森絵都のレビュー一覧
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『カラフル』は、「やり直し」を与えられた魂の物語。輪廻のサイクルから外されたぼくが、抽選という半ば理不尽な形で、再挑戦のチャンスを得る。舞台は、自殺を図った中学生・真の体。期限内に自分の罪を思い出せなければ、再び闇へ戻される。
真として過ごす日常の中で、家族の不器用な愛情や、クラスメイトそれぞれの事情が少しずつ見えてくる。誰もが完璧ではなく、誰もが何かを抱えて生きている。
単色だった世界が、徐々にカラフルになっていく過程は、「人生は見る角度で変わる」というメッセージそのものだと思う。過去を消すことはできなくても、未来の色合いは選べるのかもしれない。
読み終えたあと、もう一度明日をちゃんと生きて -
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気になっていて、たまたま衆院選が決まる直前に読み始める。
一番の感想は、特にこの時期に読めて本当に良かったということ。
戦後の話ではあるけれども、本当に現在と地続きなのだと実感できる内容で、驚いた。
二部作?三部作?というくらいの内容の濃い作品で、読みごたえ十分。
中身も、途中からどんどん展開が変わり引き込まれる。
ページ数的にもボリュームがすごくて躊躇したけれど、どんどん読める。
そして、章ごとに語り手は変わるのにこの一体感はなんだ!と感動。
権利も民主主義も、一朝一夕ではないし、先人たちのもがき戸惑いながらも考え続け、迷い続け守ってくれたんだということが強く感じられた。
とにかく今の -
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『みかづき』以来の森絵都です。『みかづき』でも戦後の学習塾の歴史を小説の舞台にするなんて!と驚き、そしてその展開の熱さに引き込まれてしまいましたが、今回の舞台も「学び」でした。でも、もっと奇抜で敗戦直後のGHQによる「民主主義」塾…出自もバラバラに選ばれた4人の女性の共同生活なのでありました。それがやめられないとまらないエンターティメント!設定のファンタジーさとストーリーのはちゃめちゃさとそして主人公たちのピュアさが、実はその時代の混乱の空気を逆にリアルに再現しているのではないか?という気になりました。「民主主義」ネイティブの世代からすれば、「民主主義?What's?」の混乱はイメー
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はじめは少し話のテンポが自分に合わず、ザクザクと話は進むのにダラダラとまどろっこしい感じがしたが、塾が段々と成り上がっていくにつれて俄然面白くなってきて、最後はこの3〜4世代続く一大叙情詩に読み終わった後、感嘆の声を上げずにはいられなかった。
こんなに登場人物が出てくるのに、1人1人のキャラクターが際立っていて、一度も確認することなく読み切れたのは久しぶりだった。
また津田沼塾戦争は、まさに自分が第2ベビーブームドンピシャ世代で、この話に出てくる塾の成り立ちは、自分の地元だったせいもあり、あぁこれは市進かな、栄光ゼミナールかな、俺は研数学館だったなとか、勝手に当てはめて興味深く読むこともでき -
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面白かったー
いや、本当に面白かった
今年に入ってすぐ、こんな面白い小説に
出会えるなんて、幸先がいい(?)
日本民主化政策の成果を焦るGHQがはじめた
“民主主義のレッスン”の教師役を引き受けた
日系2世のリュウが、生徒として選ばれた
個性豊かな4人の女性達と風変わりな授業を
始めるところから物語は始まる。
性格も境遇も全く違う若い4人の女性達が
半年という短い期間の中でどんな風に変わって
いくのか。日系二世のリュウは胃が痛くなり
ながらも彼女達に民主主義とは何かを教えていく。
そもそも民主主義とは何?
アメリカの理想の民主主義を日本人に
押し付けてどうしようというのだろう、
そんな風に -
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全9編の短編小説。長いものもあれば、数ページだけの作品もありますが、どれも抜群の読み応えがあった。その中でも特に楽しく読めたのは「ヨハネスブルグのマフィア」とタイトルでもある「気分上々」。
「ヨハネスブルグのマフィア」
かつての恋人(?)と10年越しの再会なのに、それを感じさせない大人な会話が魅力的。とりあえず、このマフィアの睡眠法を試してみたい。後、寿司を頼むときは「イカエビタコ」にしたい。
「気分上々」
タイトルそんなところから!?と思ってしまった。思春期ならではの甘酸っぱい悩みや葛藤に、自分もこんな時期があったなあ、と共感。あの頃の男子の頭の中、確かにこんな感じだったかもしれない。 -
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大河ドラマのようでした。昭和36年の用務員室の主人公吾郎が、千明と出会って塾をつくる。戦後から高度成長期に文部省との確執もありながら、塾を運営していく。その中での、吾郎、千明、子ども達、塾の講師達のドラマが繰り広げられていきます。時系列では1961年から2008年までの半生ですが、前半は吾郎、後半は千明、最後は孫の一郎が主人公としてお話が進みます。
教育改革や塾の発展と困難、昨今の学習支援といった現実での社会の流れをリアルに反映していて、きっとどこかに実際にある話だと、共感しながら読みました。また戦後の教育史としても学べました。
お話は未来につながる希望が見えるエンディングでしたが、成績向上の