森絵都のレビュー一覧
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ネタバレ森絵都・ラン、1年以上積読状態だが、いよいよ挑む!久しぶりの一気読み。両親、弟を事故で亡くし、数年間同居していた叔母も亡くした主人公・環。自転車屋の紺野さんと飼い猫の「こよみ」と仲良しになる、が、こよみが亡くなり、紺野さんも山形へと去ってしまう。そんな中紺野さんから譲り受けたモナミ1号(自転車)。モナミに乗ればあの世とこの世を行き来できることが分かった。環はモナミ1号に乗らずとも、40kmを6時間で走破することで家族に会えることを知る。マラソンによる環の成長譚、身体だけではなく心も成長した姿が眩しい。⑤
毎週日曜日、ジムで15分間で2.5㎞走っているがフルマラソン(42.195km)で5-6 -
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どうか
どうか私の愛するひと、苦しまないで。あなたの幸せと健康を私はいつも祈っている。私のことを知らなくても、私のことを忘れても構わない。どこかで生きていてさえくれればいい。生きていてほしいという私の願いさえもエゴであるなら、あなたが死を選んだ後にあなたが後悔しないことが願う。
でもどうかあなたが私たちの人生を輝かせたこと、たくさんの幸せをくれたこと、私たちがあなたを心から愛していること、知っておいて。あなたからの沢山の贈り物はずっと私たちの中で輝き続けるだろう。祈ることと愛すること以外なにもできない非力な存在で、ほんとうにごめんなさい。
あなたが今どこにいようとも、あなたの心が平穏であることを祈って -
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出会いなおしたくなります。
表題作は題名から転生ものかなと思ったら、ひとつの人生の中で再び出会う話でした。
「出会いなおし」という題名は表題作だけのもので、他の話はそれぞれ別の題名がついていますが、どれも何かしら再会にまつわる話で統一感がありました(「カブとセロリの塩昆布サラダ」は再会の話ではないかな?でも似た感情を呼び起こすから不思議です)。
全部すごく良かったです。この本を読むと、長生きしたくなっちゃいます。取り返しのつかないことなんてほとんどないんじゃないかと前向きな気持ちになり、年を取るのが楽しみになります。森絵都先生のそういうところが本当に大好きです! -
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「女ともだち」がテーマの短編小説アンソロジー
既に出尽くした感のあるテーマですが、昨今のSNSを取り入れた短編は8篇全て新鮮で面白かったです。
なんでも真似して来る女性を描いた村山由佳さんの「COPY」
女性あるあるです。
そしてそこに惹きつけておきながらのラストの急展開にはドキっとします。
坂井希久子さんの「ト・モ・ダ・チ」はイヤミスを連想させるどろどろした話で、もはやホラーの様にも思えて怖かった。
千早 茜さんの「卵の殻」は繊細な女性心理が描かれていて女性の執着がただただ恐ろしい。
「サバサバした女なんていないよ」のセリフが印象に残ります。
子供時代の競争意識、嫉妬心を描いた大崎 -
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強くなれ
目的があると人は120%の力を発揮できるんだなと思いました。大切な人に会うため疲れも忘れて頑張れる。ファンタジーとわかっていてもそんな所があったら私も走って行きたくなりました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ気付いたら一気に読み切ってしまいました。
もやもやとした気持ちを、誰もどうにもしてくれない。それなら自分たちでそのもやもやに捕まらないように、楽しいことを考え続けるしかない。
意味があるようで、重大な理由なんてなくて、それこそが最大の理由で、矛盾しているようで言葉にできない何かが一本見えない場所を通っている、そんな中学生の言い知れない気持ちを思い出させてくれる一冊でした。
『宇宙のみなしご』なのは、きっと大人になっても変わらないけれど、その一人であるわたしも、彼女たちのように暗闇に飲まれず光ることを忘れずにいたいと思わせてくれる、素敵なお話。
多感な中学時代を日々ばく進中の姪にも、是非読ませた -
Posted by ブクログ
ネタバレかなりよかった!個人的にどストライクにささった本。
死の世界に行くために後ろ向きに全力で走っている環に共感した。
主人公は家族を失い自分ひとりだけ生き延びたという設定で、いわゆる悲劇のヒロイン系の小説。しかし、自分かわいそうと哀しみにひたるではなく、主人公なりに前向きに生きているのがよかった。それでも周りからみると、かなりネガティブにみられるというのも、共感できるところがあった。
エンディングも、走り切るか否かではなく本番を迎えたその日で終わっていることで、結果がどうであれ今までの過程に意味があるということを暗に示唆していてよかった。