもしれない。 -
Posted by ブクログ
XのTLで見かけて気になったので読んでみました。
思っていたのと違っていた。笑
ジャンルとしてはハードボイルドになるかと思います。
暴力シーンが苦手な方は厳しい気がします。
(結構な頻度で出てくるからね)
ストーリーに目新しさはそんなにないのですが、同性(男)同士の夫婦(カップルって言ったほうがいいのか?表現が困る)が何者かに殺害されたところからストーリーは始まります。
彼らの父親二人が手を組んで復習するべく犯人を捜す、というもの。
被害者がゲイの夫婦、というところが今どきっぽいです。
LGBT、人種差別、親子関係、裏社会と重いテーマが何重にも重なっています。それだけのテーマを扱っているので、結構なページ数になります。
ですが、意外と面白く読めました。(バイオレンスシーンは厳しいですが)
なんといっても父親二人の心境の変化が丁寧に書かれているのです。
重めのテーマに対して、薄っぺらい内容だと読めたものではないと思うのです(・・・結局それで終わりかよ、みたいな)が、登場人物の生い立ちもかなり丁寧に書かれてますし、人種差別の表現などもかなりリアルなんじゃないかと察します。何より裏社会をきちんと取材して描いている感じがします。
バイオレンス要素と人物の丁寧な描写が交互に訪れます。それがストーリーに強弱を与えているんですよね。
そんな中で気になる一言がありました。
”本当の自分を隠すべきだとあなたが思っているそれこそが、ぼくの指摘したかったことなんだ。”
ストーリーの核でもあり、これを父親二人がどのように認めていくか、といった本のテーマともなる言葉になります。
表紙を見てもわかるように、かなり重量感あるストーリーです。
本質を追求したい人には向いている作品だと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『11月に去りし者』を読んで面白く、力のありそうな作家さんと感じたので読んでみた。
うーん、なんか説得力に欠ける感じ。
あとがきに『11月に去りし者』の後したためていた作品が完成しきれず、5年ぶりの出版となったとの事情が記されていたが、その辺りの難産ぶりというか、源泉の涸れっぷりが伺えてちょっと残念。
主人公のハードリー(本名はハーディだが、兄がからかいも込めて「ほとんど~ない」の意(英:hardly)であるこの言葉で呼ぶので、自分でもそう名乗っている)は寂れたテーマパークの三流ゾンビアトラクション〈呪われた西部開拓地〉で脅かし役に扮する日々を過ごす。
プライベートでは、友人達と共にマリファナ漬けで、うだつの上がらない日常にも諦観含みの満足を得ている。
そんな日々の中、未納の駐車違反金を支払いに行った市役所で生気を失った幼い姉弟を見かける。
よくみると首筋に並ぶタバコ痕。
しかも連れ添っている母親らしき女性は、その痕を隠そうとしている。
そこからは天啓を受けたかのように、その姉弟を気にかけ、児童虐待の疑いある環境から救い出そうと東奔西走する。
途中出会う市役所職員のゴス娘エレノアや、空回りを繰り返す職場のカースト最下層クルー、サルヴァドール、元探偵の不動産屋美魔女マダム、フェリスといったキャラ強面々は悪くなく中盤くらいまではぐいぐい読ませる。
ただ途中、関係の発展が唐突だったり、なぜその行動をとるのかの話に深みが感じられなかった。
それぞれの関係性、エピソードの終着点もことごとく尻切れ。
もっと書き込みできたら面白かったと思うのに。
あと前作と登場人物も物語性も全然関係ない、原題にも含まれていないのに無理矢理「7月の」を入れてくる出版者側(なのか?)の浅ましさにもマイナスイメージ。